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番外編
ぼくが守る 6
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※ 王太子視点、やっと終わります。
王宮へ戻り、次は、アリス嬢の兄のマークを呼び出して話を聞こうかと考えていると、ウルスに椅子に強制的にすわらされた。
そして、ペンをにぎらされ、
「とりあえず、気が済んだろ。急ぎの仕事だけでもやれ! 終わらない限り、絶対に椅子から立たせない。トイレにも行かせないぞ!」
と、品のない脅しをかけられた。
相当、せっぱつまってるんだろう。
ぼくは、仕方なく、猛スピードで仕事を片づけていく。
と、そこへ、ノックの音。
「どうぞ」
入ってきたのは、新人の側近ミカエルだ。
「どうした?」
「…あの、ルイス殿下がお会いしたいそうです」
なんだと! やっと、兄様に頼む気になったんだね?!
「来てるの?!」
「いえ、ルイス殿下の側近からの伝言です。お返事はいかがいたしましょう?」
「そんなのルイスなら、いつでもいいに決まってる! 24時間365日大歓迎!」
「王太子として、おかしいだろ。その返事」
と、ウルスがぶつくさ言っている。が、気にしない。
すぐに、ミカエルにお茶とお菓子を準備するよう命じる。
さあ、待ってるよ、ルイス!
いつでもいいと返事をしたら、すぐに、ルイスがぼくの執務室にやってきた。
ノックの音を聞いただけで、ルイスとわかる。
優雅な音だ。
「どうぞ入って!」
うれしすぎて、おなかの底から声がでる。
隣でウルスが、「うるさいな」と、顔をしかめてるが、どうでもいい。
久々にじっくり見るルイス! うれしいな。
「さあさあ、すわって」
と、ミカエルに用意させた、お茶やお菓子が並ぶテーブルに誘導する。
ルイスは椅子に座ると、
「今日は、兄上に報告があって来た」
と言った。
報告? お願いじゃなくて?
「ルイスが言うことなら、なんでも聞くよ。さあ、言って!」
ぼくは、にこにこして言う。
「王子を辞めることにした。さっき、やっと、父上が承諾してくれた」
うん、やっぱり! ぼくの予想通りだ。
「そう」
「反対しないのか?」
と、ルイスは少し目を見開いた。
驚いてるな!
フフフ。兄様の愛は、大きくて深いんだ!
「ルイスがやりたいようにやればいい。兄様は、いつでもルイスの味方だよ!」
と、胸をはって言う。
「…ごめん。王子をやめると、王太子の兄上に、一番、負担がかかる」
ルイスの目が悲しそうにかげった。
もう、本当に優しい子なんだから!
「兄様は大丈夫だ。気にすることないよ。それで、王子をやめて、これから、ルイスはどうするの? 兄様になにかできることがあったら、何でも言って!」
「父上に、ロバートソン公爵に養子に入り、ロバートソン公爵を継ぐことを命じられた」
ああ、なるほど。あそこは跡継ぎがおらず、返上を申し出てたものな。大事な領地をおさえてるし、なにより、あの公爵家に返上されると、貴族のパワーバランスが崩れる。
ルイスにあそこをおさめてもらったら、安心だ。
それになにより、王族と公爵家の会議は何かと多い。
つまり、ルイスに定期的に会える! もしかしたら、会う機会は今より増えるかもしれない! フフフ。
父上、よくやった!!
わきあがる笑いをおさえこみ、真面目な王太子の顔をして、ルイスに言った。
「あの公爵家は、この国の大事な要だ。ルイスがついでくれたら、心強い。まかせたよ!」
「わかった」
「それで、アリス嬢のことはどうするんの?」
と、聞く。
「今からアリスの家に行って、全部話す。また、婚約してもらえるまで、いつまででも通うつもりだ」
やっぱりな。本当に、不器用で一途な子だ!
感動したら、自然と涙がでてきた。
ルイスは、
「え、なんで、泣くんだ…?」
と、つぶやいたまま、驚いたように、ぼくを見ている。
「ああ、病なので、ほっといて大丈夫だ」
ウルスが、ルイスに雑に説明した。
ぼくは泣きながら、ルイスに言った。
「ルイスの気持ち、アリス嬢にしっかり伝えなさい。絶対、届くから。兄様が応援してる。ルイスが幸せになることが、兄様は一番うれしいんだからね」
すると、うっすら、ルイスの顔が微笑んだ。
そして、言った。
「これからは、王太子の兄上を、公爵として俺が守る。今まで守ってくれて、ありがとう…。兄様」
「…うっ、ルイスッー!!」
ぼくの涙腺が決壊した。
ウルスが、
「よかったな」
そう言いながら、バスタオルを差しだしてきた。
そのバスタオルに顔をうずめ、ぼくは号泣した。
ルイスがまた、兄様と呼んでくれた。
しかも、これからは俺が守るだなんて。
もう、ぼくが守る必要がないくらい成長したんだね…。
さみしいけど、兄様はうれしいよ。
ルイスの言葉は、心にしっかりと記録した。
この言葉を胸に、ぼくは、これからも王太子の仕事を頑張る。
ルイス、幸せになれ! 兄様が応援してるからね。
王宮へ戻り、次は、アリス嬢の兄のマークを呼び出して話を聞こうかと考えていると、ウルスに椅子に強制的にすわらされた。
そして、ペンをにぎらされ、
「とりあえず、気が済んだろ。急ぎの仕事だけでもやれ! 終わらない限り、絶対に椅子から立たせない。トイレにも行かせないぞ!」
と、品のない脅しをかけられた。
相当、せっぱつまってるんだろう。
ぼくは、仕方なく、猛スピードで仕事を片づけていく。
と、そこへ、ノックの音。
「どうぞ」
入ってきたのは、新人の側近ミカエルだ。
「どうした?」
「…あの、ルイス殿下がお会いしたいそうです」
なんだと! やっと、兄様に頼む気になったんだね?!
「来てるの?!」
「いえ、ルイス殿下の側近からの伝言です。お返事はいかがいたしましょう?」
「そんなのルイスなら、いつでもいいに決まってる! 24時間365日大歓迎!」
「王太子として、おかしいだろ。その返事」
と、ウルスがぶつくさ言っている。が、気にしない。
すぐに、ミカエルにお茶とお菓子を準備するよう命じる。
さあ、待ってるよ、ルイス!
いつでもいいと返事をしたら、すぐに、ルイスがぼくの執務室にやってきた。
ノックの音を聞いただけで、ルイスとわかる。
優雅な音だ。
「どうぞ入って!」
うれしすぎて、おなかの底から声がでる。
隣でウルスが、「うるさいな」と、顔をしかめてるが、どうでもいい。
久々にじっくり見るルイス! うれしいな。
「さあさあ、すわって」
と、ミカエルに用意させた、お茶やお菓子が並ぶテーブルに誘導する。
ルイスは椅子に座ると、
「今日は、兄上に報告があって来た」
と言った。
報告? お願いじゃなくて?
「ルイスが言うことなら、なんでも聞くよ。さあ、言って!」
ぼくは、にこにこして言う。
「王子を辞めることにした。さっき、やっと、父上が承諾してくれた」
うん、やっぱり! ぼくの予想通りだ。
「そう」
「反対しないのか?」
と、ルイスは少し目を見開いた。
驚いてるな!
フフフ。兄様の愛は、大きくて深いんだ!
「ルイスがやりたいようにやればいい。兄様は、いつでもルイスの味方だよ!」
と、胸をはって言う。
「…ごめん。王子をやめると、王太子の兄上に、一番、負担がかかる」
ルイスの目が悲しそうにかげった。
もう、本当に優しい子なんだから!
「兄様は大丈夫だ。気にすることないよ。それで、王子をやめて、これから、ルイスはどうするの? 兄様になにかできることがあったら、何でも言って!」
「父上に、ロバートソン公爵に養子に入り、ロバートソン公爵を継ぐことを命じられた」
ああ、なるほど。あそこは跡継ぎがおらず、返上を申し出てたものな。大事な領地をおさえてるし、なにより、あの公爵家に返上されると、貴族のパワーバランスが崩れる。
ルイスにあそこをおさめてもらったら、安心だ。
それになにより、王族と公爵家の会議は何かと多い。
つまり、ルイスに定期的に会える! もしかしたら、会う機会は今より増えるかもしれない! フフフ。
父上、よくやった!!
わきあがる笑いをおさえこみ、真面目な王太子の顔をして、ルイスに言った。
「あの公爵家は、この国の大事な要だ。ルイスがついでくれたら、心強い。まかせたよ!」
「わかった」
「それで、アリス嬢のことはどうするんの?」
と、聞く。
「今からアリスの家に行って、全部話す。また、婚約してもらえるまで、いつまででも通うつもりだ」
やっぱりな。本当に、不器用で一途な子だ!
感動したら、自然と涙がでてきた。
ルイスは、
「え、なんで、泣くんだ…?」
と、つぶやいたまま、驚いたように、ぼくを見ている。
「ああ、病なので、ほっといて大丈夫だ」
ウルスが、ルイスに雑に説明した。
ぼくは泣きながら、ルイスに言った。
「ルイスの気持ち、アリス嬢にしっかり伝えなさい。絶対、届くから。兄様が応援してる。ルイスが幸せになることが、兄様は一番うれしいんだからね」
すると、うっすら、ルイスの顔が微笑んだ。
そして、言った。
「これからは、王太子の兄上を、公爵として俺が守る。今まで守ってくれて、ありがとう…。兄様」
「…うっ、ルイスッー!!」
ぼくの涙腺が決壊した。
ウルスが、
「よかったな」
そう言いながら、バスタオルを差しだしてきた。
そのバスタオルに顔をうずめ、ぼくは号泣した。
ルイスがまた、兄様と呼んでくれた。
しかも、これからは俺が守るだなんて。
もう、ぼくが守る必要がないくらい成長したんだね…。
さみしいけど、兄様はうれしいよ。
ルイスの言葉は、心にしっかりと記録した。
この言葉を胸に、ぼくは、これからも王太子の仕事を頑張る。
ルイス、幸せになれ! 兄様が応援してるからね。
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