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【三章】技術大国プラセリア
15.出場者は?
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「おお、ここが会場かぁ。思ったより小さいな」
翌日、俺たち三人は地上にあるコンペティションが行われる会場へと到着した。
闘技場と比べればこぢんまりとした場所だが、それもそのはず、ここはGODSの所有する魔動人形試運転用の施設なのだそうだ。
当然観客席なんてものは存在しない。それ故にだいぶ小さく見える。
「まあ初日だしな」
「初日……? 何日もやるのか?」
『勝てばいい』とは聞いていたが、そういえぱ詳細なルールなんかは聞いてなかったな。
「ああ、言ってなかったか? このコンペティションは各カンパニー毎に代表者一名が無料でエントリーできるんだ。大半のカンパニーは賞金や、GODSに取り入ろうとして参加するのさ」
無料で参加できるんだったらそりゃあ参加するだろう。
賞金が手に入らなくても、活躍できればカンパニーの宣伝にもなるだろうしな。
闘技場と同じ環境なので、負けても魔動人形を失ったりはしない。命の安全は保証されているのでとりあえず参加だけ……ってカンパニーも多いだろう。
「オレらのような小さなカンパニーも含めると、参加者は百や二百じゃ収まらねぇ。だから数日に渡って開催されんだよ。しかも初日は十ヶ所の会場で同時に開かれんだ」
「えっ、そうなのか!? それじゃ今日は予選みたいなものか。で、今回は何回戦勝ち抜けばいいんだ?」
「一回だ」
「えっ、いや参加者数を考えれば一回戦じゃ済まないだろ?」
会場がいくつもあるとはいえ、全部で数百の参加者がいるのに試合が一回で終わるわけがない。
「あ……まさか!?」
一つ思い当たる方法があった。
それは――――
「そう、バトルロイヤルってやつだ」
やっぱりバトルロイヤル方式か。数も多いし、ふるいにかけるには最適なやり方だろうな。
「と言っても魔動人形はデケェからな。さすがに全員いっぺんにってことはねぇよ。数回に分けられて勝ち残った一人だけが次の選考に進めるんだ。オレたちの出番は……最後のグループみたいだな」
会場の入り口付近には今日の組み合わせが掲示されていた。そこには各カンパニーの名前が綴られており、AからEまでの五つのグループに組分けされている。
キャッツシーカーの名前はEグループにあった。
「ねーねー、はやくいこ?」
小難しい話に飽きてしまったのか、リンは俺の服の裾を引っ張りながらそう言った。
「そうだな、ここまできたら対戦形式がどうだろうと関係ないか。頼んだぞ、カティア」
「……ん? 言ってなかったか? ケイタが出場するんだぞ」
「えっ? はぁ!? なんで俺が!?」
そんなの初耳なんだが……。
俺はてっきりカティアが出場するものばかりと思っていた。戦闘に関しては彼女の方が俺より圧倒的に優れているからだ。
「なんでって……俺は魔動人形の操縦が苦手でな。なーんか思い通りに動かすことができねぇんだよ。リンも乗れるけど、戦いに慣れてないし……まあ、アレだろ?」
「リンは……まあ、うん」
リンが魔動人形に乗ったら好き放題やって収拾がつかなくなるような気がしてならない。
それにしてもカティアが魔動人形の操縦が苦手だってのは意外だな。スフィアに触れて念じるだけで自在に動かせるはずなんだけどな。
魔動人形がカティアのイメージに追い付けていないのか?
カティアの獣のようなしなやかな動きを再現するには、相当な可動域の広さが必要になるだろうし……。
いや、今はそんなことを考えていても仕方ないな。
そうなると俺が出るしかないだろう。
今回作った魔動人形を一番熟知しているのも俺だろうしな。
「……わかった、俺が出るよ」
「わーい、ケーくんがんばってね!」
「頼んだぜ、ケイタ」
二人の激励を受け、やる気は十分に高まった。
よーし、やってやろうじゃないの!
「あ、くれぐれも正体がバレないよう気を付けろよ。密入国がバレたら死刑もあるからよ」
「…………」
……いや一言余計ですよカティアさん。
高まったモチベーションを失いつつも、出場のため俺は一人で選手控え室へと向かうのだった。
翌日、俺たち三人は地上にあるコンペティションが行われる会場へと到着した。
闘技場と比べればこぢんまりとした場所だが、それもそのはず、ここはGODSの所有する魔動人形試運転用の施設なのだそうだ。
当然観客席なんてものは存在しない。それ故にだいぶ小さく見える。
「まあ初日だしな」
「初日……? 何日もやるのか?」
『勝てばいい』とは聞いていたが、そういえぱ詳細なルールなんかは聞いてなかったな。
「ああ、言ってなかったか? このコンペティションは各カンパニー毎に代表者一名が無料でエントリーできるんだ。大半のカンパニーは賞金や、GODSに取り入ろうとして参加するのさ」
無料で参加できるんだったらそりゃあ参加するだろう。
賞金が手に入らなくても、活躍できればカンパニーの宣伝にもなるだろうしな。
闘技場と同じ環境なので、負けても魔動人形を失ったりはしない。命の安全は保証されているのでとりあえず参加だけ……ってカンパニーも多いだろう。
「オレらのような小さなカンパニーも含めると、参加者は百や二百じゃ収まらねぇ。だから数日に渡って開催されんだよ。しかも初日は十ヶ所の会場で同時に開かれんだ」
「えっ、そうなのか!? それじゃ今日は予選みたいなものか。で、今回は何回戦勝ち抜けばいいんだ?」
「一回だ」
「えっ、いや参加者数を考えれば一回戦じゃ済まないだろ?」
会場がいくつもあるとはいえ、全部で数百の参加者がいるのに試合が一回で終わるわけがない。
「あ……まさか!?」
一つ思い当たる方法があった。
それは――――
「そう、バトルロイヤルってやつだ」
やっぱりバトルロイヤル方式か。数も多いし、ふるいにかけるには最適なやり方だろうな。
「と言っても魔動人形はデケェからな。さすがに全員いっぺんにってことはねぇよ。数回に分けられて勝ち残った一人だけが次の選考に進めるんだ。オレたちの出番は……最後のグループみたいだな」
会場の入り口付近には今日の組み合わせが掲示されていた。そこには各カンパニーの名前が綴られており、AからEまでの五つのグループに組分けされている。
キャッツシーカーの名前はEグループにあった。
「ねーねー、はやくいこ?」
小難しい話に飽きてしまったのか、リンは俺の服の裾を引っ張りながらそう言った。
「そうだな、ここまできたら対戦形式がどうだろうと関係ないか。頼んだぞ、カティア」
「……ん? 言ってなかったか? ケイタが出場するんだぞ」
「えっ? はぁ!? なんで俺が!?」
そんなの初耳なんだが……。
俺はてっきりカティアが出場するものばかりと思っていた。戦闘に関しては彼女の方が俺より圧倒的に優れているからだ。
「なんでって……俺は魔動人形の操縦が苦手でな。なーんか思い通りに動かすことができねぇんだよ。リンも乗れるけど、戦いに慣れてないし……まあ、アレだろ?」
「リンは……まあ、うん」
リンが魔動人形に乗ったら好き放題やって収拾がつかなくなるような気がしてならない。
それにしてもカティアが魔動人形の操縦が苦手だってのは意外だな。スフィアに触れて念じるだけで自在に動かせるはずなんだけどな。
魔動人形がカティアのイメージに追い付けていないのか?
カティアの獣のようなしなやかな動きを再現するには、相当な可動域の広さが必要になるだろうし……。
いや、今はそんなことを考えていても仕方ないな。
そうなると俺が出るしかないだろう。
今回作った魔動人形を一番熟知しているのも俺だろうしな。
「……わかった、俺が出るよ」
「わーい、ケーくんがんばってね!」
「頼んだぜ、ケイタ」
二人の激励を受け、やる気は十分に高まった。
よーし、やってやろうじゃないの!
「あ、くれぐれも正体がバレないよう気を付けろよ。密入国がバレたら死刑もあるからよ」
「…………」
……いや一言余計ですよカティアさん。
高まったモチベーションを失いつつも、出場のため俺は一人で選手控え室へと向かうのだった。
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