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【二章】爆・炎・王・女
15.タンク
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『――――と……とんでもない攻撃だぁ! フラムローゼ様の駆るガレオニクスの必殺の一撃! その凄絶なる猛炎の影響で、地面が溶岩のように溶けてしまったぁ!』
実況者の声で、茫然自失だった俺は、はっと我に返る。
危ない……何もせずに終わるところだった。
ガレオニクスへと視線を送ると、マント状だったパーツが扇状に展開していた。
そして、マント状のパーツをはじめ、各部から蒸気と思わしきものが噴出していたので、おそらく排熱をしているのだろう。
「――さすがに、反動があるってことか」
あれだけの攻撃だ、それぐらいのデメリットはあるだろう。
攻めるには絶好のチャンスである。が、俺たちも同様にしばらくはまともに動けない。
魔動人形は魔力残量が空になると、一時的に一切の行動が取れなくなる。魔力を動力源としているのだから当然の話だ。
魔動人形の魔力は、どういう理屈か知らないが自然回復する。一時的に魔力を失ったからといって、そこで戦闘不能になるわけではない。
だが最悪なことに、一度空になった場合の自然回復量は平時と比べて倍以上遅い。
一割程度回復すれば、機体を動かすことは可能になる。だが、魔力を用いた兵装やスラスターの使用はセーフティがかかるのか、制限されてしまうのだ。
回復量が三割を越えた時点で、制限が解除され、自然回復量も元に戻る。こんな感じでかなりのペナルティを負ってしまうので、戦闘中は常に魔力残量を気にしなければならない。
「シルヴィア、まだしばらく動けなさそうか?」
「はい、まだ少しかかります」
ガス欠から既に十数秒は経過している。幸いなことにガレオニクスの僚機は守りに徹しているのか、こちらに近付く素振りは一切ない。
だが、ガレオニクスの方は排熱を終えたようで、展開していた部分は元のマント状態に戻っていた。
「よくぞ躱しましたね。ですがその悪運もここまでですわ」
「へっ、よく言うぜ。あれだけの大技を放ったんだ、ガレオニクスだって魔力が尽きる寸前だろう?」
あれほどに高出力の技を放ったのだ、向こうだって魔力残量はギリギリのはずだ。
「確かに、わたくし一人ではアークフレアブラスターは一度きりの大技。でもお忘れかしら? この戦いはタッグマッチでしてよ」
「――なっ!? まさか!?」
まさかと思い、もう一機の魔動人形へと目をやると、ガレオニクスとケーブルのようなもので繋がっていた。
あれは……まさか魔力の譲渡か!?
しまった……そういうことか。あの僚機は盾役であり、魔力貯蓄機でもあったってことか!
まったくと言っていいほど攻めてこなかったのは、余計な魔力を消費しないため……盾役と補充役の役割をまっとうしてたってわけか。
蒸気を目眩ましに使って、すぐに魔力を補充していたのか。予めそう決めていたのだろう、抜かりがない戦術だぜ……!
「フフッ、お察しの通りですわ。既に動きの取れないあなたたちを葬るくらいの魔力まで回復しましたし、そろそろ終わりにして差し上げましょう」
ガレオニクスはケーブルの接続を解除し、そのまま剣を抜きながら、一歩、また一歩とこちらへ近付くいてくる。
俺たちは、まるで死刑宣告を受け、ただ座して死を待つ囚人のように頭を垂れるしかなかった。
実況者の声で、茫然自失だった俺は、はっと我に返る。
危ない……何もせずに終わるところだった。
ガレオニクスへと視線を送ると、マント状だったパーツが扇状に展開していた。
そして、マント状のパーツをはじめ、各部から蒸気と思わしきものが噴出していたので、おそらく排熱をしているのだろう。
「――さすがに、反動があるってことか」
あれだけの攻撃だ、それぐらいのデメリットはあるだろう。
攻めるには絶好のチャンスである。が、俺たちも同様にしばらくはまともに動けない。
魔動人形は魔力残量が空になると、一時的に一切の行動が取れなくなる。魔力を動力源としているのだから当然の話だ。
魔動人形の魔力は、どういう理屈か知らないが自然回復する。一時的に魔力を失ったからといって、そこで戦闘不能になるわけではない。
だが最悪なことに、一度空になった場合の自然回復量は平時と比べて倍以上遅い。
一割程度回復すれば、機体を動かすことは可能になる。だが、魔力を用いた兵装やスラスターの使用はセーフティがかかるのか、制限されてしまうのだ。
回復量が三割を越えた時点で、制限が解除され、自然回復量も元に戻る。こんな感じでかなりのペナルティを負ってしまうので、戦闘中は常に魔力残量を気にしなければならない。
「シルヴィア、まだしばらく動けなさそうか?」
「はい、まだ少しかかります」
ガス欠から既に十数秒は経過している。幸いなことにガレオニクスの僚機は守りに徹しているのか、こちらに近付く素振りは一切ない。
だが、ガレオニクスの方は排熱を終えたようで、展開していた部分は元のマント状態に戻っていた。
「よくぞ躱しましたね。ですがその悪運もここまでですわ」
「へっ、よく言うぜ。あれだけの大技を放ったんだ、ガレオニクスだって魔力が尽きる寸前だろう?」
あれほどに高出力の技を放ったのだ、向こうだって魔力残量はギリギリのはずだ。
「確かに、わたくし一人ではアークフレアブラスターは一度きりの大技。でもお忘れかしら? この戦いはタッグマッチでしてよ」
「――なっ!? まさか!?」
まさかと思い、もう一機の魔動人形へと目をやると、ガレオニクスとケーブルのようなもので繋がっていた。
あれは……まさか魔力の譲渡か!?
しまった……そういうことか。あの僚機は盾役であり、魔力貯蓄機でもあったってことか!
まったくと言っていいほど攻めてこなかったのは、余計な魔力を消費しないため……盾役と補充役の役割をまっとうしてたってわけか。
蒸気を目眩ましに使って、すぐに魔力を補充していたのか。予めそう決めていたのだろう、抜かりがない戦術だぜ……!
「フフッ、お察しの通りですわ。既に動きの取れないあなたたちを葬るくらいの魔力まで回復しましたし、そろそろ終わりにして差し上げましょう」
ガレオニクスはケーブルの接続を解除し、そのまま剣を抜きながら、一歩、また一歩とこちらへ近付くいてくる。
俺たちは、まるで死刑宣告を受け、ただ座して死を待つ囚人のように頭を垂れるしかなかった。
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