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第二部 一幕 叛逆の狼煙
再会と出会い
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僕たちは表通りから少し外れた酒場に来ていた。
「あの僕、未成年なんですけど入ってもいいんでしょうか?」
「ここはね、夜が酒場なんだ。夕方は普通の飲食店なんだよ」
「そうなんですね」
ラックさんがそう言うならそうなのだろう。ラックさんはこの国に住んでいるみたいだし。
「いらっしゃいませ。3名様ですね。席はこちらになります」
周りを見渡したところ冒険者とかが多い気がする。今日勝った人の打ち上げかな。
僕はラックさんの隣に座り、アイギスさんは反対側に座った。
「好きな物を食べるといい。私のおごりだ」
「本当ですか!ありがとうございます」
この前、銀の剣買ったから懐が寂しかったんだよね。ラックさんも家買うって言ってたからお金貯められるのうれしいだろうな。そう思ってラックさんを見てみると周りに花がポアポア舞っていた。僕は思わず目をこする。ああ、幻覚だった。
「何食べようかな」
僕はメニュー表を開き、隣にいるラックさんと一緒に見た。
「ここはオムライスが人気なんだよ」
「そうなんですね」
オムライスか。オムライスはリンさんが作ったものを食べたいな。これが終わったら作ってもらえるかな。
次に人気なのは――。
「あら、君はあのときの。ここで会うとは思わなかったわ。元気にしていた?」
僕は声の主の方を見た。ソフィアさんだ。
「はい。元気です。ソフィアさん達もあの後大丈夫でしたか?」
「ええ。おかげさまで。ありがとうね」
「はい。どういたしまして」
これはまずい展開だよね。ソフィアさんたちは僕の名前を知っているし。ロジェはなんだか名前隠したがっていたし隠しといた方がいいんだよね。どっどっどうしよう。このまま行ってくれないかな。
僕の顔から汗がドバドバ流れている気がする。
「君が助けてくれたみたいだね。僕はあのとき意識が朦朧としていてお礼を言えなかったからいつかお礼を言わないといけないと思っていたんだ。名前は――――」
「ああああ!!」
僕は名前を言われそうになって思わず叫び声を上げる。
「リア君?!いきなり叫んでどうかしたの?」
ラックさんが僕の叫び声でびくりと肩を揺らす。そして心配そうに僕を見た。アイギスさんも不思議そうに僕を見ている。
「何言ってんだ?この緑頭の男は?名前違うだろ。坊主の名前は――イギャア!!」
ブラッドさんが痛そうな悲鳴を上げた。そして何すんだみたいな顔でアンさんを見ていた。僕もブラッドさんの視線につられ思わずアンさんを見た。
アンさんは僕に向かってウインクした。アンさん!!ありがとうございます。今アンさんが救世主に見えます。
僕はアンさんに向かって軽くお辞儀をした。それによりブラッドさんがどうなっているか分かってしまった。思いっきり足をアンさんにふまれていた。うわ、痛そう。
「えっと、リア。あのときはありがとう。二人にもお礼を言おうと思っていたんだけど今日は一緒じゃないみたいだね」
ドニさんは深々と頭を下げた。
「いえ、いいんです。頭を上げてください。ピンチのときはお互い様ですよ。――それと2試合目進出おめでとうございます」
「そう言ってくれるとありがたい。リアも試合に出るのかい?今日は出ていなかったみたいだけど」
「ああ、はい。一応ここにいるメンバーとネルさんと出るんです。僕は助っ人枠なので明日の試合だけですけど」
「ここで話しているのもなんだし一緒に食べようぜ。そこの人たちいいだろ?」
「私は構わないが……。ラックはどうだ?」
「僕もいいよ」
ラックさん、ブラッドさんみたいな強引な感じの人苦手なのかも知れない。僕の後ろに隠れているし。それにあったときから気が弱そうだったしな。
「それじゃ、お邪魔しまーす」
僕の隣にアンさんとソフィアさんが座り、アイギスさんの隣にブラッドさんとドニさんが座った。なんだかあっち窮屈そうだな。アイギスさんとブラッドさん体格しっかりしているし、ドニさんはすらりとしているけど背が高いからな。
「アイギスさん、今度俺と勝負してくれませんか?」
「ちょっとブラッド、いきなり何言ってんのよ」
「ソフィアの言うとおりだよ、ブラッド」
イグニスの女性人達が突飛なことを言ったブラッドさんを非難する。ドニさんはというと3人のことはお構いなしに注文していた。マイペースな人だな、この人。僕達も頼んじゃおう。
「別に構わんが。その前に試合で当たるかも知れないな」
「俺、絶対勝ち残りますから」
「ああ。頑張れ」
「はい」
「ブラッドさんってアイギスさんのファンかなんか何ですか?」
「お前、知らないのか?アイギスさんはこの国で英雄扱いされているんだぞ。それに剣使いなら一度はアイギスさんと戦って見たいって思うだろ?」
「知らなかった。アイギスさんって思っていたより凄い人だったんですね」
「ブラッドのことなんてほっときましょ。それよりリアはどうして試合にエントリーしなかったの?あなたの実力じゃあ優勝も夢じゃないわよね?」
「私も気になってた」
ソフィアさん、アンさんは前に乗り出した。そのせいで胸が。ソフィアさんの胸が当たっている。
「ちょっとみなさん落ち着いて。話しますから、話しますから!!」
ラックさん、僕の後ろで怖がっているよ。やっぱりこういうの苦手なんだな。悪いことしちゃったな。
僕は手を前に出し二人に下がるように言った。
「僕は別の目的で来たんですよ。それでたまたま試合がやっていたというわけでして」
それを聞いたアンさんは頬杖をつき、ソフィアさんは顔に指を当てていた。
アンさん、なんだかニヤニヤしていません?
「へえ~、じゃあ、知らないで来たんだ。でもよかったかも。君と当たっていたら私たち優勝できなかったし」
「リア君ってそんなに強かったんだね。イグニスの人達に言われるぐらいだから本当に強いんだろうなあ」
ラックさんが水を飲みながらそんなことをつぶやく。アイギスさんは目を丸くしていた。
そんなに驚くことかな。でも弱く見られるのは、それはそれでいいかも知れない。相手が油断してくれるってことだから。
「お待たせ、頼まれた品だよ」
そんなことを考えていると、後ろできれいにミルクティー色の髪をまとめている若いお姉さんが頼んでいた食事を運んできてくれた。
「ありがとう。マーゴット」
「ラックさん、知り合いですか?」
「リア君、彼女が僕の彼女さ」
「ええ、そうなんですか。初めましてマーゴットさん。僕はリアと言います」
「初めましてリア君。ラックが迷惑かけなかったかしら」
マーゴットさんは頬に手を当て、困っているようなそぶりを見せる。
「マーゴット、そんなこと言わなくても」
「いえ、いえ、そんなことありませんよ」
「それは良かった。いっぱい食べていってね」
「はい」
マーゴットさん、やさしいお姉さんって感じの人だったな。いっぱい甘やかしてくれそうな感じの。それに笑顔がとても似合う人。
僕はさっそく頼んでいたシチューを口に運ぶ。おいしい。これ誰が作っているんだろう。やさしい味だ。リンさんのオムライスもやさしい味がしたけどこのシチューは心を包み込んでくれるような味。家庭的な味というかなんというか。
「ラックといったかしら?あなたもすみにおけないわね」
「そんなこと言ってソフィア、本当はうれしいくせに」
「何言ってるのよ、アン!!」
「だってさっき明らかに安心していたよね?」
「気のせいよ、気のせい」
盛り上がっているなあ。
なんだかソフィアさんの耳が少し赤くなっている気がする。気のせいかな。
「もう早く私たちも注文しちゃいましょう。ドニが食べ終わってしまうわ。また勝手にふらりと出て行って迷子になられても困るもの」
ドニさんって迷子属性の人だったんだ。なんとなくイグニスのパーティー内での力関係というか立場?みたいなのが分かってきた気がする。
「じゃあバイバイ。会場で明日会えると思うけど」
「はい。また明日」
そうしてイグニスの人達と僕たちは別れた。そういえば本来の目的忘れている気がする。
「ラックにリア、これからちょっといいか」
「僕は大丈夫です」
「僕はその、マーゴットと帰る約束が」
「彼女もできれば同伴してもらいたい。彼女にもいてもらった方がいい」
アイギスさんは先ほどの夕食のときと違って真剣な顔をしていた。僕とラックさんは思わず唾を飲み込んだ。
「分かりました。連れてきます。そろそろ終わると思うので」
「すまない」
「いえ、大丈夫です」
ラックさんは再び店内に入りマーゴットさんを迎えに行った。
そして10分も経たないうちにラックさんとマーゴットさんが店から出てきた。
「待たせてしまってすみません」
マーゴットさんは僕たちのところに来るなりそう言った。
「いえ、大丈夫です」
「そういってもらえると助かります」
うわ、笑顔がまぶしい。それにマーゴットさんの隣にいるラックさんはうれしそうだし。幸せオーラがすごい。
「後でいくらでも殴ってもらって構わない。リア達を巻き込むことを許して欲しい」
全員がそろうなりアイギスさんは頭を下げ、そう僕たちに告げたのだった。
「あの僕、未成年なんですけど入ってもいいんでしょうか?」
「ここはね、夜が酒場なんだ。夕方は普通の飲食店なんだよ」
「そうなんですね」
ラックさんがそう言うならそうなのだろう。ラックさんはこの国に住んでいるみたいだし。
「いらっしゃいませ。3名様ですね。席はこちらになります」
周りを見渡したところ冒険者とかが多い気がする。今日勝った人の打ち上げかな。
僕はラックさんの隣に座り、アイギスさんは反対側に座った。
「好きな物を食べるといい。私のおごりだ」
「本当ですか!ありがとうございます」
この前、銀の剣買ったから懐が寂しかったんだよね。ラックさんも家買うって言ってたからお金貯められるのうれしいだろうな。そう思ってラックさんを見てみると周りに花がポアポア舞っていた。僕は思わず目をこする。ああ、幻覚だった。
「何食べようかな」
僕はメニュー表を開き、隣にいるラックさんと一緒に見た。
「ここはオムライスが人気なんだよ」
「そうなんですね」
オムライスか。オムライスはリンさんが作ったものを食べたいな。これが終わったら作ってもらえるかな。
次に人気なのは――。
「あら、君はあのときの。ここで会うとは思わなかったわ。元気にしていた?」
僕は声の主の方を見た。ソフィアさんだ。
「はい。元気です。ソフィアさん達もあの後大丈夫でしたか?」
「ええ。おかげさまで。ありがとうね」
「はい。どういたしまして」
これはまずい展開だよね。ソフィアさんたちは僕の名前を知っているし。ロジェはなんだか名前隠したがっていたし隠しといた方がいいんだよね。どっどっどうしよう。このまま行ってくれないかな。
僕の顔から汗がドバドバ流れている気がする。
「君が助けてくれたみたいだね。僕はあのとき意識が朦朧としていてお礼を言えなかったからいつかお礼を言わないといけないと思っていたんだ。名前は――――」
「ああああ!!」
僕は名前を言われそうになって思わず叫び声を上げる。
「リア君?!いきなり叫んでどうかしたの?」
ラックさんが僕の叫び声でびくりと肩を揺らす。そして心配そうに僕を見た。アイギスさんも不思議そうに僕を見ている。
「何言ってんだ?この緑頭の男は?名前違うだろ。坊主の名前は――イギャア!!」
ブラッドさんが痛そうな悲鳴を上げた。そして何すんだみたいな顔でアンさんを見ていた。僕もブラッドさんの視線につられ思わずアンさんを見た。
アンさんは僕に向かってウインクした。アンさん!!ありがとうございます。今アンさんが救世主に見えます。
僕はアンさんに向かって軽くお辞儀をした。それによりブラッドさんがどうなっているか分かってしまった。思いっきり足をアンさんにふまれていた。うわ、痛そう。
「えっと、リア。あのときはありがとう。二人にもお礼を言おうと思っていたんだけど今日は一緒じゃないみたいだね」
ドニさんは深々と頭を下げた。
「いえ、いいんです。頭を上げてください。ピンチのときはお互い様ですよ。――それと2試合目進出おめでとうございます」
「そう言ってくれるとありがたい。リアも試合に出るのかい?今日は出ていなかったみたいだけど」
「ああ、はい。一応ここにいるメンバーとネルさんと出るんです。僕は助っ人枠なので明日の試合だけですけど」
「ここで話しているのもなんだし一緒に食べようぜ。そこの人たちいいだろ?」
「私は構わないが……。ラックはどうだ?」
「僕もいいよ」
ラックさん、ブラッドさんみたいな強引な感じの人苦手なのかも知れない。僕の後ろに隠れているし。それにあったときから気が弱そうだったしな。
「それじゃ、お邪魔しまーす」
僕の隣にアンさんとソフィアさんが座り、アイギスさんの隣にブラッドさんとドニさんが座った。なんだかあっち窮屈そうだな。アイギスさんとブラッドさん体格しっかりしているし、ドニさんはすらりとしているけど背が高いからな。
「アイギスさん、今度俺と勝負してくれませんか?」
「ちょっとブラッド、いきなり何言ってんのよ」
「ソフィアの言うとおりだよ、ブラッド」
イグニスの女性人達が突飛なことを言ったブラッドさんを非難する。ドニさんはというと3人のことはお構いなしに注文していた。マイペースな人だな、この人。僕達も頼んじゃおう。
「別に構わんが。その前に試合で当たるかも知れないな」
「俺、絶対勝ち残りますから」
「ああ。頑張れ」
「はい」
「ブラッドさんってアイギスさんのファンかなんか何ですか?」
「お前、知らないのか?アイギスさんはこの国で英雄扱いされているんだぞ。それに剣使いなら一度はアイギスさんと戦って見たいって思うだろ?」
「知らなかった。アイギスさんって思っていたより凄い人だったんですね」
「ブラッドのことなんてほっときましょ。それよりリアはどうして試合にエントリーしなかったの?あなたの実力じゃあ優勝も夢じゃないわよね?」
「私も気になってた」
ソフィアさん、アンさんは前に乗り出した。そのせいで胸が。ソフィアさんの胸が当たっている。
「ちょっとみなさん落ち着いて。話しますから、話しますから!!」
ラックさん、僕の後ろで怖がっているよ。やっぱりこういうの苦手なんだな。悪いことしちゃったな。
僕は手を前に出し二人に下がるように言った。
「僕は別の目的で来たんですよ。それでたまたま試合がやっていたというわけでして」
それを聞いたアンさんは頬杖をつき、ソフィアさんは顔に指を当てていた。
アンさん、なんだかニヤニヤしていません?
「へえ~、じゃあ、知らないで来たんだ。でもよかったかも。君と当たっていたら私たち優勝できなかったし」
「リア君ってそんなに強かったんだね。イグニスの人達に言われるぐらいだから本当に強いんだろうなあ」
ラックさんが水を飲みながらそんなことをつぶやく。アイギスさんは目を丸くしていた。
そんなに驚くことかな。でも弱く見られるのは、それはそれでいいかも知れない。相手が油断してくれるってことだから。
「お待たせ、頼まれた品だよ」
そんなことを考えていると、後ろできれいにミルクティー色の髪をまとめている若いお姉さんが頼んでいた食事を運んできてくれた。
「ありがとう。マーゴット」
「ラックさん、知り合いですか?」
「リア君、彼女が僕の彼女さ」
「ええ、そうなんですか。初めましてマーゴットさん。僕はリアと言います」
「初めましてリア君。ラックが迷惑かけなかったかしら」
マーゴットさんは頬に手を当て、困っているようなそぶりを見せる。
「マーゴット、そんなこと言わなくても」
「いえ、いえ、そんなことありませんよ」
「それは良かった。いっぱい食べていってね」
「はい」
マーゴットさん、やさしいお姉さんって感じの人だったな。いっぱい甘やかしてくれそうな感じの。それに笑顔がとても似合う人。
僕はさっそく頼んでいたシチューを口に運ぶ。おいしい。これ誰が作っているんだろう。やさしい味だ。リンさんのオムライスもやさしい味がしたけどこのシチューは心を包み込んでくれるような味。家庭的な味というかなんというか。
「ラックといったかしら?あなたもすみにおけないわね」
「そんなこと言ってソフィア、本当はうれしいくせに」
「何言ってるのよ、アン!!」
「だってさっき明らかに安心していたよね?」
「気のせいよ、気のせい」
盛り上がっているなあ。
なんだかソフィアさんの耳が少し赤くなっている気がする。気のせいかな。
「もう早く私たちも注文しちゃいましょう。ドニが食べ終わってしまうわ。また勝手にふらりと出て行って迷子になられても困るもの」
ドニさんって迷子属性の人だったんだ。なんとなくイグニスのパーティー内での力関係というか立場?みたいなのが分かってきた気がする。
「じゃあバイバイ。会場で明日会えると思うけど」
「はい。また明日」
そうしてイグニスの人達と僕たちは別れた。そういえば本来の目的忘れている気がする。
「ラックにリア、これからちょっといいか」
「僕は大丈夫です」
「僕はその、マーゴットと帰る約束が」
「彼女もできれば同伴してもらいたい。彼女にもいてもらった方がいい」
アイギスさんは先ほどの夕食のときと違って真剣な顔をしていた。僕とラックさんは思わず唾を飲み込んだ。
「分かりました。連れてきます。そろそろ終わると思うので」
「すまない」
「いえ、大丈夫です」
ラックさんは再び店内に入りマーゴットさんを迎えに行った。
そして10分も経たないうちにラックさんとマーゴットさんが店から出てきた。
「待たせてしまってすみません」
マーゴットさんは僕たちのところに来るなりそう言った。
「いえ、大丈夫です」
「そういってもらえると助かります」
うわ、笑顔がまぶしい。それにマーゴットさんの隣にいるラックさんはうれしそうだし。幸せオーラがすごい。
「後でいくらでも殴ってもらって構わない。リア達を巻き込むことを許して欲しい」
全員がそろうなりアイギスさんは頭を下げ、そう僕たちに告げたのだった。
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