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第二章
到着しました
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ついに、ロジャン国に到着した。まず、お仕事があるジャンさんとは、ここで、おわかれ。
「リリー、また、すぐに会おうね」
ジャンさんは、私にむかって、さわやかに微笑む。
「いや、もう会うな。即刻、帰れ」
と、大人気なく答えたのはラルフ。
そんなラルフを気にすることもなく、ジャンさんは、迎えの馬車にのって去っていった。
そして、馬車が着いたところは、大きなお屋敷。
なんと、アイシャの公爵家の別邸だそう。
「学園が始まるまで、3日ほどあるでしょ? 寮にはいってしまうと、自由に出られなくて不便だから。まずは、うちの別邸にとまってもらって、その間に、ざっと、リリーに町を案内しておきたいと思ったの。ちょうど、両親も別邸に来る予定はないから、ゆっくりしてもらえるし。なにより、リリーに、私の図書室をみてもらいたいわ。いつか、リリーを驚かせたくて、ロジャン国で本を買い集めてたの。フフフ」
「え?! アイシャの図書室?! うわあ、楽しみっ!」
そこで、ラルフが言った。
「ここなら、部屋も沢山あるし、俺も、宿はキャンセルする。ここに泊めてくれ」
「あいにく、空いている部屋がないわ」
と、アイシャ。
「筆頭公爵家の別邸なら、山ほどゲストルームがあるだろ。あ、そうか。アイシャに、ゲストルームを自由に使う権限がないのか。なら、筆頭公爵の叔父上に連絡して、直接、許可を得ようか?」
挑戦的な目で、アイシャを見るラルフ。
はああ、ラルフ君。…それは、人にものを頼む態度ではないよ?
「…わかった。じゃあ、リリーの部屋から一番離れた部屋を用意してあげるわ」
アイシャが不満げに言った。
お屋敷に入ると、少し老齢に見える男性に出迎えられた。
「アイシャお嬢様、お帰りなさいませ」
と、その男性が穏やかにほほえむ。
「ただいま、ロバート。連絡していた、私の親友、リリアンヌよ。それと、急遽、ラルフも泊まることになったから、リリーから一番離れた場所を用意してちょうだい」
と、アイシャ。
「かしこまりました」
そう答えた男性が私を見た。
「執事のロバートと申します。リリアンヌ様にお会いできるのを楽しみにしておりました。アイシャお嬢様から、唯一、お名前を聞く、ご友人でしたから」
そう言って、優しそうな笑みを浮かべる。
「アイシャ、友人いないもんな」
ラルフがニヤッとした。
「その言葉、そのまま返すわ」
不敵に笑い返すアイシャ。
…うん、ほんと、二人とも似てるね。
そんな私たちの様子を微笑ましそうに見るロバートさんに、私は一歩近づき、ご挨拶をした。
「初めまして。リリアンヌ・ミラベルです。お世話になります」
「ご不便がありましたら、なんでも、私におっしゃってください」
と、優しく声をかけてくれた。
そして、ラルフにむかって声をかけた。
「ラルフ様も、お久しぶりでございます」
「ああ、本当に久しぶりだな。ロバート、元気だったか?」
「ええ、元気にしております。ラルフ様は、大層、ご立派になられて」
「え? 二人はお知り合い?」
と、私が聞くと、ラルフがうなずいた。
「ああ。ロジャン国出身だが、ロバートは、もとは、うちの屋敷で働いてたんだ。だが、家族の看病でロジャン国に戻ることになったんだよな」
「ええ、ラルフ様のお父様である公爵様にご紹介いただいて、筆頭公爵家の別邸での仕事につかせていただきました。こんなにご立派になられたラルフ様にお会いできるなんて嬉しいです」
と、感慨深そうに話すロバートさん。が、突然、はっとしたように私を見た。
「もしや…、リリアンヌ様は、お小さい頃、ラルフ様のところへ遊びにこられてましたか?!」
「あ、はい。幼馴染なので、小さい頃から、遊びにいってました」
ロバートさんが、嬉しそうに笑った。
「やっぱり! ラルフ様のところへ、初めて遊びにこられたご友人が、金色の巻き毛がふわふわして、妖精みたいな、かわいらしいご友人だったので、使用人たちは、わくわくしながら、お出迎えしてたのですよ」
「おいっ…」
ラルフがあせったように声をだす。
「やっぱり、小さい頃から友達がいなかったのね。ラルフは」
と、嬉しそうに言うアイシャ。
というか、妖精?! だれが?! なんて、お世辞のうまいロバートさん。
お世辞とはわかっていても、ちょっと嬉しい。ムフフフ…。
といういうことで、私の中で、ロバートさんは、とってもいい人と確定です!
「リリー、また、すぐに会おうね」
ジャンさんは、私にむかって、さわやかに微笑む。
「いや、もう会うな。即刻、帰れ」
と、大人気なく答えたのはラルフ。
そんなラルフを気にすることもなく、ジャンさんは、迎えの馬車にのって去っていった。
そして、馬車が着いたところは、大きなお屋敷。
なんと、アイシャの公爵家の別邸だそう。
「学園が始まるまで、3日ほどあるでしょ? 寮にはいってしまうと、自由に出られなくて不便だから。まずは、うちの別邸にとまってもらって、その間に、ざっと、リリーに町を案内しておきたいと思ったの。ちょうど、両親も別邸に来る予定はないから、ゆっくりしてもらえるし。なにより、リリーに、私の図書室をみてもらいたいわ。いつか、リリーを驚かせたくて、ロジャン国で本を買い集めてたの。フフフ」
「え?! アイシャの図書室?! うわあ、楽しみっ!」
そこで、ラルフが言った。
「ここなら、部屋も沢山あるし、俺も、宿はキャンセルする。ここに泊めてくれ」
「あいにく、空いている部屋がないわ」
と、アイシャ。
「筆頭公爵家の別邸なら、山ほどゲストルームがあるだろ。あ、そうか。アイシャに、ゲストルームを自由に使う権限がないのか。なら、筆頭公爵の叔父上に連絡して、直接、許可を得ようか?」
挑戦的な目で、アイシャを見るラルフ。
はああ、ラルフ君。…それは、人にものを頼む態度ではないよ?
「…わかった。じゃあ、リリーの部屋から一番離れた部屋を用意してあげるわ」
アイシャが不満げに言った。
お屋敷に入ると、少し老齢に見える男性に出迎えられた。
「アイシャお嬢様、お帰りなさいませ」
と、その男性が穏やかにほほえむ。
「ただいま、ロバート。連絡していた、私の親友、リリアンヌよ。それと、急遽、ラルフも泊まることになったから、リリーから一番離れた場所を用意してちょうだい」
と、アイシャ。
「かしこまりました」
そう答えた男性が私を見た。
「執事のロバートと申します。リリアンヌ様にお会いできるのを楽しみにしておりました。アイシャお嬢様から、唯一、お名前を聞く、ご友人でしたから」
そう言って、優しそうな笑みを浮かべる。
「アイシャ、友人いないもんな」
ラルフがニヤッとした。
「その言葉、そのまま返すわ」
不敵に笑い返すアイシャ。
…うん、ほんと、二人とも似てるね。
そんな私たちの様子を微笑ましそうに見るロバートさんに、私は一歩近づき、ご挨拶をした。
「初めまして。リリアンヌ・ミラベルです。お世話になります」
「ご不便がありましたら、なんでも、私におっしゃってください」
と、優しく声をかけてくれた。
そして、ラルフにむかって声をかけた。
「ラルフ様も、お久しぶりでございます」
「ああ、本当に久しぶりだな。ロバート、元気だったか?」
「ええ、元気にしております。ラルフ様は、大層、ご立派になられて」
「え? 二人はお知り合い?」
と、私が聞くと、ラルフがうなずいた。
「ああ。ロジャン国出身だが、ロバートは、もとは、うちの屋敷で働いてたんだ。だが、家族の看病でロジャン国に戻ることになったんだよな」
「ええ、ラルフ様のお父様である公爵様にご紹介いただいて、筆頭公爵家の別邸での仕事につかせていただきました。こんなにご立派になられたラルフ様にお会いできるなんて嬉しいです」
と、感慨深そうに話すロバートさん。が、突然、はっとしたように私を見た。
「もしや…、リリアンヌ様は、お小さい頃、ラルフ様のところへ遊びにこられてましたか?!」
「あ、はい。幼馴染なので、小さい頃から、遊びにいってました」
ロバートさんが、嬉しそうに笑った。
「やっぱり! ラルフ様のところへ、初めて遊びにこられたご友人が、金色の巻き毛がふわふわして、妖精みたいな、かわいらしいご友人だったので、使用人たちは、わくわくしながら、お出迎えしてたのですよ」
「おいっ…」
ラルフがあせったように声をだす。
「やっぱり、小さい頃から友達がいなかったのね。ラルフは」
と、嬉しそうに言うアイシャ。
というか、妖精?! だれが?! なんて、お世辞のうまいロバートさん。
お世辞とはわかっていても、ちょっと嬉しい。ムフフフ…。
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