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第一章
私をなんだと思ってるの?
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エルザおばさまが、身をのりだしてきた。
「そうなのよ! この前もね、リリーが来るって聞いたから、お茶しようと思って、そのパウンドケーキを買ってたの。なのに、ラルフったら、すごい勢いでやってきて、ケーキを強奪して、リリーとのお茶の時間をうばったのよ!」
この前の、パーティーの打ち合わせの時ね。
と、ここで疑問。
「でも、今日も、ルシアンのパウンドケーキがあるんですが、よく食べるんですか?」
と、私が聞く。
すると、エルザおばさまが、
「リリーが来るときだけよ、買ってるのは。なのに、不思議よねえ。なーんであるのかしら? 誰が買ってたのかしら?」
と言いながら、ラルフのほうを、フフフフと笑って見ている。
「なんだよ? 俺が買ったら悪いか?!」
ラルフが、威嚇するように、エルザおばさまにかみつく。
こら、お母さまになんて口のきき方! もしや、ラルフ、遅い反抗期かな?
なんて、思ってると、
「さては、また、リリーをおびき寄せようと用意してたのね! 物でつるなんて、姑息な手を使うんだから」
と、アイシャが、あきれたように言った。
「俺は自分で食べようと思って、たまたま買ってただけだ。物でつる、姑息な手段を使うのは、アイシャのほうだろ。本が沢山あるとかいって、すぐに、留学先にリリーをつれていこうとするしな」
ラルフが、アイシャをにらむ。
アイシャも、ラルフをにらむ。
「ちょっと、二人とも私をなんだと思ってるの?! まさか、ケーキとか本でつられるような人間とでも?!」
二人は、すぐさま、うなずいた。
「こらーっ!!」
思わず立ちあがって、抗議する。
そこで、ジャンさんが、フッと笑った。
目をきらきらさせて、興味深そうに私たちを見ている。
「三人とも、仲がいいんだね。うらやましいよ。それに、リリーといる時のラルフとアイシャは、学園で見ていた二人とまるで違って、びっくりした」
そう言って、優しい笑みをうかべた。
エルザおばさまが、
「そうでしょ。ラルフなんて、普段、必要最小限くらいしか、しゃべらないから、リリーといる時にしか、声帯を使わないようにしてるのかなって」
そう言って、かわいく笑った。
え? 声帯? エルザおばさま、そんなこと考えてたの…?!
一応、フォローをいれとこ。
「エルザおばさま。ラルフは、しゃべる時の威力をためてるんだと思います。だって、短い言葉で、すごい攻撃力ですよ! 近づいてきた令嬢方を、完膚なきまでに撃沈させてますから!」
「は? リリー、なに言ってんだ?!」
とラルフ。冷たい目で私をみてくる。
せっかく、ラルフの攻撃力をアピールしたつもりだけど、ご不満?
アイシャが、
「口が悪いだけだよね、ラルフは。ほんと、リリー以外には容赦ないんだから」
と、ククッと笑った。
「ああ、そういえば、学園でもよく見かけたね。そんな場面」
と、ジャンさんが思い出したように、笑った。
「おい、これは、俺をさらす会なのか?」
と、ラルフの底冷えのする声が響く。
が、エルザおばさまは、自ら、楽しそうにお茶を淹れているし、アイシャは、フフンと鼻でわらっている。
そして、ジャンさんは、穏やかな笑みをうかべたまま。
そして、私はルシアンのパウンドケーキに釘付けなのだ。早く食べたい!
「そうなのよ! この前もね、リリーが来るって聞いたから、お茶しようと思って、そのパウンドケーキを買ってたの。なのに、ラルフったら、すごい勢いでやってきて、ケーキを強奪して、リリーとのお茶の時間をうばったのよ!」
この前の、パーティーの打ち合わせの時ね。
と、ここで疑問。
「でも、今日も、ルシアンのパウンドケーキがあるんですが、よく食べるんですか?」
と、私が聞く。
すると、エルザおばさまが、
「リリーが来るときだけよ、買ってるのは。なのに、不思議よねえ。なーんであるのかしら? 誰が買ってたのかしら?」
と言いながら、ラルフのほうを、フフフフと笑って見ている。
「なんだよ? 俺が買ったら悪いか?!」
ラルフが、威嚇するように、エルザおばさまにかみつく。
こら、お母さまになんて口のきき方! もしや、ラルフ、遅い反抗期かな?
なんて、思ってると、
「さては、また、リリーをおびき寄せようと用意してたのね! 物でつるなんて、姑息な手を使うんだから」
と、アイシャが、あきれたように言った。
「俺は自分で食べようと思って、たまたま買ってただけだ。物でつる、姑息な手段を使うのは、アイシャのほうだろ。本が沢山あるとかいって、すぐに、留学先にリリーをつれていこうとするしな」
ラルフが、アイシャをにらむ。
アイシャも、ラルフをにらむ。
「ちょっと、二人とも私をなんだと思ってるの?! まさか、ケーキとか本でつられるような人間とでも?!」
二人は、すぐさま、うなずいた。
「こらーっ!!」
思わず立ちあがって、抗議する。
そこで、ジャンさんが、フッと笑った。
目をきらきらさせて、興味深そうに私たちを見ている。
「三人とも、仲がいいんだね。うらやましいよ。それに、リリーといる時のラルフとアイシャは、学園で見ていた二人とまるで違って、びっくりした」
そう言って、優しい笑みをうかべた。
エルザおばさまが、
「そうでしょ。ラルフなんて、普段、必要最小限くらいしか、しゃべらないから、リリーといる時にしか、声帯を使わないようにしてるのかなって」
そう言って、かわいく笑った。
え? 声帯? エルザおばさま、そんなこと考えてたの…?!
一応、フォローをいれとこ。
「エルザおばさま。ラルフは、しゃべる時の威力をためてるんだと思います。だって、短い言葉で、すごい攻撃力ですよ! 近づいてきた令嬢方を、完膚なきまでに撃沈させてますから!」
「は? リリー、なに言ってんだ?!」
とラルフ。冷たい目で私をみてくる。
せっかく、ラルフの攻撃力をアピールしたつもりだけど、ご不満?
アイシャが、
「口が悪いだけだよね、ラルフは。ほんと、リリー以外には容赦ないんだから」
と、ククッと笑った。
「ああ、そういえば、学園でもよく見かけたね。そんな場面」
と、ジャンさんが思い出したように、笑った。
「おい、これは、俺をさらす会なのか?」
と、ラルフの底冷えのする声が響く。
が、エルザおばさまは、自ら、楽しそうにお茶を淹れているし、アイシャは、フフンと鼻でわらっている。
そして、ジャンさんは、穏やかな笑みをうかべたまま。
そして、私はルシアンのパウンドケーキに釘付けなのだ。早く食べたい!
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