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七章 侍従長と魔法使い
魔法使いの娘
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「あの、あたしにも出来ることが、……何でもいいですから、フィア様の為になるのなら何でもしますから! お願いしますっ!」
想いが先走ったのか、支離滅裂な調子になっているが、シャレンの言いたいことはわかる。
詰め寄られた老師は、その眼差しの強さと純粋さに頬を緩めるが、敢えてしゃがんで目線を合わせるようなことはせず、立ったまま首を振って突き放す。
「君は、病を得た。それは、寡少な魔力量に起因するもので、君自身にも心当たりがあるでしょう。快復はしても、体力は失ったまま。安静にしていなさい」
「お願いします! 何も出来ないなんて、何もしないなんてっ、そんなこと駄目なんです!」
シャレンは、必死になって老師に懸け合う。
命の恩人であるコウさんに報いたい、という気持ちはわかる。だが、どうもそれだけではないような切実なものが感じられる。意固地、と言ってしまったら、それまでだろう。シャレン自身わかっていないのかもしれない。
でも、何一つ納得できない、一つたりとも認めることなんて出来ない。シャレンの潔癖なまでの実直さに、見ている者の心は揺さ振られる。
子供が抱く正義感とは、未熟ではあっても間違いではない。ときに、子供ではない者たちの頑なさを打ち砕くことさえある。
「ん? ん~、んー、んっ、むむむんっ!!」
「ーーっ」
場の空気を読まず、或いは読んだからなのか、エンさんがしゃがんでシャレンと顔を合わせる。
稍あって、頬を紅に染めて顔を逸らそうとした少女の頭を、がしりと掴んで、無理やり自分のほうに向かせる。
……可哀想に。
あわわわ、な状態で、耳まで真っ赤にして混乱の極致にある女の子が逆上せ上がる直前に、彼は僕に質してきた。
「こぞー、目、何色ん見える?」
質問の意図はわからないが、エンさんのことである、何かしらの意味があるのだろう。
僕は見たままを、正直に答えた。
「赤茶色です」
もっと正確に言うと、濁った赤茶色だが、それは竜足、いや、蛇足というものだろう。などと思っていると、何故だろうか、居回りが軽くざわめく。
見ると、シャレンと母親は驚いた表情で、エンさんは心得顔、他の人は戸惑ったり訝しんだりと、波紋が広がった。
「その……、娘の瞳は、生まれたときからずっと紫色です」
「宝石みてーで、きれーだな。ほれ、じじー、俺じゃ中んことまでわかんねぇ、確かめてやんな」
皆が紫色に見えているということは、シャレンの瞳は魔力の影響を受けている、ということになる。とはいえ、彼女の様子から、瞳自体に力があるわけではなさそうだが。
「ほほう、然かし。そうと言われて視なければ、気付くことも出来ないほど閉じられているが、ーーこれは中々、私の魔力量の倍以上はありそうだね」
「え……」
「っ!」
老師の、先程とは逆の見解に、シャレンは、驚く、というより、困惑の色合いのほうが強く、それらの感情の内にわずかに閃いたものは、怒り、だろうか。
魔力量が多いと言われて、喜ぶのならわかるが、どうして斯かる心持ちになるのだろう。
母親の表情も、吃驚というよりも苦渋の成分を多く含んでいるように見える。
老師の倍というと、どのくらいの魔力量なのだろうか。五~十ガラン・クンくらいかな。
コウさんという例外を除けば、この大陸では最強水準なのではないだろうか。
「その魔力があれば、フィア様の助けになるのなら、お願いしますっ! 魔力を使えるようにしてください! 今何も出来なかったら、あたしはあたしが許せないんですっ!!」
猜疑、というべきか。老師の言葉を信じたいが、信じられない。
シャレンは、相反するものが渦巻き、自らに生じた複雑なものを振り切って、形振り構わず老師に詰め寄る。
「リシェ君。治癒術士は、何人いたほうが良いかね?」
老師は意外なことを、いや、どちらかと言えば、不穏なことを聞いてきた。
エンさんやクーさん、ギルースさんや他にも、治癒魔法が使える人が居るかもしれないが、彼らは治癒術士ではない。治癒術士とは、称号であり資格のようなもので、自分だけでなく他者を治癒できる者のことを示している。
僕が知っている治癒術士は、身近な人では老師とコウさん、里長と兄さんだけである。あと、地域の魔法使いと、里にも幾人か居た。ああ、それと、ファタもそうだったか。
運悪く、ファタは野暮用で国外に出ているので、今は老師しか使い手がいないが、無論多いに越したことはない。
「老師一人なら、中央の後方で三部隊を担当してもらうことになるでしょう。治癒術士二人なら、部隊の合間の後方、或いは一人を重篤の部隊に、もう一人を二部隊の担当に。ーー望むべくんば、それぞれの部隊に一人ずつ、治癒術士が三人いることですが」
「そういうわけだね。治癒術士が一人増えるだけで、戦局水準での違いがでる。シャレンさん、私なら君を、明日までに治癒術士にすることが出来ますーー」
風を引き裂く、そう譬えたくなる、簡捷の抜き打ち。
直前までその兆しさえ窺えなかった、容易いようで、その実、有り得ないくらいの技巧の一撃を老師の首元で受け止める。
「決めるのはあなたです。図らずもコウが言った通り、責任は自分でしか取れません。ですが、それは一人前が言える台詞で……」
「っ! くそじじー、止めやがれ!」
エンさんが腕に力を込め、老師の喉に赤い線ができる。
老師は、エンさんを一顧だにせず、弟子の脅しなど何処吹く風竜と、シャレンに選択を迫る。
「こぞー、邪魔すんな」
エンさんの、熱を孕んだ底冷えする声に、射竦められそうになる。
師匠が悪ければ弟子まで、って、まだ弟子になってないけど、いや、エンさんだって弟子だけど、いやいや、そういう場合ではなく、この構図は不味い。
ストリチナ同盟国との対立を前に、竜魔法団団長と竜騎士団団長、侍従長が揉めている姿を見せるのは得策ではない。
「エン様!」
「……は?」
「お願いします、エン様っ! あたしがやりたいんです、あたしがしたいんですっ! 誰の為でもなく、自分の為にも!」
「むぐ、……仕方ねぇなぁ」
様付けの、聞き慣れない呼び名に呆けた隙に、というのは可哀想か、シャレンの一途さに押し切られてしまうエンさん。
妹に弱いのは知っていたが、女の子にも弱かったようだ。
まぁ、そもそも、うっかり体が動いてエンさんの剣を止めたが、僕の手には殆ど衝撃はなかったので、あれは抜き打ちではなくて。
周囲からはそう見えなかったかもしれないけど、僕がただ出しゃばっただけ、という恥ずかしい一幕だったわけなのだが。
物怖じせず、言い切ったシャレン。一途どころか頑固と言っていい、眩しいまでの強さは、どこかコウさんを感じさせる。
周期頃の女の子とは皆、こんな炎竜のような熱さを抱えているのだろうか。
「明日までに魔力を解放し、治癒魔法を会得するには、嘗て私がやったように、その身に大量の魔力を受け容れる必要があります。明日一日は、魔力を定着させることが出来ますが、その翌日からは許容以上の、乱れた魔力の毒に侵されることになります。コウが魔法を使えるようになるまでの三日……、いえ、二日の間、 呻吟することになるでしょう」
老師は逡巡せず、シャレンに差し出す。
覚悟と責任という、言葉にするには軽く、実行するには重い、それらの本当の意味を試すかのように。
「罪を犯し、処刑される男がいた。呪いを受け、三日間耐え切れば、罪は許され、自由を手に出来る。その提案に男は乗り、呪いを受けた。そして、十を数える間もなく、呪いを解いてくれと、男は懇願した。
ーー君が受ける代償とは、そういう類いのものです。嘗てのコウほどではないとしても、あの娘と同じ水火の責め苦に、その身を蝕まれることになります」
……エンさんが実力行使をしてでも老師を止めようとした理由が、これか。
然し、怖いもの知らず、竜に喧嘩を売る、という言葉は今のシャレンの為にあるようなもの。
少女は怯むことなく老師を見返して、覚悟の程を示す。
老師は、コウさんを生かした。だが、それは同時に、永い痛苦に塗れた生を少女に歩ませることにもなったのだ。
そこに、どれだけの懊悩があったのか、若輩の僕には到底想像が及ぶところではない。
彼はその手で、また一人、少女を誘うことになる。
責任は、当人以外に取ることは出来ない。然はあれど、苦しい。そこに僕も係わっていて、何も出来ないということがわかっていて。無力であることを、噛み締める。
「御母堂、先程言いそびれましたが、シャレンさんは一人前ではなく、あなたの庇護下にあります。あなたが認めないのであれば、シャレンさんがどれほど懇願しようと、施すことはいたしません」
老師の言葉を聞くなり、座り込んでいる母親の許に膝を突いて、正面から眦を決するシャレン。
母親の表情の変化を、どう捉えればいいのかわからなかった。
葛藤していたことは一目竜然だが、娘の成長を喜ぶ、というより、まるで自らの運命を悟ったかのような、どこか険のあった女性の顔が解れてゆく。
見た目よりも若いのではないかと思っていたが、これが彼女の本来のものなのだろうか、シャレンを見詰める柔和な面差しは、二十半ばと言っても通るほどの。
ーーだとするなら、母親は幾つでシャレンを産んだのだろうか。
服に隠れて見えなかったが、母親は首に何かを掛けていたようで、外したものを両手の上に乗せて、シャレンに差し出す。
魔力付与の品なのだろうか、見たことがない色艶のまっさらな紐に、銀製の紋章のような細工物が括り付けられている。
これは、定紋……、魔法紋だろうか。魔法使いの家系に、そのようなものがあると聞いたことがあったが。
「これは……、ザグケルンとシースライア。ーー良いのですか、紋を晒してしまって」
魔法使いにとって魔法紋を見せることは、何かしらの不利益を伴うようだが。老師の驚きの半分は、家系のほうに向けられているようだ。
「老師。ザグケルンにシースライア、二つの名称に心当たりがあるのですか?」
「ああ、両家とも魔術師の時代にまで遡ることが出来る名家だね。魔法使いの界隈では、一目置かれる存在だった。これらを含めた名家には、組合の結成や運営が期待されていて、もしそうなっていれば魔法使いの歴史が……、いや、今はそのようなことは関係ないね。ただ、私が山奥に引っ込むことになった頃からか、両家の名はとんと聞かなくなったが」
老師が視線で促すと、母親は重い口を開く。
「……はい、仰る通りです。ザグケルンとシースライアは、後継に恵まれず衰退していきました。名家の矜持と魔法への執着が、両家を結び付けます。復権を願い、両家はそれぞれの秘宝を、魔法具を持ち合い、魔法適性のある子を生そうとしました。……生まれたシャレンは、両家の期待とは裏腹に、微弱な魔力しか具えていませんでした」
「二家が衰退したというのは確かなようだね。実際には成功していたというのに、それに気付けないとは。皮肉、と言うのは酷だが、彼らには相応しい末路かもしれない」
らしくなく、随分きついことを言う、と思ったが、老師の言葉で心付く。
「失敗の象徴でもある私たちは、両家から追放をーー、着の身着のまま、捨てられました。ですが、秘宝を失った両家に、再起の道はないでしょう。私たちで……、終わりです」
母親はすべてを了解した上で礎になろうとしたのかもしれない。或いは、最後の犠牲者に。
恐らく、今のシャレンと同じかそれ以下の周期で二家の命運を担う決断をしたのだ。
やはり、と暗澹たる気分になる。
二家は魔法具を用い、母体に魔法的な処置を施してシャレンを生ませたのだろう。
シャレンと母親が追放されたということは、母親は魔力異常か障害かで、副作用か後遺症か、子供が産めない体になった。
まだ子が儲けられるのなら、二家が母親を手放すはずがない。糅てて加えて、シャレンは人質のような扱いを受けていたはず。まだ幼き子供に法外な術を施す奴らである。そのくらいのことはするだろう。
一族の命運を懸けた二家の悲願は果たされなかった。その身を差し出して、尽くした母子を、自らが成した結果を、正視できなかった二家に、老師が唾棄するような言葉を投げ付けるのは当然である。
形は違えど、魔法的な試みによって人の運命に介在した責任を背負い続けてきた彼からしたら、許せるものではないのだろう。
「「「「「…………」」」」」
まだ立ち去っていなかった人々や、「風吹」の魔力計測に駆け付けた人々が苦悶に顔を歪める。
目を閉じて必死に耐える者、怒りに震えて拳を握り締める者、乾いた表情でただ涙する者、……竜の国に遣って来た者で、何かを抱えずにこの地を踏んだ者は少数だろう。
傷は、永遠に癒やされることはない。
覆い隠して、見ることの、触れることの回数を減らしていくだけ。
人は慣れてしまう。
誤魔化すことに、偽ることに、諦めることに、心を鈍らせることに。
空に手を伸ばすことを忘れてしまう。
竜の民が気付き始めている。目を離せなくなる。それが何か理解できないから、向き合うのを恐れてしまうのか。
現実を知らない子供と、突き放してしまえばいいのか。晒された痛みに、揺るがず決然と、穏やかとさえ言っていい少女の……。これは、母親への思慕なのだろうか。
僕には、シャレンの底に渦巻くものの正体はわからない。
ただ、わかることが一つ。
ーー翠緑の瞳。
記憶と心の中の、大切な場所にあるものと符合する。赤茶色の瞳が、あのときの少女の瞳と、同じ輝きを放っている。
母親は、二家の魔法紋を握り締めると、まるで命を籠めるように大きく息を吸った。
ああ、彼女はシャレンの母親なのだ。自然とそう思える、少女と違わぬ輝きを宿して。
そこに居たのは、紛う方なき魔法使いであった。
「心象こそが魔法の根源。魔法は自らを映す鏡。わかりますね、シャレン。目を背けることは許しません。あなたは、ザグケルンの子であり、シースライアの子です。あなたが魔法を望むのであれば、ザグケルンとシースライアの血に因らなければなりません。
偽りは魔法を歪めます。自らを求めることこそが魔法の起源です。それが、ザグケルンとシースライアが掲げて、終には手に入れることが出来なかった初源です。道を閉ざさないことがあなたの役目であり、ザグケルンとシースライアを生かすことが、あなたを生かすことになります。目を背けてはなりません。歩みを止めてはなりません。
シャレン、今一度問います。あなたはザグケルンであることを、シースライアであることを、私の娘であることを、魔法使いであることを、受け容れることが出来ますか」
魔法使いは手を緩めて、再び魔法紋を差し出す。
捨てられて、竜の国に行き着くまで、抱いたものは後悔なのか怨嗟なのか。
きっと違うのだろう。魔法紋を持ち続けたことが、尊くも痛切な誇りを際立たせている。
魔法使いと、魔法紋と、そこに重なる過去の情景に、シャレンは震えながら二度、三度と言葉を詰まらせて。
これほどの激情をどこに隠して、溜め込んでいたのだろう。
もう塞き止めることなんて出来ない、感情が、想いが、少女を染め上げる。
「あたしは、憎い! 母様をこんな目に遭わせたあいつ等なんて、焼き尽くしてやりたい! あたしの中にあるこの汚らわしい血を全部抜き取って、ぶちまけてやりたい! ……でも、でもっ、あたしは母様の子供です! 誇り高き『胚胎の魔法使い』の子供ですっ!」
呻くように自らの体を両手できつく抱いて、爪を立てる。
血を吐くように、本当にそうなればいいのに、とシャレンの内心の哀哭が伝播してきたかのよう。
吐き尽くして、絞り尽くして、そうして残ったものが何だったのか。
シャレンの表情に、その答えがあった。
「あたしは……、あたしはザグケルンとシースライアの子、シャレン・ザグレイア!
この醜き名とともに生きることを誓う! 両家が求めて届かなかった初源を得て、亡き者にすることがあたしの使命……っ。……ぁぅ、あ、あたしは、シャレン・ザグレイアはぁ! 治癒術士になって、母様を絶対に治してみせます!!」
涙に塗れたシャレンは、その衝動さえ踏み躙って、言葉にしたくても出来なかった、遥かな底に閉じ込めていた誓いを、希求を解放した。
刹那、幻聴だったのだろうか、いや、確かに感じた。
完膚なきまでに打ち砕かれて、世界に飛散する欠片たちの残響を。
「っ!」
「うっ?」
「わ、何だ!?」
「肌がぴりぴりする」
「ん?」
「え? どうしたんだ?」
周囲の竜の民が、シャレンに呼応して呱々の声を上げた魔力の顕然に騒然とする。
魔力解放だったのだろう。僕には魔力は感じられないけど、それを疑うことはなかった。
魔力が解けたことに差し響きがあったのか、僕の目にも正しく映る。
確かにエンさんの言った通り、宝石のような紫晶の瞳。もしかして、これらの強き輝きは、魔力量の多い人間に特有のものなのだろうか。
「母様!」
シャレンは、堪らず母親に抱き付く。
彼女の魔力属性なのだろうか、風のようでもあり水のようでもある緩やかなものが母娘を包み込んでいる。母親は、懐かしいものに触れるように、優しいものを壊さないように、胎動の気配を絡め取って、娘を優しく撫ぜる。
母親の病とシャレンの寡少な魔力。
病がうつることを危惧して、過度の接触を避けていたのかもしれない。ともすれば、シャレンが生まれ落ちたその瞬間から。
「ーーシャレン。負けてはなりませんよ」
「はいっ!」
まだ道の半ばにある新しき魔法使いに、魔法使いは一言にすべてを籠めて言祝ぐ。
僕にはそう聞こえたし、きっとシャレンを最も喜ばせ、奮起させる言葉だったに違いない。
認められて、自分が選んだ道を歩み始める。
シャレンに、コウさんの姿が重なる。
あのとき僕も、歩き始めた。コウさんに差し出して、僕自身で選び取って、ーーあとは、僕はいったい誰に認めて欲しいと思っているのだろう。
想いが先走ったのか、支離滅裂な調子になっているが、シャレンの言いたいことはわかる。
詰め寄られた老師は、その眼差しの強さと純粋さに頬を緩めるが、敢えてしゃがんで目線を合わせるようなことはせず、立ったまま首を振って突き放す。
「君は、病を得た。それは、寡少な魔力量に起因するもので、君自身にも心当たりがあるでしょう。快復はしても、体力は失ったまま。安静にしていなさい」
「お願いします! 何も出来ないなんて、何もしないなんてっ、そんなこと駄目なんです!」
シャレンは、必死になって老師に懸け合う。
命の恩人であるコウさんに報いたい、という気持ちはわかる。だが、どうもそれだけではないような切実なものが感じられる。意固地、と言ってしまったら、それまでだろう。シャレン自身わかっていないのかもしれない。
でも、何一つ納得できない、一つたりとも認めることなんて出来ない。シャレンの潔癖なまでの実直さに、見ている者の心は揺さ振られる。
子供が抱く正義感とは、未熟ではあっても間違いではない。ときに、子供ではない者たちの頑なさを打ち砕くことさえある。
「ん? ん~、んー、んっ、むむむんっ!!」
「ーーっ」
場の空気を読まず、或いは読んだからなのか、エンさんがしゃがんでシャレンと顔を合わせる。
稍あって、頬を紅に染めて顔を逸らそうとした少女の頭を、がしりと掴んで、無理やり自分のほうに向かせる。
……可哀想に。
あわわわ、な状態で、耳まで真っ赤にして混乱の極致にある女の子が逆上せ上がる直前に、彼は僕に質してきた。
「こぞー、目、何色ん見える?」
質問の意図はわからないが、エンさんのことである、何かしらの意味があるのだろう。
僕は見たままを、正直に答えた。
「赤茶色です」
もっと正確に言うと、濁った赤茶色だが、それは竜足、いや、蛇足というものだろう。などと思っていると、何故だろうか、居回りが軽くざわめく。
見ると、シャレンと母親は驚いた表情で、エンさんは心得顔、他の人は戸惑ったり訝しんだりと、波紋が広がった。
「その……、娘の瞳は、生まれたときからずっと紫色です」
「宝石みてーで、きれーだな。ほれ、じじー、俺じゃ中んことまでわかんねぇ、確かめてやんな」
皆が紫色に見えているということは、シャレンの瞳は魔力の影響を受けている、ということになる。とはいえ、彼女の様子から、瞳自体に力があるわけではなさそうだが。
「ほほう、然かし。そうと言われて視なければ、気付くことも出来ないほど閉じられているが、ーーこれは中々、私の魔力量の倍以上はありそうだね」
「え……」
「っ!」
老師の、先程とは逆の見解に、シャレンは、驚く、というより、困惑の色合いのほうが強く、それらの感情の内にわずかに閃いたものは、怒り、だろうか。
魔力量が多いと言われて、喜ぶのならわかるが、どうして斯かる心持ちになるのだろう。
母親の表情も、吃驚というよりも苦渋の成分を多く含んでいるように見える。
老師の倍というと、どのくらいの魔力量なのだろうか。五~十ガラン・クンくらいかな。
コウさんという例外を除けば、この大陸では最強水準なのではないだろうか。
「その魔力があれば、フィア様の助けになるのなら、お願いしますっ! 魔力を使えるようにしてください! 今何も出来なかったら、あたしはあたしが許せないんですっ!!」
猜疑、というべきか。老師の言葉を信じたいが、信じられない。
シャレンは、相反するものが渦巻き、自らに生じた複雑なものを振り切って、形振り構わず老師に詰め寄る。
「リシェ君。治癒術士は、何人いたほうが良いかね?」
老師は意外なことを、いや、どちらかと言えば、不穏なことを聞いてきた。
エンさんやクーさん、ギルースさんや他にも、治癒魔法が使える人が居るかもしれないが、彼らは治癒術士ではない。治癒術士とは、称号であり資格のようなもので、自分だけでなく他者を治癒できる者のことを示している。
僕が知っている治癒術士は、身近な人では老師とコウさん、里長と兄さんだけである。あと、地域の魔法使いと、里にも幾人か居た。ああ、それと、ファタもそうだったか。
運悪く、ファタは野暮用で国外に出ているので、今は老師しか使い手がいないが、無論多いに越したことはない。
「老師一人なら、中央の後方で三部隊を担当してもらうことになるでしょう。治癒術士二人なら、部隊の合間の後方、或いは一人を重篤の部隊に、もう一人を二部隊の担当に。ーー望むべくんば、それぞれの部隊に一人ずつ、治癒術士が三人いることですが」
「そういうわけだね。治癒術士が一人増えるだけで、戦局水準での違いがでる。シャレンさん、私なら君を、明日までに治癒術士にすることが出来ますーー」
風を引き裂く、そう譬えたくなる、簡捷の抜き打ち。
直前までその兆しさえ窺えなかった、容易いようで、その実、有り得ないくらいの技巧の一撃を老師の首元で受け止める。
「決めるのはあなたです。図らずもコウが言った通り、責任は自分でしか取れません。ですが、それは一人前が言える台詞で……」
「っ! くそじじー、止めやがれ!」
エンさんが腕に力を込め、老師の喉に赤い線ができる。
老師は、エンさんを一顧だにせず、弟子の脅しなど何処吹く風竜と、シャレンに選択を迫る。
「こぞー、邪魔すんな」
エンさんの、熱を孕んだ底冷えする声に、射竦められそうになる。
師匠が悪ければ弟子まで、って、まだ弟子になってないけど、いや、エンさんだって弟子だけど、いやいや、そういう場合ではなく、この構図は不味い。
ストリチナ同盟国との対立を前に、竜魔法団団長と竜騎士団団長、侍従長が揉めている姿を見せるのは得策ではない。
「エン様!」
「……は?」
「お願いします、エン様っ! あたしがやりたいんです、あたしがしたいんですっ! 誰の為でもなく、自分の為にも!」
「むぐ、……仕方ねぇなぁ」
様付けの、聞き慣れない呼び名に呆けた隙に、というのは可哀想か、シャレンの一途さに押し切られてしまうエンさん。
妹に弱いのは知っていたが、女の子にも弱かったようだ。
まぁ、そもそも、うっかり体が動いてエンさんの剣を止めたが、僕の手には殆ど衝撃はなかったので、あれは抜き打ちではなくて。
周囲からはそう見えなかったかもしれないけど、僕がただ出しゃばっただけ、という恥ずかしい一幕だったわけなのだが。
物怖じせず、言い切ったシャレン。一途どころか頑固と言っていい、眩しいまでの強さは、どこかコウさんを感じさせる。
周期頃の女の子とは皆、こんな炎竜のような熱さを抱えているのだろうか。
「明日までに魔力を解放し、治癒魔法を会得するには、嘗て私がやったように、その身に大量の魔力を受け容れる必要があります。明日一日は、魔力を定着させることが出来ますが、その翌日からは許容以上の、乱れた魔力の毒に侵されることになります。コウが魔法を使えるようになるまでの三日……、いえ、二日の間、 呻吟することになるでしょう」
老師は逡巡せず、シャレンに差し出す。
覚悟と責任という、言葉にするには軽く、実行するには重い、それらの本当の意味を試すかのように。
「罪を犯し、処刑される男がいた。呪いを受け、三日間耐え切れば、罪は許され、自由を手に出来る。その提案に男は乗り、呪いを受けた。そして、十を数える間もなく、呪いを解いてくれと、男は懇願した。
ーー君が受ける代償とは、そういう類いのものです。嘗てのコウほどではないとしても、あの娘と同じ水火の責め苦に、その身を蝕まれることになります」
……エンさんが実力行使をしてでも老師を止めようとした理由が、これか。
然し、怖いもの知らず、竜に喧嘩を売る、という言葉は今のシャレンの為にあるようなもの。
少女は怯むことなく老師を見返して、覚悟の程を示す。
老師は、コウさんを生かした。だが、それは同時に、永い痛苦に塗れた生を少女に歩ませることにもなったのだ。
そこに、どれだけの懊悩があったのか、若輩の僕には到底想像が及ぶところではない。
彼はその手で、また一人、少女を誘うことになる。
責任は、当人以外に取ることは出来ない。然はあれど、苦しい。そこに僕も係わっていて、何も出来ないということがわかっていて。無力であることを、噛み締める。
「御母堂、先程言いそびれましたが、シャレンさんは一人前ではなく、あなたの庇護下にあります。あなたが認めないのであれば、シャレンさんがどれほど懇願しようと、施すことはいたしません」
老師の言葉を聞くなり、座り込んでいる母親の許に膝を突いて、正面から眦を決するシャレン。
母親の表情の変化を、どう捉えればいいのかわからなかった。
葛藤していたことは一目竜然だが、娘の成長を喜ぶ、というより、まるで自らの運命を悟ったかのような、どこか険のあった女性の顔が解れてゆく。
見た目よりも若いのではないかと思っていたが、これが彼女の本来のものなのだろうか、シャレンを見詰める柔和な面差しは、二十半ばと言っても通るほどの。
ーーだとするなら、母親は幾つでシャレンを産んだのだろうか。
服に隠れて見えなかったが、母親は首に何かを掛けていたようで、外したものを両手の上に乗せて、シャレンに差し出す。
魔力付与の品なのだろうか、見たことがない色艶のまっさらな紐に、銀製の紋章のような細工物が括り付けられている。
これは、定紋……、魔法紋だろうか。魔法使いの家系に、そのようなものがあると聞いたことがあったが。
「これは……、ザグケルンとシースライア。ーー良いのですか、紋を晒してしまって」
魔法使いにとって魔法紋を見せることは、何かしらの不利益を伴うようだが。老師の驚きの半分は、家系のほうに向けられているようだ。
「老師。ザグケルンにシースライア、二つの名称に心当たりがあるのですか?」
「ああ、両家とも魔術師の時代にまで遡ることが出来る名家だね。魔法使いの界隈では、一目置かれる存在だった。これらを含めた名家には、組合の結成や運営が期待されていて、もしそうなっていれば魔法使いの歴史が……、いや、今はそのようなことは関係ないね。ただ、私が山奥に引っ込むことになった頃からか、両家の名はとんと聞かなくなったが」
老師が視線で促すと、母親は重い口を開く。
「……はい、仰る通りです。ザグケルンとシースライアは、後継に恵まれず衰退していきました。名家の矜持と魔法への執着が、両家を結び付けます。復権を願い、両家はそれぞれの秘宝を、魔法具を持ち合い、魔法適性のある子を生そうとしました。……生まれたシャレンは、両家の期待とは裏腹に、微弱な魔力しか具えていませんでした」
「二家が衰退したというのは確かなようだね。実際には成功していたというのに、それに気付けないとは。皮肉、と言うのは酷だが、彼らには相応しい末路かもしれない」
らしくなく、随分きついことを言う、と思ったが、老師の言葉で心付く。
「失敗の象徴でもある私たちは、両家から追放をーー、着の身着のまま、捨てられました。ですが、秘宝を失った両家に、再起の道はないでしょう。私たちで……、終わりです」
母親はすべてを了解した上で礎になろうとしたのかもしれない。或いは、最後の犠牲者に。
恐らく、今のシャレンと同じかそれ以下の周期で二家の命運を担う決断をしたのだ。
やはり、と暗澹たる気分になる。
二家は魔法具を用い、母体に魔法的な処置を施してシャレンを生ませたのだろう。
シャレンと母親が追放されたということは、母親は魔力異常か障害かで、副作用か後遺症か、子供が産めない体になった。
まだ子が儲けられるのなら、二家が母親を手放すはずがない。糅てて加えて、シャレンは人質のような扱いを受けていたはず。まだ幼き子供に法外な術を施す奴らである。そのくらいのことはするだろう。
一族の命運を懸けた二家の悲願は果たされなかった。その身を差し出して、尽くした母子を、自らが成した結果を、正視できなかった二家に、老師が唾棄するような言葉を投げ付けるのは当然である。
形は違えど、魔法的な試みによって人の運命に介在した責任を背負い続けてきた彼からしたら、許せるものではないのだろう。
「「「「「…………」」」」」
まだ立ち去っていなかった人々や、「風吹」の魔力計測に駆け付けた人々が苦悶に顔を歪める。
目を閉じて必死に耐える者、怒りに震えて拳を握り締める者、乾いた表情でただ涙する者、……竜の国に遣って来た者で、何かを抱えずにこの地を踏んだ者は少数だろう。
傷は、永遠に癒やされることはない。
覆い隠して、見ることの、触れることの回数を減らしていくだけ。
人は慣れてしまう。
誤魔化すことに、偽ることに、諦めることに、心を鈍らせることに。
空に手を伸ばすことを忘れてしまう。
竜の民が気付き始めている。目を離せなくなる。それが何か理解できないから、向き合うのを恐れてしまうのか。
現実を知らない子供と、突き放してしまえばいいのか。晒された痛みに、揺るがず決然と、穏やかとさえ言っていい少女の……。これは、母親への思慕なのだろうか。
僕には、シャレンの底に渦巻くものの正体はわからない。
ただ、わかることが一つ。
ーー翠緑の瞳。
記憶と心の中の、大切な場所にあるものと符合する。赤茶色の瞳が、あのときの少女の瞳と、同じ輝きを放っている。
母親は、二家の魔法紋を握り締めると、まるで命を籠めるように大きく息を吸った。
ああ、彼女はシャレンの母親なのだ。自然とそう思える、少女と違わぬ輝きを宿して。
そこに居たのは、紛う方なき魔法使いであった。
「心象こそが魔法の根源。魔法は自らを映す鏡。わかりますね、シャレン。目を背けることは許しません。あなたは、ザグケルンの子であり、シースライアの子です。あなたが魔法を望むのであれば、ザグケルンとシースライアの血に因らなければなりません。
偽りは魔法を歪めます。自らを求めることこそが魔法の起源です。それが、ザグケルンとシースライアが掲げて、終には手に入れることが出来なかった初源です。道を閉ざさないことがあなたの役目であり、ザグケルンとシースライアを生かすことが、あなたを生かすことになります。目を背けてはなりません。歩みを止めてはなりません。
シャレン、今一度問います。あなたはザグケルンであることを、シースライアであることを、私の娘であることを、魔法使いであることを、受け容れることが出来ますか」
魔法使いは手を緩めて、再び魔法紋を差し出す。
捨てられて、竜の国に行き着くまで、抱いたものは後悔なのか怨嗟なのか。
きっと違うのだろう。魔法紋を持ち続けたことが、尊くも痛切な誇りを際立たせている。
魔法使いと、魔法紋と、そこに重なる過去の情景に、シャレンは震えながら二度、三度と言葉を詰まらせて。
これほどの激情をどこに隠して、溜め込んでいたのだろう。
もう塞き止めることなんて出来ない、感情が、想いが、少女を染め上げる。
「あたしは、憎い! 母様をこんな目に遭わせたあいつ等なんて、焼き尽くしてやりたい! あたしの中にあるこの汚らわしい血を全部抜き取って、ぶちまけてやりたい! ……でも、でもっ、あたしは母様の子供です! 誇り高き『胚胎の魔法使い』の子供ですっ!」
呻くように自らの体を両手できつく抱いて、爪を立てる。
血を吐くように、本当にそうなればいいのに、とシャレンの内心の哀哭が伝播してきたかのよう。
吐き尽くして、絞り尽くして、そうして残ったものが何だったのか。
シャレンの表情に、その答えがあった。
「あたしは……、あたしはザグケルンとシースライアの子、シャレン・ザグレイア!
この醜き名とともに生きることを誓う! 両家が求めて届かなかった初源を得て、亡き者にすることがあたしの使命……っ。……ぁぅ、あ、あたしは、シャレン・ザグレイアはぁ! 治癒術士になって、母様を絶対に治してみせます!!」
涙に塗れたシャレンは、その衝動さえ踏み躙って、言葉にしたくても出来なかった、遥かな底に閉じ込めていた誓いを、希求を解放した。
刹那、幻聴だったのだろうか、いや、確かに感じた。
完膚なきまでに打ち砕かれて、世界に飛散する欠片たちの残響を。
「っ!」
「うっ?」
「わ、何だ!?」
「肌がぴりぴりする」
「ん?」
「え? どうしたんだ?」
周囲の竜の民が、シャレンに呼応して呱々の声を上げた魔力の顕然に騒然とする。
魔力解放だったのだろう。僕には魔力は感じられないけど、それを疑うことはなかった。
魔力が解けたことに差し響きがあったのか、僕の目にも正しく映る。
確かにエンさんの言った通り、宝石のような紫晶の瞳。もしかして、これらの強き輝きは、魔力量の多い人間に特有のものなのだろうか。
「母様!」
シャレンは、堪らず母親に抱き付く。
彼女の魔力属性なのだろうか、風のようでもあり水のようでもある緩やかなものが母娘を包み込んでいる。母親は、懐かしいものに触れるように、優しいものを壊さないように、胎動の気配を絡め取って、娘を優しく撫ぜる。
母親の病とシャレンの寡少な魔力。
病がうつることを危惧して、過度の接触を避けていたのかもしれない。ともすれば、シャレンが生まれ落ちたその瞬間から。
「ーーシャレン。負けてはなりませんよ」
「はいっ!」
まだ道の半ばにある新しき魔法使いに、魔法使いは一言にすべてを籠めて言祝ぐ。
僕にはそう聞こえたし、きっとシャレンを最も喜ばせ、奮起させる言葉だったに違いない。
認められて、自分が選んだ道を歩み始める。
シャレンに、コウさんの姿が重なる。
あのとき僕も、歩き始めた。コウさんに差し出して、僕自身で選び取って、ーーあとは、僕はいったい誰に認めて欲しいと思っているのだろう。
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