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番外編
私の悩み 4
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ダンが置いた魔石のスピーカーから、フィリップの声が聞こえてきた。
「…と、簡単にぼくの自己紹介をしたところで、次は、君たちに自己紹介をしてもらおうかな?」
「なら、私が先に」
「いえ、私から」
と、気の強そうな令嬢たちの声。
「どっちからでもいいよ」
「では、やはり、爵位が上である私からですわね」
と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が言った。
その言い方は、何かと爵位や血筋を自慢する、ゴルラン公爵にそっくりだ。
「爵位は上って言われましてもね…。実質はどちらかしら?」
と、意味ありげに言ったのは、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢。
毒がある言い方だな…。
金をちらつかせて、嫌味っぽくしゃべる、アイスバーク侯爵にこちらもそっくり。
思わず、あの2人の顔を思い浮かべ、眉間にしわがよってしまう。
ゴルラン公爵家は歴史は古いが、事業の失敗もあり、財政が苦しい。
かたや、アイスバーク侯爵家は、領地の山から金が発掘されて、一気に羽振りがよくなった。
金に弱い下級貴族たちを従え、今や勢いづいている。
が、そんなことはどうでもいい!
この令嬢たちは、何故、自己紹介の順番を争ってるんだ?!
どう考えても、王太子妃になる器ではないだろう。
いくら変な服を着ようが、そんなことはどうでもいい。
王妃であるミラベルだって、ほぼ、騎士服しか着ないしな。
あ…、ほら、見ろ。
フィリップのやけに楽しそうな顔。
心置きなく、つぶしてやろうという心の声が伝わってくるようだぞ。
はあー、面倒なことにならないといいが…。
と、思ったとたん、フィリップが口をひらいた。
「君たちのことは、なんとなくわかったから、自己紹介はもういいよ。かわりに、ぼくのほうから質問をするね」
質問って、何を聞くんだ…。
嫌な予感しかない…。
「まずは、君たちが一番きれいだと思う色は何色かな? では、サラ嬢から答えて」
と、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢に微笑みかけた。
意外と普通の質問にほっとする。
が、何故、フィリップが、そんなことを聞くのか…?
わからない…。
「私はピンク色です。みんなに、よく、ピンク色が似合うって言われるんです!」
と、上目遣いで答えた宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢。
「へえ…」
興味がなさそうな声で答えたフィリップ。
聞いたくせに、反応はそれか…。
なら、何故、そんなことを聞く?
フィリップの質問の意図がまるでわからない。
表情を見ようと思ったら、ちょうどフィリップの服の金の部分に太陽の光があたり、まぶしすぎて見えない。
なんて服だ…。ほんとに、目がつぶれるな…。
「じゃあ、ジュディス嬢はどうかな?」
光の塊と化したフィリップが、今度は、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢に問いかけた。
「私はハシバミ色ですわ。とてもきれいで、私、大好きなんです! だから、今日もハシバミ色のドレスを着てきましたの!」
と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、媚びたような声で答えた。
フィリップの目の色が好きとアピールしているんだろうが、…やめたほうがいい。
あの腹黒には効かない。むしろ逆効果だぞ…。
と、思わず、令嬢の身を案じてしまう。
すると、横で控えていたダンがぼそっと言った。
「まあ、ウルスあたりならコロッとだまされて、喜ぶかもしれませが、王太子様には通用しませんよね」
俺は無言でうなずいた。さすが、ダン。私と同じ見立てか…。
ここで、フィリップの声が魔石をとおして、響いてきた。
「二人とも不正解!」
不正解…? いや、クイズではないだろう?
フィリップ、何を言ってるんだ?
我が息子ながら、考えていることが、まるでわからん…。
「…と、簡単にぼくの自己紹介をしたところで、次は、君たちに自己紹介をしてもらおうかな?」
「なら、私が先に」
「いえ、私から」
と、気の強そうな令嬢たちの声。
「どっちからでもいいよ」
「では、やはり、爵位が上である私からですわね」
と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢が言った。
その言い方は、何かと爵位や血筋を自慢する、ゴルラン公爵にそっくりだ。
「爵位は上って言われましてもね…。実質はどちらかしら?」
と、意味ありげに言ったのは、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢。
毒がある言い方だな…。
金をちらつかせて、嫌味っぽくしゃべる、アイスバーク侯爵にこちらもそっくり。
思わず、あの2人の顔を思い浮かべ、眉間にしわがよってしまう。
ゴルラン公爵家は歴史は古いが、事業の失敗もあり、財政が苦しい。
かたや、アイスバーク侯爵家は、領地の山から金が発掘されて、一気に羽振りがよくなった。
金に弱い下級貴族たちを従え、今や勢いづいている。
が、そんなことはどうでもいい!
この令嬢たちは、何故、自己紹介の順番を争ってるんだ?!
どう考えても、王太子妃になる器ではないだろう。
いくら変な服を着ようが、そんなことはどうでもいい。
王妃であるミラベルだって、ほぼ、騎士服しか着ないしな。
あ…、ほら、見ろ。
フィリップのやけに楽しそうな顔。
心置きなく、つぶしてやろうという心の声が伝わってくるようだぞ。
はあー、面倒なことにならないといいが…。
と、思ったとたん、フィリップが口をひらいた。
「君たちのことは、なんとなくわかったから、自己紹介はもういいよ。かわりに、ぼくのほうから質問をするね」
質問って、何を聞くんだ…。
嫌な予感しかない…。
「まずは、君たちが一番きれいだと思う色は何色かな? では、サラ嬢から答えて」
と、宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢に微笑みかけた。
意外と普通の質問にほっとする。
が、何故、フィリップが、そんなことを聞くのか…?
わからない…。
「私はピンク色です。みんなに、よく、ピンク色が似合うって言われるんです!」
と、上目遣いで答えた宝石だらけのアイスバーク侯爵家の令嬢。
「へえ…」
興味がなさそうな声で答えたフィリップ。
聞いたくせに、反応はそれか…。
なら、何故、そんなことを聞く?
フィリップの質問の意図がまるでわからない。
表情を見ようと思ったら、ちょうどフィリップの服の金の部分に太陽の光があたり、まぶしすぎて見えない。
なんて服だ…。ほんとに、目がつぶれるな…。
「じゃあ、ジュディス嬢はどうかな?」
光の塊と化したフィリップが、今度は、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢に問いかけた。
「私はハシバミ色ですわ。とてもきれいで、私、大好きなんです! だから、今日もハシバミ色のドレスを着てきましたの!」
と、木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、媚びたような声で答えた。
フィリップの目の色が好きとアピールしているんだろうが、…やめたほうがいい。
あの腹黒には効かない。むしろ逆効果だぞ…。
と、思わず、令嬢の身を案じてしまう。
すると、横で控えていたダンがぼそっと言った。
「まあ、ウルスあたりならコロッとだまされて、喜ぶかもしれませが、王太子様には通用しませんよね」
俺は無言でうなずいた。さすが、ダン。私と同じ見立てか…。
ここで、フィリップの声が魔石をとおして、響いてきた。
「二人とも不正解!」
不正解…? いや、クイズではないだろう?
フィリップ、何を言ってるんだ?
我が息子ながら、考えていることが、まるでわからん…。
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