70 / 105
第二章
眠い
しおりを挟む
ラルフとアイシャとジャンさんのやりとりを聞いているうちに、眠気がおそってきた。
昨日、眠ってないからね…。
目を一生懸命こじあけているけど、頭がガクンと落ちる。
はっとして、まわりを見ると、三人の視線が私に集中していた。
…恥ずかしすぎるんだけど?
ただ、頭が落ちただけで、眠ってないですよ、みたいな感じを、さりげなーく装う。
が、アイシャは、フフッと笑って、
「リリー、眠たいんでしょ。遠慮せずに眠っていいわよ。昨日、眠れてないんだものね?」
と、すばらしい品質の豪華なクッションを手渡してくれた。
「ありがと…」
クッションのあまりの触り心地の良さに抱きしめると、更に眠気が加速する。
頭にもやがかかったように、ぼんやりしてきた。
遠くのほうで、
「やっぱり、留学前だから興奮して眠れなかったの…?」
みたいに聞かれたけれど、それが、アイシャの声なのか、ジャンさんの声なのか…、眠すぎて、もうそれすら、よくわからない。
そして、目もあかなくなってきた…。
が、夢の中で、なんとか口だけを動かす。
「うーん…、というより、ラルフが…、ラルフが…変なんだもん…。お姫様だっこしたり、…手に、…キ…キス…したり…。ラルフ…、王子様みたい…。恥ずかしいし、…びっくり…して、…眠れなかった…」
そこまで言って、私は完全に意識が落ちた。
ふっと、体が揺れて目が覚める。
どうやら、クッションを抱えて眠ってたらしい。
体を起こした途端、
「よく眠れた? リリー」
と、アイシャが隣から声をかけてきた。
「うん…。私、すごく眠ってたよね?」
「1時間くらいかしらね。良かったわ、よく眠れて。だれかの自分勝手な欲望のせいで、リリーが眠れなかったなんて、許せないもの」
と、アイシャが、氷のような視線でラルフをにらむ。
えっ…? 私が眠っている間に、何か、ありましたか?!
「確かに、留学前日、しかも長旅の前に、純粋なリリーの気持ちを乱すようなことをするのは、自分勝手だよね?」
と、ジャンさんにしては厳しい口調でラルフを見ながら言う。
私のことを言っているのに、全く意味が見えない…。
私はおそるおそる聞いてみた。
「ええと、私の眠ってる間に何があったの…?」
「なんにもないわよ、リリー」
と、アイシャが即座に答えた。
顔には、美しい笑みを浮かべたまま、視線は、ラルフをにらんでいる。
「うん、リリーが気にすることは何もなかったよ」
と、ジャンさんも微笑んでくれた。が、すぐに、ラルフを咎めるように見た。
本当に意味がわからない…。
ということで、二人が厳しい視線を送るラルフに問いかける。
「ねえ、ラルフ。なにかした?」
すると、ラルフは凶暴な美しさで、私に微笑んできた。
ちょっと、ラルフ! その顔、危ないよ!
「リリー、悪かったな。俺のことを考えて、眠れなかったんだろ」
そう言って、私に微笑みかけるラルフのエメラルド色の瞳が、すごい色気を醸し出している。
…ん? …ええええ?! なんで、私が眠れなかった理由が、ラルフのせいだって知ってるの?!
パニックになる私を、楽しそうに見つめるラルフ。
「眠りながら言ってたぞ。昨日の俺の行動で、眠れなかったって。俺のことで頭がいっぱいだったんだな」
と、ラルフは、嬉しそうに私をじっと見つめる。
冷たい美貌に甘さが加わり、近寄るのが危険なレベルだ。
…って、そんなこと考えてる場合じゃない! 私、なんてことを口走ってるの?!
しかも、ラルフ本人に聞かれるなんて!
恥ずかしすぎて、消えてしまいたいんですが…。
昨日、眠ってないからね…。
目を一生懸命こじあけているけど、頭がガクンと落ちる。
はっとして、まわりを見ると、三人の視線が私に集中していた。
…恥ずかしすぎるんだけど?
ただ、頭が落ちただけで、眠ってないですよ、みたいな感じを、さりげなーく装う。
が、アイシャは、フフッと笑って、
「リリー、眠たいんでしょ。遠慮せずに眠っていいわよ。昨日、眠れてないんだものね?」
と、すばらしい品質の豪華なクッションを手渡してくれた。
「ありがと…」
クッションのあまりの触り心地の良さに抱きしめると、更に眠気が加速する。
頭にもやがかかったように、ぼんやりしてきた。
遠くのほうで、
「やっぱり、留学前だから興奮して眠れなかったの…?」
みたいに聞かれたけれど、それが、アイシャの声なのか、ジャンさんの声なのか…、眠すぎて、もうそれすら、よくわからない。
そして、目もあかなくなってきた…。
が、夢の中で、なんとか口だけを動かす。
「うーん…、というより、ラルフが…、ラルフが…変なんだもん…。お姫様だっこしたり、…手に、…キ…キス…したり…。ラルフ…、王子様みたい…。恥ずかしいし、…びっくり…して、…眠れなかった…」
そこまで言って、私は完全に意識が落ちた。
ふっと、体が揺れて目が覚める。
どうやら、クッションを抱えて眠ってたらしい。
体を起こした途端、
「よく眠れた? リリー」
と、アイシャが隣から声をかけてきた。
「うん…。私、すごく眠ってたよね?」
「1時間くらいかしらね。良かったわ、よく眠れて。だれかの自分勝手な欲望のせいで、リリーが眠れなかったなんて、許せないもの」
と、アイシャが、氷のような視線でラルフをにらむ。
えっ…? 私が眠っている間に、何か、ありましたか?!
「確かに、留学前日、しかも長旅の前に、純粋なリリーの気持ちを乱すようなことをするのは、自分勝手だよね?」
と、ジャンさんにしては厳しい口調でラルフを見ながら言う。
私のことを言っているのに、全く意味が見えない…。
私はおそるおそる聞いてみた。
「ええと、私の眠ってる間に何があったの…?」
「なんにもないわよ、リリー」
と、アイシャが即座に答えた。
顔には、美しい笑みを浮かべたまま、視線は、ラルフをにらんでいる。
「うん、リリーが気にすることは何もなかったよ」
と、ジャンさんも微笑んでくれた。が、すぐに、ラルフを咎めるように見た。
本当に意味がわからない…。
ということで、二人が厳しい視線を送るラルフに問いかける。
「ねえ、ラルフ。なにかした?」
すると、ラルフは凶暴な美しさで、私に微笑んできた。
ちょっと、ラルフ! その顔、危ないよ!
「リリー、悪かったな。俺のことを考えて、眠れなかったんだろ」
そう言って、私に微笑みかけるラルフのエメラルド色の瞳が、すごい色気を醸し出している。
…ん? …ええええ?! なんで、私が眠れなかった理由が、ラルフのせいだって知ってるの?!
パニックになる私を、楽しそうに見つめるラルフ。
「眠りながら言ってたぞ。昨日の俺の行動で、眠れなかったって。俺のことで頭がいっぱいだったんだな」
と、ラルフは、嬉しそうに私をじっと見つめる。
冷たい美貌に甘さが加わり、近寄るのが危険なレベルだ。
…って、そんなこと考えてる場合じゃない! 私、なんてことを口走ってるの?!
しかも、ラルフ本人に聞かれるなんて!
恥ずかしすぎて、消えてしまいたいんですが…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
709
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる