51 / 108
第一章
無理を言わないでください
しおりを挟む
ルーニーさんの、お弟子さんらしき人がドレスを何着か持ってきた。
「これ、全部、私の新作。アイシャちゃんに言われたサイズに直してきたんだけど、ぴったりだわね!」
と、私を上から下まで眺めて、うなずいた。
ぴったりよりも、私が気になっているのは、ドレスのお値段。
私は、すべてをけちって、本代につぎこんではいるけれど、このような素敵ドレスを買うお金はないのですが?!
ということで、ルーニーさんに、
「あのー、ドレス、おいくらなんですか…? とても私が買えるような感じに思えないのですが…?」
と、おそるおそる聞いてみた。
すると、ルーニーさんは、
「やだっ! 心配しないで?! これらは、新作のサンプルなの。だから、今日は、妖精姫ちゃんに着てもらって、感想をきいて、あと、ちょっと写真をとらせてもらえればOKよ!
まあ、買い取りであれば、アイシャの知り合いだから、相当お安くはしておくけど?」
と、にんまり笑った。
「…あ、なんだか、すみません…。お役に立てるか、わかりませんが、今日だけお貸しください…。ハハハ…」
と、自信なく笑う。
というのも、ルーニーさんのドレスはどれも本当に素敵なんだけど、私が着たことがないような、派手なドレスばかりだ。
とても、似合うとは思えないんだけど…。
皆さんをがっかりさせそうで、…不安がつのる。
が、そんな私の不安をものともせず、アイシャとルーニーさんの話し合いがはじまった。
「この紫のドレスはどうかしら?」
と、ルーニーさんがアイシャに聞く。
「…そうねえ。あててみて」
と、アイシャが言うと、ルーニーさんのお弟子さんが、ドレスを私にさっとあてる。
アイシャは腕をくんで見ていたが、
「似合うわ…。でもね、…色は大人っぽいけど、形がかわいすぎて、今までの路線上にあるのよね。もっと、はっとするほど、変えてみたいの!」
と、ルーニーさんに言った。
「なるほどね。じゃあ、このオレンジは? なんか、小悪魔みたいになるんじゃない?」
と、ルーニーさんが、つったっている私にオレンジ色のドレスをあてる。
いやいや、小悪魔って…。
「確かに、それも、かわいいんだけど…。もっと、品が良くて、大人の色気もあるのがいいわね」
と、アイシャが考えながら言った。
大人の色気? 何を言うの、アイシャさん!
どんなドレスを着ても、ないものは出せませんよ?!
すると、
「なら、これは?! とっておきの、真紅のドレスよ!」
と、ルーニーさんが叫んだ。
真紅のドレスは、ドレープが美しく、目を奪われる。
が、これを私が着る?!
アイシャが、
「そうね、それがいいわ」
と、うなずいた。
いやいやいやいや。無理でしょ?!
「私、赤いドレスだと、顔が完全に負けるよ? 能面みたいになっちゃうよ? もう少し、地味目の色に」
と、言いかけたところを、
「こら、おしゃれ放棄の妖精! あのね、私を誰だと思ってるの! センスあふれまくりの最高のデザイナー、ルーニー様よ! 私の目に狂いはないわ!」
と、ルーニーさんが、私に言い放った。
色々、つっこみどころが満載だ…。
が、とりあえず、おしゃれ放棄の妖精って、私のこと?
ほめられてるんだか、けなされてるんだか…。
斬新な呼びかけすぎて、返事ができないんだけど。
が、ルーニーさんは、怒らせたら、面倒な人だってことは、わかった。
わかりました! こうなったら、なんでも着ます!
ということで、アイシャのおしゃれ部隊のメイドさんたちに、アイシャの更衣室に、真紅のドレスとともに、ひきこまれた私。
私はつったっているだけで、あっという間に、ドレスを着せられた。
更衣室からでると、すぐさまルーニーさんがよってきて、ドレープを調整しはじめた。
真剣なまなざしで、声もかけられない。
ルーニーさんの調整が終わると、今度は、アイシャとルーニーさんの指導のもと、アイシャのおしゃれ部隊に、ヘアメイクを施されはじめた。
私は、ただただぼーっと、座っているだけだ。
なのに、沢山の方たちに動いてもらって、申し訳ない感じ…。
髪をまかれたり、つられたり、あげられたり、盛られたり…。
それが終わると、色々顔にぬられはじめた。
どれぐらい時間がたったかな?
やっと、私の準備が終わったようだ。
「これ、全部、私の新作。アイシャちゃんに言われたサイズに直してきたんだけど、ぴったりだわね!」
と、私を上から下まで眺めて、うなずいた。
ぴったりよりも、私が気になっているのは、ドレスのお値段。
私は、すべてをけちって、本代につぎこんではいるけれど、このような素敵ドレスを買うお金はないのですが?!
ということで、ルーニーさんに、
「あのー、ドレス、おいくらなんですか…? とても私が買えるような感じに思えないのですが…?」
と、おそるおそる聞いてみた。
すると、ルーニーさんは、
「やだっ! 心配しないで?! これらは、新作のサンプルなの。だから、今日は、妖精姫ちゃんに着てもらって、感想をきいて、あと、ちょっと写真をとらせてもらえればOKよ!
まあ、買い取りであれば、アイシャの知り合いだから、相当お安くはしておくけど?」
と、にんまり笑った。
「…あ、なんだか、すみません…。お役に立てるか、わかりませんが、今日だけお貸しください…。ハハハ…」
と、自信なく笑う。
というのも、ルーニーさんのドレスはどれも本当に素敵なんだけど、私が着たことがないような、派手なドレスばかりだ。
とても、似合うとは思えないんだけど…。
皆さんをがっかりさせそうで、…不安がつのる。
が、そんな私の不安をものともせず、アイシャとルーニーさんの話し合いがはじまった。
「この紫のドレスはどうかしら?」
と、ルーニーさんがアイシャに聞く。
「…そうねえ。あててみて」
と、アイシャが言うと、ルーニーさんのお弟子さんが、ドレスを私にさっとあてる。
アイシャは腕をくんで見ていたが、
「似合うわ…。でもね、…色は大人っぽいけど、形がかわいすぎて、今までの路線上にあるのよね。もっと、はっとするほど、変えてみたいの!」
と、ルーニーさんに言った。
「なるほどね。じゃあ、このオレンジは? なんか、小悪魔みたいになるんじゃない?」
と、ルーニーさんが、つったっている私にオレンジ色のドレスをあてる。
いやいや、小悪魔って…。
「確かに、それも、かわいいんだけど…。もっと、品が良くて、大人の色気もあるのがいいわね」
と、アイシャが考えながら言った。
大人の色気? 何を言うの、アイシャさん!
どんなドレスを着ても、ないものは出せませんよ?!
すると、
「なら、これは?! とっておきの、真紅のドレスよ!」
と、ルーニーさんが叫んだ。
真紅のドレスは、ドレープが美しく、目を奪われる。
が、これを私が着る?!
アイシャが、
「そうね、それがいいわ」
と、うなずいた。
いやいやいやいや。無理でしょ?!
「私、赤いドレスだと、顔が完全に負けるよ? 能面みたいになっちゃうよ? もう少し、地味目の色に」
と、言いかけたところを、
「こら、おしゃれ放棄の妖精! あのね、私を誰だと思ってるの! センスあふれまくりの最高のデザイナー、ルーニー様よ! 私の目に狂いはないわ!」
と、ルーニーさんが、私に言い放った。
色々、つっこみどころが満載だ…。
が、とりあえず、おしゃれ放棄の妖精って、私のこと?
ほめられてるんだか、けなされてるんだか…。
斬新な呼びかけすぎて、返事ができないんだけど。
が、ルーニーさんは、怒らせたら、面倒な人だってことは、わかった。
わかりました! こうなったら、なんでも着ます!
ということで、アイシャのおしゃれ部隊のメイドさんたちに、アイシャの更衣室に、真紅のドレスとともに、ひきこまれた私。
私はつったっているだけで、あっという間に、ドレスを着せられた。
更衣室からでると、すぐさまルーニーさんがよってきて、ドレープを調整しはじめた。
真剣なまなざしで、声もかけられない。
ルーニーさんの調整が終わると、今度は、アイシャとルーニーさんの指導のもと、アイシャのおしゃれ部隊に、ヘアメイクを施されはじめた。
私は、ただただぼーっと、座っているだけだ。
なのに、沢山の方たちに動いてもらって、申し訳ない感じ…。
髪をまかれたり、つられたり、あげられたり、盛られたり…。
それが終わると、色々顔にぬられはじめた。
どれぐらい時間がたったかな?
やっと、私の準備が終わったようだ。
11
お気に入りに追加
723
あなたにおすすめの小説
愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
完結まで執筆済み、毎日更新
もう少しだけお付き合いください
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!
隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる