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【最終章 地炎激突】
リーフェルニア領の戦い②
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「――今だ! 放て!」
魔王軍の部隊が林を抜けた瞬間を狙い、屋根上にて待機していた領民が一斉に矢を放つ。
足元のキノコに気を取られて地面ばかり注視していた滅戯竜隊は、上空より降り注ぐ矢への反応が遅れてしまう。
「うわっ! な、なんだこれは……!?」
「ネバネバする……動きづらいぞ」
数名の隊員は矢の直撃を受けるが、ダメージを受けた様子はない。
矢の形はしているものの、矢じりは殺傷能力のある鉄製のものではなく、なにやら粘度の高い物体が布に包まれていた。
「よし、命中を確認! 皆、急いで撤退だ!」
矢を放った領地らは、第一射を終えるとすぐさま身を翻す。彼らは徹底して直接的な戦闘は行わないよう指示を受けていたのだ。
今回の弓での攻撃は、ダメージを与えることより動きを阻害する目的だった。
そして、ゴラウン以外の隊員は程度は違えども全員矢の攻撃を受けていた。
しかしねばついて不快なのはあるが、別段戦えなくなる程の状態ではなく、作戦続行は可能だ。
「粘着性のある……なんだこれは? まあいい、特に問題はなさそうだな。皆、それを剥がすことは可能か?」
「これは……無理そうです、隊長。しか任務に支障はありません」
キノコの胞子のように燃やしてしまえればそれで済むのだが、可燃性のものかも知れないし、体に纏わりついているため危険もある。
とりあえず現状は支障がないことを確認したゴラウンらは、その状態のまま建築物が並ぶ住宅街へと足を踏み入れる。
様々な妨害を受けなからも、ようやく街中への侵入を果たしたのだ。
しかしこの頃には、リューグを除くと隊員は5人にまで減っていた。
街中を進むが、やはり市街地だからか罠の類いが仕掛けられた様子はない。
そして建ち並ぶ家屋や道端にも人の気配がないことから、非戦闘員は予めどこか一ヶ所に集まって避難しているのだと予想できる。
「館が見えるな……あそこが領主の居場所か? 単純なあいつのことだ、リューグはおそらく館へ向かっただろう」
街の中で最も立派な造りをしているリーフェルニア家の館にリューグがいると見当を付け、ゴラウンらも館へと向かった。
館へ到着すると、ゴラウンの予想通りリューグの姿があり、武装した集団と戦闘の真っ最中であった。
「くそっ! こいつらなかなかいい動きをしやがる……!」
リューグは騎士に数人がかりで囲まれ、お互いに牽制し合い状況は拮抗した様子だ。
リューグがいくら優秀だろうとさすがに多勢に無勢が過ぎた。
とはいえ、リーフェルニア領で唯一、戦闘の経験を積んだ騎士団がほぼ総掛かりでリューグの対処に当たっているので、充分な成果ではあるのだが。
「あれは……リューグ!? 既に交戦中とは勝手な真似を! リューグ! 一旦下がるんだ!」
「ゲッ! ゴラウン隊長……! まいったな、隊長が来るまでに片付けるつもりだったんだけどなぁ」
敵を舐めすぎだ、リューグに向かってそう怒号を飛ばそうとしたゴラウンであったが、後ろから圧力を感じ、視線をそちらへと向ける。
視線の先には、燃えるような赤い髪色の大男が、威風堂々とこちらへと近づいて来ていた。
魔王軍の部隊が林を抜けた瞬間を狙い、屋根上にて待機していた領民が一斉に矢を放つ。
足元のキノコに気を取られて地面ばかり注視していた滅戯竜隊は、上空より降り注ぐ矢への反応が遅れてしまう。
「うわっ! な、なんだこれは……!?」
「ネバネバする……動きづらいぞ」
数名の隊員は矢の直撃を受けるが、ダメージを受けた様子はない。
矢の形はしているものの、矢じりは殺傷能力のある鉄製のものではなく、なにやら粘度の高い物体が布に包まれていた。
「よし、命中を確認! 皆、急いで撤退だ!」
矢を放った領地らは、第一射を終えるとすぐさま身を翻す。彼らは徹底して直接的な戦闘は行わないよう指示を受けていたのだ。
今回の弓での攻撃は、ダメージを与えることより動きを阻害する目的だった。
そして、ゴラウン以外の隊員は程度は違えども全員矢の攻撃を受けていた。
しかしねばついて不快なのはあるが、別段戦えなくなる程の状態ではなく、作戦続行は可能だ。
「粘着性のある……なんだこれは? まあいい、特に問題はなさそうだな。皆、それを剥がすことは可能か?」
「これは……無理そうです、隊長。しか任務に支障はありません」
キノコの胞子のように燃やしてしまえればそれで済むのだが、可燃性のものかも知れないし、体に纏わりついているため危険もある。
とりあえず現状は支障がないことを確認したゴラウンらは、その状態のまま建築物が並ぶ住宅街へと足を踏み入れる。
様々な妨害を受けなからも、ようやく街中への侵入を果たしたのだ。
しかしこの頃には、リューグを除くと隊員は5人にまで減っていた。
街中を進むが、やはり市街地だからか罠の類いが仕掛けられた様子はない。
そして建ち並ぶ家屋や道端にも人の気配がないことから、非戦闘員は予めどこか一ヶ所に集まって避難しているのだと予想できる。
「館が見えるな……あそこが領主の居場所か? 単純なあいつのことだ、リューグはおそらく館へ向かっただろう」
街の中で最も立派な造りをしているリーフェルニア家の館にリューグがいると見当を付け、ゴラウンらも館へと向かった。
館へ到着すると、ゴラウンの予想通りリューグの姿があり、武装した集団と戦闘の真っ最中であった。
「くそっ! こいつらなかなかいい動きをしやがる……!」
リューグは騎士に数人がかりで囲まれ、お互いに牽制し合い状況は拮抗した様子だ。
リューグがいくら優秀だろうとさすがに多勢に無勢が過ぎた。
とはいえ、リーフェルニア領で唯一、戦闘の経験を積んだ騎士団がほぼ総掛かりでリューグの対処に当たっているので、充分な成果ではあるのだが。
「あれは……リューグ!? 既に交戦中とは勝手な真似を! リューグ! 一旦下がるんだ!」
「ゲッ! ゴラウン隊長……! まいったな、隊長が来るまでに片付けるつもりだったんだけどなぁ」
敵を舐めすぎだ、リューグに向かってそう怒号を飛ばそうとしたゴラウンであったが、後ろから圧力を感じ、視線をそちらへと向ける。
視線の先には、燃えるような赤い髪色の大男が、威風堂々とこちらへと近づいて来ていた。
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