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第二章
マテ
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「なんだと?! 子どもの頃は年齢差もある! 今なら、わからないだろう?!」
「いえ、わかります! いくつになろうが、ラルフ様が、ジョルジュ様に勝つことなど無理です。絶対にあり得ません。ポテンシャルが違いすぎます。ラルフ様もまあまあご立派ですが、ジョルジュ様は最高で完璧ですから!」
「ジョッシュさん…。なんというか、結構すごいことを言ってるよね?」
と、驚きつつ、アイシャに声をかけた。
アイシャは、うなずいた。
「まあね。ほんと、あきれるほど、お兄様至上主義でしょう? ジョッシュって、ずっとあんな感じで、お兄様の欠点もまるで目に入らないみたい。ほら、お兄様って、能力は高くても、人間味はまるでなし。人として、差し引きゼロ…いえ、マイナスだと思うんだけど、そんなこと、ジョッシュに言おうものなら、ものすごい反撃をされて、面倒なことになるわ…」
にらみあうジョッシュさんとラルフ。ラルフが強い口調で反撃にでた。
「それに、リリーと俺とは子どもの頃からの長いつきあいだ! 今日はじめて会ったジョルジュさんなんか、認められるわけがない!」
ラルフの言葉に、わざとらしく、ジョッシュさんが鼻で笑った。
「時間は関係ないのでは? 愛とはそういうものですよね」
「女性の影がまるで見えない、ジョッシュが愛を語るのって、ものすごい違和感ね…。ジョッシュは、お兄様への母性愛しか知らないんじゃないの…?」
と、アイシャが、納得いかないといった感じで、つぶやいた。
が、アイシャの声など聞こえていないジョッシュさんは、挑戦的な目で、ラルフを見据えたままだ。
ラルフが言い返そうとしたとき、黙っていたジョルジュさんが、冷たい声で言った。
「それで、ジョッシュ。今日の夕食会はキャンセルできるのか、できないのか?」
そのとたん、ジョッシュさんはラルフを放置し、ジョルジュさんのそばへ、すごい勢いで駆けよった。
「ジョルジュ様の問いに答えるのが遅くなってしまって、申し訳ありません! 結論から言うと、今日の夕食会のキャンセルは難しいですね。他国の賓客も招待されている席なので、主催者が特別な夕食をご用意されていると聞いております。さすがに断るには時間がないかと…。が、何が何でもというのであれば、私が、ジョルジュ様に非がないように、裏工作に走ります!」
と、ぎらぎらした目で答えるジョッシュさん。
派手な顔に、すごい圧…。
しかも、夕食欠席するために裏工作…?!
「いや、それなら無理しなくていい。リリアンヌ嬢は学園が始まるまでの、3日間、ここに滞在するからな。その間に、一緒に食事をする機会があればいい」
ジョルジュさんの言葉に、ジョッシュさんが鍛えられてそうな分厚い胸をたたいた。
「それなら、お任せください! 明日以降は、朝食と夕食、全て、リリアンヌ様と共にできるよう、予定をあけてみせます! 是非、お二人で、と望まれるのなら、アイシャ様には、断れない食事会のご予定をねじこみ、ラルフ様には強制的にお帰りいただくよう、全力を尽くします!」
「は? ちょっと、やめてよ、ジョッシュ! 私が断れない食事会っていったら、ここの王族関係だけじゃない。せっかく、まだ休みなのに、面倒なことしないでよね?!」
と、アイシャが怒った。
「俺もリリーがここにいる3日間は、絶対に居座る!」
ラルフが切れ長の目を更に鋭くさせて、射抜くようにジョッシュさんを見た。
が、そんな二人をまるっと無視したまま、ジョルジュさんだけに視線をあわせ、ジョルジュさんの言葉を待つジョッシュさん。
ジョッシュさんが、ご主人様に言われてマテをしている大型犬に見えてきた。
※更新が大変おそくなって、すみません!
不定期な更新のなか、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
大変、励みになります!
「いえ、わかります! いくつになろうが、ラルフ様が、ジョルジュ様に勝つことなど無理です。絶対にあり得ません。ポテンシャルが違いすぎます。ラルフ様もまあまあご立派ですが、ジョルジュ様は最高で完璧ですから!」
「ジョッシュさん…。なんというか、結構すごいことを言ってるよね?」
と、驚きつつ、アイシャに声をかけた。
アイシャは、うなずいた。
「まあね。ほんと、あきれるほど、お兄様至上主義でしょう? ジョッシュって、ずっとあんな感じで、お兄様の欠点もまるで目に入らないみたい。ほら、お兄様って、能力は高くても、人間味はまるでなし。人として、差し引きゼロ…いえ、マイナスだと思うんだけど、そんなこと、ジョッシュに言おうものなら、ものすごい反撃をされて、面倒なことになるわ…」
にらみあうジョッシュさんとラルフ。ラルフが強い口調で反撃にでた。
「それに、リリーと俺とは子どもの頃からの長いつきあいだ! 今日はじめて会ったジョルジュさんなんか、認められるわけがない!」
ラルフの言葉に、わざとらしく、ジョッシュさんが鼻で笑った。
「時間は関係ないのでは? 愛とはそういうものですよね」
「女性の影がまるで見えない、ジョッシュが愛を語るのって、ものすごい違和感ね…。ジョッシュは、お兄様への母性愛しか知らないんじゃないの…?」
と、アイシャが、納得いかないといった感じで、つぶやいた。
が、アイシャの声など聞こえていないジョッシュさんは、挑戦的な目で、ラルフを見据えたままだ。
ラルフが言い返そうとしたとき、黙っていたジョルジュさんが、冷たい声で言った。
「それで、ジョッシュ。今日の夕食会はキャンセルできるのか、できないのか?」
そのとたん、ジョッシュさんはラルフを放置し、ジョルジュさんのそばへ、すごい勢いで駆けよった。
「ジョルジュ様の問いに答えるのが遅くなってしまって、申し訳ありません! 結論から言うと、今日の夕食会のキャンセルは難しいですね。他国の賓客も招待されている席なので、主催者が特別な夕食をご用意されていると聞いております。さすがに断るには時間がないかと…。が、何が何でもというのであれば、私が、ジョルジュ様に非がないように、裏工作に走ります!」
と、ぎらぎらした目で答えるジョッシュさん。
派手な顔に、すごい圧…。
しかも、夕食欠席するために裏工作…?!
「いや、それなら無理しなくていい。リリアンヌ嬢は学園が始まるまでの、3日間、ここに滞在するからな。その間に、一緒に食事をする機会があればいい」
ジョルジュさんの言葉に、ジョッシュさんが鍛えられてそうな分厚い胸をたたいた。
「それなら、お任せください! 明日以降は、朝食と夕食、全て、リリアンヌ様と共にできるよう、予定をあけてみせます! 是非、お二人で、と望まれるのなら、アイシャ様には、断れない食事会のご予定をねじこみ、ラルフ様には強制的にお帰りいただくよう、全力を尽くします!」
「は? ちょっと、やめてよ、ジョッシュ! 私が断れない食事会っていったら、ここの王族関係だけじゃない。せっかく、まだ休みなのに、面倒なことしないでよね?!」
と、アイシャが怒った。
「俺もリリーがここにいる3日間は、絶対に居座る!」
ラルフが切れ長の目を更に鋭くさせて、射抜くようにジョッシュさんを見た。
が、そんな二人をまるっと無視したまま、ジョルジュさんだけに視線をあわせ、ジョルジュさんの言葉を待つジョッシュさん。
ジョッシュさんが、ご主人様に言われてマテをしている大型犬に見えてきた。
※更新が大変おそくなって、すみません!
不定期な更新のなか、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
大変、励みになります!
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