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【無視できない招待状】

誤解?

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「ふぁーあ……あれ? もう朝……?」

 日差しの眩しさにエレミアは目を覚まし、意識がはっきりしないまま体を起こす。
 手を高く掲げそのままぐっと体を伸ばしていると、自分がまだ舞踏会用のドレスを着ていたことに気が付く。
 しかもそのまま寝てしまっていたので、所々はだけてしまっていた。

「あっ! しまった……皺になっちゃったかしら……? 着替えないでそのまま寝ちゃうなんて、よっぽど疲れてたのかな……」

「はは、よく寝ていたぞ」

 ふとエレミアの意識の外からアースの声が聞こえた。
 見ると、既に着替えを済まし机の上で何やら作業をしている様子だった。

「あ、おはようアース。いい朝ね…………っ!? ってアース!? なんで私の部屋に!?」

「ん? 何を言ってるんだ。ここは俺の部屋だぞ?」

「なっ、なななな――――!」

 なんでそんなことに、と思考してたエレミアだったが、寝起きでぼんやりとしていた頭が冴えてきて、ふと昨夜の記憶が蘇る。

「そういえば昨日は……もしかしてあのまま……!」

「起きたらエレミアが隣で寝ていたのには驚いたぞ。まあ、昨日の事もあるし不安だったのはわかるが……年頃の女性なのだから、少し慎みを持った方がいいんじゃないか?」

「えっ!? いや……そ、それはアースが――! わ、私を――!」

 押し倒してきたのはそちらだろう、と言いたいのは山々なエレミアであったが、アースにその気が無いのはわかっていたし、あれだけ無茶をさせたのは自分が原因であったので強くは言い返せなかった。
 しどろもどろしているエレミアをよそに、コンコンと乾いた木を叩く音が響く。

「――ひ、ひゃぃぃっ!?」

 不意に聞こえてきた音に、エレミアはすっとんきょうな声を発してしまう。

「失礼します」

 その奇声を返答と捉えたのか、扉が開かれる。
 扉を叩いて現れたのは、コンクエスター家で働く使用人、キサラであった。

「朝早くもうしわけございません。こちらに宿泊していると伺ったのですが、昨日の件で――――あ」

 扉を開け一礼した後、顔を上げたキサラは目の前の光景を見て諸々の事情を察し、扉をそっと閉じた。

「――ま、待ってキサラ! 気を回さないでいいから! なんでもないのっ! なんにもなかったのぉーっ!」

 その後、あらぬ誤解を与えてしまったキサラに説得を重ね、なんとか取り繕うことに成功したエレミアであった。
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