スキル『モデラー』で異世界プラモ無双!? プラモデル愛好家の高校生が異世界転移したら、持っていたスキルは戦闘と無関係なものたったひとつでした

大豆茶

文字の大きさ
上 下
66 / 120
【三章】技術大国プラセリア

15.出場者は?

しおりを挟む
「おお、ここが会場かぁ。思ったより小さいな」

 翌日、俺たち三人は地上にあるコンペティションが行われる会場へと到着した。

 闘技場と比べればこぢんまりとした場所だが、それもそのはず、ここはGODSの所有する魔動人形試運転用の施設なのだそうだ。

 当然観客席なんてものは存在しない。それ故にだいぶ小さく見える。

「まあ初日だしな」

「初日……? 何日もやるのか?」

 『勝てばいい』とは聞いていたが、そういえぱ詳細なルールなんかは聞いてなかったな。

「ああ、言ってなかったか? このコンペティションは各カンパニー毎に代表者一名が無料でエントリーできるんだ。大半のカンパニーは賞金や、GODSに取り入ろうとして参加するのさ」

 無料で参加できるんだったらそりゃあ参加するだろう。
 賞金が手に入らなくても、活躍できればカンパニーの宣伝にもなるだろうしな。
 闘技場と同じ環境なので、負けても魔動人形を失ったりはしない。命の安全は保証されているのでとりあえず参加だけ……ってカンパニーも多いだろう。
 
「オレらのような小さなカンパニーも含めると、参加者は百や二百じゃ収まらねぇ。だから数日に渡って開催されんだよ。しかも初日は十ヶ所の会場で同時に開かれんだ」

「えっ、そうなのか!? それじゃ今日は予選みたいなものか。で、今回は何回戦勝ち抜けばいいんだ?」

「一回だ」

「えっ、いや参加者数を考えれば一回戦じゃ済まないだろ?」

 会場がいくつもあるとはいえ、全部で数百の参加者がいるのに試合が一回で終わるわけがない。
 
「あ……まさか!?」

 一つ思い当たる方法があった。
 それは――――

「そう、バトルロイヤルってやつだ」

 やっぱりバトルロイヤル方式か。数も多いし、ふるいにかけるには最適なやり方だろうな。

「と言っても魔動人形はデケェからな。さすがに全員いっぺんにってことはねぇよ。数回に分けられて勝ち残った一人だけが次の選考に進めるんだ。オレたちの出番は……最後のグループみたいだな」
 
 会場の入り口付近には今日の組み合わせが掲示されていた。そこには各カンパニーの名前が綴られており、AからEまでの五つのグループに組分けされている。
 キャッツシーカーの名前はEグループにあった。

「ねーねー、はやくいこ?」

 小難しい話に飽きてしまったのか、リンは俺の服の裾を引っ張りながらそう言った。

「そうだな、ここまできたら対戦形式がどうだろうと関係ないか。頼んだぞ、カティア」

「……ん? 言ってなかったか? ケイタが出場するんだぞ」

「えっ? はぁ!? なんで俺が!?」

 そんなの初耳なんだが……。
 俺はてっきりカティアが出場するものばかりと思っていた。戦闘に関しては彼女の方が俺より圧倒的に優れているからだ。

「なんでって……俺は魔動人形の操縦が苦手でな。なーんか思い通りに動かすことができねぇんだよ。リンも乗れるけど、戦いに慣れてないし……まあ、アレだろ?」

「リンは……まあ、うん」

 リンが魔動人形に乗ったら好き放題やって収拾がつかなくなるような気がしてならない。
 それにしてもカティアが魔動人形の操縦が苦手だってのは意外だな。スフィアに触れて念じるだけで自在に動かせるはずなんだけどな。

 魔動人形がカティアのイメージに追い付けていないのか?
 カティアの獣のようなしなやかな動きを再現するには、相当な可動域の広さが必要になるだろうし……。

 いや、今はそんなことを考えていても仕方ないな。
 そうなると俺が出るしかないだろう。
 今回作った魔動人形を一番熟知しているのも俺だろうしな。

「……わかった、俺が出るよ」

「わーい、ケーくんがんばってね!」

「頼んだぜ、ケイタ」

 二人の激励を受け、やる気は十分に高まった。
 よーし、やってやろうじゃないの!
 
「あ、くれぐれも正体がバレないよう気を付けろよ。密入国がバレたら死刑もあるからよ」

「…………」

 ……いや一言余計ですよカティアさん。

 高まったモチベーションを失いつつも、出場のため俺は一人で選手控え室へと向かうのだった。
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

傀儡といしの蜃気楼 ~消えた王女を捜す旅から始まる、夢の世界のものがたり~

遠野月
ファンタジー
これは、現実の裏側に存在する、≪夢の世界≫のものがたり。 殺された妹、その無残を乗り越えられずにいた冒険者ラトス。 死の真相を探るべく足掻いた先で、行方不明となっている王女の捜索依頼を受けることになる。 王女の従者メリーを連れて森に入ったラトスは、王女が消えたその場所から夢の世界に迷いこむ。 奇妙がうずまく夢の世界に王女も囚われていると知り、ラトスたちは救出に向かう。しかしそのためには、怪物が巣食う悪夢の回廊を通り抜けていかなければならないのだという。 ラトスは旅の途中で出会った協力者たちの助力を得て、様々な困難を乗り越えていく。 現実とつながっている夢の世界は、様々な思想、感情などで構成されている。 広大な草原に浮かぶ、巨大な岩山。 岩山の中には、現実世界に生きるすべての人間が持つ、個人の夢の世界がある。それらはすべて、個人の記憶、思想、感情で盛衰しつづけている。 個人の夢の世界をつなぐ悪夢の回廊は、悪しき感情で満ちている。 悪から生まれた怪物たちは、悪夢の回廊を通り抜けようとする者に襲いかかる。 さらに、七つの大罪の元となる「八つの悪徳」から生まれた怪物は、猛る爪と牙をラトスたちに向ける。 現実感のある不思議がうずまく、夢幻。 誰もが感じ、夢想した世界が、このものがたりで形となる。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...