39 / 108
第一章
ため息がとまらない
しおりを挟む
馬車の中で、今日、自分のなかにわきおこった、よくわからない、もやもやした気持ちを、アイシャに全部話した。
そして、ラルフへの自分の態度を思い出して、はーっとため息をつく。
なんで、あんなに、自分自身がコントロールできなかったんだろう?
ラルフは、全然悪くないのに、あれでは、ただの八つ当たりだ。
自己嫌悪で、ため息がとまらない。
「はああー。これって、やっぱり、兄離れできてない妹みたいな感じなのかなあ?
ほら、ラルフとは、子どものころから、ずーっと一緒にいたから。
そういえば、ラルフの恋愛とか見たことがないから、実際見ると、びっくりしたのかな…。あんなに、ラルフの溺愛を見られる日を期待してたのに。いざとなると、ダメだね…。
ラルフはちっとも悪くないのに、もやもやして、あたっちゃって…。
冷静になると、ほんと、小さい子どもみたいで恥ずかしいわ。
気が重いけど、明日にでも謝りにいかないとね…。そう思うでしょ、アイシャ?」
と、私が聞いた。
が、アイシャは、
「これは、まずいわね…。私の計画が…。いえ、まだ、大丈夫。奴は、今、盛大に墓穴をほってるし。
それに何より、本人が気づいてない。奴も気づいてない。奴が気づいたら、嬉々として、一気に仕掛けるだろうしね。想像しただけで、むかつくわ…。つまり、私が留学先に帰る前が勝負ね。そう、今がチャンスだわ…」
などと、意味不明なことを、ぶつぶつとつぶやいてる。
「アイシャ? どうしたの?」
私がよびかけると、アイシャは、はっとしたように私を見た。
そして、
「あ、ごめんなさい。ちょっと、私の望む、よりよい未来にするためには、どうしたらいいのか考えていたの…。
ラルフのことは気にしなくていいわよ。あれは大いに反省すべきだし。悩めばいいのよ!
それより、今日は、リリーに、しっかりと、ロジャン国のいいところを知ってもらうわ。今、すぐにでも、住みたくなるように、くわしく説明するわね。腕がなるわ! フフフ」
そう言うと、それはそれは、きれいな笑みを浮かべた。
アイシャ、またもや、悪役令嬢の顔になってるよ?
なにか、企んでそうなんだけど。
まあ、すごく、似合ってるんだけどね…。
ということで、到着しました。
アイシャのお家。
さすがは、筆頭公爵家。いつ来ても、目を見張るほど、立派なお屋敷!
同じ公爵家でも、ラルフの家とは雰囲気が全然違う。
ラルフの家は、エルザおばさまが仕切っていらっしゃるからか、アットホームな感じだけど、アイシャの家は、入った瞬間から、ぴしっとしていて、メイドさんたちも隙がない感じ。
そういえば、アイシャのご両親はお忙しいらしく、お屋敷でお会いしたことは一度もない。
ということで、毎回、緊張しながら、アイシャについていく。
そして、広々としたアイシャの部屋に通された瞬間、はーっと息をはいた。
アイシャが、笑って言った。
「もう何十回も来てるのに、まだ、緊張するの?」
私は、うなずいた。
「緊張するよ! 立派な廊下で、つまずいて、転んだらどうしようとか。だれか、笑ってくれたら、まだ救われるけど、無言だったら恥ずかしすぎて、いたたまれないなあ、とか」
アイシャは、クスクスと笑って言った。
「なにそれ? もう、リリーはおもしろいわね。いいわよ、もし転んだら、私が笑うから。安心して」
うん、アイシャが笑うと、これまた、微妙な空気になりそうなんだけどね…。
やっぱり、転ばないように気をつけよう!
そして、ラルフへの自分の態度を思い出して、はーっとため息をつく。
なんで、あんなに、自分自身がコントロールできなかったんだろう?
ラルフは、全然悪くないのに、あれでは、ただの八つ当たりだ。
自己嫌悪で、ため息がとまらない。
「はああー。これって、やっぱり、兄離れできてない妹みたいな感じなのかなあ?
ほら、ラルフとは、子どものころから、ずーっと一緒にいたから。
そういえば、ラルフの恋愛とか見たことがないから、実際見ると、びっくりしたのかな…。あんなに、ラルフの溺愛を見られる日を期待してたのに。いざとなると、ダメだね…。
ラルフはちっとも悪くないのに、もやもやして、あたっちゃって…。
冷静になると、ほんと、小さい子どもみたいで恥ずかしいわ。
気が重いけど、明日にでも謝りにいかないとね…。そう思うでしょ、アイシャ?」
と、私が聞いた。
が、アイシャは、
「これは、まずいわね…。私の計画が…。いえ、まだ、大丈夫。奴は、今、盛大に墓穴をほってるし。
それに何より、本人が気づいてない。奴も気づいてない。奴が気づいたら、嬉々として、一気に仕掛けるだろうしね。想像しただけで、むかつくわ…。つまり、私が留学先に帰る前が勝負ね。そう、今がチャンスだわ…」
などと、意味不明なことを、ぶつぶつとつぶやいてる。
「アイシャ? どうしたの?」
私がよびかけると、アイシャは、はっとしたように私を見た。
そして、
「あ、ごめんなさい。ちょっと、私の望む、よりよい未来にするためには、どうしたらいいのか考えていたの…。
ラルフのことは気にしなくていいわよ。あれは大いに反省すべきだし。悩めばいいのよ!
それより、今日は、リリーに、しっかりと、ロジャン国のいいところを知ってもらうわ。今、すぐにでも、住みたくなるように、くわしく説明するわね。腕がなるわ! フフフ」
そう言うと、それはそれは、きれいな笑みを浮かべた。
アイシャ、またもや、悪役令嬢の顔になってるよ?
なにか、企んでそうなんだけど。
まあ、すごく、似合ってるんだけどね…。
ということで、到着しました。
アイシャのお家。
さすがは、筆頭公爵家。いつ来ても、目を見張るほど、立派なお屋敷!
同じ公爵家でも、ラルフの家とは雰囲気が全然違う。
ラルフの家は、エルザおばさまが仕切っていらっしゃるからか、アットホームな感じだけど、アイシャの家は、入った瞬間から、ぴしっとしていて、メイドさんたちも隙がない感じ。
そういえば、アイシャのご両親はお忙しいらしく、お屋敷でお会いしたことは一度もない。
ということで、毎回、緊張しながら、アイシャについていく。
そして、広々としたアイシャの部屋に通された瞬間、はーっと息をはいた。
アイシャが、笑って言った。
「もう何十回も来てるのに、まだ、緊張するの?」
私は、うなずいた。
「緊張するよ! 立派な廊下で、つまずいて、転んだらどうしようとか。だれか、笑ってくれたら、まだ救われるけど、無言だったら恥ずかしすぎて、いたたまれないなあ、とか」
アイシャは、クスクスと笑って言った。
「なにそれ? もう、リリーはおもしろいわね。いいわよ、もし転んだら、私が笑うから。安心して」
うん、アイシャが笑うと、これまた、微妙な空気になりそうなんだけどね…。
やっぱり、転ばないように気をつけよう!
26
お気に入りに追加
721
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる