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【無視できない招待状】
公爵家へ
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「行ってらっしゃいませ、リーフェルニア様」
宿の従業員に見送られ、宿の外へと出たアースとエレミア。
同時に、それを見計らったかのようにコンクエスター公爵家からの迎えの馬車が到着する。
「お迎えに上がりました、リーフェルニア様。私はコンクエスター家の家臣の者でございます。この度は当家の招待に応じていただき感謝申し上げます。――では此方へどうぞ」
「ええ、ありがとう」
アースとエレミアは手配された馬車に乗り込み、公爵家に向かい移動を始める。
道中、同じ家紋の入った馬車をちらほらと見かける。
おそらくは他の参加者の乗る馬車だろう。
いったいどれだけの人数が集められるのだろうかと、今更になって考えさせられ、その結果エレミアの緊張は加速度的に増していった。
数分後、二人を乗せた馬車が動きを止める。
目的地であるコンクエスター公爵家へと到着したのだ。
「お待たせいたしました。館に到着しましたのでご案内致します」
馬車が静止し、扉が開かれたのでアースとエレミアは馬車を降りる。
眼前にそびえる巨大な門に、二人は思わず空を見上げてしまう。
入り口の門だけで領主の館がどれだけ広大な敷地を持つのかが容易に想像できてしまう程大きく、更にはその力を誇示しているのか実に堅牢そうな印象を持った。
「舞踏会は本館の広間にて執り行われます。受付は本館入り口になりますのでそこまでご案内致します」
家臣に連れられ、二人は本館へと辿り着く。
道中聞いた話だが、使用人専用の家屋や、家人一人一人に館が宛がわれているらしい。
この公爵家の敷地だけでもリーフェルニア領全てが入るのではないだろうかと、アースとエレミアは偶然にも同様のことを心中で考えていた。
「こちらになります。……では、ごゆっくりお楽しみ下さい」
入り口へと案内され、受付を済ませた二人はいよいよ館へと足を踏み入れる。
既に広間には相当数の人数が集まっており、各々軽食や音楽を楽しんでいた。
しかしエレミアが現れた瞬間、話し声が止み、視線が一斉に集められる。
「初めて見るな……あれが今噂になっているリーフェルニアの……?」
「おお……実に美しい」
「あの美しさに加え、今勢いのある辺境伯の令嬢か……これはなんとしてもうちの息子と……」
アースは名も知らぬが、先客である貴族達が一斉にエレミアの事を話し始める。
どうやら今リーフェルニア領の存在は貴族界隈では注目の的であるようだ。
アースは視線を集めるエレミアを心配し様子を伺うが、等の本人は気に留めた様子もなく真っ直ぐに歩を進める。
主催者であるコンクエスター公爵家の家族が集う壇上へと向かって。
「この度はお招きいただきありがとうございます。父レオナルドは皇帝陛下の勅令につき、私エレミア・リーフェルニアが父に代わりご挨拶に伺わせていただきました」
「うむ……遠路はるばるご苦労であった。私が現当主のフガイドル・コンクエスターである。……父と同様に私も若い頃レオナルド殿には世話になった。来られないのは残念だが……どうか楽しんでいってくれたまえ」
エレミアを迎え入れたのは、先代エドモンドに代わり当主となったフガイドルであった。
エレミアの後ろに控えるアースは、下がった眉に喋りが小声な事から、当主でありながらも思っていたより気弱そうな印象を持った。
宿の従業員に見送られ、宿の外へと出たアースとエレミア。
同時に、それを見計らったかのようにコンクエスター公爵家からの迎えの馬車が到着する。
「お迎えに上がりました、リーフェルニア様。私はコンクエスター家の家臣の者でございます。この度は当家の招待に応じていただき感謝申し上げます。――では此方へどうぞ」
「ええ、ありがとう」
アースとエレミアは手配された馬車に乗り込み、公爵家に向かい移動を始める。
道中、同じ家紋の入った馬車をちらほらと見かける。
おそらくは他の参加者の乗る馬車だろう。
いったいどれだけの人数が集められるのだろうかと、今更になって考えさせられ、その結果エレミアの緊張は加速度的に増していった。
数分後、二人を乗せた馬車が動きを止める。
目的地であるコンクエスター公爵家へと到着したのだ。
「お待たせいたしました。館に到着しましたのでご案内致します」
馬車が静止し、扉が開かれたのでアースとエレミアは馬車を降りる。
眼前にそびえる巨大な門に、二人は思わず空を見上げてしまう。
入り口の門だけで領主の館がどれだけ広大な敷地を持つのかが容易に想像できてしまう程大きく、更にはその力を誇示しているのか実に堅牢そうな印象を持った。
「舞踏会は本館の広間にて執り行われます。受付は本館入り口になりますのでそこまでご案内致します」
家臣に連れられ、二人は本館へと辿り着く。
道中聞いた話だが、使用人専用の家屋や、家人一人一人に館が宛がわれているらしい。
この公爵家の敷地だけでもリーフェルニア領全てが入るのではないだろうかと、アースとエレミアは偶然にも同様のことを心中で考えていた。
「こちらになります。……では、ごゆっくりお楽しみ下さい」
入り口へと案内され、受付を済ませた二人はいよいよ館へと足を踏み入れる。
既に広間には相当数の人数が集まっており、各々軽食や音楽を楽しんでいた。
しかしエレミアが現れた瞬間、話し声が止み、視線が一斉に集められる。
「初めて見るな……あれが今噂になっているリーフェルニアの……?」
「おお……実に美しい」
「あの美しさに加え、今勢いのある辺境伯の令嬢か……これはなんとしてもうちの息子と……」
アースは名も知らぬが、先客である貴族達が一斉にエレミアの事を話し始める。
どうやら今リーフェルニア領の存在は貴族界隈では注目の的であるようだ。
アースは視線を集めるエレミアを心配し様子を伺うが、等の本人は気に留めた様子もなく真っ直ぐに歩を進める。
主催者であるコンクエスター公爵家の家族が集う壇上へと向かって。
「この度はお招きいただきありがとうございます。父レオナルドは皇帝陛下の勅令につき、私エレミア・リーフェルニアが父に代わりご挨拶に伺わせていただきました」
「うむ……遠路はるばるご苦労であった。私が現当主のフガイドル・コンクエスターである。……父と同様に私も若い頃レオナルド殿には世話になった。来られないのは残念だが……どうか楽しんでいってくれたまえ」
エレミアを迎え入れたのは、先代エドモンドに代わり当主となったフガイドルであった。
エレミアの後ろに控えるアースは、下がった眉に喋りが小声な事から、当主でありながらも思っていたより気弱そうな印象を持った。
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