ラプラスの悪魔

抹茶氏

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序章【文化祭編】

文化祭 後編/エピローグ(二人の対話)/

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文化祭中に起きた魔物、魔族の襲撃事件は無事に解決した。壊れた体育館や魔力を取られたり、魔族に仮面を着けられた生徒達は後から来た王国騎士の人達が修復と治療をしてくれたが、私と要以外の生徒はどうやら記憶処理をされたらしく、文化祭の1日目は何か楽しい事があったということしか覚えておらず、何故か記憶が曖昧になっていることにも疑問に思わなくなっていた。
しかし問題があるとするならば、要は『ラプラスの悪魔』の存在と私の時間が戻ることについて知ってしまったので。
「ようこそ『ラプラスの悪魔』へ石上 要、歓迎するよ」
「えっ俺、何の能力も持ってないですよ。それなのにいいんですか?」
「そうだね、本来なら君の様な存在は記憶を消して私達のような悪魔という種族と関わらない方が良いと思っている。でも、今回みたいにうちに居るアキラと時雨が分断された時に時雨はまだ戦闘経験が浅いから一人だと負けてしまう可能性があるからね。君は特別だ」
「これからパートナーとして一緒に頑張ろう、要君」
「…よし、ああ一緒に乗り越えようぜ。時雨!」
「え、今名前を」
「明日も文化祭だからな。それに里琴の歌もまだ聴けてないから、明日に備えて帰ろうぜ」
ーーーーーーーー
『只今をもちまして文化祭を終了とします。また、只今より各教室で片付けを行ってください』
「あー、文化祭楽しかったー!」
「そうだね、リコがあんなに歌が上手かったなんて驚いたよ」
「でも昨日も歌ってさ、ん?昨日、歌ったかな?」
そっかリコ達は昨日の出来事覚えてないんだ。
「実は私、リコが1日目で歌ってたときにちょっと仕事があって見に行けなかったんだよね」
「えーせっかく歌ったのに。あれ、そういえばあれからメイドカフェの手伝いしたの?」
「何でそれだけ覚えてんねん」
「ん?」
「いや、あれからは手伝いには行ってないよ」
「そうなんだ、でも時雨は男装も似合う美少女だね」
「からかわないでよ」
「ごめんごめん、あっそういえば文化祭の1日目に委員長とベルが屋上にいたっていう目撃情報があるんだよね。はっもしかして告白!」
確かに委員長は屋上に行こうと言ってきたけど、ベルはいなかったような気が。それに結局委員長は屋上で私に何の用があったのかな。
「だとしたら今日私とベルとリコで校内を周っているときに離れようとするでしょ普通」
「委員長、告白失敗したのかも」
「…そもそも告白とは限らないと思うんだけど」
こんな会話が出来るのも普通だったら出来なかった。昨日に襲撃があると聞かされ、そのために訓練をして、戦えるようになったと思ったら相手の方が強くて死んだ。でも時間が戻って、次は信頼してくれる仲間に頼って、勝てなかった相手に勝つことが出来た。その後すぐに相手の不意打ちに気づかなくてまた死んでしまうと思ったら今度は『ラプラスの悪魔』のミカに助けられた。本当に自分は恵まれていたんだとリコと会話が出来て感じた。
一人で守れる力があったら良かったのにとも思うけどね。
ーーーーーーーーー
序章【文化祭編】完
ーーーーーーーーー
/エピローグ(二人の対話)/
「無事に文化祭が終わって良かったわね」
「そうですね」
「そうだ、私焼きそばを買ったのよ。いる?」
「それ昨日買ったやつですよね。いらないです」
「もう、別に遠慮しなくていいのよ。ほら私と間接キスですよ」
「間接キスってそれ食べかけなんですか?!尚更いらないですよ。全く…まとめますよ」
「はいはい。まずは若月時雨が『ラプラスの悪魔』に所属することになったわね」
「はい、そしてその晩に公園で魔物化した元人間に出会う事になりましたね」
「そうね、私もここまで生きてきたけど人間が魔物になるなんて、こんなの見たことなかったわ。白の悪魔について興味が湧いてきたわ」
「白の悪魔はその名前の通りに基本は全身が白く、コートを着ていますね。ただ髪は黒髪であるからおそらく昔からこの国にいた人間ということがわかりますね」
「それって純日本人の事でしょ?最近の日本人は国際化の影響で様々な魔術系統の血筋と混血になったから髪や目の色が変わっているものね」
「これもみんな違ってみんないいってやつですね」
「貴方も黒髪で黒目って事は純なのね」
「ちなみにアキラもですがね。では次行きますか」
「『ラプラスの悪魔』の内のミカっていう悪魔に時雨は魔術を教わるのよね」
「そうです、確か泡の魔術だったような」
「正直さ、泡で魔物を倒せるのか疑問なんだけど」
「それは私も思いますが、このミカって悪魔は魔術に関してはこの国の騎士、王国騎士の第3番隊の隊長クラスの知識を持っていると思われますし、そういえば時雨はこの魔術を死神にあててましたね」
「ああ確かすっごく飛んでたわね」
「死神は死を司るので死ぬのは勿論のこと、生きている者からの攻撃は基本通らないのですが、この魔術にはそんな死神にも攻撃が出来るというものだったんですね」
「だとしたらこの泡はやばいわね。まるでモ○ハンに出てくるタマ」
「それ以上はやめましょう」
「そうね、次に起きた出来事といえば約4週間後に文化祭が始まったのと魔族が2人学校に現れたわね」
「街にも魔物の大群と魔族が現れましたね」
「アキラは【模倣術】っていう能力者だったのね」
「【模倣術】は私もまだ分かっていないので断言はできないのですが、模倣というあたり誰かを真似ているのですかね?」
「能力で聖剣を生成してたわね」
「真似とはいえ、聖剣をノーリスクで生成出来るとなると、かなり腕の達師匠だったのでしょうか?」
「アキラはこの聖剣はこの世界に存在しないって言ってたわ。アキラは元々どんな世界にいたのかしら?でも黒髪、黒目?」
「まあそれは一旦おいておきましょう。次は出てきた魔族について、アキラの所に現れた魔族は特になにもないですね」
「そうね、2回登場したけどアキラに瞬殺されたでしょうね。でも問題なのはコイツ、25の悪魔。顔は木の切り株を被って隠しているわ」
「おまけに囚人服の様な見た目なので元人間なのがわかります。ついでにニールという魔族も元人間だったのかと」
「元人間ということは白の悪魔によって魔物にされて、それが上手くかみ合った結果がコレということね」
「結局、彼の正体についてはまだ誰もわかっていないようですね」
「貴方は25の悪魔の正体に気づいたの?」
「ええ、大体あっていると思います」
「誰なのよ」
「教えると思いますか?…そんな顔されても言いませんよ。はぁ、貴方ならもう一度やり直せばいいじゃないですか?」
「そうしたらまた最後が変わってしまうわ。今はまだ、これが最適解だと思っているのよ」
「だったら次に行きますよ。…そういえば魔王がいるそうですね」
「そうね、魔王にその幹部で手下たち。典型的なゲームに出てくるような魔王軍って感じね」
「でも現れた魔族が慕っているのは魔王ではなくあの方という存在のようだ。まあニール達が元人間という事からあの方というのは白の悪魔だろうね」
「だったら今、白の悪魔は魔王軍と『ラプラスの悪魔』に追われている状態ということね。よく逃げ続けられるわね」
「この話題もおいておきましょう。そうですね、他に気になったことといえば、ベルと委員長の会話ですかね。結局何を話していたか私達は忙しくて聞けませんでしたね」
「そうよ、せっかくこの世界での重要な話だったのに残念だわ」
「あとはリコについてですか。彼女は学校生活上ではアホっぽいですが、魔族のニールからは天才的な評価を貰っていましたね」
「案外一番本性を隠しているのは彼女なのかもね。これから先どんな立ち回りをするのか楽しみね」
「……こんなもんですかね。私の総評はまずまずだったと思いますね」
「そう、私は合格レベルだわ」
「何に合格したのですか」
「彼女らに戻す権利を与える必要がまだ無いって事よ」
「それもそうですね。この程度で何度も死んでもらっちゃ困ります。いずれこの世界を、いや、私達を解放していただかないとですね」
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