24 / 28
終章 光の勇者と神緑の魔術師
第三話 光の勇者ハロルド
しおりを挟む
光の勇者ハロルドには長年の想い人がいる。
というのは、苦楽を共にした魔王討伐の一行の中では有名な話だった。
聖剣に選ばれたハロルドが魔王を倒すのは女神に定められた理のひとつで、彼女に創られた人の身である以上それに逆らうことは出来ない。
もちろん、ハロルドとて人々を苦しめる魔王を倒すことに異論はなかった。そのための力を女神に与えられたことを誇りに思っていたし、実際、自分にはその力があると信じていた。
けれども、時折人々を救いたいと願うこの気持ち自体が女神に創られた紛い物なのではないかと思うときもあった。若さゆえの自我同一性の揺らぎ。
幼い頃から勇者候補として扱われ、世界を救う英雄になるべきという周囲の圧力はハロルドが自分で思っていたよりもずっと重たいものだったらしい。自分が自分であることの不確かさやそれに伴う苦しみが、思春期を迎えたあたりからハロルドには常に付きまとっていた。けれども、同時にハロルドにはずっと心に根付く確かな愛があった。
そうやって悩み苦しんでいるときに心の支えとなったのが、かつて自分を育て命がけで守ってくれた魔術師ニコだったのだ。
ニコとハロルドが出会ったのは、もう九年も前のことだ。
女神の神託を受け、勇者候補として選ばれたハロルドの元に護衛として派遣されたのが、当時王国軍魔術師部隊に所属していたニコだ。
初めて会ったときのニコの第一印象はとても綺麗な人。
何せ、あの頃のニコは群青の長い髪をいつでも丁寧に結っていて、美しい薄紫の瞳は常に穏やかで理知的だった。ハロルドが育った辺境の村にそんな綺麗な人はいなかったし、村の男たちはハロルドを見ると怒鳴るか殴るかしかしなかった。だからハロルドは最初、ニコのことを女の人だと思っていたくらいだった。
そんなニコに対して、ハロルドはひどいものだったと思う。何せ、育ててくれた養父母を亡くして久しく、人というよりも動物に近い生活をしていた。
雨水を啜り、腐りかけた食べ物を食べていた。もちろん身体なんて洗ったこともなかった。けれど、そんな野生のハロルドをニコは嫌な顔ひとつせず受け入れてくれて、あまつさえ人として育ててくれたのだ。
垢じみた身体を洗い、温かい食事をくれた。文字を教えるところから始まった教育は、彼の得意な魔術に進み、剣術は諦めて、また魔術に戻った。結果ハロルドは得意な魔術を思う存分学ぶことが出来、これは魔王討伐の旅で大きく役に立つことになる。
毎日が温かくて幸せだった。
あの頃のハロルドの世界はニコで満たされていたし、ハロルドはニコさえいればそれで十分だった。これまで与えられたかった愛や優しさというものを、ハロルドは全てニコから教わった。
しかし、温かくも幸せなハロルドの小さな世界は呆気なく壊れてしまった。
ハロルドとニコの住んでいた村が高位の魔族に襲われたのだ。
幼いハロルドは知らなかったが、ニコは当時最強を誇る植物魔術師だったらしい。国をひとつ滅ぼせるほどの力を持った黒焔帝をたったひとりで退け、ハロルドを守りきった。
魔族と戦い続け、魔王を討ちとった今だからこそ、ハロルドはそのときのニコの凄まじさが分かる。
ただの人が四天王とひとりで戦い、勝った上に生き残るなど不可能に近いことだ。現にニコより位階が高かったはずの剣士ランスロットの護衛魔術師は、ランスロットを守りきったものの、そのときに命を落としてしまった。
けれど、ニコは生き残った。あれほどまでに彼が愛していた魔術は使えなくなったし、身体も不自由になってしまったけれど、確かに彼は生きていた。そのことをハロルドはこれまで何度も女神に感謝した。
思えば、ハロルドの元にニコが派遣されたのも、ニコが生き延びたのも、その全てが女神の采配だったのかもしれない。ハロルドにとってニコがその指針となるように、女神はハロルドにニコを与えてくれたのだろう。
旅の目標は確かに魔王を倒すことだったけれど、ハロルドの心の中にはもう一度生きてニコに会いたいという強い気持ちがあった。命を落としそうな場面で、ハロルドは何度となくニコを思い出したし、間違いなく彼の存在はハロルドを救ってくれた。
――幼い頃にした約束を絶対に果たしに行く。
それが厳しい戦いの中で、ハロルドがたったひとつ大切に握りしめていたものだ。
「嵐みたいだったな……」
ヴィクトリアの残した魔力だけを見つめて、ニコが呆然と言った。
彼女の勢いと有無を言わさぬ力強さは、ハロルドには慣れたものだったが初対面であるニコには強烈だったのだろう。しかし、ハロルドにはそんな彼を気遣う余裕はなかった。
――あなた、旅の間中ずっとめそめそとニコ様に会いたいと言っていましたものね。
去り際にヴィクトリアが言い捨てていったその言葉を聞いて、ニコは何を思っただろうか。
ニコには何度も「ニコのおかげで生き残れた」と言い続けていたけれど、それを他人に指摘されると気恥ずかしくて仕方がない。しかも、ヴィクトリアの言い方では、道中のハロルドが泣き言を言っていたようではないか。
ずっと年上で余裕のあるニコに、ハロルドは情けないところを見せたくなかった。ただでさえ子ども扱いされているのだから、少しでもかっこいいと思って欲しかった。いや、もう散々情けないところばかり見られているような気もするけれども。
ニコの反応が気になって視線を向けると、そこにはニコの笑顔があった。
そして、にこにこと笑いながら、残っている左手でハロルドの頭を撫でてくれる。
「がんばったんだな」
よしよし、と宥めるように撫でられて、ハロルドは叫び出したいような気持になった。
たぶん、ニコは全てを分かっているのだ。魔族と戦い続ける状況の過酷さも、そこで何が大切かも。
やはり、ハロルドが成長し、どれほど強くなってもニコには敵わない。
「いつも、泣き言言ってたわけじゃなくて」
「うん」
「たまに、本当に辛いときに、つい」
「うんうん」
言い訳がましく言えば、ニコは何度も頷いてくれる。そしてそっと抱き寄せられて、額に口づけられる。柔らかい唇の感触に、ハロルドは自分がぶわりと赤面したのが分かった。
「いつものおかえしな。俺のはお前みたいに守護魔術は入ってないけど」
「……気づいてたの?」
「気づいたのは、魔術を使ったときだよ。お前の魔力を感じて、ああ、守ってくれてたんだなって思った」
ニコの言葉にハロルドは驚いた。魔力を失い魔力探知が出来なくなったニコには絶対に気づかれないと思っていたのだ。
ニコの言うとおり、ハロルドは毎朝ニコと離れるときに彼に小さな魔力を付与していた。
守護魔術、とニコは言ったけれど、そんな大層なものではない。彼が強い魔力に晒されたときに、ハロルドがそれに気づくように彼の微かな魔力と自分の魔力を繋いでいただけだ。そうするとニコの身に起こった魔力変化や彼の居場所をハロルドは知ることが出来る。
今回も、アラクネの僅かな魔力をそうやって知ったのだった。
秘密にしていたのは、まるで彼を見張っているようで気まずかったから。しかし、どうやらニコはあまり気にしていないようだった。
実を言うと、結界内に侵入して来ようとする魔族には気づいていた。何度も通り抜けようとして失敗していた魔力は、おそらく元魔王軍四天王の獣王のものだ。しかし、いくら四天王の生き残りといえども、ハロルドがニコを守るために張った結界は破れなかった。故に結界を破ることなく侵入が可能な隠密行動に長けた蟲姫アラクネを差し向けたのだろう。
しかし、ハロルドの結界も魔力の付与も結果として何の役にも立たなかった。
「ちゃんと守れなかった。ごめん、今度こそ俺がニコを守る番だったのに」
ニコのもうすっかり治ってしまった腹を撫でながら、ハロルドは言う。
今回の襲撃は魔族が近くまで来ていたことを把握していたのに、放置していたハロルドの責任だ。決して中に入れないようにと結界を強化するのではなく、そもそもの原因を亡くしておくべきだったのだ。どうしてもそう思ってしまい落ち込むハロルドに、けれどもニコは微笑んでくれた。
「何言ってんだよ。ちゃんと守ってくれたろ。アラクネを一刀両断、かっこよかったぞ」
あいつ、あんなに硬そうだったのに、と笑うその顔はどこまでも優しくて、それがハロルドにはとても悲しかった。
ニコはどうしても彼をハロルドに守らせてはくれないのだ。何故ならば、彼自身が「守る側」だからだ。彼にとって魔族との戦いで傷ついても、死んでも、きっとそれは自らの力不足だということなのだろう。しかし、ハロルドは彼を守りたかった。
かつてニコが自分を守ってくれたように、彼を自らの背で庇いたい。彼を傷つける全てのものをこの手で退けたいと思ってしまうのだ。
「でも、俺、魔族が結界を破ろうとしてるの分かってたんだ。こんなことになるなら、先に殺しておけばよかった」
そしたら、ニコは怪我をしなかった。そう言えば、ニコが困ったように返した。
「勇者が魔域に足を踏み入れたら、また戦いになるだろう? 相手が何もしていないのにこちらから仕掛けるわけにはいかない。そしたら、あいつらが望む全面戦争再びだ」
「それは、そうだけど」
「それに俺はお前が絶対に来てくれるって信じてた。だから、諦めなかったんだ」
「ニコ……」
ニコの薄紫色瞳に誘われて、ハロルドは吸い寄せられるようにニコに口づけた。
というのは、苦楽を共にした魔王討伐の一行の中では有名な話だった。
聖剣に選ばれたハロルドが魔王を倒すのは女神に定められた理のひとつで、彼女に創られた人の身である以上それに逆らうことは出来ない。
もちろん、ハロルドとて人々を苦しめる魔王を倒すことに異論はなかった。そのための力を女神に与えられたことを誇りに思っていたし、実際、自分にはその力があると信じていた。
けれども、時折人々を救いたいと願うこの気持ち自体が女神に創られた紛い物なのではないかと思うときもあった。若さゆえの自我同一性の揺らぎ。
幼い頃から勇者候補として扱われ、世界を救う英雄になるべきという周囲の圧力はハロルドが自分で思っていたよりもずっと重たいものだったらしい。自分が自分であることの不確かさやそれに伴う苦しみが、思春期を迎えたあたりからハロルドには常に付きまとっていた。けれども、同時にハロルドにはずっと心に根付く確かな愛があった。
そうやって悩み苦しんでいるときに心の支えとなったのが、かつて自分を育て命がけで守ってくれた魔術師ニコだったのだ。
ニコとハロルドが出会ったのは、もう九年も前のことだ。
女神の神託を受け、勇者候補として選ばれたハロルドの元に護衛として派遣されたのが、当時王国軍魔術師部隊に所属していたニコだ。
初めて会ったときのニコの第一印象はとても綺麗な人。
何せ、あの頃のニコは群青の長い髪をいつでも丁寧に結っていて、美しい薄紫の瞳は常に穏やかで理知的だった。ハロルドが育った辺境の村にそんな綺麗な人はいなかったし、村の男たちはハロルドを見ると怒鳴るか殴るかしかしなかった。だからハロルドは最初、ニコのことを女の人だと思っていたくらいだった。
そんなニコに対して、ハロルドはひどいものだったと思う。何せ、育ててくれた養父母を亡くして久しく、人というよりも動物に近い生活をしていた。
雨水を啜り、腐りかけた食べ物を食べていた。もちろん身体なんて洗ったこともなかった。けれど、そんな野生のハロルドをニコは嫌な顔ひとつせず受け入れてくれて、あまつさえ人として育ててくれたのだ。
垢じみた身体を洗い、温かい食事をくれた。文字を教えるところから始まった教育は、彼の得意な魔術に進み、剣術は諦めて、また魔術に戻った。結果ハロルドは得意な魔術を思う存分学ぶことが出来、これは魔王討伐の旅で大きく役に立つことになる。
毎日が温かくて幸せだった。
あの頃のハロルドの世界はニコで満たされていたし、ハロルドはニコさえいればそれで十分だった。これまで与えられたかった愛や優しさというものを、ハロルドは全てニコから教わった。
しかし、温かくも幸せなハロルドの小さな世界は呆気なく壊れてしまった。
ハロルドとニコの住んでいた村が高位の魔族に襲われたのだ。
幼いハロルドは知らなかったが、ニコは当時最強を誇る植物魔術師だったらしい。国をひとつ滅ぼせるほどの力を持った黒焔帝をたったひとりで退け、ハロルドを守りきった。
魔族と戦い続け、魔王を討ちとった今だからこそ、ハロルドはそのときのニコの凄まじさが分かる。
ただの人が四天王とひとりで戦い、勝った上に生き残るなど不可能に近いことだ。現にニコより位階が高かったはずの剣士ランスロットの護衛魔術師は、ランスロットを守りきったものの、そのときに命を落としてしまった。
けれど、ニコは生き残った。あれほどまでに彼が愛していた魔術は使えなくなったし、身体も不自由になってしまったけれど、確かに彼は生きていた。そのことをハロルドはこれまで何度も女神に感謝した。
思えば、ハロルドの元にニコが派遣されたのも、ニコが生き延びたのも、その全てが女神の采配だったのかもしれない。ハロルドにとってニコがその指針となるように、女神はハロルドにニコを与えてくれたのだろう。
旅の目標は確かに魔王を倒すことだったけれど、ハロルドの心の中にはもう一度生きてニコに会いたいという強い気持ちがあった。命を落としそうな場面で、ハロルドは何度となくニコを思い出したし、間違いなく彼の存在はハロルドを救ってくれた。
――幼い頃にした約束を絶対に果たしに行く。
それが厳しい戦いの中で、ハロルドがたったひとつ大切に握りしめていたものだ。
「嵐みたいだったな……」
ヴィクトリアの残した魔力だけを見つめて、ニコが呆然と言った。
彼女の勢いと有無を言わさぬ力強さは、ハロルドには慣れたものだったが初対面であるニコには強烈だったのだろう。しかし、ハロルドにはそんな彼を気遣う余裕はなかった。
――あなた、旅の間中ずっとめそめそとニコ様に会いたいと言っていましたものね。
去り際にヴィクトリアが言い捨てていったその言葉を聞いて、ニコは何を思っただろうか。
ニコには何度も「ニコのおかげで生き残れた」と言い続けていたけれど、それを他人に指摘されると気恥ずかしくて仕方がない。しかも、ヴィクトリアの言い方では、道中のハロルドが泣き言を言っていたようではないか。
ずっと年上で余裕のあるニコに、ハロルドは情けないところを見せたくなかった。ただでさえ子ども扱いされているのだから、少しでもかっこいいと思って欲しかった。いや、もう散々情けないところばかり見られているような気もするけれども。
ニコの反応が気になって視線を向けると、そこにはニコの笑顔があった。
そして、にこにこと笑いながら、残っている左手でハロルドの頭を撫でてくれる。
「がんばったんだな」
よしよし、と宥めるように撫でられて、ハロルドは叫び出したいような気持になった。
たぶん、ニコは全てを分かっているのだ。魔族と戦い続ける状況の過酷さも、そこで何が大切かも。
やはり、ハロルドが成長し、どれほど強くなってもニコには敵わない。
「いつも、泣き言言ってたわけじゃなくて」
「うん」
「たまに、本当に辛いときに、つい」
「うんうん」
言い訳がましく言えば、ニコは何度も頷いてくれる。そしてそっと抱き寄せられて、額に口づけられる。柔らかい唇の感触に、ハロルドは自分がぶわりと赤面したのが分かった。
「いつものおかえしな。俺のはお前みたいに守護魔術は入ってないけど」
「……気づいてたの?」
「気づいたのは、魔術を使ったときだよ。お前の魔力を感じて、ああ、守ってくれてたんだなって思った」
ニコの言葉にハロルドは驚いた。魔力を失い魔力探知が出来なくなったニコには絶対に気づかれないと思っていたのだ。
ニコの言うとおり、ハロルドは毎朝ニコと離れるときに彼に小さな魔力を付与していた。
守護魔術、とニコは言ったけれど、そんな大層なものではない。彼が強い魔力に晒されたときに、ハロルドがそれに気づくように彼の微かな魔力と自分の魔力を繋いでいただけだ。そうするとニコの身に起こった魔力変化や彼の居場所をハロルドは知ることが出来る。
今回も、アラクネの僅かな魔力をそうやって知ったのだった。
秘密にしていたのは、まるで彼を見張っているようで気まずかったから。しかし、どうやらニコはあまり気にしていないようだった。
実を言うと、結界内に侵入して来ようとする魔族には気づいていた。何度も通り抜けようとして失敗していた魔力は、おそらく元魔王軍四天王の獣王のものだ。しかし、いくら四天王の生き残りといえども、ハロルドがニコを守るために張った結界は破れなかった。故に結界を破ることなく侵入が可能な隠密行動に長けた蟲姫アラクネを差し向けたのだろう。
しかし、ハロルドの結界も魔力の付与も結果として何の役にも立たなかった。
「ちゃんと守れなかった。ごめん、今度こそ俺がニコを守る番だったのに」
ニコのもうすっかり治ってしまった腹を撫でながら、ハロルドは言う。
今回の襲撃は魔族が近くまで来ていたことを把握していたのに、放置していたハロルドの責任だ。決して中に入れないようにと結界を強化するのではなく、そもそもの原因を亡くしておくべきだったのだ。どうしてもそう思ってしまい落ち込むハロルドに、けれどもニコは微笑んでくれた。
「何言ってんだよ。ちゃんと守ってくれたろ。アラクネを一刀両断、かっこよかったぞ」
あいつ、あんなに硬そうだったのに、と笑うその顔はどこまでも優しくて、それがハロルドにはとても悲しかった。
ニコはどうしても彼をハロルドに守らせてはくれないのだ。何故ならば、彼自身が「守る側」だからだ。彼にとって魔族との戦いで傷ついても、死んでも、きっとそれは自らの力不足だということなのだろう。しかし、ハロルドは彼を守りたかった。
かつてニコが自分を守ってくれたように、彼を自らの背で庇いたい。彼を傷つける全てのものをこの手で退けたいと思ってしまうのだ。
「でも、俺、魔族が結界を破ろうとしてるの分かってたんだ。こんなことになるなら、先に殺しておけばよかった」
そしたら、ニコは怪我をしなかった。そう言えば、ニコが困ったように返した。
「勇者が魔域に足を踏み入れたら、また戦いになるだろう? 相手が何もしていないのにこちらから仕掛けるわけにはいかない。そしたら、あいつらが望む全面戦争再びだ」
「それは、そうだけど」
「それに俺はお前が絶対に来てくれるって信じてた。だから、諦めなかったんだ」
「ニコ……」
ニコの薄紫色瞳に誘われて、ハロルドは吸い寄せられるようにニコに口づけた。
155
お気に入りに追加
1,076
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
稀代の英雄に求婚された少年が、嫌われたくなくて逃げ出すけどすぐ捕まる話
こぶじ
BL
聡明な魔女だった祖母を亡くした後も、孤独な少年ハバトはひとり森の中で慎ましく暮らしていた。ある日、魔女を探し訪ねてきた美貌の青年セブの治療を、祖母に代わってハバトが引き受ける。優しさにあふれたセブにハバトは次第に心惹かれていくが、ハバトは“自分が男”だということをいつまでもセブに言えないままでいた。このままでも、セブのそばにいられるならばそれでいいと思っていたからだ。しかし、功を立て英雄と呼ばれるようになったセブに求婚され、ハバトは喜びからついその求婚を受け入れてしまう。冷静になったハバトは絶望した。 “きっと、求婚した相手が醜い男だとわかれば、自分はセブに酷く嫌われてしまうだろう” そう考えた臆病で世間知らずなハバトは、愛おしくて堪らない英雄から逃げることを決めた。
【堅物な美貌の英雄セブ×不憫で世間知らずな少年ハバト】
※セブは普段堅物で実直攻めですが、本質は執着ヤンデレ攻めです。
※受け攻め共に、徹頭徹尾一途です。
※主要人物が死ぬことはありませんが、流血表現があります。
※本番行為までは至りませんが、受けがモブに襲われる表現があります。
弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました! 時間有る時にでも読んでください
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる