(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

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番外編

閑話 ウルスの休日 3

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翌日、満を持して、白いフリルのシャツを着て、グリーンの上下の衣装を着た。
そして、鏡で見てみる。

見慣れない服装で違和感があるが、これが自分に似合っているのか、変なのかが、よくわからない…。 

が、ふと俺はひらめいた!
もしや、この白いフリルのシャツが似合ってないのかもしれないと。

ということで、手持ちのシャツに替えてみる。仕事で着たおしている、幾分くたっとしたシャツだ。

…落ち着く。なじむ。うん、これにしよう。

グリーンのジャケットと、中のシンプルなシャツの質の差が激しいが、見てもわからないだろう。

ということで、納得のスタイルができた俺は、余裕をもって、早めに出かけることにした。


カフェ、フローリアンに着くと、店員さんが、
「お一人様ですか?」
と聞いてきた。

「いえ、待ち合わせをしていて…」
と言いかけたところで、

「おおー、ウルス! こっちこっち!」
と、店の雰囲気をぶち壊すような、でかい声が聞こえた。

奥のほうで、手をぶんぶん振っているローアンだ。

やめてくれ…。恥ずかしいだろ!

「お連れ様ですか?」
と、店員さんに言われ、

「まあ…、そうです…」
と、小さい声で答えた。

店員さんに案内されると、そこにはローアンだけが座っていた。
ローアンの隣の席に、座らされる。

が、その途端、ローアンが、
「…どうした、ウルス。もしや、仮装か?!」
と、聞いてきた。

「はあ?!」

「いや、だって…その服…。借り物みたいだろ?」

本当に失礼な奴だな。

「これは、王太子にもらった服だ」
と、俺が言うと、

「えっ?! 王太子様から? なんつーもん着てくるんだ?! 
…あ、そうか。ウルス、気合いをいれてきたんだな!」
と、ローアンがにやりと笑った。

断じて違う。他に選択肢がなかったからだ…。

そして、ローアンはと言うと、何故か騎士服を着てる。
「なんで、おまえは騎士服なんだ?!」
と、いらだちながら聞いた。

普段着は俺と大差ないくせに、5割増しに見えると噂の騎士服を着るだなんて卑怯だろ。

「マリーが、あ、俺の婚約者な。俺の騎士服を着た姿が見たいって言うから」
と、恥ずかしそうに言った。

「ふーん、良かったな…」

「まあ、ウルスもいいんじゃないか? 俺も服のことはよくわからんが、王太子様のくれた服なら、おしゃれなんだろ」
と、ローアンが何故かなぐさめるように俺に言う。

「ただ、中のシャツが、どうもボロッちく見えるんだが、気のせいかな…?」
と、つけたした。

げっ、やばい! 脳筋ローアンに見抜かれた!

が、俺は素知らぬ顔で、
「気のせいだろ」
と、答えた。

ここは隠しておかないと、こいつは何でもしゃべるからな。

「それで、おまえの婚約者は?」
と、俺が聞くと、

「友達を近くまで迎えにいってる。…あ、ちょうど、戻って来た」
と、言って、店の入り口のほうを見た。

女性が二人、こちらへ向かってきている。

決して期待しているわけではないが、慣れない状況に、仕事の時とは違う緊張感がおそってきた。

そして、二人の女性が来た。

「マリー、ほら、すわって。それから自己紹介しよう!」
と、やたらと張り切っているローアン。いつも以上に声が大きい。

マリーと呼ばれた女性が、テーブルをはさんでローアンの前に座る。
そして、もう一人の女性が、俺の前に座った。

ローアンが、二人に向かって、
「これが、話してた友達のウルス。俺と同じ年で、王太子様の側近で将来有望。なんと今着ている服は、王太子様のプレゼントだそうだ!」
と、言った。

おい! それ、言うか?! 思ったとおり、なんでもしゃべるよな?

「まあ、王太子様から?! すごいわ!」
そう言って、ローアンの婚約者が、ふわりと微笑む。
おっとりとした雰囲気の人だ。

とりあえず、おしゃれにうるさくなさそうなので良かった…。

内心、ため息をつきながら、
「ウルス・ブライトです。よろしくお願いします」
と、挨拶をする。

すると、ローアンの婚約者が、
「マリー・ゴードンです。ローアンが迷惑をかけてませんか? このとおり、うるさいので」
と、にこにこしながら聞いてきた。

「いえいえ」
と答えたものの、このうるささを笑ってられるとは、心のひろい女性だなと感心する。

少しぽっちゃりして、優しそうな人に見える。

いい人が見つかって良かったな、ローアン。

そして、次に俺の前に座る女性が口を開いた。
「ザクセン伯爵家の長女、ロクサーヌと申します。よろしくお願いします」
と、俺の方をむいて微笑む。マリー嬢とは全然違う、派手な雰囲気の美人だ。

しかし、ザクセン伯爵家? 聞いたことがあるな。

あ! 没落して王都の屋敷を引き払い、郊外の領地へと引っ越したあのザクセン家か!

「ウルスなら知ってるんじゃないか? 王太子の側近だから、伯爵以上の貴族は、どうせ、すべて頭にはいってるんだろ?」
と、ローアンが聞いてきた。

いやいや、騎士でも頭に入れてる奴は多いぞ。
そして、この微妙な問題を俺にふるな! この脳筋め! 





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