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【最終章 地炎激突】
雷轟砲
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アースの宝石による多大な魔力供給、それを攻撃に運用するためのコハクの技術、それらが合わさった対軍魔動兵器『雷轟砲』。
雷属性の宝石を複数個使用して作られたこの魔道具は、超広範囲に雷の属性を持つ魔力波を放つ。
本来ならばこのレベルの兵器を作ろうとするのならば、家一件を超える大きさが必要となり、固定兵器としての運用しかできない。
だがアースの生成した宝石の力により、大きさは2メートル程度、車輪を付けることで運搬が可能な重量となった。
しかし急造であるため試射はできていなかったが、コハクにはうまくいくという根拠のない自身があった。
「――合図を確認。砲台の固定、エネルギー充填完了! いくでぇ! 死にさらせやぁぁぁぁっ!」
コハクは勢いで物騒なことを口走るが、実際には威力よりも効果範囲を重視しているため、直撃したとしても竜人族相手では死に至るほどの威力はない。
しかし雷属性の特性として麻痺の状態異常付与効果があるため、あわよくば戦闘不能に追い込もうと言う算段であった。
ゴォォォォゥン!!
遠くに聞こえるポプモアの実の破裂音を合図とし、コハクが引き金を引くと、砲身が激しく発光し轟音と共に第一射が放たれる。
ポプモアの実によって動きを妨げられていたフレアルド達は、発射するその時まで雷轟砲の存在に気付かず、その轟音や魔力反応を察知した時には、回避するという選択肢は既に存在しなかった。
「くっ、全員魔法防御の障壁を展開! 直撃に備えよ!」
いち早く砲撃を察知したゴラウンが指示を出すが、その数瞬後には雷の奔流が部隊を包み込む。
「ぐあぁぁぁっ!」
ゴラウンの周りから複数の悲鳴が上がるが、激しい光と、自身も防御に手一杯で辺りの様子は確認できない。
それはリーフェルニア陣営も同じで、砲撃が終わった後も、その余波による土煙で相手の様子を確認できずにいた。
「んー? どないなっとんか全く見えんわ……まあ土煙無くても距離的にどうせ見えへんねんけどな。さて……これで方が付けば御の字なんやけどな」
「そううまくはいかないさ、なんせ相手は歴戦の勇士が集う部隊だ」
街へと撤退中のアースがコハクと合流する。
上位魔法並の威力はあったが、この程度で倒せる相手ではないことをアースはよく知っていた。
「おっ、あんちゃんか。今の見たやろ? ぶっつけ本番で成功するとは、さすがウチやで」
「ふっ、そうだな。見事だった。――っ! 危ない!」
アースは咄嗟にコハクを抱き抱え、雷轟砲の近くから飛び退く。
それと同時に燃え盛る槍が雷轟砲の機関部を貫き、雷轟砲はその衝撃に耐えられず爆散してしまう。
「コハク、怪我はないか?」
「――あ、うん。ウチは大丈夫やけど……雷轟砲が……」
「一発しか撃てなかったのは残念だが、仕方あるまい」
出来ればもう一発ぐらいは、そう考えていたアースだったが、こうも見事に破壊されてしまってはどうしようもない。
準備期間にもっと余裕が2台3台と用意できたかもしれないが、なにせ急なことであったので致し方ないだろう。
「それにしても、あの距離からの正確な投擲……バケモンかいな……」
「この槍……やはりフレアルドは別格か。奴を止めなければ俺達の勝ちはないな」
そうこう会話している間に、地面に突き刺さっていた槍が消えた。
おそらく持ち主の手元に召喚されたのだろう。
アースは覚悟を決め、その持ち主がいるであろう場所を見据えた。
雷属性の宝石を複数個使用して作られたこの魔道具は、超広範囲に雷の属性を持つ魔力波を放つ。
本来ならばこのレベルの兵器を作ろうとするのならば、家一件を超える大きさが必要となり、固定兵器としての運用しかできない。
だがアースの生成した宝石の力により、大きさは2メートル程度、車輪を付けることで運搬が可能な重量となった。
しかし急造であるため試射はできていなかったが、コハクにはうまくいくという根拠のない自身があった。
「――合図を確認。砲台の固定、エネルギー充填完了! いくでぇ! 死にさらせやぁぁぁぁっ!」
コハクは勢いで物騒なことを口走るが、実際には威力よりも効果範囲を重視しているため、直撃したとしても竜人族相手では死に至るほどの威力はない。
しかし雷属性の特性として麻痺の状態異常付与効果があるため、あわよくば戦闘不能に追い込もうと言う算段であった。
ゴォォォォゥン!!
遠くに聞こえるポプモアの実の破裂音を合図とし、コハクが引き金を引くと、砲身が激しく発光し轟音と共に第一射が放たれる。
ポプモアの実によって動きを妨げられていたフレアルド達は、発射するその時まで雷轟砲の存在に気付かず、その轟音や魔力反応を察知した時には、回避するという選択肢は既に存在しなかった。
「くっ、全員魔法防御の障壁を展開! 直撃に備えよ!」
いち早く砲撃を察知したゴラウンが指示を出すが、その数瞬後には雷の奔流が部隊を包み込む。
「ぐあぁぁぁっ!」
ゴラウンの周りから複数の悲鳴が上がるが、激しい光と、自身も防御に手一杯で辺りの様子は確認できない。
それはリーフェルニア陣営も同じで、砲撃が終わった後も、その余波による土煙で相手の様子を確認できずにいた。
「んー? どないなっとんか全く見えんわ……まあ土煙無くても距離的にどうせ見えへんねんけどな。さて……これで方が付けば御の字なんやけどな」
「そううまくはいかないさ、なんせ相手は歴戦の勇士が集う部隊だ」
街へと撤退中のアースがコハクと合流する。
上位魔法並の威力はあったが、この程度で倒せる相手ではないことをアースはよく知っていた。
「おっ、あんちゃんか。今の見たやろ? ぶっつけ本番で成功するとは、さすがウチやで」
「ふっ、そうだな。見事だった。――っ! 危ない!」
アースは咄嗟にコハクを抱き抱え、雷轟砲の近くから飛び退く。
それと同時に燃え盛る槍が雷轟砲の機関部を貫き、雷轟砲はその衝撃に耐えられず爆散してしまう。
「コハク、怪我はないか?」
「――あ、うん。ウチは大丈夫やけど……雷轟砲が……」
「一発しか撃てなかったのは残念だが、仕方あるまい」
出来ればもう一発ぐらいは、そう考えていたアースだったが、こうも見事に破壊されてしまってはどうしようもない。
準備期間にもっと余裕が2台3台と用意できたかもしれないが、なにせ急なことであったので致し方ないだろう。
「それにしても、あの距離からの正確な投擲……バケモンかいな……」
「この槍……やはりフレアルドは別格か。奴を止めなければ俺達の勝ちはないな」
そうこう会話している間に、地面に突き刺さっていた槍が消えた。
おそらく持ち主の手元に召喚されたのだろう。
アースは覚悟を決め、その持ち主がいるであろう場所を見据えた。
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