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第二章
お見通し
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「私は、今のラスボスという言葉の意味が知りたいだけだ。リリアンヌ嬢が急に思いついた、つまらぬことを聞きたいわけではない」
ジョルジュさんが冷えきった視線を私にむけた。
目をあわせたら、凍りそう…。
…っていうか、急に思いついた、つまらぬことって、今、言ったよね?!
まさに、その通りなんだけど?!
もしかして、超能力者っ?!
あわてて、アイシャを見る。
さすがに、長い付き合いのアイシャ。私の表情だけで私の言いたいことをさとったみたいで、残念そうに首を横にふった。
「今のは、思いつきで言ったのは、だれでもわかるわよ。リリー…」
ラルフを見る。ラルフもかわいそうな子を見る目で、うなずいた。
ジョルジュさんの全く感情の見えない青い瞳が、私をとらえる。
「ミラベル侯爵家リリアンヌ嬢。私には唯一の趣味がある」
…え、趣味?! いきなり、なんの話?!
「は?! ジョルジュお兄様、一体どうしたの?! 無駄なことが嫌いで、無駄話を一切しないお兄様が、仕事以外で話すのも驚きなのに、趣味?! 情緒的なことが皆無なお兄様に趣味があるなんて聞いたことないけど?! しかも、なぜ、初めて会ったリリーに話そうとしてるの?! サイボーグより、感情がないお兄様が、まるで人間みたいじゃない…」
一気にまくしたてたアイシャが、見たことがないほど驚いた顔でジョルジュさんを見ている。
ちょっと、アイシャ…! いろいろ、ひどいけど、大丈夫なの?! しかも、人間みたいって、ジョルジュさんは、あなたのお兄様で、まごうことなき人間だよね?
そして、ラルフも、気味の悪いものを見る目で、ジョルジュさんを見ている。
ええと、あなたたち、いくらなんでもその態度、失礼ではないかい?
が、ジョルジュさんは、全く表情を変えることなく、冷たい声で言った。
「アイシャ。おまえは、ロジャン国の王室に入る身。思ったことをそのまま口から垂れ流すなど、もってのほか。口には気をつけろ」
アイシャの顔に、ぴきりとしたものがはしった。
「王宮で、そのような失態はしません。お兄様に、ご心配いただかずとも結構です」
アイシャが、ラルフと戦う時以上の攻撃的な顔をしている。
が、ジョルジュさんは、そんなアイシャを放置し、私に視線を移した。
「さきほどの続きだが、リリアンヌ嬢。無駄なことが嫌いな私は、役に立たないことはしない。が、唯一、ある理由から、言語だけは興味がある。役に立たなくとも、この世にある様々な国々の言語を学んでいる。つまり、趣味と言えるだろう」
「…はあ、すごいですね…」
造りもののような美しい顔を見ながら、私は言葉をしぼりだした。
ジョルジュさんは、私の前に立っていたラルフをさらっとかわして、私に近づいた。
身のこなしが、驚くほど軽い。やっぱり忍者?!
ラルフも負けじと、再び、私の前にまわりこみ、かばうように立つ。
が、ジョルジュさんは、そんなラルフをまるっと無視して、ラルフ越しに私を見ながら話しを続けた。
「幼少期から学んできたので、だいたいの国の言葉は習得した。だから、現在使われている言語なら、知らない言葉であろうとも、どこの国の言葉か想像がつく」
「…それは、すごい。うらやましい…」
思わず、心からの言葉がもれた。だって、色んな国の本が読めるってことだもんね。
「しかし、さっき、リリアンヌ嬢が口にした言葉、ラスボスは聞いたことがないし、想像もつかない」
…そりゃあ、前世の言葉だから。しかも、日本。この国から言うと、異世界になるんだよね?
「が、リリアンヌ嬢が、私が知らない言語を知っているほど、言語の達人にも思えない。なぜなら、さきほどの言葉、ラスボスについての説明は、あまりに場当たり的で稚拙だったからな」
場当たり的で、稚拙って…!
が、悲しいことに、その通りで、言い返すこともできない…。
「リリアンヌ嬢は、本当の意味を隠したのだろう? ラスボスとは、一体どういう意味で、どこの国の言葉だ? 教えてほしい」
教えて欲しいという、お願いの言葉とは裏腹に、ジョルジュさんの目は、追いつめる側。
そして、私はと言えば、退路をたたれ、罪を白状する間際の犯人みたいな気持ちなんだけど…。
ジョルジュさんが冷えきった視線を私にむけた。
目をあわせたら、凍りそう…。
…っていうか、急に思いついた、つまらぬことって、今、言ったよね?!
まさに、その通りなんだけど?!
もしかして、超能力者っ?!
あわてて、アイシャを見る。
さすがに、長い付き合いのアイシャ。私の表情だけで私の言いたいことをさとったみたいで、残念そうに首を横にふった。
「今のは、思いつきで言ったのは、だれでもわかるわよ。リリー…」
ラルフを見る。ラルフもかわいそうな子を見る目で、うなずいた。
ジョルジュさんの全く感情の見えない青い瞳が、私をとらえる。
「ミラベル侯爵家リリアンヌ嬢。私には唯一の趣味がある」
…え、趣味?! いきなり、なんの話?!
「は?! ジョルジュお兄様、一体どうしたの?! 無駄なことが嫌いで、無駄話を一切しないお兄様が、仕事以外で話すのも驚きなのに、趣味?! 情緒的なことが皆無なお兄様に趣味があるなんて聞いたことないけど?! しかも、なぜ、初めて会ったリリーに話そうとしてるの?! サイボーグより、感情がないお兄様が、まるで人間みたいじゃない…」
一気にまくしたてたアイシャが、見たことがないほど驚いた顔でジョルジュさんを見ている。
ちょっと、アイシャ…! いろいろ、ひどいけど、大丈夫なの?! しかも、人間みたいって、ジョルジュさんは、あなたのお兄様で、まごうことなき人間だよね?
そして、ラルフも、気味の悪いものを見る目で、ジョルジュさんを見ている。
ええと、あなたたち、いくらなんでもその態度、失礼ではないかい?
が、ジョルジュさんは、全く表情を変えることなく、冷たい声で言った。
「アイシャ。おまえは、ロジャン国の王室に入る身。思ったことをそのまま口から垂れ流すなど、もってのほか。口には気をつけろ」
アイシャの顔に、ぴきりとしたものがはしった。
「王宮で、そのような失態はしません。お兄様に、ご心配いただかずとも結構です」
アイシャが、ラルフと戦う時以上の攻撃的な顔をしている。
が、ジョルジュさんは、そんなアイシャを放置し、私に視線を移した。
「さきほどの続きだが、リリアンヌ嬢。無駄なことが嫌いな私は、役に立たないことはしない。が、唯一、ある理由から、言語だけは興味がある。役に立たなくとも、この世にある様々な国々の言語を学んでいる。つまり、趣味と言えるだろう」
「…はあ、すごいですね…」
造りもののような美しい顔を見ながら、私は言葉をしぼりだした。
ジョルジュさんは、私の前に立っていたラルフをさらっとかわして、私に近づいた。
身のこなしが、驚くほど軽い。やっぱり忍者?!
ラルフも負けじと、再び、私の前にまわりこみ、かばうように立つ。
が、ジョルジュさんは、そんなラルフをまるっと無視して、ラルフ越しに私を見ながら話しを続けた。
「幼少期から学んできたので、だいたいの国の言葉は習得した。だから、現在使われている言語なら、知らない言葉であろうとも、どこの国の言葉か想像がつく」
「…それは、すごい。うらやましい…」
思わず、心からの言葉がもれた。だって、色んな国の本が読めるってことだもんね。
「しかし、さっき、リリアンヌ嬢が口にした言葉、ラスボスは聞いたことがないし、想像もつかない」
…そりゃあ、前世の言葉だから。しかも、日本。この国から言うと、異世界になるんだよね?
「が、リリアンヌ嬢が、私が知らない言語を知っているほど、言語の達人にも思えない。なぜなら、さきほどの言葉、ラスボスについての説明は、あまりに場当たり的で稚拙だったからな」
場当たり的で、稚拙って…!
が、悲しいことに、その通りで、言い返すこともできない…。
「リリアンヌ嬢は、本当の意味を隠したのだろう? ラスボスとは、一体どういう意味で、どこの国の言葉だ? 教えてほしい」
教えて欲しいという、お願いの言葉とは裏腹に、ジョルジュさんの目は、追いつめる側。
そして、私はと言えば、退路をたたれ、罪を白状する間際の犯人みたいな気持ちなんだけど…。
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