ラプラスの悪魔

抹茶氏

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一章【魔王勇者編】

補助魔術士ミネルヴァ

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「まず手始めに、『風の羽根』これをやってみなさい」
ミネルヴァの手元には紅い炎のような羽根が現れた。
「えっと、『風の羽根』って風属性の魔術ですよね。私は風属性の適正じゃないから使えないです」
「ふふふ面白い事言うわね。確かに人それぞれに魔術の適正があるけど、それはそれぞれ別の属性の精霊がその人に気に入られているだけの事。知らなかったかもしれないけど、補助魔術はあくまでも、精霊から力を借りるだけ。つまりは魔力を消費すれば誰でも補助魔術は使えるのよ」
精霊から気に入られている。力を借りる。そもそも精霊っているのか……悪魔とか天使がいる時点で精霊がいても不思議じゃないか。
「その精霊って見れるようになる?」
「うーんどうだろうね。私は能力で無理やり見てるからほとんどの精霊に嫌われちゃってね。見ても大したことないし、今私にいる精霊も3人でね、この子達は私のことが好きみたいだからいてくれるけど。貴方の精霊が全員貴方の事が好きとは限らないから」
「じゃあやめておきます。……『風の羽根』」
すると手元に薄い青色の羽根が現れた。ミネルヴァさんとは違う色の羽根だ。
「あぁ貴方の精霊は氷なのかな」
「色で判断出来るんですね」
「そうそう、私の場合は火の精霊だから風の補助魔術なのに火属性が混じっているから紅いでしょ」
「てことは、結局精霊って全属性を一応操れるってことですか」
「まぁそういう難しい話は後でね、まずはこれを彼に送るのよ」
「彼って要ですか?今模擬戦中だからルール違反じゃ」
「構わない、やってしまえ。補助魔術の1つや2つかけられた相手に負けるなどあり得んからな」
と、男の人が言ってきた。そういえばこの人の名前だけ教えてもらってないな。
「ちょっと、その評価は嬉しいのですが彼結構強くてですね。全部避けるのに結構大変なんですよ」
「あ?なんか言ったか」
「イエナンデモアリマセン」
「それじゃあ彼にその羽を」
魔力を込めると羽根は要に向かって飛んでいった。要に当たると。
「うおっ何だ急に身体が軽くなった。これで、もっと速く攻撃出来るな。柊さんこれで終わらせますよ」
「やだなー本気出すの」
要はさっきよりも速い攻撃をしているがやっぱり柊には当たる気がしない。何で当たらないんだろう。
「じゃあ次は『鈍足(スロウ)』やってみなさい。土属性の魔術よ、想像して」
「はい、『鈍足』…あ。…そういうこと」
『鈍足』の効果は範囲内の物体の動きを最大0.05倍にすることが出来るというもの。
それによって柊の動きがはっきり見えた。
「凄いわね、最大限の効果を出せるなんて私でも難しいのよ。これでわかったでしょ」
「はい。柊さんがあんなに動けているのは…3人に分身しているから、ですか」
柊の方を見ると要から攻撃を受ける瞬間に影のようなものが柊の隣に出来て、その影に柊が移動しているように見えた。
「うん、正解で良いだろう。おい柊、試合終了だお前の能力がバレたぞ」
「えっ?!マジですか、いつの間に」
「や、やっと終わったー」
ーーーーーーーー
「えっ『鈍足』も使ってたんですか、気づかなかった。普通こういうデバフの魔術ってのは使用者の熟練度によってバレにくくなるみたいだけど、時雨ちゃんは今回が初めてなんだよね」
「そうですね、今回初めて補助魔術に触れました。ところで、柊さんの能力って実際どういうものなんですか」
「私の能力か、まあ君達に教えてもいいかな。私の能力は【三影士(さんえいし)】こんな感じに…」
すると柊の周りに3体の影が現れた。
「そして私はこの影の位置に瞬間移動出来るんだ」
「…これだけですか」
「今日会ったばかりなのにあたりつよいね!まあシンプルだけどここにいる限り私は王国騎士のどの副隊長よりも強いからね」
「あら、じゃあ私とも戦う?」
「マイリマシタコウサンデス。アナタガフクタイチョウナンバーワンデス」
「ミネルヴァさんが副隊長って、ここは何番隊なんですか?」
「「「……」」」
え、何で黙っているの。まさか地雷踏んじゃった。
「まあここに来たんだ。何かの縁だろうな。教えてやろう、ここは王国騎士第零番隊の事務所であり総勢5人の先鋭隊だ。まだ名乗っていなかったな、俺の名はガイア。この零番隊の隊長だ」
「…えっ隊長って、零番隊?確か王国騎士は一から五番までじゃ」
「そうだな表向きは。ただどんな組織にも裏というものもある。俺達5人は表舞台には出れないような隊なんだ」
「何でか、聞いてもいいですか?」
「能力のせいだ簡単に言うとな」
能力のせいって柊さんみたいな能力の何が悪いのだろうか。
「今君は柊の能力がどれだけ危険かわかってないようだからこの際言ってやるよ。いいな柊」
「いいっすよ。というか私が言います。この【三影士】で作られた影これは行ったことがある場所なら何処にでも出現させることが出来るんだ。そして影の動き、例えば防御の姿勢を想像して影を作って瞬間移動すると…この姿勢のまま移動ができる」
「それってもしかして」
「そう、攻撃をする直前の影をどこにでも設置出来るわけだから私はこの国の厄介者の一人になった…こんな感じさ」
気づくと柊は私の首に手をかけていた。少し力が入っている。
「時雨?!」
「うっ、大丈夫これくらいどうってこと…ない」
「ほら、油断している相手ならここまでくれば即死させることだって出来る。こんな奴が外をぶらぶら歩いていたら平和って呼べないだろ」
「納得ね…それはわかったから早く手を離してもらえない?」
「…そうだな」
柊は元いた場所に戻った。そして続けてガイアが立ち上がって近づいてきた。
「これが例の新しい聖剣…と呼べるかは怪しいが一応聖剣の一種だ」
「これが」
見た目は剣というより本、辞書のようなもので、特別見た目が豪華になっているわけでもない。手に取って中を確認するが何も書かれていない。
「ふざけているの」
「まさか、正真正銘聖剣だよ。あとそれぞれの聖剣には名前があってだな。持ち主が不明なので名前が分からないんだ」
「名前が分からないと何か問題があるの」
「簡単に言うとな聖剣の性能を最大限引き出す為に必要なんだ。あの金色の聖剣にも名前があったと思うが」
確かに何か言ってた気がする。なんて言ってたっけ。そんなことより。
「これ私が貰ってもいいの」
「ああ、それは勿論いいとも。だが、それが君を選ぶかどうかだがな」
ガイアから聖剣を受け取る。聖剣は私が触れると赤く光りだした。それは神々しくも禍々しくとも捉えることができる光だった。
「すげぇ」
「これは、私が持ち主だって認められたってことでいいの、かな」
「…そうだな。今の光はまさしく勇者に聖剣が神から与えられたときと同じだな。おめでとう、俺には分からないが君の勇者のオーラというのは良くなったのではないか」
「……いえ特には、自分は元々オーラが見えていなかったのでどこが変わったのかは分からないです」
「そうかそれなら」
ジッジジジーーー
「ッチ、仕方ない。すまないが来客が来たので帰ってくれないか」
「あっはい。わかりました。帰り道は」
「ここよ」
ミネルヴァさんの足元に黒い渦が出来ていた。これも転移魔術の一種なんだろうか。
とりあえず上に乗って
「うわっすっ吸い込まれる」
「要!?」
「大丈夫だから、さっさと行きなさい」
私はミネルヴァさんに押されて要を下敷きにしてそのまま渦に飲まれていった。
ーーーーーーーー
「ここは、外」
気づけば王国騎士の本部の外に出ていた。
そして要が下に、
「あっごめん!大丈夫?」
「そうだな、全体の体重が肋骨に乗ってたこと以外何ともないな」
「本当ごめん」
「いいって時雨は軽いし、何時間でも」
「やっと見つけた。どこ行ってたんだ二人とも」
そういえば倉庫からあの部屋に行くだけで一時間以上かかってたんだっけ。そりゃ金色も心配するわけだ。
「金色君ごめん、私に合う聖剣を探してたら時間忘れてた」
「本当は零番隊って所に行ってただけなんだけどな(ボソッ)」
「ん?まぁいいや、それで若月さんに合う聖剣ってどこにあるの」
「あぁこの本?みたいなのが聖剣」
本型の聖剣を金色に見せる。
「…嘘みたいだが本当だ。これは聖剣、見た目以外間違いない。名前は、それにどこで見つけた?」
「えっと。(どうしよう要、なんて言ったらいいのかな)」
「(ここの偉そうな人が見つけてくれたって言っとけばなんとかなるだろ)」
「(うん、そうする)この聖剣は王国騎士の偉い人、名前は聞いてないけど、その人がこの聖剣を見つけてくれたんだ」
「偉い人か。まぁ俺の目で見た感じ、オーラはしっかりその聖剣に吸収されているからもう大丈夫だな」
良かった。これで。
「…時間も遅いし、安全のために俺が護衛として家まで一緒に帰ってやる。何も無いのが一番だけど、ここ最近、行方不明事件が頻発しているからもしものためな」
「行方不明って」
白の悪魔、アダムの仕業だよね。まだやっているんだ、標的は私だけになったと思ってたけど、今度は仲間を集めているのかな。
「確かにそんな話を聞いた事があるかも、護衛をお願いしようかな」
「ん、じゃあ先に若月さんの家から行こうか」
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