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【一章】異世界でプラモデル
4.シルヴィアの家へ向かおう
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一息ついたら背中がマジで痛いことに気付いた。さっきまでは脳内物質ドバドバで痛みを感じてなかっただけのようだ。
でも初回ボーナスで貰ったポーションを飲んだら一発で治った。異世界すげぇ。
ちなみに獲得したアイテムはスマホ操作で具現化できた。
「助けていただき、心より感謝申し上げます」
馬車の中、助けられた女の子は俺に対し三つ指ついて深々と頭を下げた。
俺はというと女の子の真正面で正座をしながらガッチガチに緊張していた。
俺なんてクラスの女子とだってまともに話したこともないのに、こんなアイドル顔負けの金髪美少女に面と向かって畏まられたら緊張するさ。
「い、いえ。その……助かったのは俺も同じと言いますか、なんと言いますか……」
伏せていた視線を少女へと向け、俺はしどろもどろながら返答する。すると俺の顔を真っ直ぐと見つめていた少女と目が合った。
突然のことに俺はドキッとしてしまう。
パッと見でわかってはいたが改めてまじまじと見ると、とんでもない美少女である。
歳は十代半ばぐらいだろうか、俺よりちょっとだけ年下のように見える。胸元まで伸びる長く美しい金髪。どちらかと言えば可愛い系の顔立ちだが、そのコバルトブルーの双眸からはどこか凛とした雰囲気も感じられる。
こんな女の子が日本にいたら100人中100人が思わず二度見するだろう。それほどの存在感を放っていた。
「あの、どうかされましたか?」
「はひっ!? あ、いえそのとても可憐で見とれてしまったと言いますか……」
「まあ、お上手ですね。ありがとうございます」
俺としてはお世辞のつもりではなく、つい本心がポロっと言葉に出てしまったのだが、彼女はその手のことは言われ慣れているのか常套句として受け取った様子だった。
「……では改めて自己紹介させていただきますね。私はシルヴィア・ヴァイシルト。ヴァイシルト家の一人娘です」
そして彼女は咳払いを一つはさみ、自己紹介を始めたのだが、この世界に来たばかりの俺はヴァイシルト家なんて言われてもまったくピンとこない。物凄い名家なんだろうか。
よくわかってないけど詳しく聞くのも失礼な気がして、とりあえずそのま話を続ける事にした。
「俺の名前は相模――あ、いやケイタ・サガミって言います」
シルヴィアの名前から察するに、多分日本とは違って姓名の読みが逆になる外国スタイルだろう。
俺もそれに合わせて自己紹介をした。
「ケイタ様ですね。あまり聞かない珍しいお名前ですが、どちらの出身なんですか?」
うっ。出たよ、異世界で聞かれて困る質問俺的ナンバーワン。
正直に異世界から来ましたって言うと、頭がおかしい人と思われるかもしれない。この世界の常識がわからない以上、迂闊な返答は控えるべきだろう。
さて、何て答えるかな。
「あー……えと、実は名前以外の記憶がなくて。目覚めたらこの山にいたんです」
とりあえず記憶喪失っていう設定にしておこう。そうしたらこの世界の常識を知らなくてもおかしくないし、こちらとしても聞きやすくなるからね。
「まあ……! そうだったのですね。それはさぞかし心細かったでしょう。――あっ、そうです! よろしければぜひ我がヴァイシルト家にお越しくださいませ。お礼もしなければなりませんしね」
こちらとしては願ったり叶ったりだ。この後行き先もないし予定もない。この山を抜けるにしてもシルヴィアらと一緒にいたほうが遥かに安全だろう。
今後のことは人里に降りてから考えればいいしね。
「すみません。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「 決まりですね。ではしばらくの間よろしくお願いいたしますね、ケイタ様」
そう言ってシルヴィアはにこっと微笑んだ。
その笑顔があまりにも純粋で眩しすぎたので、俺は顔を赤くしながら目をそらした。
でも初回ボーナスで貰ったポーションを飲んだら一発で治った。異世界すげぇ。
ちなみに獲得したアイテムはスマホ操作で具現化できた。
「助けていただき、心より感謝申し上げます」
馬車の中、助けられた女の子は俺に対し三つ指ついて深々と頭を下げた。
俺はというと女の子の真正面で正座をしながらガッチガチに緊張していた。
俺なんてクラスの女子とだってまともに話したこともないのに、こんなアイドル顔負けの金髪美少女に面と向かって畏まられたら緊張するさ。
「い、いえ。その……助かったのは俺も同じと言いますか、なんと言いますか……」
伏せていた視線を少女へと向け、俺はしどろもどろながら返答する。すると俺の顔を真っ直ぐと見つめていた少女と目が合った。
突然のことに俺はドキッとしてしまう。
パッと見でわかってはいたが改めてまじまじと見ると、とんでもない美少女である。
歳は十代半ばぐらいだろうか、俺よりちょっとだけ年下のように見える。胸元まで伸びる長く美しい金髪。どちらかと言えば可愛い系の顔立ちだが、そのコバルトブルーの双眸からはどこか凛とした雰囲気も感じられる。
こんな女の子が日本にいたら100人中100人が思わず二度見するだろう。それほどの存在感を放っていた。
「あの、どうかされましたか?」
「はひっ!? あ、いえそのとても可憐で見とれてしまったと言いますか……」
「まあ、お上手ですね。ありがとうございます」
俺としてはお世辞のつもりではなく、つい本心がポロっと言葉に出てしまったのだが、彼女はその手のことは言われ慣れているのか常套句として受け取った様子だった。
「……では改めて自己紹介させていただきますね。私はシルヴィア・ヴァイシルト。ヴァイシルト家の一人娘です」
そして彼女は咳払いを一つはさみ、自己紹介を始めたのだが、この世界に来たばかりの俺はヴァイシルト家なんて言われてもまったくピンとこない。物凄い名家なんだろうか。
よくわかってないけど詳しく聞くのも失礼な気がして、とりあえずそのま話を続ける事にした。
「俺の名前は相模――あ、いやケイタ・サガミって言います」
シルヴィアの名前から察するに、多分日本とは違って姓名の読みが逆になる外国スタイルだろう。
俺もそれに合わせて自己紹介をした。
「ケイタ様ですね。あまり聞かない珍しいお名前ですが、どちらの出身なんですか?」
うっ。出たよ、異世界で聞かれて困る質問俺的ナンバーワン。
正直に異世界から来ましたって言うと、頭がおかしい人と思われるかもしれない。この世界の常識がわからない以上、迂闊な返答は控えるべきだろう。
さて、何て答えるかな。
「あー……えと、実は名前以外の記憶がなくて。目覚めたらこの山にいたんです」
とりあえず記憶喪失っていう設定にしておこう。そうしたらこの世界の常識を知らなくてもおかしくないし、こちらとしても聞きやすくなるからね。
「まあ……! そうだったのですね。それはさぞかし心細かったでしょう。――あっ、そうです! よろしければぜひ我がヴァイシルト家にお越しくださいませ。お礼もしなければなりませんしね」
こちらとしては願ったり叶ったりだ。この後行き先もないし予定もない。この山を抜けるにしてもシルヴィアらと一緒にいたほうが遥かに安全だろう。
今後のことは人里に降りてから考えればいいしね。
「すみません。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「 決まりですね。ではしばらくの間よろしくお願いいたしますね、ケイタ様」
そう言ってシルヴィアはにこっと微笑んだ。
その笑顔があまりにも純粋で眩しすぎたので、俺は顔を赤くしながら目をそらした。
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