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第一章
食べたいんですが…
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涙目のルークさんと離れ、やっと、お料理の並ぶテーブルに到着。
「うわ、どれも美味しそう!」
甘いものも沢山あって、目移りするけど、本格的におなかがすいている私。
デザートよりは、食事!
なので、まずは、一口サイズで、色々な種類のある、かわいらしいサンドイッチを狙いたい!
給仕をしてくれる男性が、
「どちらのお料理をおとりしましょうか?」
と、聞いてくれた。
「サン…」
と、言おうとしたのをかぶせるように、
「そこのサンドイッチを」
と、隣から答えたのは、ラルフだ。
え? と、思って見上げると、
「知らない男とはしゃべるな」
と、ラルフ。
…えええ?! いやいやいや、給仕の方だよ?!
アイシャが、
「余裕の全くないラルフも、見ていて、おもしろいわね」
と、クスっと笑う。
そして、ラルフに、
「私はあそこのカナッペをもらおうかしら。ほら、ラルフ。注文して?」
と、アイシャが言う。
ラルフは、
「アイシャは、自分で頼め」
と、冷たく言い放った。
給仕の方が、サンドイッチをお皿にのせてくれて、ラルフに渡した。
「ありがとう」
そう言って、私がお皿を受けとろうとしたら、
「サーモンは好きか?」
と、ラルフに聞かれた。
「うん、好きだけど…?」
と言ったら、一口サイズのサンドイッチを、フォークにつきさして、
私の口の前にもってきた。
「ええと、ラルフ? 何をしているの?」
と、私が聞くと、
「サーモンのサンドイッチだ。ほら、口をあけて、食べろ」
と、真顔で言うラルフ。
…はあああ?!
食べさせるって、本気だったの?!
ちょっと、やめて?! 恥ずかしいじゃない?!
「まさか、本気でやるとはね…」
と、アイシャが笑っている。
「ちょっと、ラルフ! 恥ずかしいから、やめて! 自分で食べるから!
ほら、お皿ごと、ちょうだい」
私が小声で抗議する。
「ダメだ。俺が食べさせるか、食べられないか、どっちがいい?」
「なに、その変な2択?!」
と、そこで、おなかが、ちょっとだけ、グーっとなった。
小さい音だけど、ラルフには聞こえたかも…。
恥ずかしい! 思わず、隣のラルフを見上げると、ラルフが、フッと微笑んだ。
「ほら、がまんせずに食べろ」
と、口の前に、サーモンのサンドを差し出される。
仕方ない! みんなが、見てないことを祈って!
パクッ。
美味しいー! さすが、王宮のお料理!
サンドイッチとともに、幸せをかみしめていると、視線が痛い…。
ふと、まわりを見ると、テーブルの料理をとりに集まっている人たちの、なんとも生暖かい目…。
これは、しっかり見られてたよね…。顔が一気に熱くなった。
と、そこへ
「うわあ、あまーい! ラルフ君ったら、何やってるの?! すごい積極的で、キャラ変わってて、びっくりー!」
と、軽い口調であらわれた、ロイさん。
「なんの用だ」
と、冷たく問うラルフ。
「王太子が、話したいんだって。リリーちゃんと」
ロイさんは、そう言うと、さっと横によった。
すると、ロイさんの後ろから現れたのは、…え、王太子様?!
間近で見るのは初めてだけど、そうだよね?!
と、思ったら、テーブルの料理をとっていた人たちが、一斉に離れていき、こちらを遠巻きに見ている。
王太子様は、にこやかに、私に近づいてくる。
が、そこで、ラルフとアイシャが私を隠すように前にでた。
背の高い二人の背中に隠されて、私からは、王太子様が見えなくなった。
「なんの用だ?」
と、刺々しい口調で聞くラルフ。
「リリアンヌ嬢に迷惑をかけたからな。挨拶と謝罪にきた」
と、王太子様の声。
「謝罪なら、そこで言え。顔を見なくても言えるだろう?」
と、ラルフが言う。
ちょっと、王太子様だよ?
いくら親戚でも、失礼ではないかい、ラルフ君?
不敬罪とかで罰せられたらどうするの! 変にドキドキしてきたわ。
私は、二人の背中をトントンと触る。
二人が振り返った。
なので、
「私は大丈夫だよ」
そう言って、微笑むと、二人の間をすりぬけて、前にでた。
「うわ、どれも美味しそう!」
甘いものも沢山あって、目移りするけど、本格的におなかがすいている私。
デザートよりは、食事!
なので、まずは、一口サイズで、色々な種類のある、かわいらしいサンドイッチを狙いたい!
給仕をしてくれる男性が、
「どちらのお料理をおとりしましょうか?」
と、聞いてくれた。
「サン…」
と、言おうとしたのをかぶせるように、
「そこのサンドイッチを」
と、隣から答えたのは、ラルフだ。
え? と、思って見上げると、
「知らない男とはしゃべるな」
と、ラルフ。
…えええ?! いやいやいや、給仕の方だよ?!
アイシャが、
「余裕の全くないラルフも、見ていて、おもしろいわね」
と、クスっと笑う。
そして、ラルフに、
「私はあそこのカナッペをもらおうかしら。ほら、ラルフ。注文して?」
と、アイシャが言う。
ラルフは、
「アイシャは、自分で頼め」
と、冷たく言い放った。
給仕の方が、サンドイッチをお皿にのせてくれて、ラルフに渡した。
「ありがとう」
そう言って、私がお皿を受けとろうとしたら、
「サーモンは好きか?」
と、ラルフに聞かれた。
「うん、好きだけど…?」
と言ったら、一口サイズのサンドイッチを、フォークにつきさして、
私の口の前にもってきた。
「ええと、ラルフ? 何をしているの?」
と、私が聞くと、
「サーモンのサンドイッチだ。ほら、口をあけて、食べろ」
と、真顔で言うラルフ。
…はあああ?!
食べさせるって、本気だったの?!
ちょっと、やめて?! 恥ずかしいじゃない?!
「まさか、本気でやるとはね…」
と、アイシャが笑っている。
「ちょっと、ラルフ! 恥ずかしいから、やめて! 自分で食べるから!
ほら、お皿ごと、ちょうだい」
私が小声で抗議する。
「ダメだ。俺が食べさせるか、食べられないか、どっちがいい?」
「なに、その変な2択?!」
と、そこで、おなかが、ちょっとだけ、グーっとなった。
小さい音だけど、ラルフには聞こえたかも…。
恥ずかしい! 思わず、隣のラルフを見上げると、ラルフが、フッと微笑んだ。
「ほら、がまんせずに食べろ」
と、口の前に、サーモンのサンドを差し出される。
仕方ない! みんなが、見てないことを祈って!
パクッ。
美味しいー! さすが、王宮のお料理!
サンドイッチとともに、幸せをかみしめていると、視線が痛い…。
ふと、まわりを見ると、テーブルの料理をとりに集まっている人たちの、なんとも生暖かい目…。
これは、しっかり見られてたよね…。顔が一気に熱くなった。
と、そこへ
「うわあ、あまーい! ラルフ君ったら、何やってるの?! すごい積極的で、キャラ変わってて、びっくりー!」
と、軽い口調であらわれた、ロイさん。
「なんの用だ」
と、冷たく問うラルフ。
「王太子が、話したいんだって。リリーちゃんと」
ロイさんは、そう言うと、さっと横によった。
すると、ロイさんの後ろから現れたのは、…え、王太子様?!
間近で見るのは初めてだけど、そうだよね?!
と、思ったら、テーブルの料理をとっていた人たちが、一斉に離れていき、こちらを遠巻きに見ている。
王太子様は、にこやかに、私に近づいてくる。
が、そこで、ラルフとアイシャが私を隠すように前にでた。
背の高い二人の背中に隠されて、私からは、王太子様が見えなくなった。
「なんの用だ?」
と、刺々しい口調で聞くラルフ。
「リリアンヌ嬢に迷惑をかけたからな。挨拶と謝罪にきた」
と、王太子様の声。
「謝罪なら、そこで言え。顔を見なくても言えるだろう?」
と、ラルフが言う。
ちょっと、王太子様だよ?
いくら親戚でも、失礼ではないかい、ラルフ君?
不敬罪とかで罰せられたらどうするの! 変にドキドキしてきたわ。
私は、二人の背中をトントンと触る。
二人が振り返った。
なので、
「私は大丈夫だよ」
そう言って、微笑むと、二人の間をすりぬけて、前にでた。
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