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番外編
閑話 アリスノート 7
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その気持ちの悪い部屋について、全く聞きたくない。
知りたくもない。
できれば、抹消して欲しい。
しかしだ。アリスの名前がでた以上、何を渡そうとしているのか中身を把握しておかねばならない。
「兄上…。それで、アリスに渡すのは、どんな物なんだ?」
俺は、おそるおそる聞いた。
兄上の顔が、ぱあっと明るくなった。
「やっと聞いてくれた! じゃあ、まずは、レアなものから言うね。それは、ルイスノートだよ!」
「え…?! それは、…アリスノートみたいな、俺について書かれたノート…なのか?!」
「ざんねーん! ぼくのルイスノートは、正式には、ルイス直筆ノートだよ」
「…なんだ、それ。意味がわからん…」
「つまり、ぼくがルイスについて書いているノートではなく、正真正銘、ルイスが自ら書いたノートです!」
そんなもん、あるのか?
口にださずとも、俺の疑問をすぐに察した兄上。
「ルイス、自分が書いたノートのこと、覚えてないんでしょ?! ルイスはノートをとらないもんね?!」
俺は、兄上の言葉にうなずいた。そう、アリスノート以外でノートを取った記憶はない。
「それが、あるんだよ! そう、ルイスがまだ6歳のころ。一週間だけ地理学の家庭教師がいたでしょ」
6歳のころ…、地理学の家庭教師? いたっけ?
「あ、思い出さなくていいよ。ルイスの頭にいれとく価値なんてない奴だったから。だから、ぼくが、すぐにクビにしたんだけどね」
「クビ? なんでだ…?」
不穏な言葉に思わず聞き返す。
「だって、そいつ、あろうことか、ルイスのことを知ろうともしないで、ルイスを叱ったんだよ! ノートをとれって! ルイスはぜーんぶ頭に入ってるから、ノートなんて必要ないのに! ぼくはそれを知って激怒したんだけど、脳筋の母上は、それしきのことで騒ぐなって。自分で言わないルイスが悪いって言うんだよ。ひどいよね?! ぼくと母上は大げんかだよ。だれもが、母上みたいに、思ったことをなんでも口にするわけじゃないのにね?
特に、ルイスは、脳筋母上と違って、心優しく、遠慮深くて、奥ゆかしくて、心根がまっすぐで、それに、…」
「兄上、もういい。やめろ。…やめてくれ。それより、その家庭教師と俺のノートがどう関係あるんだ?」
「そうそう、その家庭教師が、無理にルイスにノートをとらせたの。ぼくがクビにするまでの2日間だけね。その時のノートが、ぼくの持ってるルイス直筆ノート。
一応、あの時、ルイスに聞いたんだよ? このノート、使うって? そしたら、いらないって言ったから、ぼくがもらったの。家庭教師は忌々しいし、ノートができた経緯は気に入らなかったけど、ルイスが書いたノートに罪はない。というか、すごく貴重でしょ?! ということで、しっかり保存してます!」
「貴重でもなんでもない! 捨てろ!」
俺は即座に言った。
「嫌だよ! あの時のルイスに、ちゃーんと許可とったもんね。もう、ぼくのものだから。そして、将来は、アリス嬢に引き継ぐ品の一つになります!」
と、極上の笑みを浮かべる兄上。
頭が痛くなってきた…。これ以上聞きたくない。知りたくない。
アリスに、迷惑なガラクタが手渡される前に、秘密裏に忍び込んで消滅させるしかない。
そのためには、まずは敵を知る、だ。
「…他には、どんなものがあるんだ?」
「たくさん、あるんだけど…、じゃあ、ぼくのお気に入りの一つを言おうかな。それは、ルイスが8歳の時に着た服だよ!」
「…8歳の時の服?」
「ヒント! ルイスが8歳の時、ぼくとの記念すべき時があったよね?! その時に着てた服なんだ。ほら、ほら、思い出して!」
きらきらした、期待に満ちた目で、俺を見る兄上。
俺が8歳の時で、記念すべき時…?
「まったく、心当たりがない」
「えええええっー?!」
兄上が叫んだ。
うるさいんだが…。
知りたくもない。
できれば、抹消して欲しい。
しかしだ。アリスの名前がでた以上、何を渡そうとしているのか中身を把握しておかねばならない。
「兄上…。それで、アリスに渡すのは、どんな物なんだ?」
俺は、おそるおそる聞いた。
兄上の顔が、ぱあっと明るくなった。
「やっと聞いてくれた! じゃあ、まずは、レアなものから言うね。それは、ルイスノートだよ!」
「え…?! それは、…アリスノートみたいな、俺について書かれたノート…なのか?!」
「ざんねーん! ぼくのルイスノートは、正式には、ルイス直筆ノートだよ」
「…なんだ、それ。意味がわからん…」
「つまり、ぼくがルイスについて書いているノートではなく、正真正銘、ルイスが自ら書いたノートです!」
そんなもん、あるのか?
口にださずとも、俺の疑問をすぐに察した兄上。
「ルイス、自分が書いたノートのこと、覚えてないんでしょ?! ルイスはノートをとらないもんね?!」
俺は、兄上の言葉にうなずいた。そう、アリスノート以外でノートを取った記憶はない。
「それが、あるんだよ! そう、ルイスがまだ6歳のころ。一週間だけ地理学の家庭教師がいたでしょ」
6歳のころ…、地理学の家庭教師? いたっけ?
「あ、思い出さなくていいよ。ルイスの頭にいれとく価値なんてない奴だったから。だから、ぼくが、すぐにクビにしたんだけどね」
「クビ? なんでだ…?」
不穏な言葉に思わず聞き返す。
「だって、そいつ、あろうことか、ルイスのことを知ろうともしないで、ルイスを叱ったんだよ! ノートをとれって! ルイスはぜーんぶ頭に入ってるから、ノートなんて必要ないのに! ぼくはそれを知って激怒したんだけど、脳筋の母上は、それしきのことで騒ぐなって。自分で言わないルイスが悪いって言うんだよ。ひどいよね?! ぼくと母上は大げんかだよ。だれもが、母上みたいに、思ったことをなんでも口にするわけじゃないのにね?
特に、ルイスは、脳筋母上と違って、心優しく、遠慮深くて、奥ゆかしくて、心根がまっすぐで、それに、…」
「兄上、もういい。やめろ。…やめてくれ。それより、その家庭教師と俺のノートがどう関係あるんだ?」
「そうそう、その家庭教師が、無理にルイスにノートをとらせたの。ぼくがクビにするまでの2日間だけね。その時のノートが、ぼくの持ってるルイス直筆ノート。
一応、あの時、ルイスに聞いたんだよ? このノート、使うって? そしたら、いらないって言ったから、ぼくがもらったの。家庭教師は忌々しいし、ノートができた経緯は気に入らなかったけど、ルイスが書いたノートに罪はない。というか、すごく貴重でしょ?! ということで、しっかり保存してます!」
「貴重でもなんでもない! 捨てろ!」
俺は即座に言った。
「嫌だよ! あの時のルイスに、ちゃーんと許可とったもんね。もう、ぼくのものだから。そして、将来は、アリス嬢に引き継ぐ品の一つになります!」
と、極上の笑みを浮かべる兄上。
頭が痛くなってきた…。これ以上聞きたくない。知りたくない。
アリスに、迷惑なガラクタが手渡される前に、秘密裏に忍び込んで消滅させるしかない。
そのためには、まずは敵を知る、だ。
「…他には、どんなものがあるんだ?」
「たくさん、あるんだけど…、じゃあ、ぼくのお気に入りの一つを言おうかな。それは、ルイスが8歳の時に着た服だよ!」
「…8歳の時の服?」
「ヒント! ルイスが8歳の時、ぼくとの記念すべき時があったよね?! その時に着てた服なんだ。ほら、ほら、思い出して!」
きらきらした、期待に満ちた目で、俺を見る兄上。
俺が8歳の時で、記念すべき時…?
「まったく、心当たりがない」
「えええええっー?!」
兄上が叫んだ。
うるさいんだが…。
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