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番外編
閑話 アリスノート 9
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「それより、ウルス。ルイスが8歳の頃、ぼくとの記念すべき時があったでしょ? その時にルイスが着てた服が、ルイスルームにある数多の宝物の中でも、特にお気に入りなのに、ルイスは思いつかないんだって! ウルスならわかるよね。だって、その貴重な服を手にいれたのは、ウルスだし」
はあ?! ウルスが、俺の服を…?
ますます意味がわからん。
思わず、ウルスを見る。
すると、ウルスの顔が、とてもまずいものを食べたような渋い顔でかたまった。
「…おい、ウルス。どうしたんだ?」
声をかけると、ウルスが、はっとしたように、モーラのほうを見て言った。
「モーラさん、そのガツンと甘そうなアップルパイ、俺にもください」
「あら? ウルスさんは、甘いものが苦手ですよね? 大丈夫なの?」
モーラが心配そうに聞く。
「ええ、苦手です。特にケーキはもっと苦手です。だが、今は、脳に刺激が欲しい。嫌な記憶を思い出したせいで、頭の動きがにぶくなったみたいだ。まあ、荒療治ですね。甘さで脳に刺激を与えたい…」
眉間にしわをよせて、よくわからないことをつぶやくウルス。
俺の服で、どんな迷惑をかけたんだ…?
モーラが、すぐに、アップルパイをきりわけ、ウルスの前にもならべた。
ウルスは、「いただきます!」と、宣戦布告のように宣言し、まるで敵のようにアップルパイに勢いよくフォークをつきたて、豪快にかぶりついた。
眉間にしわをよせたまま、目を閉じ、無言で咀嚼するウルス。
大丈夫か、ウルス…?
アップルパイを食べるだけなのに、緊張感が走る。
と、ウルスの目が、驚いたように見開かれた。
「…ん?! りんごの素朴な甘味だけで、あっさりしてるな。…うん、普通にうまい。ケーキなのに、甘さ控えめで、うますぎる!」
良かった…。なんだか、ほっとしたので、俺も食べようとフォークに手をのばす。
「だが、今の俺にはものたりない! もっと、甘みを!」
ウルスが吠えた。
…え、何を言ってる?! ウルスは、疲労がたまりすぎて、おかしくなったのか?!
心配になった時、兄上が、おもむろに立ちあがり、モーラのそばにあるサイドテーブルに近づいた。
そして、陶器の器をもちあげる。
おい、それは、蜂蜜が入ってるだろう?!
兄上は、その器を、ウルスのアップルパイの上にかたむけた。
思った通り、蜂蜜が流れ出る。
「ウルスは、甘味が欲しいんでしょ。確かに、脳が動いてないみたいだもんね。だって、ルイスの服を手に入れた素敵な記憶を、嫌な記憶だなんて、何いってんの? 極上の蜂蜜で、脳に刺激を与えないとね」
そう言って、兄上が黒々とした笑顔を見せた。
「いやいや、そんなにかけたら、甘すぎて食べられないだろ!」
思わず、俺がとめる。
だが、驚いたことに、そんな俺をとめたのは、ウルスだ。
「いや、その甘味攻撃、うけてたつ! フィリップ、もっとだ! 俺の嫌な記憶を消せるように」
ウルスが兄上をにらんだ。
「ふーん、なら、遠慮しないよ? アップルパイを蜂蜜漬けにしようかな」
真顔になった兄上が、蜂蜜を容赦なくウルスのアップルパイの上に追加した。
…一体、なんなんだ。この変な争いは?!
はあ?! ウルスが、俺の服を…?
ますます意味がわからん。
思わず、ウルスを見る。
すると、ウルスの顔が、とてもまずいものを食べたような渋い顔でかたまった。
「…おい、ウルス。どうしたんだ?」
声をかけると、ウルスが、はっとしたように、モーラのほうを見て言った。
「モーラさん、そのガツンと甘そうなアップルパイ、俺にもください」
「あら? ウルスさんは、甘いものが苦手ですよね? 大丈夫なの?」
モーラが心配そうに聞く。
「ええ、苦手です。特にケーキはもっと苦手です。だが、今は、脳に刺激が欲しい。嫌な記憶を思い出したせいで、頭の動きがにぶくなったみたいだ。まあ、荒療治ですね。甘さで脳に刺激を与えたい…」
眉間にしわをよせて、よくわからないことをつぶやくウルス。
俺の服で、どんな迷惑をかけたんだ…?
モーラが、すぐに、アップルパイをきりわけ、ウルスの前にもならべた。
ウルスは、「いただきます!」と、宣戦布告のように宣言し、まるで敵のようにアップルパイに勢いよくフォークをつきたて、豪快にかぶりついた。
眉間にしわをよせたまま、目を閉じ、無言で咀嚼するウルス。
大丈夫か、ウルス…?
アップルパイを食べるだけなのに、緊張感が走る。
と、ウルスの目が、驚いたように見開かれた。
「…ん?! りんごの素朴な甘味だけで、あっさりしてるな。…うん、普通にうまい。ケーキなのに、甘さ控えめで、うますぎる!」
良かった…。なんだか、ほっとしたので、俺も食べようとフォークに手をのばす。
「だが、今の俺にはものたりない! もっと、甘みを!」
ウルスが吠えた。
…え、何を言ってる?! ウルスは、疲労がたまりすぎて、おかしくなったのか?!
心配になった時、兄上が、おもむろに立ちあがり、モーラのそばにあるサイドテーブルに近づいた。
そして、陶器の器をもちあげる。
おい、それは、蜂蜜が入ってるだろう?!
兄上は、その器を、ウルスのアップルパイの上にかたむけた。
思った通り、蜂蜜が流れ出る。
「ウルスは、甘味が欲しいんでしょ。確かに、脳が動いてないみたいだもんね。だって、ルイスの服を手に入れた素敵な記憶を、嫌な記憶だなんて、何いってんの? 極上の蜂蜜で、脳に刺激を与えないとね」
そう言って、兄上が黒々とした笑顔を見せた。
「いやいや、そんなにかけたら、甘すぎて食べられないだろ!」
思わず、俺がとめる。
だが、驚いたことに、そんな俺をとめたのは、ウルスだ。
「いや、その甘味攻撃、うけてたつ! フィリップ、もっとだ! 俺の嫌な記憶を消せるように」
ウルスが兄上をにらんだ。
「ふーん、なら、遠慮しないよ? アップルパイを蜂蜜漬けにしようかな」
真顔になった兄上が、蜂蜜を容赦なくウルスのアップルパイの上に追加した。
…一体、なんなんだ。この変な争いは?!
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