僕は幸せになるために復讐したい!

雨夜澪良

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三章 依頼任務

魔王城にて (主人公の裏側サイド)

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 ここは魔王城の客室。魔王ルシファーが客室に飛び込んできた。

「ティアたん、オリヴィアちゃんから手紙きてたよ」

「持ってきてくれてありがとう。だが、ノックくらいはしてくれないか?」

 ユースティアは椅子から立ち上がり、ルシファーの元へと近づく。そして、感謝と苦言を呈しながら、手紙を受け取った。
 
「はあ、こんなのが主とは。どうして、あなたの前ではこんなにダメになるんだか」

 今、客室に入ってきたのはルシファーの側近であるパルウェ。

 パルウェは額に手を当てながら、ため息を吐いた。

「パルウェ、分からないか。それはティアたんが強くてかっこよくてかわいいからだ」

 再び、パルウェはため息を吐く。

「まあ、そうですけど。あんたの『僕何かおかしなこと言いましたか』って言う態度がむかつくんだよ!! ちょっとはユースティア様の前でかっこよく見せようとか思わないんですか!」

「ティアたんの前では僕のかっこよさもかすんでしまうからね」

 髪をなびかせながら言うルシファーにパルウェの体はさらにプルプルと震え始めた。

「このナルシストが! 美形なのは認めますけど。ああ、くやしい!! 私だってあなたよりいえ、あなたの次くらいにはかっこいいのに!!」

 今度はユースティアからため息がもれた。

「朝から仲いいな。仲いいのは分かったから少し静かにしてほしい」

「仲良くない!!」

(二人同時に言っている時点で仲いいではないか)

 ユースティアは椅子に座ると、封を開け、手紙を開く。
 書かれている内容はエルフの里の冒険者の件と聖女のお告げだった。未来予知に近いものというべきか。

 エルフの里の冒険者の件については大丈夫だろうと軽く読み流し、お告げの方を詳しく読み込んだ。

「ティアたん、何が書かれていたの?」

 下から見つめるルシファー。その後ろでパルウェも内容が気になるのかどこかそわそわしていた。

「聖女の能力で見たものだ」

「ああ、聖女の能力にはたまに未来が見えるというものがあるんでしたね。しかも、その未来は外れないという」

「そうだ。だかほんの少ししか見えないからほとんど役に立ったことはないがな。内容的にはルシファーとヒエロニウスが戦うらしい」

「え、こいつとヒエロニウスが戦うんですか?」

 パルウェは目をパチクリさせながら、ルシファーに向かって指を指す。

「指指しながらこいつとは何だ、こいつとは。仮にも魔王だぞ」

「ああ、はいはい。魔王様」

 プンプンと怒っているルシファーにパルウェはめんどくせぇという顔をしながら、肩をすくめた。

「扱いがひどい!」

「これではなんで戦うことになるかわからないな。真実眼で見てみるか」

 能力『真実眼』

 この能力はその名の通り真実が見える。例えば、人の急所や筋肉の動き。その他にも物理法則や相手が嘘をついているかどうかなども見える。本来、未来を見ることに使うことはないのだが、能力を覚醒しているユースティアには起きうる未来を確率で見ることも可能となっている。


「獣国シネラリア国と人族アヴァイル国の戦争が関わっている確率が九十五パーセント、そしてそれにルシファーが巻き込まれる確率が八十五パーセント、ヒエロニウスが戦争に関与する確率九十パーセント」

 能力解除

 能力を解除した途端、ユースティアの頭に鋭い痛みが走った。思わず、額に手をあてる。

「つまり、主は戦争に巻き込まれてそこでヒエロニウスに遭遇。そこから戦闘に発展といったところですか?」

「そうだ」

「何、巻き込まれてんだバカ主!」

 部屋にパルウェの怒鳴り声が響き渡った。ユースティアは軽くうめき声を上げた。今のは頭に響く。

 二人はそんなユースティアにお構いなしにケンカ? をし始めた。

「まだ、僕、巻き込まれてないんだけど!」

「なに、『まだ僕、やってませんけど』って態度してやがる。どちらにしろ巻き込まれるんだろうが! 結局、やるんだろうが! そこに正座しやがれ」

「はい……」

 ルシファーは大人しく正座しながらティアに懇願の目を向けた。

「そんな目で見ても私は助けないぞ。巻き込まれたくないからな。諦めて怒られろ」

「そんなぁ」

 ユースティアはそう言うと退出し、廊下にいたメイドに朝食をお願いする。

 その後、パルウェの説教が二時間ほどルシファーに降り注ぐのは言うまでもない。
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