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【最終章 地炎激突】
ポプモアの実
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フレアルド達がリーフェルニアの街へと続く道を直進していると、谷のような地形の場所に辿り着いた。
道の両脇に高さ10メートルを超える台地があったのだが、この場所がまるで何者かが意図的に作ったもののように整っていることに、感のいいゴラウンは気が付いた。
「フレアルド様、この場所……もしかしたら我々は誘い込まれたのかもしれません」
「あァ? そんなの関係ねェよ。罠だとしても、奴らにゃァ大したことは出来ないだろ――」
「今だ! 投擲開始!」
その刹那、号令と共に台地の上に十を超える人影が現れ、球体のようなものをフレアルドらに向かって次々と投擲する。
「あァ? なんだこれは?」
フレアルドが投擲された球体を弾き飛ばし、地面に転がるそれを見てみると、爆弾の類いや鉄球のような攻撃性のあるものではなかった。
ともすれば、何かの植物の実のように見える。
「……? ハッ! 多少硬い実を投げたところで痛くも痒くもねェぜ! しかし……こんなものしか武器がないとは、あまりにも貧弱だな! こんなもん全て燃やし尽くしてやるよ!」
フレアルドが飛んでくる実のようなものに向かって手を振ると、広範囲に炎が巻き起こり、実を漏れなく焼き尽くした……かに見えたが、炎を受けてなお、その実は健在であり、そのまま地面へと転げ落ちた。
「あァ……!?」
当然、フレアルドは焼き尽くすつもりで炎を放ったのだが、それが叶わなかったことに驚愕する。
「クッ……加減しすぎたか? まァ、燃やし尽くせなかったところで痛くも痒くもないが――」
パァン!
フレアルドの背後で乾いた音が鳴り響く。
それは徐々に連続し、それに従って徐々に部隊内に混乱が広がる。
「痛っ! いたたたたっ! な、なんだこれは!?」
「フレアルド様! これは一体!?」
「俺様が知るか――クソッ! なんだこりゃァ!?」
破裂音の正体は、熱せられた実が弾ける音だった。
フレアルドらに投げられたのは、ポプモアの実と呼ばれるもので、火山地帯に生息する植物の実だ。
植物としては珍しく、特性として熱や炎を遮断する繊維で覆われている。遮断すると同時に受けた熱をエネルギー源として成長する植物である。
更にその実は極度に熱せられることにより破裂し、中にある無数の種を四方八方へと飛ばし繁殖する習性を持つ。
しかし本来ならポプモアの実は指先でつまめる程の大きさであり、さほど危険な物ではないのだが、アースの品種改良により実は手の平大まで巨大化している。
それによって種子の大きさや硬度も増しており、危険性は増大している。フレアルド達はまさに無数に飛び交う種の散弾を浴びている状況だ。
「ゴ……ゴラウン隊長! 身動きが取れません! このままでは……!」
「焦るな! この破裂もそう長くは続かないだろう、機を待つんだ!」
破裂する時間にも個体差はあるので、いつ、どこで、どの実が破裂するかもわからない状況だった。
竜人族である彼らにとって致命傷までとはいかないものの、当たりどころによっては戦闘不能になる可能性もあるため、収まるまで暫くは防御体制を取るしかない。
「よし……! 効いているぞ! アースさんの言った通り炎を使ったな!」
「馬鹿! 投げ終わったらすぐ撤退しろとも言われてるだろ、さっさと撤退するぞ!」
崖上にてポプモアの実を投擲していた領民達が即座に踵を返す。
それと同時に、フレアルド達の正面方向、数百メートル離れた位置に予め設置していた、大砲のような見た目の巨大な魔道具、その砲身がフレアルド達を確と捉える。
「へへーん……! 今度はウチの番や! ウチとあんちゃんの合作魔道具の威力、目ん玉ひんむいてとくと見ぃや!」
道の両脇に高さ10メートルを超える台地があったのだが、この場所がまるで何者かが意図的に作ったもののように整っていることに、感のいいゴラウンは気が付いた。
「フレアルド様、この場所……もしかしたら我々は誘い込まれたのかもしれません」
「あァ? そんなの関係ねェよ。罠だとしても、奴らにゃァ大したことは出来ないだろ――」
「今だ! 投擲開始!」
その刹那、号令と共に台地の上に十を超える人影が現れ、球体のようなものをフレアルドらに向かって次々と投擲する。
「あァ? なんだこれは?」
フレアルドが投擲された球体を弾き飛ばし、地面に転がるそれを見てみると、爆弾の類いや鉄球のような攻撃性のあるものではなかった。
ともすれば、何かの植物の実のように見える。
「……? ハッ! 多少硬い実を投げたところで痛くも痒くもねェぜ! しかし……こんなものしか武器がないとは、あまりにも貧弱だな! こんなもん全て燃やし尽くしてやるよ!」
フレアルドが飛んでくる実のようなものに向かって手を振ると、広範囲に炎が巻き起こり、実を漏れなく焼き尽くした……かに見えたが、炎を受けてなお、その実は健在であり、そのまま地面へと転げ落ちた。
「あァ……!?」
当然、フレアルドは焼き尽くすつもりで炎を放ったのだが、それが叶わなかったことに驚愕する。
「クッ……加減しすぎたか? まァ、燃やし尽くせなかったところで痛くも痒くもないが――」
パァン!
フレアルドの背後で乾いた音が鳴り響く。
それは徐々に連続し、それに従って徐々に部隊内に混乱が広がる。
「痛っ! いたたたたっ! な、なんだこれは!?」
「フレアルド様! これは一体!?」
「俺様が知るか――クソッ! なんだこりゃァ!?」
破裂音の正体は、熱せられた実が弾ける音だった。
フレアルドらに投げられたのは、ポプモアの実と呼ばれるもので、火山地帯に生息する植物の実だ。
植物としては珍しく、特性として熱や炎を遮断する繊維で覆われている。遮断すると同時に受けた熱をエネルギー源として成長する植物である。
更にその実は極度に熱せられることにより破裂し、中にある無数の種を四方八方へと飛ばし繁殖する習性を持つ。
しかし本来ならポプモアの実は指先でつまめる程の大きさであり、さほど危険な物ではないのだが、アースの品種改良により実は手の平大まで巨大化している。
それによって種子の大きさや硬度も増しており、危険性は増大している。フレアルド達はまさに無数に飛び交う種の散弾を浴びている状況だ。
「ゴ……ゴラウン隊長! 身動きが取れません! このままでは……!」
「焦るな! この破裂もそう長くは続かないだろう、機を待つんだ!」
破裂する時間にも個体差はあるので、いつ、どこで、どの実が破裂するかもわからない状況だった。
竜人族である彼らにとって致命傷までとはいかないものの、当たりどころによっては戦闘不能になる可能性もあるため、収まるまで暫くは防御体制を取るしかない。
「よし……! 効いているぞ! アースさんの言った通り炎を使ったな!」
「馬鹿! 投げ終わったらすぐ撤退しろとも言われてるだろ、さっさと撤退するぞ!」
崖上にてポプモアの実を投擲していた領民達が即座に踵を返す。
それと同時に、フレアルド達の正面方向、数百メートル離れた位置に予め設置していた、大砲のような見た目の巨大な魔道具、その砲身がフレアルド達を確と捉える。
「へへーん……! 今度はウチの番や! ウチとあんちゃんの合作魔道具の威力、目ん玉ひんむいてとくと見ぃや!」
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