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三幕 冥界
プロローグ (レオナ視点)
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《前書き》
サブタイトル『見逃したこと』と『冥界』の間の数時間の話になります。
プロローグに関しては読まなくても本編には影響させない予定ですが、読んだほうがこの作品をもっと楽しめると思います。
◆♢◆♢
道化師との戦い最中、ユースティアにレオナを頼まれたアリスは、その後も己の支配域である影の中にレオナを拘束し、閉じ込め続けていた。
暗闇の中に閉じ込めてから数十時間は経つ。
アリスの作り出したこの影は引きずり込んだ人の時間感覚を狂わせる。
それだけでも心身ともに多大なる負担がかかるものだが、この影の本当の力はそこではなかった。
別名、溶解沼。
それがこの影の二つ名であり、正体だった。
アリスが命じればすぐにでも、影に取り込まれた者は体が溶け始める。仮に命じなかったとしても速度は落ちるが意識のあるままに溶け始める。
ここで重要なのは意識を失うことができないということ。すべてが消えるその瞬間まで痛みも意識も残されたまま。
到底、人が耐えられる代物ではない。
そんな強大な力だが、弱点も多く存在する。影に取り込む条件が厳しいこと。一日の使用回数や一度に取り込める人数が限られていること。そして使い魔の主にはこの影は効かないという点である。
つまり、アリスの主であるレオナには、アリスの影は効かない……はずだが、レオナの体は今、末端から溶け始めている。
それが意味することは一つ。
アリスはレオナの使い魔ではないということ。
「諦めて、アリスと一緒に楽しく暮らそう? そうすればここから出して上げる」
「それはできない」
影に取り込まれてから行われる何度目かの問い。レオナは一度たりともその問を受け入れない。たとえ己がこのまま何もしなければ消えると分かっていたとしても。
「なんでなんでなんでなんでなんで――っ!!」
とうとうしびれを切らしたアリスは、頭を抱え泣き出した。
いつものレオナだったらここで慰めるところだが、レオナはそれをしなかった。代わりに、今まで以上に突き放す言葉を口にする。
「どうして裏切ったかとかは聞かない。もともと裏切るも何もない関係だったからな」
「なんで、そんなこと―――」
言うの? アリスのその言葉を遮るようにレオナは言葉を被せた。
「最初に言っただろう? 俺とずっと一緒にはいられないってな」
「だってそれは、アリスを使い魔にしないためのことわり文句だってルシファー様が言ってた。特に深い意味はないって」
「師匠に毒されたか。いや……」
(ルシファー様に限ってそれはないだろう。恐らくは説明するのをめんどくさがっただけだな)
「アリス、お前はもう自由に生きろ。俺とこれ以上関わるな。あのときの負い目を感じる必要はもうねぇだろう」
「使うだけこき使って捨てるって言うの?」
「その言い方やめろ。俺が悪いみたいだろ?」
「だってそうじゃん――っ!! それにアリスは負い目だけでレオナといるわけじゃない。始めは助けてもらった負い目だったかもしれないけど……。今はもう違う。アリスはレオナが好きだから一緒にいたいだけなのっ!!」
アリスの思いが栓が抜けたように爆発する。泣きじゃくり、レオナの顔を濡らす。
アリスと一緒にいて五年が経つ。生まれたばかりのアリスは親に捨てられただけではなく、他の魔物から玩具にされており、レオナがそこに出くわした頃にはアリスは瀕死だった。
レオナは始め、アリスを見捨てようとした。
弱いものは淘汰される。
魔物や魔族の中ではよくあることだった。
レオナが一度見捨てようとしたにも関わらず、結局見捨てなかったのは昔の自分を思い出したからか。
レオナはアリスを助け、魔王城に連れ帰った。
その後アリスは、レオナの迅速かつ的確な治療も相まって一命を取り止めた。
アリスを助けるためにレオナが払った代償はあまりにも大きかったが、レオナはそれを口にも態度にも出さず、アリスが完全に回復するまで面倒を見た。そして見送るはず……だった。
しかし、アリスはおぼろげながらも、レオナが己を助けるところを覚えていた。
アリスは負い目からレオナに己を使い魔にするように言い、出ていこうとしなかった。そのうち、魔王城のみんなはアリスの味方になり、レオナはその圧に負け、使い魔にした。
「使い魔にするときに言ったこと覚えているか?」
「覚えてる。ちゃんと録音して今も残してる」
「なら今が約束を果たすときだ。俺のことは忘れて生きろ」
「そんなことできるわけない。それに今のレオナに選択肢――」
「――それ以上言ったら俺はお前のこと軽蔑する」
「――っ!!」
「お前を幸せにしてくれる奴を探すといい。俺なんかよりいい奴はこの世の中にはごまんといる」
能力発動『芽吹く灯火』
拘束され、溶け始めているレオナは沼から脱出する。
「なんで……」
己の瞳に映るその能力をアリスは今まで一度も見たことがなかった。
(抜け出そうと思えばいつでもここから抜け出せたんだ)
ここで始めてアリスは気づいてしまう。レオナは一度もアリスに心を開いたことはなかったのだと。すぐに抜け出さなかったのは――――――――
(そうだ。レオナはアリスが悪いことしたときも一度も怒ったことなんてなかった。レオナにとってアリスは………)
涙が止まらなかった。見捨てられた子猫はレオナを追いかける。
でも、どうしてだろう。レオナは走ってないのに。アリスは走ってるのにレオナに追いつくことができなかった。
レオナの名を何度も何度も震える声で呼んでも、レオナが後ろを振り返ることはなかった。
レオナがリアンと合流するまで後――――二時間
◆♢◆♢
冥界に足を踏み入れた瞬間、レオナの肌がひりついた。
冷気が強く漂っている。薄暗いここは人の気配は感じない。代わりに霊の気配が漂っている。
見渡す限り草木はなく、大小様々な石、そして墓地らしきものがあるだけ。
道は整備したのか、比較的新しいと思える石畳の道ができていた。
収納型の魔道具からコートを取り出し、寒さを凌ぐ。
レオナは歩いた痕跡を消しつつ、リアンの場所へと歩き始めた。
しばし歩いたところで違和感を覚えた。
レオナは緑の宝石――宝石型魔道具を取り出し、リアンとの距離を確認する。冥界に入る前に見た時は、直線を示していた。
だが今は、指針がエラーを起こしたように回転している。
レオナはかろうじてその狂った指針を解読する。
分かったことは、距離は縮まってはおらず、それどころか離れていること。
念の為、他の魔道具は無事か確認してみると、この魔道具と同じようにエラーを起こし始めているようだった。
そう言えば、師匠に聞いたことがあった。冥界の主が変わったという話を。
どうしてこんな大事なことを忘れていたのか。
新しい冥界の主は冥界での法をすべて書き換え、自分好みに好き放題していることを。
「…………おかしい」
こんな重大なことを忘れるはずがない。なら思い当たるのは、冥界の法に触れてペナルティを課せられている。もしくは、冥界自体に記憶に関する魔法をかけられているということになるが……。
今、重要なのは、相手の目的や手段ではなく、記憶を消されているという事実と、これ以上記憶を消されないように防ぐこと。
現状はど忘れ程度で済んでいるが、これ以上時間が経てばどうなるか分からない。早めに対抗する必要がある。
レオナにそれに値する能力はない。ならば、残されるのは魔法しかない。魔道具が狂っている以上魔道具には頼れない。
問題は記憶に関する魔法は魔法の中でも上位に位置し、扱うのに相当な技術と精神力がいることだ。
技術はクリアしている。あとは己の精神力次第。
大きく息を吐き、精神を統一する。肩の力を抜き、詠唱を紡ぐ。
『我に従い、我に従わざるもの。汝、支配を消し、支配するもの。我を主と認めているならば応えよ。叛逆を持って我は汝を許す。汝に送る名はスターチス』
魔力が底が抜けたバケツのように流れ落ちる。生命力までもそのバケツに引きずり込もうとする上級魔法にレオナの額から汗が滴り落ちる。
通常、魔法を使うにあたって生命力を使うことはない。
もし、使う場面があるのならばそれは二つ。
己の実力以上の魔法を使うとき。
もう一つは、実力が天と地ほどの差がある魔法に対抗しようとするとき。
レオナは自分の実力を理解している。
だからこそ、今回に該当するのは後者だと分かる。そして、今の冥界の主は冥界に対する権限の多くを消費することで記憶を消すという行為をしているということも。
魔法が妨害されていると感じながらも、生命力をも魔法に注ぎ、無理やり魔法を完成させる。
魔力の光が消え、魔法が成功したことを確認したレオナはまず、安堵のため息をついた。
次に、懐から大量の回復薬を取り出し、それを豪快に流し入れた。
魔力中毒で死んでもおかしくない飲み方だが、レオナは構わず、全てを飲み干し、魔力と体力を高速で回復させる。
回復したのを確認すると、レオナはもう一つの己の能力を発動させた。
その能力の名は『保存』
レオナは能力を発動させたまま、詠唱を唱え始める。
その数、十。
発動するギリギリで保存された魔法は小さな魔法陣となり、爪へと宿る。
「隠さねぇとな」
爪に宿った魔法陣を隠す魔法を唱え、隠蔽を施す。
「これでいいか。――問題は……」
――リアンをこの広い冥界からどうやって探すか。
レオナが眉間にシワを寄せ、解決策を考えているそのとき。
強い魔力の余波がレオナを襲った。
「この魔力…………」
魔力の発生源の前まで辿り着いたレオナは、目の前の状況を前に、鼻で笑った。
黒い竜と黒い犬。
二つの黒が衝突し、物理的な余波が波紋のように辺りに広がっていく。
その余波に衝撃を加えるようにレオナは拳を地に叩きつけた。
二人がこちらを見るのとほぼ同時。
保存した魔法を間髪入れずに解き放つ。
二つの黒を閉じ込める重力魔法。
二つの黒は両膝を地におとした。……落としたはずだった。
「誰だか知らないけれど――」
そこだけ重力が変わっていないかのように、黒犬はゆらゆらと立ち上がった。
「っ――――!!」
「ご退場願おうかな」
それは一瞬の出来事だった。
瞬きしたほんの一瞬。
しかし、ブラックドッグにとっては十分な時間だったらしい。
腕が一本、引きちぎられる。
「リベル!!」
もう片方に噛みつこうと飛びかかるブラックドッグに向けてレオナは、保存した魔法を再び放出する。
消費する魔法陣は二つ。
腕を爆発させるための魔法。そして、相手を遠ざけるための誘導の雷撃。
そのすべてをブラックドッグは躱す。
レオナとの距離が離れ、攻撃が止まると、ブラックドッグは咥えていた腕を吐き捨てた。
「イカれてるね」
人間の姿に戻ったブラックドッグは口元の血を拭う。
「お前ほどじゃない」
レオナは苦渋に顔を歪ませながらも、能力を発動させ、両腕を生やす。
「それにしてもよく再現できているね、君の腕。少し、君に興味が出てきたよ」
「……」
「お互い、さっきのでおあいこにしよう。君、調停者の関係者みたいだし」
「……犬の嗅覚をなめていたようだな」
レオナはピクリと眉を上げると次に、双眸を細めた。口元はどこか笑っている。
「僕はどっちでもいいんだ。結果が出れば、多少の遅れはどうでも」
「望みはうすいだろうな」
「へぇ~。面白いこと言うね」
二つの双眼がぶつかり合う。
互いが互いにお互いの言動を見逃さない。
かすかな動きから相手の考えていることを読み取り、探っている。
「とにかく、あいつのこと以外なら好きにしろ。俺はお前がやることに干渉しない。それでいいだろ? もし、それが嫌だって言うなら、仕切り直し、するだけだ」
「あの竜を確実に殺すと約束するならそれでいいよ。僕も好きにやるから」
「ああ、殺すさ」
即答、断言するレオナを見ながら、ライリーは眼を大きく見開いた。
時が止まっているように思わせるほど、二人の間に静けさが訪れる。
「信じるよ」
あの件以降、初めて言う言葉をライリーはレオナに送る。それはライリーにとってのささやかな応援だった。
ライリーは影へと姿を消し、この場を後にする。
取り残されたレオナは拘束している黒竜と向き直った。
口元には笑みが浮かんでいた。
「ご丁寧なことだ」
レオナはここ一帯に張り巡らされた結界を感じながら、黒竜と対峙する。
結界の意味が分からないレオナではない。ブラックドッグは言葉にはせず、行動をもって己の考えを示した。
――もし黒竜を倒せないようなことがあれば、俺もろともここ一帯を更地にすると。
「言われなくとも黒竜はこの場からいなくなってもらう」
爪に込める魔力を高める。
迫りくる炎を裂き、正面突破に出る。
立ちはだかる青いブレスのことごとくを裂き続け、着々と距離を狭める。
だが、黒い風が逆風になって吹き荒れる。
炎雷が黒竜の防御をさらに強化する。
過剰な防衛、金の瞳の視線の先。
レオナは気づき、笑みを浮かべる。
「そんなに怖いか、この刀が……!!」
レオナが収納型魔道具から取り出したのはすでに失われたはずの竜殺しの刀。
それもただの竜殺しの刀ではない。かつて黒竜を殺した最上級に位置する大業物の一つ。
厄災を閉じ込め、厄災のきっかけにもなった壊されたはずの刀。
それが今、レオナの手に握られている。
その刀を目にした黒竜はその黄金の瞳に、怯えを宿す。
カザニア国の壁画。
そしてアリスが昔、拾ってきたある一冊の古びた本。
二つの作者は、長く生きる種族なら誰もが一度は聞いたことがある人物。はるか昔に隠居し、どこにいるのか、今も生きているか不明の人物。
一つ言えるのはこの人物が書いたものは信用できる。
「偽物でこれほどとは、正直思ってなかったぜ」
本を見た時点で、ずっと再現を試みていたレオナは、ガザニア国に足を踏み入れる前の時点で、本物と見間違うほどに完成させていた。
約束を果たすためだけに……。ずっと探していた手がかりであると同時に、果たす役目を担わせようとしている刀。
青い刀身がレオナの魔力に呼応するように煌めきを放つ。
黒竜の攻撃が杜撰になると同時に、苛烈さが増した威力の攻撃を竜殺しの刀が一太刀で斬り伏せる。
刀の使い手ではないレオナだが、師匠からあらゆる武術は一通り教わっている。
それでも、制御は完全にできない。それどころか刀に振り回されていると言っても過言ではない。
本物だったらどうだったか。
そんなことを考えながら、身体強化を最大まで高め、刀に能力の光を纏わせる。
近づけないのならば、この距離から最大の一撃をもって斬り伏せるしかない。
過剰な魔力の高まりを感じた黒竜は漆黒の一撃で迎え撃つ姿勢を取る。
選択は正しい。
この一撃を完全に躱すことなど今の黒竜には不可能。ならば、迎え撃ち、少しでも軌道をそらすしかないだろう。致命傷から逃れるために。――――だがそれは、本物の最上大業物だったらの話。
この刀はあくまで偽物なのだ。本物と同じ輝きであったとしても本物には遠く及ばない。
中身と使い手が本物ではない限り、黒竜の本気の硬い守りを一撃で斬り伏せるほどの力はない。
だから――黒竜は守りに徹していれば、この攻撃を無傷で防げたのだ。
その判断ができなかったのは恐らく、トラウマだったから。己の力を過信し、守りに徹したことで殺されたから。だから、別の選択肢を取ってしまう。
青の一撃を振り下ろす。
青の一撃は漆黒の一撃へと衝突する。
力は拮抗……かと思われた。だが、レオナはここでブーストする。
『解除』
爪の魔法陣のすべてが消える。解き放たれた魔力は青へと収束し、漆黒の一撃を凌駕する広範囲に及ぶ一撃へと形を変える。
「これでイーブンだ」
黒竜の覇気が消え失せる。横たわり、肩で息をしている黒竜に向かってレオナは手をかざす。
能力発動『芽吹く灯火』
黒竜が人へと姿を変える。
目に映るのはボロボロになったリアンの姿。そして、己との戦闘ではなく、別の戦闘で――黒犬にやられただろう傷。
(得意じゃないが……)
足りない魔力を生命力で代用し、リアンの傷を回復すると、次に能力の封印、今の記憶の封印を気休め程度にかける。
「後は目覚めるだけか」
レオナの体はすでにボロボロだったが、今の戦闘でさらに悪化した。
(ほとんどなくなってしまったな)
レオナは結界が解かれたのを確認すると、周りを探索し始めた。
リアンと合流するまで残り――0時間
サブタイトル『見逃したこと』と『冥界』の間の数時間の話になります。
プロローグに関しては読まなくても本編には影響させない予定ですが、読んだほうがこの作品をもっと楽しめると思います。
◆♢◆♢
道化師との戦い最中、ユースティアにレオナを頼まれたアリスは、その後も己の支配域である影の中にレオナを拘束し、閉じ込め続けていた。
暗闇の中に閉じ込めてから数十時間は経つ。
アリスの作り出したこの影は引きずり込んだ人の時間感覚を狂わせる。
それだけでも心身ともに多大なる負担がかかるものだが、この影の本当の力はそこではなかった。
別名、溶解沼。
それがこの影の二つ名であり、正体だった。
アリスが命じればすぐにでも、影に取り込まれた者は体が溶け始める。仮に命じなかったとしても速度は落ちるが意識のあるままに溶け始める。
ここで重要なのは意識を失うことができないということ。すべてが消えるその瞬間まで痛みも意識も残されたまま。
到底、人が耐えられる代物ではない。
そんな強大な力だが、弱点も多く存在する。影に取り込む条件が厳しいこと。一日の使用回数や一度に取り込める人数が限られていること。そして使い魔の主にはこの影は効かないという点である。
つまり、アリスの主であるレオナには、アリスの影は効かない……はずだが、レオナの体は今、末端から溶け始めている。
それが意味することは一つ。
アリスはレオナの使い魔ではないということ。
「諦めて、アリスと一緒に楽しく暮らそう? そうすればここから出して上げる」
「それはできない」
影に取り込まれてから行われる何度目かの問い。レオナは一度たりともその問を受け入れない。たとえ己がこのまま何もしなければ消えると分かっていたとしても。
「なんでなんでなんでなんでなんで――っ!!」
とうとうしびれを切らしたアリスは、頭を抱え泣き出した。
いつものレオナだったらここで慰めるところだが、レオナはそれをしなかった。代わりに、今まで以上に突き放す言葉を口にする。
「どうして裏切ったかとかは聞かない。もともと裏切るも何もない関係だったからな」
「なんで、そんなこと―――」
言うの? アリスのその言葉を遮るようにレオナは言葉を被せた。
「最初に言っただろう? 俺とずっと一緒にはいられないってな」
「だってそれは、アリスを使い魔にしないためのことわり文句だってルシファー様が言ってた。特に深い意味はないって」
「師匠に毒されたか。いや……」
(ルシファー様に限ってそれはないだろう。恐らくは説明するのをめんどくさがっただけだな)
「アリス、お前はもう自由に生きろ。俺とこれ以上関わるな。あのときの負い目を感じる必要はもうねぇだろう」
「使うだけこき使って捨てるって言うの?」
「その言い方やめろ。俺が悪いみたいだろ?」
「だってそうじゃん――っ!! それにアリスは負い目だけでレオナといるわけじゃない。始めは助けてもらった負い目だったかもしれないけど……。今はもう違う。アリスはレオナが好きだから一緒にいたいだけなのっ!!」
アリスの思いが栓が抜けたように爆発する。泣きじゃくり、レオナの顔を濡らす。
アリスと一緒にいて五年が経つ。生まれたばかりのアリスは親に捨てられただけではなく、他の魔物から玩具にされており、レオナがそこに出くわした頃にはアリスは瀕死だった。
レオナは始め、アリスを見捨てようとした。
弱いものは淘汰される。
魔物や魔族の中ではよくあることだった。
レオナが一度見捨てようとしたにも関わらず、結局見捨てなかったのは昔の自分を思い出したからか。
レオナはアリスを助け、魔王城に連れ帰った。
その後アリスは、レオナの迅速かつ的確な治療も相まって一命を取り止めた。
アリスを助けるためにレオナが払った代償はあまりにも大きかったが、レオナはそれを口にも態度にも出さず、アリスが完全に回復するまで面倒を見た。そして見送るはず……だった。
しかし、アリスはおぼろげながらも、レオナが己を助けるところを覚えていた。
アリスは負い目からレオナに己を使い魔にするように言い、出ていこうとしなかった。そのうち、魔王城のみんなはアリスの味方になり、レオナはその圧に負け、使い魔にした。
「使い魔にするときに言ったこと覚えているか?」
「覚えてる。ちゃんと録音して今も残してる」
「なら今が約束を果たすときだ。俺のことは忘れて生きろ」
「そんなことできるわけない。それに今のレオナに選択肢――」
「――それ以上言ったら俺はお前のこと軽蔑する」
「――っ!!」
「お前を幸せにしてくれる奴を探すといい。俺なんかよりいい奴はこの世の中にはごまんといる」
能力発動『芽吹く灯火』
拘束され、溶け始めているレオナは沼から脱出する。
「なんで……」
己の瞳に映るその能力をアリスは今まで一度も見たことがなかった。
(抜け出そうと思えばいつでもここから抜け出せたんだ)
ここで始めてアリスは気づいてしまう。レオナは一度もアリスに心を開いたことはなかったのだと。すぐに抜け出さなかったのは――――――――
(そうだ。レオナはアリスが悪いことしたときも一度も怒ったことなんてなかった。レオナにとってアリスは………)
涙が止まらなかった。見捨てられた子猫はレオナを追いかける。
でも、どうしてだろう。レオナは走ってないのに。アリスは走ってるのにレオナに追いつくことができなかった。
レオナの名を何度も何度も震える声で呼んでも、レオナが後ろを振り返ることはなかった。
レオナがリアンと合流するまで後――――二時間
◆♢◆♢
冥界に足を踏み入れた瞬間、レオナの肌がひりついた。
冷気が強く漂っている。薄暗いここは人の気配は感じない。代わりに霊の気配が漂っている。
見渡す限り草木はなく、大小様々な石、そして墓地らしきものがあるだけ。
道は整備したのか、比較的新しいと思える石畳の道ができていた。
収納型の魔道具からコートを取り出し、寒さを凌ぐ。
レオナは歩いた痕跡を消しつつ、リアンの場所へと歩き始めた。
しばし歩いたところで違和感を覚えた。
レオナは緑の宝石――宝石型魔道具を取り出し、リアンとの距離を確認する。冥界に入る前に見た時は、直線を示していた。
だが今は、指針がエラーを起こしたように回転している。
レオナはかろうじてその狂った指針を解読する。
分かったことは、距離は縮まってはおらず、それどころか離れていること。
念の為、他の魔道具は無事か確認してみると、この魔道具と同じようにエラーを起こし始めているようだった。
そう言えば、師匠に聞いたことがあった。冥界の主が変わったという話を。
どうしてこんな大事なことを忘れていたのか。
新しい冥界の主は冥界での法をすべて書き換え、自分好みに好き放題していることを。
「…………おかしい」
こんな重大なことを忘れるはずがない。なら思い当たるのは、冥界の法に触れてペナルティを課せられている。もしくは、冥界自体に記憶に関する魔法をかけられているということになるが……。
今、重要なのは、相手の目的や手段ではなく、記憶を消されているという事実と、これ以上記憶を消されないように防ぐこと。
現状はど忘れ程度で済んでいるが、これ以上時間が経てばどうなるか分からない。早めに対抗する必要がある。
レオナにそれに値する能力はない。ならば、残されるのは魔法しかない。魔道具が狂っている以上魔道具には頼れない。
問題は記憶に関する魔法は魔法の中でも上位に位置し、扱うのに相当な技術と精神力がいることだ。
技術はクリアしている。あとは己の精神力次第。
大きく息を吐き、精神を統一する。肩の力を抜き、詠唱を紡ぐ。
『我に従い、我に従わざるもの。汝、支配を消し、支配するもの。我を主と認めているならば応えよ。叛逆を持って我は汝を許す。汝に送る名はスターチス』
魔力が底が抜けたバケツのように流れ落ちる。生命力までもそのバケツに引きずり込もうとする上級魔法にレオナの額から汗が滴り落ちる。
通常、魔法を使うにあたって生命力を使うことはない。
もし、使う場面があるのならばそれは二つ。
己の実力以上の魔法を使うとき。
もう一つは、実力が天と地ほどの差がある魔法に対抗しようとするとき。
レオナは自分の実力を理解している。
だからこそ、今回に該当するのは後者だと分かる。そして、今の冥界の主は冥界に対する権限の多くを消費することで記憶を消すという行為をしているということも。
魔法が妨害されていると感じながらも、生命力をも魔法に注ぎ、無理やり魔法を完成させる。
魔力の光が消え、魔法が成功したことを確認したレオナはまず、安堵のため息をついた。
次に、懐から大量の回復薬を取り出し、それを豪快に流し入れた。
魔力中毒で死んでもおかしくない飲み方だが、レオナは構わず、全てを飲み干し、魔力と体力を高速で回復させる。
回復したのを確認すると、レオナはもう一つの己の能力を発動させた。
その能力の名は『保存』
レオナは能力を発動させたまま、詠唱を唱え始める。
その数、十。
発動するギリギリで保存された魔法は小さな魔法陣となり、爪へと宿る。
「隠さねぇとな」
爪に宿った魔法陣を隠す魔法を唱え、隠蔽を施す。
「これでいいか。――問題は……」
――リアンをこの広い冥界からどうやって探すか。
レオナが眉間にシワを寄せ、解決策を考えているそのとき。
強い魔力の余波がレオナを襲った。
「この魔力…………」
魔力の発生源の前まで辿り着いたレオナは、目の前の状況を前に、鼻で笑った。
黒い竜と黒い犬。
二つの黒が衝突し、物理的な余波が波紋のように辺りに広がっていく。
その余波に衝撃を加えるようにレオナは拳を地に叩きつけた。
二人がこちらを見るのとほぼ同時。
保存した魔法を間髪入れずに解き放つ。
二つの黒を閉じ込める重力魔法。
二つの黒は両膝を地におとした。……落としたはずだった。
「誰だか知らないけれど――」
そこだけ重力が変わっていないかのように、黒犬はゆらゆらと立ち上がった。
「っ――――!!」
「ご退場願おうかな」
それは一瞬の出来事だった。
瞬きしたほんの一瞬。
しかし、ブラックドッグにとっては十分な時間だったらしい。
腕が一本、引きちぎられる。
「リベル!!」
もう片方に噛みつこうと飛びかかるブラックドッグに向けてレオナは、保存した魔法を再び放出する。
消費する魔法陣は二つ。
腕を爆発させるための魔法。そして、相手を遠ざけるための誘導の雷撃。
そのすべてをブラックドッグは躱す。
レオナとの距離が離れ、攻撃が止まると、ブラックドッグは咥えていた腕を吐き捨てた。
「イカれてるね」
人間の姿に戻ったブラックドッグは口元の血を拭う。
「お前ほどじゃない」
レオナは苦渋に顔を歪ませながらも、能力を発動させ、両腕を生やす。
「それにしてもよく再現できているね、君の腕。少し、君に興味が出てきたよ」
「……」
「お互い、さっきのでおあいこにしよう。君、調停者の関係者みたいだし」
「……犬の嗅覚をなめていたようだな」
レオナはピクリと眉を上げると次に、双眸を細めた。口元はどこか笑っている。
「僕はどっちでもいいんだ。結果が出れば、多少の遅れはどうでも」
「望みはうすいだろうな」
「へぇ~。面白いこと言うね」
二つの双眼がぶつかり合う。
互いが互いにお互いの言動を見逃さない。
かすかな動きから相手の考えていることを読み取り、探っている。
「とにかく、あいつのこと以外なら好きにしろ。俺はお前がやることに干渉しない。それでいいだろ? もし、それが嫌だって言うなら、仕切り直し、するだけだ」
「あの竜を確実に殺すと約束するならそれでいいよ。僕も好きにやるから」
「ああ、殺すさ」
即答、断言するレオナを見ながら、ライリーは眼を大きく見開いた。
時が止まっているように思わせるほど、二人の間に静けさが訪れる。
「信じるよ」
あの件以降、初めて言う言葉をライリーはレオナに送る。それはライリーにとってのささやかな応援だった。
ライリーは影へと姿を消し、この場を後にする。
取り残されたレオナは拘束している黒竜と向き直った。
口元には笑みが浮かんでいた。
「ご丁寧なことだ」
レオナはここ一帯に張り巡らされた結界を感じながら、黒竜と対峙する。
結界の意味が分からないレオナではない。ブラックドッグは言葉にはせず、行動をもって己の考えを示した。
――もし黒竜を倒せないようなことがあれば、俺もろともここ一帯を更地にすると。
「言われなくとも黒竜はこの場からいなくなってもらう」
爪に込める魔力を高める。
迫りくる炎を裂き、正面突破に出る。
立ちはだかる青いブレスのことごとくを裂き続け、着々と距離を狭める。
だが、黒い風が逆風になって吹き荒れる。
炎雷が黒竜の防御をさらに強化する。
過剰な防衛、金の瞳の視線の先。
レオナは気づき、笑みを浮かべる。
「そんなに怖いか、この刀が……!!」
レオナが収納型魔道具から取り出したのはすでに失われたはずの竜殺しの刀。
それもただの竜殺しの刀ではない。かつて黒竜を殺した最上級に位置する大業物の一つ。
厄災を閉じ込め、厄災のきっかけにもなった壊されたはずの刀。
それが今、レオナの手に握られている。
その刀を目にした黒竜はその黄金の瞳に、怯えを宿す。
カザニア国の壁画。
そしてアリスが昔、拾ってきたある一冊の古びた本。
二つの作者は、長く生きる種族なら誰もが一度は聞いたことがある人物。はるか昔に隠居し、どこにいるのか、今も生きているか不明の人物。
一つ言えるのはこの人物が書いたものは信用できる。
「偽物でこれほどとは、正直思ってなかったぜ」
本を見た時点で、ずっと再現を試みていたレオナは、ガザニア国に足を踏み入れる前の時点で、本物と見間違うほどに完成させていた。
約束を果たすためだけに……。ずっと探していた手がかりであると同時に、果たす役目を担わせようとしている刀。
青い刀身がレオナの魔力に呼応するように煌めきを放つ。
黒竜の攻撃が杜撰になると同時に、苛烈さが増した威力の攻撃を竜殺しの刀が一太刀で斬り伏せる。
刀の使い手ではないレオナだが、師匠からあらゆる武術は一通り教わっている。
それでも、制御は完全にできない。それどころか刀に振り回されていると言っても過言ではない。
本物だったらどうだったか。
そんなことを考えながら、身体強化を最大まで高め、刀に能力の光を纏わせる。
近づけないのならば、この距離から最大の一撃をもって斬り伏せるしかない。
過剰な魔力の高まりを感じた黒竜は漆黒の一撃で迎え撃つ姿勢を取る。
選択は正しい。
この一撃を完全に躱すことなど今の黒竜には不可能。ならば、迎え撃ち、少しでも軌道をそらすしかないだろう。致命傷から逃れるために。――――だがそれは、本物の最上大業物だったらの話。
この刀はあくまで偽物なのだ。本物と同じ輝きであったとしても本物には遠く及ばない。
中身と使い手が本物ではない限り、黒竜の本気の硬い守りを一撃で斬り伏せるほどの力はない。
だから――黒竜は守りに徹していれば、この攻撃を無傷で防げたのだ。
その判断ができなかったのは恐らく、トラウマだったから。己の力を過信し、守りに徹したことで殺されたから。だから、別の選択肢を取ってしまう。
青の一撃を振り下ろす。
青の一撃は漆黒の一撃へと衝突する。
力は拮抗……かと思われた。だが、レオナはここでブーストする。
『解除』
爪の魔法陣のすべてが消える。解き放たれた魔力は青へと収束し、漆黒の一撃を凌駕する広範囲に及ぶ一撃へと形を変える。
「これでイーブンだ」
黒竜の覇気が消え失せる。横たわり、肩で息をしている黒竜に向かってレオナは手をかざす。
能力発動『芽吹く灯火』
黒竜が人へと姿を変える。
目に映るのはボロボロになったリアンの姿。そして、己との戦闘ではなく、別の戦闘で――黒犬にやられただろう傷。
(得意じゃないが……)
足りない魔力を生命力で代用し、リアンの傷を回復すると、次に能力の封印、今の記憶の封印を気休め程度にかける。
「後は目覚めるだけか」
レオナの体はすでにボロボロだったが、今の戦闘でさらに悪化した。
(ほとんどなくなってしまったな)
レオナは結界が解かれたのを確認すると、周りを探索し始めた。
リアンと合流するまで残り――0時間
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