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【二章】爆・炎・王・女
11.塗装
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決闘の日までの残り数日、日中は特訓に費やし、夜は一人で武装の作成をしていた。
そして決闘前日となった今夜、想定外の幸運が訪れた。
「おおっ!? 【モデラー】のレベルが上がった!?」
スマホに通知が来たので確認すると、スキルレベルアップの通知だった。
想定外の事態に、一人部屋で叫んでしまった。でもこれで光明が見えてきたぞ。多分新たな道具が召喚できるようになっているはずだ。早速スキルを確認してみよう。
「ふむふむ……おおっ!」
確認すると、『マスキングテープ』、『エアブラシ』、『エーテルリキッド』の3つが新たに召喚できるようになっていた。
『マスキングテープ』は特殊な効果は無く、まあそのまんまマスキングテープだな。プラモデルを作るにあたって使う場合は、主に塗料を塗るときに塗りたくない場所を隠すために使うな。
他のテープに比べて剥がすときのダメージが少ないのが特徴だ。
『エアブラシ』は……なんじゃこら、神か。形は一般的なものなのだが、驚くべきことコンプレッサーが必要ないのだ。まあ電源なんて確保できないからそうでなくては困るけども。
更には神機能として自動洗浄機能が付いている。これはボタン一つで中に入れた塗料を全て除去し、まっさらな状態へと戻すことができるのだ。
本来だったら、一色使う毎に洗浄作業が入るのだが、これならばボタン一つで済む。マジで神。
『エーテルリキッド』は一目じゃ何のことやらって感じだったけど、まあ要は塗料っぽいな。
これで塗装すると何か特殊な効果か付与されるみたいだ。そして人体には無害な安心安全な性質らしい。
「つまり……今回は塗装セットってことだな」
機体を自分好みの色に仕上げられるのはいいな。原型色でも十分良いけど、特殊効果とやらも気になるし、寝る前に検証も兼ねてなんとか塗装を済ませたいところだ。
「今日は夜更かししないとかなぁ……前回もそうだったけど、大事な日の前日にレベル上がるのは嫌がらせなのだろうか」
などと愚痴を言っても仕方がない。早速作業に取りかかろう。
「えーと、まずは塗装するものをパーツ毎にバラして洗わないとな。とりあえず厨房で道具を借りよう。この辺もスキルで出せたらいいんだけどなぁ。それと、塗装ブースはどうするかな……あっ、厨房に串があったよな。それを拝借するか」
――1時間後。
「よし、とりあえずサーフェイサーを塗装していくか」
下準備が終わり、いよいよ塗装作業へと入ろうとしていた。まずやるのはサーフェイサー……いわゆる下地の塗装だ。
これをやることで、上に塗った塗料が剥がれにくくなったり、小さいキズを埋めたりと、様々なメリットがある。
必ずしもこの処理をしないといけないというわけではないけど、塗料による特殊効果を得ることができるのだ。やらない手はない。
ちなみに塗装による効果はスマホで確認できた。具体的には、色を選択して、そのあと追加効果を選べる仕様のようだ。
サーフェイサーは各ステータスのどれかを微上昇させることができる他に、気になる追加効果の項目があったのでそれを選択してみた。
今回はこの『塗装効果上昇』を選択した。サーフェイサーを吹いたあとステータスを確認したら、微妙に装甲が上昇せていたぐらいで、特に特殊な効果を得たわけではなかった。うんうん、予想通り予想通り。
多分次に乗せる塗料の効果を上昇する感じだろう。
エーテルリキッドは乾燥がすこぶる速いみたいだ。5分もすれば次の工程へと進めそうだ。
じゃあそしたら次は本塗装に入ろうか。
「せっかくだから色を変えたいよな……そうだな、メインはガンメタでいくか。――うおっ!?」
俺はスマホ操作で色を選択し、追加効果を選ぼうと思ったらその項目の多さに驚いた。
「めっちゃ多いな……サーフェイサーで選べた追加効果の数倍の項目があるぞ」
ふむふむ、ざっと見てみたけど、全部エーテルコーティングってやつの派生だな。基本的な効果は……『魔法属性攻撃への耐性アップ』か。要するに対魔法コーティングってことか。
魔動人形が持っている銃火器類は、一定の魔力を消費して『魔力の塊』を破壊エネルギーに変換し、銃弾のように発射している……って前に本で読んだな。
シルバライザーの初期武装はこの仕組みのライフルと、魔力を纏わせることで切断力を高めたたダガーだ。他の魔動人形も同様に魔力依存の武装が殆どらしい。
つまりは大概の攻撃に耐性が付けられるってことだな。例外としてはクローアームやワルキューレの大型ランスみたいな、純粋な物理攻撃にはまったく効果を発揮しないってところか。
「――おっ? これは……使えるかもな」
エーテルコーティングの項目を見ていたら、使えそうなやつを発見した。早速詳細を確認してみる。
――――――――――――――
【エーテルコーティング(水)】
火属性と反発する水属性の魔粒子を含んだ塗料で魔動人形をコーティングする。
火属性攻撃に対し高い耐性を得る。更に水属性攻撃、魔法攻撃に対しても微少な耐性を得る。
――――――――――――――
これはかなり使えるんじゃないか?
王女様の機体であるガレオニクスは火属性の攻撃手段があるって話だし……いや、そもそも当たったら耐性があっても関係無い攻撃力だったら無駄だしな。どうしたものか……。
「――こうなったら当たって砕けろだ! 時間もないし勘で決めて超特急で作業するぞ! ワルキューレはシルヴィアが持ってるし、今回はシルバライザーと、エドワルドさんから追加でもらった武装類の塗装だ!」
この後、俺は今回獲得した新たな道具を駆使して、なんとか朝が来るまでに作業を完了することができた。
――そして、ついに決闘の日を迎える。
そして決闘前日となった今夜、想定外の幸運が訪れた。
「おおっ!? 【モデラー】のレベルが上がった!?」
スマホに通知が来たので確認すると、スキルレベルアップの通知だった。
想定外の事態に、一人部屋で叫んでしまった。でもこれで光明が見えてきたぞ。多分新たな道具が召喚できるようになっているはずだ。早速スキルを確認してみよう。
「ふむふむ……おおっ!」
確認すると、『マスキングテープ』、『エアブラシ』、『エーテルリキッド』の3つが新たに召喚できるようになっていた。
『マスキングテープ』は特殊な効果は無く、まあそのまんまマスキングテープだな。プラモデルを作るにあたって使う場合は、主に塗料を塗るときに塗りたくない場所を隠すために使うな。
他のテープに比べて剥がすときのダメージが少ないのが特徴だ。
『エアブラシ』は……なんじゃこら、神か。形は一般的なものなのだが、驚くべきことコンプレッサーが必要ないのだ。まあ電源なんて確保できないからそうでなくては困るけども。
更には神機能として自動洗浄機能が付いている。これはボタン一つで中に入れた塗料を全て除去し、まっさらな状態へと戻すことができるのだ。
本来だったら、一色使う毎に洗浄作業が入るのだが、これならばボタン一つで済む。マジで神。
『エーテルリキッド』は一目じゃ何のことやらって感じだったけど、まあ要は塗料っぽいな。
これで塗装すると何か特殊な効果か付与されるみたいだ。そして人体には無害な安心安全な性質らしい。
「つまり……今回は塗装セットってことだな」
機体を自分好みの色に仕上げられるのはいいな。原型色でも十分良いけど、特殊効果とやらも気になるし、寝る前に検証も兼ねてなんとか塗装を済ませたいところだ。
「今日は夜更かししないとかなぁ……前回もそうだったけど、大事な日の前日にレベル上がるのは嫌がらせなのだろうか」
などと愚痴を言っても仕方がない。早速作業に取りかかろう。
「えーと、まずは塗装するものをパーツ毎にバラして洗わないとな。とりあえず厨房で道具を借りよう。この辺もスキルで出せたらいいんだけどなぁ。それと、塗装ブースはどうするかな……あっ、厨房に串があったよな。それを拝借するか」
――1時間後。
「よし、とりあえずサーフェイサーを塗装していくか」
下準備が終わり、いよいよ塗装作業へと入ろうとしていた。まずやるのはサーフェイサー……いわゆる下地の塗装だ。
これをやることで、上に塗った塗料が剥がれにくくなったり、小さいキズを埋めたりと、様々なメリットがある。
必ずしもこの処理をしないといけないというわけではないけど、塗料による特殊効果を得ることができるのだ。やらない手はない。
ちなみに塗装による効果はスマホで確認できた。具体的には、色を選択して、そのあと追加効果を選べる仕様のようだ。
サーフェイサーは各ステータスのどれかを微上昇させることができる他に、気になる追加効果の項目があったのでそれを選択してみた。
今回はこの『塗装効果上昇』を選択した。サーフェイサーを吹いたあとステータスを確認したら、微妙に装甲が上昇せていたぐらいで、特に特殊な効果を得たわけではなかった。うんうん、予想通り予想通り。
多分次に乗せる塗料の効果を上昇する感じだろう。
エーテルリキッドは乾燥がすこぶる速いみたいだ。5分もすれば次の工程へと進めそうだ。
じゃあそしたら次は本塗装に入ろうか。
「せっかくだから色を変えたいよな……そうだな、メインはガンメタでいくか。――うおっ!?」
俺はスマホ操作で色を選択し、追加効果を選ぼうと思ったらその項目の多さに驚いた。
「めっちゃ多いな……サーフェイサーで選べた追加効果の数倍の項目があるぞ」
ふむふむ、ざっと見てみたけど、全部エーテルコーティングってやつの派生だな。基本的な効果は……『魔法属性攻撃への耐性アップ』か。要するに対魔法コーティングってことか。
魔動人形が持っている銃火器類は、一定の魔力を消費して『魔力の塊』を破壊エネルギーに変換し、銃弾のように発射している……って前に本で読んだな。
シルバライザーの初期武装はこの仕組みのライフルと、魔力を纏わせることで切断力を高めたたダガーだ。他の魔動人形も同様に魔力依存の武装が殆どらしい。
つまりは大概の攻撃に耐性が付けられるってことだな。例外としてはクローアームやワルキューレの大型ランスみたいな、純粋な物理攻撃にはまったく効果を発揮しないってところか。
「――おっ? これは……使えるかもな」
エーテルコーティングの項目を見ていたら、使えそうなやつを発見した。早速詳細を確認してみる。
――――――――――――――
【エーテルコーティング(水)】
火属性と反発する水属性の魔粒子を含んだ塗料で魔動人形をコーティングする。
火属性攻撃に対し高い耐性を得る。更に水属性攻撃、魔法攻撃に対しても微少な耐性を得る。
――――――――――――――
これはかなり使えるんじゃないか?
王女様の機体であるガレオニクスは火属性の攻撃手段があるって話だし……いや、そもそも当たったら耐性があっても関係無い攻撃力だったら無駄だしな。どうしたものか……。
「――こうなったら当たって砕けろだ! 時間もないし勘で決めて超特急で作業するぞ! ワルキューレはシルヴィアが持ってるし、今回はシルバライザーと、エドワルドさんから追加でもらった武装類の塗装だ!」
この後、俺は今回獲得した新たな道具を駆使して、なんとか朝が来るまでに作業を完了することができた。
――そして、ついに決闘の日を迎える。
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