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番外編
私の悩み 14
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とにかく、令嬢たちに知られる前に、ルイスをなんとかしないと…。
「そうだ、ダン。モーラにだけ、その魔石ライトで光をあて、知らせてみたらどうだ? こちらをむいた時に、ルイスのほうを手で示して教えるんだ。そうしたら、モーラは事情を察してくれるだろう」
「そうですね…。モーラさんは、少しテーブルから離れていますので、魔石ライトの光を弱めたら、モーラさんにだけ知らせることもできるかもしれません。強い光だと、令嬢たちにも気づかれると思いますが…」
「そのライトは、光の量を調節できるのか?」
「ええ、3段階あります。ちなみに、光の色も、赤になら変更できます」
「おお、それはいい! 赤なら警告だろう? よし、では、二人で流れ作業だ。ダンが、モーラに弱くて赤い光をあてる。私は、モーラがこちらを向いた瞬間、全力で、ルイスを指し示す」
「了解しました! こっちは、いつでも準備OKです」
と、魔石ライトをモーラに向かって固定した、ダン。
私はダンの隣に立つ。モーラがこちらを向いた瞬間が勝負だ。
「では、ダン。モーラに光を!」
と、私が合図をだした。
ダンがスイッチを押すカチリという音がして、光がでた。
細くて、弱い光。
テーブルから少し離れたところに立つ、モーラの額に、赤い光が命中した。
モーラが驚いたように、こちらを向いた。
よしっ! 次は私の出番だ。
渾身の力で、両腕を大きくルイスのいる方向へ向けて、示した。
頼む。モーラ、気づいてくれ!
と、思ったら、モーラがいきなり走り出した。
「え…? モーラ、どうした…? どこへ行く…?」
すると、モーラは、フィリップの隣までかけより、こちらの方向を向いて、両腕をひろげて立った。
フィリップを守るように。
「王太子様! 伏せてください! 不審な光がこちらを狙っております! 暗殺やもしれません! だれかっ!!」
魔石スピーカーから、モーラのあせったような叫び声がした。
は…? 暗殺…?!
いやいや、違うぞ、私の顔をしっかり見ろ、モーラ!
あ、それよりもライト!
「ダン、ライトを消せっ!」
あわてて命じる。
が、時すでに遅く、モーラの叫び声に、令嬢たちが悲鳴をあげた。
庭に配置されていた護衛たちが駆けて来る。
「あ、しかも、ルイス殿下まで…! まずいです!」
と、ダン。
見ると、ルイスが模造の剣を構えて、ものすごいスピードで、フィリップめがけて走り寄ってきた。
兄を守ろうとする心意気は尊いが、今はやめてくれ…。
もちろん、護衛騎士のダレンが、すぐにルイスの前へまわった。何か話しかけて、引きとめようとしたが、ルイスが首を横に振った。
危ないから止めようとしたのだろうが、ルイスが拒否したというところか…。
ひきとめをあきらめたダレン。ルイスを守りつつ、敵をけちらすような鋭い目つきで、まわりを警戒しながら走りだす。
これは面倒なことになったな…。
「ダン…。モーラには、私が誰だか見えていないのか…?」
「ええ。うっかりしておりましたが、私たちは、魔石のレンズが入った眼鏡をかけて、あちらを見ているので、はっきり見えます。が、向こうからは、結構、距離があるので、こちらがどれほど見えるかは、その人の視力によるかと…」
「そうだった。眼鏡、かけてたな…。すごいな、魔石レンズの眼鏡は…。快適すぎて、かけてることすら、すっかり忘れてたよ…」
と、ダレンとルイスがテーブルの近くにたどり着いた。
そのとたん、令嬢たちの目がルイスに釘付けになる。
さっきまで悲鳴をあげていたのが嘘のように、熱のこもった目で、ルイスを見ている令嬢二人。
まずい、まずすぎる…。
フィリップが、猛然と椅子から立ちあがると、ルイスに近づいた。
そして、言った。
「ダメだよ、ルイス。ここにはルイスを狙う魔物がいるんだから。さあ、早く、あっちへ行こう」
魔物…?
「兄様、でも、暗殺って聞こえて…」
「ああ、あれはただの魔石ライトだから、害はないよ。どうせ、魔石マニアのダンの仕業だろ? 何がしたいのか、意味不明だよね? テーブルに、魔石スピーカーもしこんでるし。ダンがいるということは、当然、父上がいる。つまり、父上は、こそこそ、のぞいてたってことでしょ? ほんと、王なのに、何してるんだろうね?」
全部、ばれてる…。それと、好き好んで覗いていたわけじゃないぞ!
フィリップを…いや、違うな…、令嬢たちの身の安全を心配して、見守っていただけだ!
「ルイス。ここにいたら、ルイスを狙う視線のほうが、害があるからね。早く、ここから離れよう。…それにしても、ルイスは、なんて優しいうえに勇敢なんだろう! 兄様の危機だと思って、助けにきてくれたんだよね! もうこの感動だけで一カ月は何も食べなくても生きていけると思う。ありがとう、ルイス。…でもね、ルイス。これからは、兄様を助けようとしたら絶対にダメだからね。 危ない時は、逃げて。ルイスが傷ついたら、兄様は悲しくて立ち直れないからね? わかった?」
と、一気にまくしたてたフィリップは、ルイスの背中に手をあてて、王宮のほうへと歩き始めた。
まわりの混沌をまるっと無視して…。
というか、フィリップ、一応、見合いだろう?!
まさか、令嬢たちを、このまま放置していくのか?!
※ 不定期な更新ですみません!
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変、励まされております!
「そうだ、ダン。モーラにだけ、その魔石ライトで光をあて、知らせてみたらどうだ? こちらをむいた時に、ルイスのほうを手で示して教えるんだ。そうしたら、モーラは事情を察してくれるだろう」
「そうですね…。モーラさんは、少しテーブルから離れていますので、魔石ライトの光を弱めたら、モーラさんにだけ知らせることもできるかもしれません。強い光だと、令嬢たちにも気づかれると思いますが…」
「そのライトは、光の量を調節できるのか?」
「ええ、3段階あります。ちなみに、光の色も、赤になら変更できます」
「おお、それはいい! 赤なら警告だろう? よし、では、二人で流れ作業だ。ダンが、モーラに弱くて赤い光をあてる。私は、モーラがこちらを向いた瞬間、全力で、ルイスを指し示す」
「了解しました! こっちは、いつでも準備OKです」
と、魔石ライトをモーラに向かって固定した、ダン。
私はダンの隣に立つ。モーラがこちらを向いた瞬間が勝負だ。
「では、ダン。モーラに光を!」
と、私が合図をだした。
ダンがスイッチを押すカチリという音がして、光がでた。
細くて、弱い光。
テーブルから少し離れたところに立つ、モーラの額に、赤い光が命中した。
モーラが驚いたように、こちらを向いた。
よしっ! 次は私の出番だ。
渾身の力で、両腕を大きくルイスのいる方向へ向けて、示した。
頼む。モーラ、気づいてくれ!
と、思ったら、モーラがいきなり走り出した。
「え…? モーラ、どうした…? どこへ行く…?」
すると、モーラは、フィリップの隣までかけより、こちらの方向を向いて、両腕をひろげて立った。
フィリップを守るように。
「王太子様! 伏せてください! 不審な光がこちらを狙っております! 暗殺やもしれません! だれかっ!!」
魔石スピーカーから、モーラのあせったような叫び声がした。
は…? 暗殺…?!
いやいや、違うぞ、私の顔をしっかり見ろ、モーラ!
あ、それよりもライト!
「ダン、ライトを消せっ!」
あわてて命じる。
が、時すでに遅く、モーラの叫び声に、令嬢たちが悲鳴をあげた。
庭に配置されていた護衛たちが駆けて来る。
「あ、しかも、ルイス殿下まで…! まずいです!」
と、ダン。
見ると、ルイスが模造の剣を構えて、ものすごいスピードで、フィリップめがけて走り寄ってきた。
兄を守ろうとする心意気は尊いが、今はやめてくれ…。
もちろん、護衛騎士のダレンが、すぐにルイスの前へまわった。何か話しかけて、引きとめようとしたが、ルイスが首を横に振った。
危ないから止めようとしたのだろうが、ルイスが拒否したというところか…。
ひきとめをあきらめたダレン。ルイスを守りつつ、敵をけちらすような鋭い目つきで、まわりを警戒しながら走りだす。
これは面倒なことになったな…。
「ダン…。モーラには、私が誰だか見えていないのか…?」
「ええ。うっかりしておりましたが、私たちは、魔石のレンズが入った眼鏡をかけて、あちらを見ているので、はっきり見えます。が、向こうからは、結構、距離があるので、こちらがどれほど見えるかは、その人の視力によるかと…」
「そうだった。眼鏡、かけてたな…。すごいな、魔石レンズの眼鏡は…。快適すぎて、かけてることすら、すっかり忘れてたよ…」
と、ダレンとルイスがテーブルの近くにたどり着いた。
そのとたん、令嬢たちの目がルイスに釘付けになる。
さっきまで悲鳴をあげていたのが嘘のように、熱のこもった目で、ルイスを見ている令嬢二人。
まずい、まずすぎる…。
フィリップが、猛然と椅子から立ちあがると、ルイスに近づいた。
そして、言った。
「ダメだよ、ルイス。ここにはルイスを狙う魔物がいるんだから。さあ、早く、あっちへ行こう」
魔物…?
「兄様、でも、暗殺って聞こえて…」
「ああ、あれはただの魔石ライトだから、害はないよ。どうせ、魔石マニアのダンの仕業だろ? 何がしたいのか、意味不明だよね? テーブルに、魔石スピーカーもしこんでるし。ダンがいるということは、当然、父上がいる。つまり、父上は、こそこそ、のぞいてたってことでしょ? ほんと、王なのに、何してるんだろうね?」
全部、ばれてる…。それと、好き好んで覗いていたわけじゃないぞ!
フィリップを…いや、違うな…、令嬢たちの身の安全を心配して、見守っていただけだ!
「ルイス。ここにいたら、ルイスを狙う視線のほうが、害があるからね。早く、ここから離れよう。…それにしても、ルイスは、なんて優しいうえに勇敢なんだろう! 兄様の危機だと思って、助けにきてくれたんだよね! もうこの感動だけで一カ月は何も食べなくても生きていけると思う。ありがとう、ルイス。…でもね、ルイス。これからは、兄様を助けようとしたら絶対にダメだからね。 危ない時は、逃げて。ルイスが傷ついたら、兄様は悲しくて立ち直れないからね? わかった?」
と、一気にまくしたてたフィリップは、ルイスの背中に手をあてて、王宮のほうへと歩き始めた。
まわりの混沌をまるっと無視して…。
というか、フィリップ、一応、見合いだろう?!
まさか、令嬢たちを、このまま放置していくのか?!
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