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第二章
出発の日
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ついに、ロジャン国へ出発する日がやってきた。
お天気は、からっと晴れて気持ちがいいが、寝不足の目にはまぶしすぎる…。
昨晩は、ラルフの行動が、ふとした瞬間に何度も思い出され、体は疲れているのに、頭が興奮状態になり、眠れなかった…。
お姫様だっこも、手の甲にキスも、恋愛小説では、散々読んだけれど、実体験となったら別だ。
残念ながら前世も含めて耐性のない私。
しかも、ラルフがするんだよ?! 見た目だけで言うなら、本物の王子様より王子様だ。
様になりすぎてて、破壊力がすごい…。
もともと、私の好みドンピシャの溺愛ヒーローになりうるポテンシャルがあると思っていたけれど、実際、見ると、軽々と想像を超えてきたわ。
冷たい美貌の公爵令息が、ヒロインだけを溺愛するようになる、みたいな話の妄想がひろがってしまう。
ほんと、これが、単に溺愛観察する立場だったら、どれだけ喜べただろう?
なのに、相手がこの私?! いやいや、ないよね?!
玄関へでると、ちょうど、アイシャが迎えにきてくれたところだった。
アイシャのお家の馬車で、ロジャン国まで乗せていってもらうことになっている。
本当に、アイシャにはお世話になりっぱなし。留学先でもお世話になると思う。感謝しかない…。
お礼の気持ちをこめて、アイシャの大好きな復讐ものの新作を沢山探しておこう!
馬車から降りてくるアイシャは、旅行用なのか、シンプルなワンピースを着ている。これまた、アイシャの美しさが際立つね。
「リリー、おはよう。よく眠れた…って、眠れてなさそうね。いつ、なんどきでも眠れるリリーが、珍しいわね?」
「おはよう、アイシャ。迎えに来てくれて、ありがとう! …そうなんだよね、眠れなくて。 わかる?」
「そうね、目があんまりあいてないわ。さすがのリリーも緊張したのかしらね?」
と、微笑むアイシャ。
「う、…うん、そうかも?」
あわてて、ごまかしてみた。さすがに、アイシャにも理由は恥ずかしくて言えない。
そこへラルフがやってきた。
寝不足の元凶だ!
しかも、私は眠れなくて、目がショボショボなのに、ラルフはすっきりと、いつもの美貌でずるい!
「おはよう、リリー。眠れたか…って、眠れてないな」
と、アイシャと同じことを言うラルフ。
しかも、私、そんなに顔にでてるんだね…。
うっ、記念すべき出発の日なのに、目がショボショボだなんて悲しい…。
「大丈夫か、リリー? まあ、ロジャン国へ到着するまでは時間がかかるから、馬車の中でしっかり休め。
アイシャ、馬車の中にブランケットはあるだろ?」
と、早速、過保護モードがではじめたラルフ。
「あたりまえでしょ? リリーが乗るんだもの。心配してくれなくても、準備万端よ」
そう言って、挑発するような目をするアイシャ。
「二人とも。ただの寝不足だから、大丈夫だよ…」
が、こんな、うっすらとしか開いていない目でも見えることがある。
「ラルフ、その荷物、どうしたの?」
というのも、大きめのバッグを持っていたからだ。
いつも手ぶらなのに、珍しい。
「ああ、着替えをいれてる」
「…着替え? 誰の?」
「俺のだ」
は? 寝不足の働かない頭では、全く意味がわからないんだけど。
と思ったら、何かを察したようなアイシャが、冷たい声で言った。
「どういうつもり?」
「リリーを、ロジャン国へ送っていくことにした」
「…ん? …へ? えええ?! ロジャン国へ?! ちょっと、ちょっと、ラルフ! ラルフの家から私の家まで送ります、みたいな距離じゃないんだよ?! わかってる?!」
すっかり目のさめた私は興奮してラルフに聞く。
「あたりまえだろ」
淡々と答えるラルフ。
「うちの馬車は定員オーバーだけど?」
にらみながら言うアイシャ。
「そこにとまってる馬車、遠距離用で8人は優に乗れる馬車だろ? 俺一人増えても余裕だな。乗せてくれ」
そう言って、にやりとした。
そこへ、
「おはよう! みんな、もう、そろってるんだね。今日はよろしく」
と、爽やかにやってきたのは、なんとジャンさんだ。
え? 一体、どういうこと?!
お天気は、からっと晴れて気持ちがいいが、寝不足の目にはまぶしすぎる…。
昨晩は、ラルフの行動が、ふとした瞬間に何度も思い出され、体は疲れているのに、頭が興奮状態になり、眠れなかった…。
お姫様だっこも、手の甲にキスも、恋愛小説では、散々読んだけれど、実体験となったら別だ。
残念ながら前世も含めて耐性のない私。
しかも、ラルフがするんだよ?! 見た目だけで言うなら、本物の王子様より王子様だ。
様になりすぎてて、破壊力がすごい…。
もともと、私の好みドンピシャの溺愛ヒーローになりうるポテンシャルがあると思っていたけれど、実際、見ると、軽々と想像を超えてきたわ。
冷たい美貌の公爵令息が、ヒロインだけを溺愛するようになる、みたいな話の妄想がひろがってしまう。
ほんと、これが、単に溺愛観察する立場だったら、どれだけ喜べただろう?
なのに、相手がこの私?! いやいや、ないよね?!
玄関へでると、ちょうど、アイシャが迎えにきてくれたところだった。
アイシャのお家の馬車で、ロジャン国まで乗せていってもらうことになっている。
本当に、アイシャにはお世話になりっぱなし。留学先でもお世話になると思う。感謝しかない…。
お礼の気持ちをこめて、アイシャの大好きな復讐ものの新作を沢山探しておこう!
馬車から降りてくるアイシャは、旅行用なのか、シンプルなワンピースを着ている。これまた、アイシャの美しさが際立つね。
「リリー、おはよう。よく眠れた…って、眠れてなさそうね。いつ、なんどきでも眠れるリリーが、珍しいわね?」
「おはよう、アイシャ。迎えに来てくれて、ありがとう! …そうなんだよね、眠れなくて。 わかる?」
「そうね、目があんまりあいてないわ。さすがのリリーも緊張したのかしらね?」
と、微笑むアイシャ。
「う、…うん、そうかも?」
あわてて、ごまかしてみた。さすがに、アイシャにも理由は恥ずかしくて言えない。
そこへラルフがやってきた。
寝不足の元凶だ!
しかも、私は眠れなくて、目がショボショボなのに、ラルフはすっきりと、いつもの美貌でずるい!
「おはよう、リリー。眠れたか…って、眠れてないな」
と、アイシャと同じことを言うラルフ。
しかも、私、そんなに顔にでてるんだね…。
うっ、記念すべき出発の日なのに、目がショボショボだなんて悲しい…。
「大丈夫か、リリー? まあ、ロジャン国へ到着するまでは時間がかかるから、馬車の中でしっかり休め。
アイシャ、馬車の中にブランケットはあるだろ?」
と、早速、過保護モードがではじめたラルフ。
「あたりまえでしょ? リリーが乗るんだもの。心配してくれなくても、準備万端よ」
そう言って、挑発するような目をするアイシャ。
「二人とも。ただの寝不足だから、大丈夫だよ…」
が、こんな、うっすらとしか開いていない目でも見えることがある。
「ラルフ、その荷物、どうしたの?」
というのも、大きめのバッグを持っていたからだ。
いつも手ぶらなのに、珍しい。
「ああ、着替えをいれてる」
「…着替え? 誰の?」
「俺のだ」
は? 寝不足の働かない頭では、全く意味がわからないんだけど。
と思ったら、何かを察したようなアイシャが、冷たい声で言った。
「どういうつもり?」
「リリーを、ロジャン国へ送っていくことにした」
「…ん? …へ? えええ?! ロジャン国へ?! ちょっと、ちょっと、ラルフ! ラルフの家から私の家まで送ります、みたいな距離じゃないんだよ?! わかってる?!」
すっかり目のさめた私は興奮してラルフに聞く。
「あたりまえだろ」
淡々と答えるラルフ。
「うちの馬車は定員オーバーだけど?」
にらみながら言うアイシャ。
「そこにとまってる馬車、遠距離用で8人は優に乗れる馬車だろ? 俺一人増えても余裕だな。乗せてくれ」
そう言って、にやりとした。
そこへ、
「おはよう! みんな、もう、そろってるんだね。今日はよろしく」
と、爽やかにやってきたのは、なんとジャンさんだ。
え? 一体、どういうこと?!
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