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変化 (完結)
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衝撃の告白の翌日。
私の目の前には、優雅にお茶を飲んでいる、無表情の美形がいた。
「あの、ルイス殿下。…いえ、ロバートソン公爵。なんで、またここにいるんですか?」
と、私は聞いた。
「アリスに会いたいから。それと、俺のことは、ルイスと呼んでくれ」
「…はあ。じゃあ、ルイス」
私が試しに呼んでみる。
「いいな、それ」
と、ルイスがつぶやいた。
瞳がきらきらして見える。
もしや、喜んでるのかしら?
あいにくマーク兄様は不在だから、通訳はなし。
私が解読しなくてはと、無表情の顔の変化を探す。
すると、頬が赤くそまってきた。心なしか、顔がゆるんでいるようにも見える。
無表情なのに、かわいい…。なんか、ずるい…。
この8年間、苦手意識が先に立ち、ルイス殿下の顔をこんなにしっかりと見ることはなかったわね。
なにしてたんだろう、8年も。ちょっとしんみり反省。
いや、でも待って?
お茶会の態度、ひどくなかった?!
もう怖くもないし、今なら、聞けるわ。
「なんで、ルイスは、月に一回のお茶会の時、私に、小さいなって毎回言ってたんですか?」
すると、ルイスは、ちょっと考えてから、言葉を選ぶように話し始めた。
「最初にアリスにあった時、とても小さくて、かわいかった。一目見て、目がはなせなくなった。でも、思わず、ちびだなって言って、泣かせてしまって。だから、今度からは、ちびって言わずに、小さいって言おうと思った。小さくてかわいいとは、はずかしくて言えなかったから」
えええ?! あれ、誉め言葉だったの?!
衝撃だわ。口下手すぎるというか…。
「なら、お菓子を、これ食べろとかって、命令してたのはなんで?」
ルイスは、驚いたように言った。
「命令じゃない。かわいいが、小さすぎて、壊れそうに思えて、心配になって食べさせた。それに、お菓子を食べてるところがかわいくて、見たかった…」
かわいいを連発され、顔が熱くなってくる。
「アリス、色々、すまなかった。でも、俺はアリスといたい」
青い瞳が、真剣な気持ちを雄弁に語っていることが伝わってきた。
「今は婚約は考えられないけど、これからもっと話して、お互いを知っていきましょう。それから始めていい?」
私が言うと、ルイスはうなずいた。
そして、口の端があがり、うっすらと微笑んだ。
ドキッ。
思わず、胸になにかきた。
無表情からの、ほんのわずかな変化なのに、なにこれ。
破壊力がすざましいんだけど…。
それから数か月後。
私は、ルイス・ロバートソン公爵と婚約した。
今や、私には、無表情ではなく、表情豊かに見えてしまう今日この頃だ。
(完)
※読んでくださった方、お気に入り登録をしてくださったかた、本当にありがとうございました。
今後、番外編として、ルイス視点なども書きたいと思っています。
私の目の前には、優雅にお茶を飲んでいる、無表情の美形がいた。
「あの、ルイス殿下。…いえ、ロバートソン公爵。なんで、またここにいるんですか?」
と、私は聞いた。
「アリスに会いたいから。それと、俺のことは、ルイスと呼んでくれ」
「…はあ。じゃあ、ルイス」
私が試しに呼んでみる。
「いいな、それ」
と、ルイスがつぶやいた。
瞳がきらきらして見える。
もしや、喜んでるのかしら?
あいにくマーク兄様は不在だから、通訳はなし。
私が解読しなくてはと、無表情の顔の変化を探す。
すると、頬が赤くそまってきた。心なしか、顔がゆるんでいるようにも見える。
無表情なのに、かわいい…。なんか、ずるい…。
この8年間、苦手意識が先に立ち、ルイス殿下の顔をこんなにしっかりと見ることはなかったわね。
なにしてたんだろう、8年も。ちょっとしんみり反省。
いや、でも待って?
お茶会の態度、ひどくなかった?!
もう怖くもないし、今なら、聞けるわ。
「なんで、ルイスは、月に一回のお茶会の時、私に、小さいなって毎回言ってたんですか?」
すると、ルイスは、ちょっと考えてから、言葉を選ぶように話し始めた。
「最初にアリスにあった時、とても小さくて、かわいかった。一目見て、目がはなせなくなった。でも、思わず、ちびだなって言って、泣かせてしまって。だから、今度からは、ちびって言わずに、小さいって言おうと思った。小さくてかわいいとは、はずかしくて言えなかったから」
えええ?! あれ、誉め言葉だったの?!
衝撃だわ。口下手すぎるというか…。
「なら、お菓子を、これ食べろとかって、命令してたのはなんで?」
ルイスは、驚いたように言った。
「命令じゃない。かわいいが、小さすぎて、壊れそうに思えて、心配になって食べさせた。それに、お菓子を食べてるところがかわいくて、見たかった…」
かわいいを連発され、顔が熱くなってくる。
「アリス、色々、すまなかった。でも、俺はアリスといたい」
青い瞳が、真剣な気持ちを雄弁に語っていることが伝わってきた。
「今は婚約は考えられないけど、これからもっと話して、お互いを知っていきましょう。それから始めていい?」
私が言うと、ルイスはうなずいた。
そして、口の端があがり、うっすらと微笑んだ。
ドキッ。
思わず、胸になにかきた。
無表情からの、ほんのわずかな変化なのに、なにこれ。
破壊力がすざましいんだけど…。
それから数か月後。
私は、ルイス・ロバートソン公爵と婚約した。
今や、私には、無表情ではなく、表情豊かに見えてしまう今日この頃だ。
(完)
※読んでくださった方、お気に入り登録をしてくださったかた、本当にありがとうございました。
今後、番外編として、ルイス視点なども書きたいと思っています。
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