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6.Music festival.-吉澤蛍の場合-
蛍の気持ち
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ー秋良が言うように今までしてきたことはズルイのかもしれない。
自分にとっては傷付かないようにする為の術で、でもそれは、秋良にしてみたらただの邪魔なバリアでしかないんだ。
だからちゃんと思っている事、伝えるべきだろうし伝えたい。
秋良の頬にそっと触れると、啄むようなキスが数回。
求めたら答えてくれる、そんな忠実さに愛おしさは募る。
「蛍、あんまり煽んないで。これでも我慢してるんだから」
「秋、俺⋯ 秋のこと好きだよ」
上がった息でそう告げると、秋良は突然呼吸が止まったかの様に、目を見開いて動きを止めた。
─その言葉に迷いや躊躇いはなかった。
俺の素直な気持ち。
初めて相手に伝えた、恋しいという気持ち。
「ま⋯ じで?」
そのギャップに思わず笑うと、優しいキスが落ちてくる。
唇が離れる度にお互いに笑い合ったのは始めの内だけで、何度も重なる唇は深くなっていく。
体は更に熱を帯び、求めるように秋良の首に手を回した。
飽きる程キスをして、でも飽きることなんて無くて。
何度唇を重ねたって足りない。
肌を重ねる事がこんなにも気持ちの良いものだと知った。
想いが通じるのが、通じ合うのがこんなにも嬉しいものだと知った。
意思表示や自己主張をするという事が怖くて、一生伝えることは無いと思っていた。
何重にもかけた鍵を秋良が壊してくれた。
少し乱暴な所が秋良っぽいけど、 こうして触れてくるこの手は温かくて、その表情は優しい。
少しくらい信じても良いかもしれない。
身も心も預けでも良いかもしれない。
秋良になら、例え傷付けられたとしても本望だ。
自分にとっては傷付かないようにする為の術で、でもそれは、秋良にしてみたらただの邪魔なバリアでしかないんだ。
だからちゃんと思っている事、伝えるべきだろうし伝えたい。
秋良の頬にそっと触れると、啄むようなキスが数回。
求めたら答えてくれる、そんな忠実さに愛おしさは募る。
「蛍、あんまり煽んないで。これでも我慢してるんだから」
「秋、俺⋯ 秋のこと好きだよ」
上がった息でそう告げると、秋良は突然呼吸が止まったかの様に、目を見開いて動きを止めた。
─その言葉に迷いや躊躇いはなかった。
俺の素直な気持ち。
初めて相手に伝えた、恋しいという気持ち。
「ま⋯ じで?」
そのギャップに思わず笑うと、優しいキスが落ちてくる。
唇が離れる度にお互いに笑い合ったのは始めの内だけで、何度も重なる唇は深くなっていく。
体は更に熱を帯び、求めるように秋良の首に手を回した。
飽きる程キスをして、でも飽きることなんて無くて。
何度唇を重ねたって足りない。
肌を重ねる事がこんなにも気持ちの良いものだと知った。
想いが通じるのが、通じ合うのがこんなにも嬉しいものだと知った。
意思表示や自己主張をするという事が怖くて、一生伝えることは無いと思っていた。
何重にもかけた鍵を秋良が壊してくれた。
少し乱暴な所が秋良っぽいけど、 こうして触れてくるこの手は温かくて、その表情は優しい。
少しくらい信じても良いかもしれない。
身も心も預けでも良いかもしれない。
秋良になら、例え傷付けられたとしても本望だ。
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