18 / 38
第一部 新しい居場所
舞踏会
しおりを挟む
午前中はメアリーから貴族のマナーを学び、午後はシュウとの鍛錬、夜はメアリーにバレないようにダンスの練習という感じで一週間があっという間に経った。今日は舞踏会の日だ。メアリーにしっかりおめかししてもらい、シュウと一緒に舞踏会の会場に足を踏み入れた。
舞踏会は順調に進んでいった。入ったときはユースティアをじろじろと見る人や話す人が多かったがそれも、六花騎士団の任命式をシュウが主体となって行うと、表向き貴族の人達は声に出して不満をもらす人はいなくなっていた。リュシエンヌや王妃がユースティアのことを気に入っていると噂にもなっていたらしく、打算的な人は最初からユースティアに対して悪く言う人はいなかった。ただ視線の数は減らなかったように感じる。敵意というより自分の陣営に入れるべきかどうかを見極めようとしているような目だったようにユースティアには思えた。
ダンスも、なんとか全神経集中させてシュウと一回だけ踊り、早々に切り上げた。そして貴族に話しかけられる前に二人でベランダに出る。
「なんとか踊れてよかったな。ただ、何度もヒヤヒヤしたぞ」
シュウはシャンパンを口に含むなり、クスクスと思い出し笑いをする。ダンスの件については弁明の仕様がなかった。結局、音楽に合わせて踊ることは無理だったのだが、練習中の速さであればなんとかシュウのエスコートもあって、踊れるまでには至った。テンポが変わるとやはりダメにはなるのだが。
「すまないな。音楽はからっきしのようだ。私もシュウとダンスして自分がここまでできないと知った」
ユースティアもシャンパンを口に含む。
「シュウに練習中、ああ言われたのは本当にびっくりした」
ユースティアはふふと笑いながら練習中のことを思い出す。
「もう、お前にダンスは無理だ。だから、ダンスだと思うな。計算でやれ」
「計算?」
「そうだ。普通だったらそっちの方が難しいんだがお前にはこっちの方が向いていると思う。力を抜いてその秒数後に体を動かすんだ。後は俺がなんとか優雅に見えるようにお前を操作する。だからお前はただそのタイミングで手と足を俺に差し出すだけでいい」
「シュウの負担になるんじゃないか?」
「そうだが、もうそれしか思いつかない。もう、俺にはお前にダンスを教えるのは無理だ」
という感じだった。要するにさじを投げられたのだ。こんなんだからテンポが変わると無理なのである。なおかつシュウ以外だと論外なのだ。操縦者がいなくなるのだから。
「それにしても今日はいつもより冷えるな。――これでも着ていろ」
シュウは自分の上着を脱ぐと、ユースティアの肩にかけた。
「ありがとう、シュウ。そういえばシュウは今日、私に構ってばかりでいいのか?」
「ああ。今日の主役は俺じゃないしな。それに、母上やリュシエンヌから頼んだと念を押された」
二人の念を押す姿が目に浮かぶ。本当に二人には何かと世話になっているとしみじみと思う。
「噂をすれば、か」
シュウの言葉で後ろを振り返るとそこにはリュシエンヌがいた。
「ここにいたのね。ティア、中で私と話しましょう? おいしいケーキも見つけたのよ?」
一通り貴族と話し終えたのだろう。ただリュシエンヌはそんな疲れも感じさせないほどテンションが高かった。いや、これは疲れすぎて逆にテンションが高いだけかも知れない。ユースティアにはどっちか分からなかった。とりあえず、元からテンションが高かったという風に思っておこう。大公の娘だからきっと場慣れしているはず。
ユースティアはどうしようかと迷い、シュウの方を振り向いた。するとシュウは「行ってこい」と手をひらひらさせていた。
上着をシュウに返し、リュシエンヌと室内へと向かう。
「本当に会いたかったんだから。まあ、それはしょうがないんだけど。――ああ、これよ、これ。このチョコレートケーキが絶品だったの。これを作った人、私の家のコックにしたいぐらい」
リュシエンヌは自分の分とユースティアの分を分ける。そして幸せそうにケーキを口に含んだ。
「ほらほら」と促され、ユースティアも口に含む。中のチョコレートが口の中でとろける。できたてなのか、中のチョコレートが熱々で口の中が痛い。思わず、顔をしかめ、手に持っていた残りのシャンパンを一気に流し込んだ。
「口に合わなかったかしら?」
不安げに見るリュシエンヌ。ユースティアは慌てて弁明する。
「違うんだ。その、言うのは少し恥ずかしいんだが、……やけどをしてしまって。私は猫舌だったようだ。ケーキはとてもおいしい」
「やけど。…………ふふふ、そんなティアもかわいい。猫舌だったのは少し意外だったけど、これがギャップというものね!」
リュシエンヌは思わずティアの腕に抱きついた。なんだかリュシエンヌが抱きついている腕が妙に熱く感じた。「ちょっとごめん」と言って、リュシエンヌのおでこに手を当てる。やっぱり熱でもあるんだろうか。それともお酒でも飲んでしまったのだろうか。
「リュシエンヌ、今日はもう帰った方がいい。一緒に帰ろう」
「え、でもまだパーティーは――」
「パーティーならきっとまたある。今日はゆっくり休んだ方がいい」
ユースティアはリュシエンヌの手を掴み会場を出ようとしたところで複数の影に覆われた。
「すまない、少しそこをどいてもらえないだろうか?」
「言葉遣いがなっていないのではなくて?」
「そうよ。この方を誰だと思っているの? この方はミラー公爵家のレイチェル様よ」
レイチェルの両隣にいる少女達はそうのたまう。そしてレイチェルを含めた三人の一歩後ろで「そうだ、そうだ」と小声で自信なさげに言う少女がいた。レイチェル本人はというと満更でもなさそうに鼻高々とした態度だった。
「もう一度言う。そこをどいてもらえないだろうか?」
「わたくしはあなたに話がありますの。だからここはどきませんわ」
あいにく、メアリーからは人と話すことを考慮したマナー教育は受けていない。見た目だけでもということで目に見えるマナーしか習っていなかったのがここで仇となった。
それにしてもこのレイチェルという女はリュシエンヌのことを知らないのだろうか。それともリュシエンヌとは敵対派閥か?
でも今はそんなことはどうでもいいか。リュシエンヌの方が大事だ。ベランダで会ったときにリュシエンヌの体調に気づくべきだった。
ユースティアは目の前の人達を無視するように方向転換をする。そして戸惑っているリュシエンヌを連れ、ベランダの方へと引き返した。三人はユースティアのその行動に愕然としていた。
「良かったシュウ、まだいた。リュシエンヌの体調が悪いみたいなんだ。だからリュシエンヌのことお願いできるか? 給仕の人たちとかに頼むのも考えたんだがやっぱり知っている人の方がリュシエンヌも安心だろう」
後ろから話しかけられたシュウはユースティアの背後に目が釘付けになった。そして、思わず頭を抑え、上を向いた。
「ああ、オーケー。なるほどなるほど。なんとなく分かった」
「そうか。ありがとう」
「――ちょっと待て。今のはそう言う意味じゃない」
シュウはリュシエンヌをおいて戻ろうとするユースティアの肩をすかさずつかみ引き留めた。
「?」
「自分の後ろを見て見ろ。お前の行動に驚きすぎて固まっているだろ?」
「前に行けないなら戻るしかないだろ?」
ユースティアは至極当然のことだろと言わんばかりにシュウに告げる。シュウの言っていることがさも不思議そうにしている。
シュウはユースティアの評価を訂正した。こいつはイカれてる。イカれていないなんてとんでもない。イカレぐあいが表面上に出にくいだけだ。しかもこれはきっと序章にすぎないだろう。掘れば掘るほど今以上にイカレているところが見られるかも知れない、と半ば現実逃避をした。
そんなやり取りをしていると、後ろで愕然として固まっていた四人組は気を取り戻したかのようにユースティアの方へと向かってくるのだった。
舞踏会は順調に進んでいった。入ったときはユースティアをじろじろと見る人や話す人が多かったがそれも、六花騎士団の任命式をシュウが主体となって行うと、表向き貴族の人達は声に出して不満をもらす人はいなくなっていた。リュシエンヌや王妃がユースティアのことを気に入っていると噂にもなっていたらしく、打算的な人は最初からユースティアに対して悪く言う人はいなかった。ただ視線の数は減らなかったように感じる。敵意というより自分の陣営に入れるべきかどうかを見極めようとしているような目だったようにユースティアには思えた。
ダンスも、なんとか全神経集中させてシュウと一回だけ踊り、早々に切り上げた。そして貴族に話しかけられる前に二人でベランダに出る。
「なんとか踊れてよかったな。ただ、何度もヒヤヒヤしたぞ」
シュウはシャンパンを口に含むなり、クスクスと思い出し笑いをする。ダンスの件については弁明の仕様がなかった。結局、音楽に合わせて踊ることは無理だったのだが、練習中の速さであればなんとかシュウのエスコートもあって、踊れるまでには至った。テンポが変わるとやはりダメにはなるのだが。
「すまないな。音楽はからっきしのようだ。私もシュウとダンスして自分がここまでできないと知った」
ユースティアもシャンパンを口に含む。
「シュウに練習中、ああ言われたのは本当にびっくりした」
ユースティアはふふと笑いながら練習中のことを思い出す。
「もう、お前にダンスは無理だ。だから、ダンスだと思うな。計算でやれ」
「計算?」
「そうだ。普通だったらそっちの方が難しいんだがお前にはこっちの方が向いていると思う。力を抜いてその秒数後に体を動かすんだ。後は俺がなんとか優雅に見えるようにお前を操作する。だからお前はただそのタイミングで手と足を俺に差し出すだけでいい」
「シュウの負担になるんじゃないか?」
「そうだが、もうそれしか思いつかない。もう、俺にはお前にダンスを教えるのは無理だ」
という感じだった。要するにさじを投げられたのだ。こんなんだからテンポが変わると無理なのである。なおかつシュウ以外だと論外なのだ。操縦者がいなくなるのだから。
「それにしても今日はいつもより冷えるな。――これでも着ていろ」
シュウは自分の上着を脱ぐと、ユースティアの肩にかけた。
「ありがとう、シュウ。そういえばシュウは今日、私に構ってばかりでいいのか?」
「ああ。今日の主役は俺じゃないしな。それに、母上やリュシエンヌから頼んだと念を押された」
二人の念を押す姿が目に浮かぶ。本当に二人には何かと世話になっているとしみじみと思う。
「噂をすれば、か」
シュウの言葉で後ろを振り返るとそこにはリュシエンヌがいた。
「ここにいたのね。ティア、中で私と話しましょう? おいしいケーキも見つけたのよ?」
一通り貴族と話し終えたのだろう。ただリュシエンヌはそんな疲れも感じさせないほどテンションが高かった。いや、これは疲れすぎて逆にテンションが高いだけかも知れない。ユースティアにはどっちか分からなかった。とりあえず、元からテンションが高かったという風に思っておこう。大公の娘だからきっと場慣れしているはず。
ユースティアはどうしようかと迷い、シュウの方を振り向いた。するとシュウは「行ってこい」と手をひらひらさせていた。
上着をシュウに返し、リュシエンヌと室内へと向かう。
「本当に会いたかったんだから。まあ、それはしょうがないんだけど。――ああ、これよ、これ。このチョコレートケーキが絶品だったの。これを作った人、私の家のコックにしたいぐらい」
リュシエンヌは自分の分とユースティアの分を分ける。そして幸せそうにケーキを口に含んだ。
「ほらほら」と促され、ユースティアも口に含む。中のチョコレートが口の中でとろける。できたてなのか、中のチョコレートが熱々で口の中が痛い。思わず、顔をしかめ、手に持っていた残りのシャンパンを一気に流し込んだ。
「口に合わなかったかしら?」
不安げに見るリュシエンヌ。ユースティアは慌てて弁明する。
「違うんだ。その、言うのは少し恥ずかしいんだが、……やけどをしてしまって。私は猫舌だったようだ。ケーキはとてもおいしい」
「やけど。…………ふふふ、そんなティアもかわいい。猫舌だったのは少し意外だったけど、これがギャップというものね!」
リュシエンヌは思わずティアの腕に抱きついた。なんだかリュシエンヌが抱きついている腕が妙に熱く感じた。「ちょっとごめん」と言って、リュシエンヌのおでこに手を当てる。やっぱり熱でもあるんだろうか。それともお酒でも飲んでしまったのだろうか。
「リュシエンヌ、今日はもう帰った方がいい。一緒に帰ろう」
「え、でもまだパーティーは――」
「パーティーならきっとまたある。今日はゆっくり休んだ方がいい」
ユースティアはリュシエンヌの手を掴み会場を出ようとしたところで複数の影に覆われた。
「すまない、少しそこをどいてもらえないだろうか?」
「言葉遣いがなっていないのではなくて?」
「そうよ。この方を誰だと思っているの? この方はミラー公爵家のレイチェル様よ」
レイチェルの両隣にいる少女達はそうのたまう。そしてレイチェルを含めた三人の一歩後ろで「そうだ、そうだ」と小声で自信なさげに言う少女がいた。レイチェル本人はというと満更でもなさそうに鼻高々とした態度だった。
「もう一度言う。そこをどいてもらえないだろうか?」
「わたくしはあなたに話がありますの。だからここはどきませんわ」
あいにく、メアリーからは人と話すことを考慮したマナー教育は受けていない。見た目だけでもということで目に見えるマナーしか習っていなかったのがここで仇となった。
それにしてもこのレイチェルという女はリュシエンヌのことを知らないのだろうか。それともリュシエンヌとは敵対派閥か?
でも今はそんなことはどうでもいいか。リュシエンヌの方が大事だ。ベランダで会ったときにリュシエンヌの体調に気づくべきだった。
ユースティアは目の前の人達を無視するように方向転換をする。そして戸惑っているリュシエンヌを連れ、ベランダの方へと引き返した。三人はユースティアのその行動に愕然としていた。
「良かったシュウ、まだいた。リュシエンヌの体調が悪いみたいなんだ。だからリュシエンヌのことお願いできるか? 給仕の人たちとかに頼むのも考えたんだがやっぱり知っている人の方がリュシエンヌも安心だろう」
後ろから話しかけられたシュウはユースティアの背後に目が釘付けになった。そして、思わず頭を抑え、上を向いた。
「ああ、オーケー。なるほどなるほど。なんとなく分かった」
「そうか。ありがとう」
「――ちょっと待て。今のはそう言う意味じゃない」
シュウはリュシエンヌをおいて戻ろうとするユースティアの肩をすかさずつかみ引き留めた。
「?」
「自分の後ろを見て見ろ。お前の行動に驚きすぎて固まっているだろ?」
「前に行けないなら戻るしかないだろ?」
ユースティアは至極当然のことだろと言わんばかりにシュウに告げる。シュウの言っていることがさも不思議そうにしている。
シュウはユースティアの評価を訂正した。こいつはイカれてる。イカれていないなんてとんでもない。イカレぐあいが表面上に出にくいだけだ。しかもこれはきっと序章にすぎないだろう。掘れば掘るほど今以上にイカレているところが見られるかも知れない、と半ば現実逃避をした。
そんなやり取りをしていると、後ろで愕然として固まっていた四人組は気を取り戻したかのようにユースティアの方へと向かってくるのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる