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第二章
ばれるよね?
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ラスボスという言葉を説明するなら、私に前世の記憶があることを言うことになる。
そこを言わずして、ごまかそうとすると、鋭そうなジョルジュさんには、きっとばれるよね…?。
この場にいる、アイシャとラルフは、私に前世の記憶があることを知っている。
でも、ジョルジュさんは、このことを言ってもいい相手なのかどうか…。
うーん、判断できない…。
「…ええと、ちょっと、アイシャに相談しても良いですか…?」
そう言いながら、私は、アイシャの方へとにじり寄っていく。
「ああ。だが、変にごまかそうとしたら、更に追及する」
…うん、取調官と罪人みたいな感じだよね?
「ちょっと、お兄様! さっきから、私の親友に失礼です!」
アイシャが、きっとした目で、ジョルジュさんをにらむ。
「私は言葉の意味を聞いているだけだ」
冷静に答えるジョルジュさん。
私は、アイシャに近寄り小声で聞いた。
「さっき、ぽろっと口からでたのは、前世の言葉なんだよね。ジョルジュさんって、前世の記憶があることを言っても大丈夫な人?」
すると、何故か私の背後霊のように、背後からのぞきこんでいたラルフが答えた。
「隠すより、正直に言ったほうがいいだろ。下手に隠してもばれるだろうし、逆に調べまくって、余計に面倒なことになる気がする。ジョルジュさん、色々、優秀すぎて人外だもんな…」
アイシャが、うなずいた。
「確かに、そうかも。それと、感情的にも人外よ。人の心がないしね。あ、そうだ、リリー。前世のことを言いふらすってことはないから、その点は安心して。お兄様は、ロイ以外、友達いないしね」
「え?! ロイさんって、あのロイさん? 口が軽そうな印象があるんだけど…!」
驚いて、思わず、私の声が大きくなった。
「ロイがどうした?」
すかさず、ジョルジュさんが私の方を見て聞いてきた。
が、私のかわりに、アイシャが答えた。
「お兄様は、ロイ以外友達がいないから、言いふらすことはしないと言ったの」
「ロイは幼馴染というだけで、友人ではない」
「は? 友人じゃない…? ロイは、お兄様のところに遊びにくるじゃない?」
アイシャが納得いかない顔で、聞き返す。
「勝手におしかけてきて、俺が仕事をしている横で、勝手にべらべらしゃべって帰るだけだ」
…ロイさん。こんなこと言われてるけど、大丈夫…?
「リリアンヌ嬢がその言葉について、話してほしくないのであれば、私は決して誰にも言わない。私が知れればそれでいい。それに、私には無駄口をたたく友人はいないから、うっかり口に出すなどということもない。安心してくれ」
と、きっぱり言うジョルジュさん。
今まで通り、冷え冷えとした表情と口調なのに、ジョルジュさんへ抱いていた怖さが、不思議と消えてしまった。
それよりも、冷たいブルーの瞳に哀愁を感じる…。
アイシャとラルフとジャンさんしか友達がいない私が言うのもおかしいけれど、だれか、友達になってあげて!
思わず、心で叫び、そして、決心した。
よし、話そう!
言葉を知ることで、ジョルジュさんの気持ちが少しでも満たされるなら!
勇気をもって、ラスボスにラスボスの意味を伝えよう!
そこを言わずして、ごまかそうとすると、鋭そうなジョルジュさんには、きっとばれるよね…?。
この場にいる、アイシャとラルフは、私に前世の記憶があることを知っている。
でも、ジョルジュさんは、このことを言ってもいい相手なのかどうか…。
うーん、判断できない…。
「…ええと、ちょっと、アイシャに相談しても良いですか…?」
そう言いながら、私は、アイシャの方へとにじり寄っていく。
「ああ。だが、変にごまかそうとしたら、更に追及する」
…うん、取調官と罪人みたいな感じだよね?
「ちょっと、お兄様! さっきから、私の親友に失礼です!」
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「私は言葉の意味を聞いているだけだ」
冷静に答えるジョルジュさん。
私は、アイシャに近寄り小声で聞いた。
「さっき、ぽろっと口からでたのは、前世の言葉なんだよね。ジョルジュさんって、前世の記憶があることを言っても大丈夫な人?」
すると、何故か私の背後霊のように、背後からのぞきこんでいたラルフが答えた。
「隠すより、正直に言ったほうがいいだろ。下手に隠してもばれるだろうし、逆に調べまくって、余計に面倒なことになる気がする。ジョルジュさん、色々、優秀すぎて人外だもんな…」
アイシャが、うなずいた。
「確かに、そうかも。それと、感情的にも人外よ。人の心がないしね。あ、そうだ、リリー。前世のことを言いふらすってことはないから、その点は安心して。お兄様は、ロイ以外、友達いないしね」
「え?! ロイさんって、あのロイさん? 口が軽そうな印象があるんだけど…!」
驚いて、思わず、私の声が大きくなった。
「ロイがどうした?」
すかさず、ジョルジュさんが私の方を見て聞いてきた。
が、私のかわりに、アイシャが答えた。
「お兄様は、ロイ以外友達がいないから、言いふらすことはしないと言ったの」
「ロイは幼馴染というだけで、友人ではない」
「は? 友人じゃない…? ロイは、お兄様のところに遊びにくるじゃない?」
アイシャが納得いかない顔で、聞き返す。
「勝手におしかけてきて、俺が仕事をしている横で、勝手にべらべらしゃべって帰るだけだ」
…ロイさん。こんなこと言われてるけど、大丈夫…?
「リリアンヌ嬢がその言葉について、話してほしくないのであれば、私は決して誰にも言わない。私が知れればそれでいい。それに、私には無駄口をたたく友人はいないから、うっかり口に出すなどということもない。安心してくれ」
と、きっぱり言うジョルジュさん。
今まで通り、冷え冷えとした表情と口調なのに、ジョルジュさんへ抱いていた怖さが、不思議と消えてしまった。
それよりも、冷たいブルーの瞳に哀愁を感じる…。
アイシャとラルフとジャンさんしか友達がいない私が言うのもおかしいけれど、だれか、友達になってあげて!
思わず、心で叫び、そして、決心した。
よし、話そう!
言葉を知ることで、ジョルジュさんの気持ちが少しでも満たされるなら!
勇気をもって、ラスボスにラスボスの意味を伝えよう!
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