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【一章】異世界でプラモデル
3.助けたその人は
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「か、可愛い……」
鎖やら布やらでその姿の大半は隠されていたけど、それでもこの子がものすごい美少女だとわかる。
俺と目が合った彼女は、何かを訴えかけるように老紳士の方へ目配せをする。
その必死な目を見て俺は、はっと息をのむ。そうだ、迷ってる暇はない。すぐに行動しなければ命に関わる。
俺の手には召喚したままだったニッパーが握られていた。もしかしたらこれなら鎖を切れるかもしれない。
どうせ逃げたってすぐに捕まる。一か八かやってみよう。
女の子の無言の訴えを『私より先に彼を助けて』と解釈し、俺は老紳士へと近づく。
「うわ、こんなキツく巻かれてたら身動き取れないよな……」
上半身はほぼ鎖で巻かれており、両足もかなり厳重に縛られている。
女の子の方に比べて倍以上は念入りに動きを封じられていることから、相応に警戒されているのだとうかがえる。
俺は早速ニッパーを握り鎖を切断しようと試みるが、刃渡りが足りないことに気が付く。この大きさだと鎖を挟み込むことができないのだ。
「っ!? そ、そういえば刃の形状を変化させられるはず。一番大きいのお願いしますっ!」
スキル説明にそんな説明があったのを思い出した俺は、とりあえず大きくなるよう願った。
すると音声認識が俺の意図を読み取ったのか、ニッパーが持ち手含め3倍ぐらいの大きさに変化した。
「おお……よしっ、これならいける! ぬぐぉぉぉぉーーっ!」
十分な大きさへと変貌を遂げたニッパーを使い鎖を挟み込み、力の限り持ち手を握る。
下手に使うとニッパーが壊れてしまう危険性があるが、俺のニッパーは普通じゃない。
「インフィニットニッパーだぁぁぁっ!」
パキンッ!
鎖が断ち切れる音がした。どうやら問題なく切断できそうだ。
続けてパキンパキンと何ヵ所かを切断することで、老紳士を縛っていた鎖は殆どほどけたようだ。
だが次の瞬間、複数人の男が馬車の中へと入ってきた。
「あ? 誰だお前? 何をしてやが――」
一番最初に顔を覗かせたいかつい兄ちゃんが黒い影に襲われる。
俺の姿を確認したのも束の間、周りの男たちも巻き込んで再び馬車の外へと放り出された。
「な、なんだ!? あれ、あの老紳士がいない……まさか!?」
俺は馬車の外へと身を乗り出す。そこでは先ほどの老紳士が男数人を相手取っていた。
そう、黒い影の正体はあの老紳士だったのだ。動きがあまりに速すぎて影のようにしか見えなかった。
そこからは一瞬の出来事だった。老紳士は自身を縛りつけていた鎖を武器として使い、数人の男たちをあっという間に叩き伏せたのだ。
「つよっ!」
これぞ異世界って感じだな。現代日本じゃ絶対にお目にかかれない見事な戦いだった。それこそアニメの一幕みたいな感じ。
事を終えた老紳士は、馬車から顔を覗かせる俺の所へと歩み寄る。
「ご助力感謝致します。あなた様のおかげでお嬢様を拐われずに済みました」
俺の前へ跪き、深く頭を下げる老紳士。その一連の所作は一切の淀みがなく、見た目通りの紳士っぷりである。
「あ、いえ。成り行きというかなんというか……大したことはしてないんでそんなに畏まらなくて大丈夫ですよ」
俺の言葉を受けすっと立ち上がった老紳士は、改めて見ると物凄い体つきをしていた。
身長は180は優に超えてるだろう。一見線が細そうに見えるが、一切の無駄なく引き締められた筋肉を持っていることがわかる。
「あの……申し訳ないですがよろしければお嬢様の拘束も解いていただけると助かります。この鎖は特殊な合金製でかなり頑丈でして……」
「あっ、そうですよね。すいません今やります」
そういえば女の子も拘束されているんだった。老紳士の戦いっぷりに見とれてる場合じゃない。
このあとすぐに俺は女の子を縛っていた鎖を切断して、ようやく一息つくことができたのだった。
鎖やら布やらでその姿の大半は隠されていたけど、それでもこの子がものすごい美少女だとわかる。
俺と目が合った彼女は、何かを訴えかけるように老紳士の方へ目配せをする。
その必死な目を見て俺は、はっと息をのむ。そうだ、迷ってる暇はない。すぐに行動しなければ命に関わる。
俺の手には召喚したままだったニッパーが握られていた。もしかしたらこれなら鎖を切れるかもしれない。
どうせ逃げたってすぐに捕まる。一か八かやってみよう。
女の子の無言の訴えを『私より先に彼を助けて』と解釈し、俺は老紳士へと近づく。
「うわ、こんなキツく巻かれてたら身動き取れないよな……」
上半身はほぼ鎖で巻かれており、両足もかなり厳重に縛られている。
女の子の方に比べて倍以上は念入りに動きを封じられていることから、相応に警戒されているのだとうかがえる。
俺は早速ニッパーを握り鎖を切断しようと試みるが、刃渡りが足りないことに気が付く。この大きさだと鎖を挟み込むことができないのだ。
「っ!? そ、そういえば刃の形状を変化させられるはず。一番大きいのお願いしますっ!」
スキル説明にそんな説明があったのを思い出した俺は、とりあえず大きくなるよう願った。
すると音声認識が俺の意図を読み取ったのか、ニッパーが持ち手含め3倍ぐらいの大きさに変化した。
「おお……よしっ、これならいける! ぬぐぉぉぉぉーーっ!」
十分な大きさへと変貌を遂げたニッパーを使い鎖を挟み込み、力の限り持ち手を握る。
下手に使うとニッパーが壊れてしまう危険性があるが、俺のニッパーは普通じゃない。
「インフィニットニッパーだぁぁぁっ!」
パキンッ!
鎖が断ち切れる音がした。どうやら問題なく切断できそうだ。
続けてパキンパキンと何ヵ所かを切断することで、老紳士を縛っていた鎖は殆どほどけたようだ。
だが次の瞬間、複数人の男が馬車の中へと入ってきた。
「あ? 誰だお前? 何をしてやが――」
一番最初に顔を覗かせたいかつい兄ちゃんが黒い影に襲われる。
俺の姿を確認したのも束の間、周りの男たちも巻き込んで再び馬車の外へと放り出された。
「な、なんだ!? あれ、あの老紳士がいない……まさか!?」
俺は馬車の外へと身を乗り出す。そこでは先ほどの老紳士が男数人を相手取っていた。
そう、黒い影の正体はあの老紳士だったのだ。動きがあまりに速すぎて影のようにしか見えなかった。
そこからは一瞬の出来事だった。老紳士は自身を縛りつけていた鎖を武器として使い、数人の男たちをあっという間に叩き伏せたのだ。
「つよっ!」
これぞ異世界って感じだな。現代日本じゃ絶対にお目にかかれない見事な戦いだった。それこそアニメの一幕みたいな感じ。
事を終えた老紳士は、馬車から顔を覗かせる俺の所へと歩み寄る。
「ご助力感謝致します。あなた様のおかげでお嬢様を拐われずに済みました」
俺の前へ跪き、深く頭を下げる老紳士。その一連の所作は一切の淀みがなく、見た目通りの紳士っぷりである。
「あ、いえ。成り行きというかなんというか……大したことはしてないんでそんなに畏まらなくて大丈夫ですよ」
俺の言葉を受けすっと立ち上がった老紳士は、改めて見ると物凄い体つきをしていた。
身長は180は優に超えてるだろう。一見線が細そうに見えるが、一切の無駄なく引き締められた筋肉を持っていることがわかる。
「あの……申し訳ないですがよろしければお嬢様の拘束も解いていただけると助かります。この鎖は特殊な合金製でかなり頑丈でして……」
「あっ、そうですよね。すいません今やります」
そういえば女の子も拘束されているんだった。老紳士の戦いっぷりに見とれてる場合じゃない。
このあとすぐに俺は女の子を縛っていた鎖を切断して、ようやく一息つくことができたのだった。
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