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番外編
私の悩み 7
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が、その殺気をすぐさまおさえこみ、宝石だらけの令嬢に微笑みかけたフィリップ。
逆に怖い…。何を考えている?!
「ねえ、サラ嬢って、ぼくより2歳年下だったよね?」
なぜ、今、年を聞くんだ…?
フィリップの思惑が見えず、不安しかない。
「ええ、14歳です」
と、宝石だらけの令嬢が答えた。
というか、14歳で、何故、あれほどの宝石をつけている?
宝石目当てで狙われるかもしれないし、重いし、動きにくいだろう。それに、なにより、変だ。
デメリットしか浮かばないな…。
が、今は、令嬢よりも、フィリップに注意を払わねば!
フィリップの怖さに気が付いたらしい木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、本当に木の実のように、動かなくなった。
もはや、大きい木の実として、庭の木々に同化しようとしている。
フィリップにしても、ターゲットから外したようで、存在を忘れたかのように視界にも入れていない。
木の実の令嬢、フィリップの危険に気づいてくれて礼を言うぞ!
こちらも、一人に集中して守ればいいから、助かる。
と、心で語りかけていると、フィリップが意味ありげな笑みを浮かべた。
「ぼくの弟のルイスは10歳。まだ、婚約者はいないんだ。君は、婚約者が4歳年下というのはどう思う? 年下は嫌かな?」
と、やけに優しい声をだすフィリップ。
アイスバーク侯爵令嬢! これは罠だ! 言葉に気をつけろ!
「ルイス殿下なら、4歳年下でも、全く問題ないです!」
前のめりで答えたアイスバーク侯爵令嬢。
いや、問題ありありだ。
本当にやめてくれ…。
「そう…。じゃあ、もしも、サラ嬢に、ルイスの婚約者候補になって欲しいってお願いしたら、受けてくれるの?」
と、これまた、優しい声で、誘導していくフィリップ。
これも罠だ! 受けないと、即答しろ!!
私は、令嬢に向かって心の中で絶叫する。
が、魔石のスピーカーから聞こえてきたのは、嬉々とした声。
「もちろんです! 喜んで、お受けいたします!」
ああ、最悪だ。
宝石だらけの令嬢よ…。
まずもって、ここにいる意味を忘れてどうする?
ここにきているのは、一応、フィリップとの見合いだぞ?
ルイスに、簡単になびくな…。
が、見合い相手から、そんな失礼な態度をとられても、フィリップ自身は、痛くもかゆくもないらしい。
というか、そんなことは思いもしないんだろう。
ほら、あの目。
ルイスへ近寄る者を次々と駆除してきた時の目だ…。
フィリップは、黒々とした笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、サラ嬢。ルイスの婚約者候補として、君の誇れるところは何か教えてくれるかな?」
「美的センスには自信があります! 幼い頃より、高価な宝石や、高価な美術品に囲まれてましたから目がこえてるんです!」
胸をはって答えた、宝石だらけの令嬢。
いや、だから、身を守るためにも、危険を見極める目を持て!
と、さっきと同じことを、宝石だらけの令嬢に向かって、またもや、心の中で叫ぶ。
「なるほど。今日も、素晴らしい宝石をいっぱい身に着けてるもんね?」
「はい! まだ、沢山もってるんです。今日は、なかでも、お気に入りの高価な宝石ばかりをつけてきました!」
そう自慢げに言った。
さすが、金が全ての成金侯爵の娘だな。
14歳にして、「高価な」を何度使うことか…。
「でも、残念。ぼく、ルイスの婚約者に美的センスは求めてないんだ。だって、ルイスが美そのものだろう? 見せかけだけのありふれた美じゃなくて、内面からあふれだす美。もう、存在自体が美なの。そんな崇高で圧倒的な美を前に、美的センスなんて、無用じゃない?」
え…? フィリップは何を言っている?
ひとつずつの言葉は理解できても、文として、まるで意味がわからん…。
宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢もきょとんとしている。
そこで、フィリップが獲物をおいつめるように、アイスバーク侯爵令嬢のほうに、少しだけ身をのりだした。
顔は笑っているが、襲いかかる寸前のような鋭い目…。
「それよりも、ルイスには優しい子がいいなあ」
と、フィリップ。
おっ、雰囲気は猛禽類だが、言ってることは、ごく普通だ…。
少しだけ、ほっとする。
きょとんとしていた宝石だらけの令嬢も、我に返ったように声をあげた。
「あの、私、優しいんです! お父様にも、しょっちゅう言われます。サラは優しい子だねって」
宝石だらけの令嬢よ。それを自分で言うか…?
しかも、娘を甘やし放題の父親が言った言葉なんて、全く信憑性がないじゃないか…。
「そう? なら、良かった。でも、ぼくが、ルイスの婚約者に求めるのは、普通の優しさじゃないんだ。だってね、ルイスはどう考えても、天使でしょう? だから、天使を少しでも汚すような令嬢は認められないの。天使を天使以上の優しさで包んでくれるような婚約者じゃないとね。だから、君の優しさがどれくらいの優しさなのか、ちょっと見せてもらおうかな?」
そう言って、フィリップは、真っ黒い笑みを見せた。
フィリップ…。おまえは、一体何を言ってるんだ?
父である私には、今の文もまるで理解できなかったぞ…。
それに、ルイスは天使じゃない。間違いなく人間だ!
※ この「私の悩み」編は、過去のお話になります。王太子が16歳、ルイスが10歳です。ちなみに、ルイスは、まだアリスと出会っていません。最初にも注釈をつけましたが、今回、年齢のくだりがでてきたので、再度ここでも書いておきます。
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変励みになります!
逆に怖い…。何を考えている?!
「ねえ、サラ嬢って、ぼくより2歳年下だったよね?」
なぜ、今、年を聞くんだ…?
フィリップの思惑が見えず、不安しかない。
「ええ、14歳です」
と、宝石だらけの令嬢が答えた。
というか、14歳で、何故、あれほどの宝石をつけている?
宝石目当てで狙われるかもしれないし、重いし、動きにくいだろう。それに、なにより、変だ。
デメリットしか浮かばないな…。
が、今は、令嬢よりも、フィリップに注意を払わねば!
フィリップの怖さに気が付いたらしい木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、本当に木の実のように、動かなくなった。
もはや、大きい木の実として、庭の木々に同化しようとしている。
フィリップにしても、ターゲットから外したようで、存在を忘れたかのように視界にも入れていない。
木の実の令嬢、フィリップの危険に気づいてくれて礼を言うぞ!
こちらも、一人に集中して守ればいいから、助かる。
と、心で語りかけていると、フィリップが意味ありげな笑みを浮かべた。
「ぼくの弟のルイスは10歳。まだ、婚約者はいないんだ。君は、婚約者が4歳年下というのはどう思う? 年下は嫌かな?」
と、やけに優しい声をだすフィリップ。
アイスバーク侯爵令嬢! これは罠だ! 言葉に気をつけろ!
「ルイス殿下なら、4歳年下でも、全く問題ないです!」
前のめりで答えたアイスバーク侯爵令嬢。
いや、問題ありありだ。
本当にやめてくれ…。
「そう…。じゃあ、もしも、サラ嬢に、ルイスの婚約者候補になって欲しいってお願いしたら、受けてくれるの?」
と、これまた、優しい声で、誘導していくフィリップ。
これも罠だ! 受けないと、即答しろ!!
私は、令嬢に向かって心の中で絶叫する。
が、魔石のスピーカーから聞こえてきたのは、嬉々とした声。
「もちろんです! 喜んで、お受けいたします!」
ああ、最悪だ。
宝石だらけの令嬢よ…。
まずもって、ここにいる意味を忘れてどうする?
ここにきているのは、一応、フィリップとの見合いだぞ?
ルイスに、簡単になびくな…。
が、見合い相手から、そんな失礼な態度をとられても、フィリップ自身は、痛くもかゆくもないらしい。
というか、そんなことは思いもしないんだろう。
ほら、あの目。
ルイスへ近寄る者を次々と駆除してきた時の目だ…。
フィリップは、黒々とした笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、サラ嬢。ルイスの婚約者候補として、君の誇れるところは何か教えてくれるかな?」
「美的センスには自信があります! 幼い頃より、高価な宝石や、高価な美術品に囲まれてましたから目がこえてるんです!」
胸をはって答えた、宝石だらけの令嬢。
いや、だから、身を守るためにも、危険を見極める目を持て!
と、さっきと同じことを、宝石だらけの令嬢に向かって、またもや、心の中で叫ぶ。
「なるほど。今日も、素晴らしい宝石をいっぱい身に着けてるもんね?」
「はい! まだ、沢山もってるんです。今日は、なかでも、お気に入りの高価な宝石ばかりをつけてきました!」
そう自慢げに言った。
さすが、金が全ての成金侯爵の娘だな。
14歳にして、「高価な」を何度使うことか…。
「でも、残念。ぼく、ルイスの婚約者に美的センスは求めてないんだ。だって、ルイスが美そのものだろう? 見せかけだけのありふれた美じゃなくて、内面からあふれだす美。もう、存在自体が美なの。そんな崇高で圧倒的な美を前に、美的センスなんて、無用じゃない?」
え…? フィリップは何を言っている?
ひとつずつの言葉は理解できても、文として、まるで意味がわからん…。
宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢もきょとんとしている。
そこで、フィリップが獲物をおいつめるように、アイスバーク侯爵令嬢のほうに、少しだけ身をのりだした。
顔は笑っているが、襲いかかる寸前のような鋭い目…。
「それよりも、ルイスには優しい子がいいなあ」
と、フィリップ。
おっ、雰囲気は猛禽類だが、言ってることは、ごく普通だ…。
少しだけ、ほっとする。
きょとんとしていた宝石だらけの令嬢も、我に返ったように声をあげた。
「あの、私、優しいんです! お父様にも、しょっちゅう言われます。サラは優しい子だねって」
宝石だらけの令嬢よ。それを自分で言うか…?
しかも、娘を甘やし放題の父親が言った言葉なんて、全く信憑性がないじゃないか…。
「そう? なら、良かった。でも、ぼくが、ルイスの婚約者に求めるのは、普通の優しさじゃないんだ。だってね、ルイスはどう考えても、天使でしょう? だから、天使を少しでも汚すような令嬢は認められないの。天使を天使以上の優しさで包んでくれるような婚約者じゃないとね。だから、君の優しさがどれくらいの優しさなのか、ちょっと見せてもらおうかな?」
そう言って、フィリップは、真っ黒い笑みを見せた。
フィリップ…。おまえは、一体何を言ってるんだ?
父である私には、今の文もまるで理解できなかったぞ…。
それに、ルイスは天使じゃない。間違いなく人間だ!
※ この「私の悩み」編は、過去のお話になります。王太子が16歳、ルイスが10歳です。ちなみに、ルイスは、まだアリスと出会っていません。最初にも注釈をつけましたが、今回、年齢のくだりがでてきたので、再度ここでも書いておきます。
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