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四章 討伐
討伐
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鎌と剣がぶつかりあい火花を散らす。その背後からオリヴィアさんが回し蹴りをするが吸血鬼は僕を押し切り回し蹴りをかわす。
まただ。
前に龍馬に言われたことと同じ。 僕の一撃が軽いのが原因。
頭では分かっていても吸血鬼の鎌の攻撃に集中してしまいどうしても一撃が軽くなってしまう。このままじゃ僕は足手まといだ。
でも諦めるのも嫌だ。だったら……。
「オリヴィアさん、僕は一時撤退します!」
オリヴィアさんの水色の目が見開かれる。しかしすぐに了解したというようにうなずき吸血鬼との戦闘に戻った。
これでいい。僕が今できること。一撃一撃が軽いならこの一撃にすべての力を込めるまで!!
僕は建物の上に壁をつたってかけあげる。
オリヴィアさんと吸血鬼の間合いが開いた瞬間がチャンス。絶対に見逃してはいけない。
今!
僕は銀の剣を構え建物から飛び降りる。
重力と自分の力を加えた一撃。これなら!!
「殺気がダダ漏れだ」
気づかれた。でもこの攻撃をたとえかわしたとしても隙が生まれるはず!! オリヴィアさんはこの隙を絶対に見逃さない。
一緒に訓練したから分かる。何度もオリヴィアさんに僕はやられたんだから!!
僕の元に町のあらゆる物が飛んでくる。吸血鬼の念力だ。
物が当たった衝撃で体中にあざができる。それにガラスの破片も飛んできて切り傷ができる。でも今は痛みを感じない。
僕はこの一撃を決める!!
「はあぁぁぁぁぁ!!!!」
吸血鬼の肩から脇腹にかけて攻撃が当たる。しかしよけられたせいか傷は浅いようだった。
でも僕の一撃をかわしたことで吸血鬼に隙が生まれた!!
「これで終わり」
吸血鬼の背後からオリヴィアさんがとどめと言わんばかりに心臓に向かって本気の打撃を加えようとしたそのとき――
「だめ、オリヴィア姉ちゃん!! その吸血鬼を殺してはいけなかったんだ!!」
ロジェの声が僕の後ろから聞こえる。
しかし、オリヴィアさんの攻撃はすでに止められるところは終わっている。いまさら攻撃をやめるなんて無理だった。
オリヴィアさんの打撃が吸血鬼に当たる。ロジェが叫んだことで打撃の威力は少し緩んだがそれでも吸血鬼にとっては致命傷だった。
吸血鬼の口から血が吐き出される。そして鎌で自分の体を支え壁に寄りかかるように倒れた。
「お前ら、許さない。許さない!」
今にも死にそうだった。しかし歯を食いしばり、親の敵を見るかのように僕たちをにらみつけ怒りをぶつける。そして足下からだんだん灰になり風に飛ばされていった。
最後の言葉は誰の言葉だったのか。
吸血鬼? それともカイルさん? それとも両方だったのか。今となっては分からない。
これで良かったんだろうか。戦闘中、義叔父さんの意志らしきものも感じなかったといえば嘘になる。
そもそも義叔父さんは本当に狂っていたんだろうか? 狂っていたというより一つの器にもう一人の人格があるって感じだった気がする。いや、それも狂っていると言えば狂っているのかも知れない。
「ロジェ、殺してはいけなかったってどういうこと?」
オリヴィアさんがロジェの元に行き、問いかける。
よく見ればロジェはボロボロだった。どうして? ロジェはさっきの戦闘に参加していなかった。そうなると途中でどこかに行ったことが原因なんだろうけど……。
「だって、その吸血鬼は町を騒がしている吸血鬼じゃない。それどころか――――――」
最後まで言葉は紡がれなかった。僕たちの周りが突如として強風に包まれたからだ。このままじゃあ吹き飛ばされる!!
僕は慌ててロジェを守るように抱きついた。
「邪魔をしちゃいけないよ、ロジェ。あなたたちの役目はこれで終わり。だから、この町から何も言わず出て行ってくれるとうれしいな」
「エアリエル……」
まただ。
前に龍馬に言われたことと同じ。 僕の一撃が軽いのが原因。
頭では分かっていても吸血鬼の鎌の攻撃に集中してしまいどうしても一撃が軽くなってしまう。このままじゃ僕は足手まといだ。
でも諦めるのも嫌だ。だったら……。
「オリヴィアさん、僕は一時撤退します!」
オリヴィアさんの水色の目が見開かれる。しかしすぐに了解したというようにうなずき吸血鬼との戦闘に戻った。
これでいい。僕が今できること。一撃一撃が軽いならこの一撃にすべての力を込めるまで!!
僕は建物の上に壁をつたってかけあげる。
オリヴィアさんと吸血鬼の間合いが開いた瞬間がチャンス。絶対に見逃してはいけない。
今!
僕は銀の剣を構え建物から飛び降りる。
重力と自分の力を加えた一撃。これなら!!
「殺気がダダ漏れだ」
気づかれた。でもこの攻撃をたとえかわしたとしても隙が生まれるはず!! オリヴィアさんはこの隙を絶対に見逃さない。
一緒に訓練したから分かる。何度もオリヴィアさんに僕はやられたんだから!!
僕の元に町のあらゆる物が飛んでくる。吸血鬼の念力だ。
物が当たった衝撃で体中にあざができる。それにガラスの破片も飛んできて切り傷ができる。でも今は痛みを感じない。
僕はこの一撃を決める!!
「はあぁぁぁぁぁ!!!!」
吸血鬼の肩から脇腹にかけて攻撃が当たる。しかしよけられたせいか傷は浅いようだった。
でも僕の一撃をかわしたことで吸血鬼に隙が生まれた!!
「これで終わり」
吸血鬼の背後からオリヴィアさんがとどめと言わんばかりに心臓に向かって本気の打撃を加えようとしたそのとき――
「だめ、オリヴィア姉ちゃん!! その吸血鬼を殺してはいけなかったんだ!!」
ロジェの声が僕の後ろから聞こえる。
しかし、オリヴィアさんの攻撃はすでに止められるところは終わっている。いまさら攻撃をやめるなんて無理だった。
オリヴィアさんの打撃が吸血鬼に当たる。ロジェが叫んだことで打撃の威力は少し緩んだがそれでも吸血鬼にとっては致命傷だった。
吸血鬼の口から血が吐き出される。そして鎌で自分の体を支え壁に寄りかかるように倒れた。
「お前ら、許さない。許さない!」
今にも死にそうだった。しかし歯を食いしばり、親の敵を見るかのように僕たちをにらみつけ怒りをぶつける。そして足下からだんだん灰になり風に飛ばされていった。
最後の言葉は誰の言葉だったのか。
吸血鬼? それともカイルさん? それとも両方だったのか。今となっては分からない。
これで良かったんだろうか。戦闘中、義叔父さんの意志らしきものも感じなかったといえば嘘になる。
そもそも義叔父さんは本当に狂っていたんだろうか? 狂っていたというより一つの器にもう一人の人格があるって感じだった気がする。いや、それも狂っていると言えば狂っているのかも知れない。
「ロジェ、殺してはいけなかったってどういうこと?」
オリヴィアさんがロジェの元に行き、問いかける。
よく見ればロジェはボロボロだった。どうして? ロジェはさっきの戦闘に参加していなかった。そうなると途中でどこかに行ったことが原因なんだろうけど……。
「だって、その吸血鬼は町を騒がしている吸血鬼じゃない。それどころか――――――」
最後まで言葉は紡がれなかった。僕たちの周りが突如として強風に包まれたからだ。このままじゃあ吹き飛ばされる!!
僕は慌ててロジェを守るように抱きついた。
「邪魔をしちゃいけないよ、ロジェ。あなたたちの役目はこれで終わり。だから、この町から何も言わず出て行ってくれるとうれしいな」
「エアリエル……」
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