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第一章
あなたは誰?
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ラルフの手をつかんで歩き出したものの、ダンスをしているホールの前で足が止まった。
恥をかく覚悟はできてたんだけど…。
いざ、戦場を前に、体に拒否反応が!
それに、ラルフの顔を見ずに、ここまでひっぱってきたんだった!
まだ、怒ってるかな? それとも、更に怒ってるかな?
恐る恐る隣を見上げる。
が、意外にも、野獣化したラルフは、すっかり、もとのラルフに戻っていた。
それどころか、面白そうに私を見ている、きらきらしたエメラルド色の瞳とかちあった。
「どうした、足がとまったけど? 俺と踊りたいんじゃないのか?」
と、意地悪な笑みを浮かべて言った。
もちろん、私がダンスを下手なことを、ラルフはよーく知っている。
「ええと、やっぱり、踊るのやめようかなあと思って…」
と、声が小さくなる。
すると、ラルフは甘さを含んだ笑みを浮かべて言った。
「ダメだ。踊る」
「でも、ほら。よく考えたら、私、ずーっとダンスを避けてきたから、もう踊れないかも。
ステップとか、なーんも覚えてないもん。ラルフの足、ふみまくるよ?」
と、私が言うと、ラルフはフッと笑った。
「リリーがステップを覚えてないのは、今に始まったことじゃないだろ」
そう言うと、ラルフの腕をつかんでいた私の手をはずさせ、その手をラルフがしっかりと握りなおしてきた。
そして、顔を私の顔に近づけてきて、
「全部、俺にまかせろ」
と、いきなり、耳元でささやいた。
「ひゃっ!」
思わず変な声がでた。
びっくりしてラルフを見ると、冷ややかな美貌に、妖し気な笑みを浮かべている。
色気がもれまくりで、ちょっと怖いんだけど…。
ええと、あなたは誰? 本当にラルフ?!
一気に大人の階段をかけのぼったかのような、すごい変わりっぷりだけど…。
はあー、顔が熱くなってきた。
いつもと違うラルフに、どうしていいかわからない。
が、ラルフは、内心パニック状態の私の顔を見て、
「ドレスと同じ色になったな」
そう言って、私の頬をさらっとなでた。
「え?! ちょっと、ラルフ?!」
一気に、顔が爆発したかと思うほど熱を持つ。
見なくてもわかる。私の顔、もう、真っ赤よね?!
慣れない状況に、ドキドキがとまらない。
ラルフのせいで、私の寿命が縮まるじゃない!
それにしても、一体、どうしたんだろう、ラルフ?
ラルフの皮を着た別人か、あるいは、だれかに憑依されているのかも!
若干おびえながらも、ラルフにしっかりと手をにぎられ、ダンスをしているところに連れて行かれる。
そして、歩くたびに、突き刺さる視線…。
目立ちまくるラルフに手を握られているので、御令嬢たちの視線が痛い。痛すぎる!
そして、新たに音楽がはじまるタイミングで、皆がすでにダンスをしているホールに入っていく。
久しぶりすぎて、体はガチガチ。緊張しまくりだ。
すると、ラルフが、
「大丈夫だ、リリー。何があっても俺がカバーする」
そう言って、優しく微笑んだ。
「ほんと? じゃあ、ラルフに全部まかせた!」
「ああ、全部まかせろ」
少し気が楽になった。
そう言えば、ラルフは公爵家の御令息。ダンスは幼い頃から叩き込まれてるようで上手いんだよね。
私があれだけ上手なら、踊りまくると思うけど、ラルフは、私をエスコートしたパーティーでは、他の御令嬢とは絶対、踊らなかったな。
つまり、私が、長い間、踊らなかったから、必然的にラルフもダンスをする機会を失ってんたんだね。
私と違って上手いのに、なんだか、申し訳ないな…。
おっ、隣で踊るかまえをしている御令嬢。自分のパートナーではなく、ラルフにくぎ付けになってる!
なーんて考えていたら、ラルフの顔が、すぐ近くに!
「おい、リリー。俺だけに集中しろ。他のことは考えるな」
と、またもや、耳元でささやいた。
あわてて、私は、こくこくとうなずいた。
そして、ついに音楽が始まった。
恥をかく覚悟はできてたんだけど…。
いざ、戦場を前に、体に拒否反応が!
それに、ラルフの顔を見ずに、ここまでひっぱってきたんだった!
まだ、怒ってるかな? それとも、更に怒ってるかな?
恐る恐る隣を見上げる。
が、意外にも、野獣化したラルフは、すっかり、もとのラルフに戻っていた。
それどころか、面白そうに私を見ている、きらきらしたエメラルド色の瞳とかちあった。
「どうした、足がとまったけど? 俺と踊りたいんじゃないのか?」
と、意地悪な笑みを浮かべて言った。
もちろん、私がダンスを下手なことを、ラルフはよーく知っている。
「ええと、やっぱり、踊るのやめようかなあと思って…」
と、声が小さくなる。
すると、ラルフは甘さを含んだ笑みを浮かべて言った。
「ダメだ。踊る」
「でも、ほら。よく考えたら、私、ずーっとダンスを避けてきたから、もう踊れないかも。
ステップとか、なーんも覚えてないもん。ラルフの足、ふみまくるよ?」
と、私が言うと、ラルフはフッと笑った。
「リリーがステップを覚えてないのは、今に始まったことじゃないだろ」
そう言うと、ラルフの腕をつかんでいた私の手をはずさせ、その手をラルフがしっかりと握りなおしてきた。
そして、顔を私の顔に近づけてきて、
「全部、俺にまかせろ」
と、いきなり、耳元でささやいた。
「ひゃっ!」
思わず変な声がでた。
びっくりしてラルフを見ると、冷ややかな美貌に、妖し気な笑みを浮かべている。
色気がもれまくりで、ちょっと怖いんだけど…。
ええと、あなたは誰? 本当にラルフ?!
一気に大人の階段をかけのぼったかのような、すごい変わりっぷりだけど…。
はあー、顔が熱くなってきた。
いつもと違うラルフに、どうしていいかわからない。
が、ラルフは、内心パニック状態の私の顔を見て、
「ドレスと同じ色になったな」
そう言って、私の頬をさらっとなでた。
「え?! ちょっと、ラルフ?!」
一気に、顔が爆発したかと思うほど熱を持つ。
見なくてもわかる。私の顔、もう、真っ赤よね?!
慣れない状況に、ドキドキがとまらない。
ラルフのせいで、私の寿命が縮まるじゃない!
それにしても、一体、どうしたんだろう、ラルフ?
ラルフの皮を着た別人か、あるいは、だれかに憑依されているのかも!
若干おびえながらも、ラルフにしっかりと手をにぎられ、ダンスをしているところに連れて行かれる。
そして、歩くたびに、突き刺さる視線…。
目立ちまくるラルフに手を握られているので、御令嬢たちの視線が痛い。痛すぎる!
そして、新たに音楽がはじまるタイミングで、皆がすでにダンスをしているホールに入っていく。
久しぶりすぎて、体はガチガチ。緊張しまくりだ。
すると、ラルフが、
「大丈夫だ、リリー。何があっても俺がカバーする」
そう言って、優しく微笑んだ。
「ほんと? じゃあ、ラルフに全部まかせた!」
「ああ、全部まかせろ」
少し気が楽になった。
そう言えば、ラルフは公爵家の御令息。ダンスは幼い頃から叩き込まれてるようで上手いんだよね。
私があれだけ上手なら、踊りまくると思うけど、ラルフは、私をエスコートしたパーティーでは、他の御令嬢とは絶対、踊らなかったな。
つまり、私が、長い間、踊らなかったから、必然的にラルフもダンスをする機会を失ってんたんだね。
私と違って上手いのに、なんだか、申し訳ないな…。
おっ、隣で踊るかまえをしている御令嬢。自分のパートナーではなく、ラルフにくぎ付けになってる!
なーんて考えていたら、ラルフの顔が、すぐ近くに!
「おい、リリー。俺だけに集中しろ。他のことは考えるな」
と、またもや、耳元でささやいた。
あわてて、私は、こくこくとうなずいた。
そして、ついに音楽が始まった。
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