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第一章
過保護が爆発
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「あら、お揃いで」
と、そこへ、優雅な声がかかった。
シックなワンピースに身をつつんだ、クールビューティー、アイシャだ。
これまた目立ちまくりで、まわりの目が釘付けだ。
ラルフといい、アイシャといい、庶民的な本屋にまったく馴染んでない。
「アイシャ! どうしたの?!」
私が思わず、かけよっていくと、
「リリー、今日、ここへ来るって言ってたでしょ。用も終わったし、一緒にお茶でもしようかと思って、寄ってみたの。まさか、ラルフまでいるとは、びっくりね?」
と、アイシャ。
「今日から、俺も本仲間に加入した」
「反対。ついでに、エルザおばさまも反対に一票」
アイシャが、何故か、ラルフのお母さまの分まで即答する。
が、ラルフは、
「おまえらの許可はいらない。決定だ」
と、冷たい視線でアイシャをにらむ。
「そもそも、ラルフは、本を読まないじゃない?」
アイシャもラルフをにらみ返しながら言った。
「問題ない。リリーの読めという本を読む」
真剣に言う、ラルフ。
いや、もう、色々おかしいから…。
宿題じゃないんだから、無理に読むもんではないよ、ラルフ?
が、もう、このやりとり、何度目だ…。
「あのね、アイシャ。私もさっきからそう言ってるんだけど、ラルフが聞かないんだよね。まあ、でも、すぐ嫌になって、やめると思うから」
と言うと、
「簡単にやめるわけないだろ」
と、強い声で言った。エメラルド色の瞳がやけに光っている。
野獣モードに入ってるところ悪いんだけど、ここ、頑張るとこと違うから!
溺愛とかの恋愛本を、私が好きに貸して、ゆるゆる楽しんでるだけだから。
アイシャが、両手をくんで、
「のんびりしてられなくなったものね」
と、ラルフを冷ややかに見ながら、フフンと笑った。
その姿、まさに悪役令嬢! まるで、小説を実写化したよう。
アイシャが演じるなら、すかっとするような、かっこいい悪役令嬢ね。
妄想がふくらみはじめたが、ふと、まわりを見ると、空気がよどんでる…。
特に、ラルフのまわりがピンポイントで殺伐とした雰囲気なんだけど…。
こんな感じでは、本をゆっくり選べない。やはり、本屋は一人で来るのが一番だ。
ということで、そろそろ本屋をでることに。
「そうだ。アイシャ、お茶しようかって言ってたよね? 先にジャンさんに本を渡してからでいい?」
と聞くと、
「ジャンも一緒にお茶をどうかしら? そこで、本の交換をしたら? 私も話が聞けるし」
と、アイシャ。
ジャンさんは、
「じゃあ、ご一緒させてもらうよ。本の話をもっとしたいしね」
と、爽やかに微笑んだ。
「ええと、ラルフはどうする?」
と私が聞くと、
「行くに決まってんだろ」
と言いながら、私の隣にはりつくように立った。
なんだか、背後だったり、隣だったり、今日はやけに距離が近いんだけど…。
アイシャが、ぷっとふきだした。
「ねえ、お茶は、ラルフの家にしましょうよ。ここから一番近いし。それに、エルザおばさまにも見せたいからね。こんなラルフを…じゃなくて、新しい本仲間のジャンをね」
ラルフの眉間のしわが深くなった。
確かに、エルザおばさまも本仲間だし、紹介しておくのもいいかもね。
とはいえ、急だけど、行ってもいいのかな?
「あの、ラルフ。ダメならいいよ。うちに来てもいいし」
と、私が言うと、
「リリーの家はダメだ。ジャンに教えたくない。うちでいい」
ラルフが、冷え冷えとした眼差しで言った。
なんだ、その理由。
今日のラルフは、過保護が爆発してるから、ほんとごめんなさいね。ジャンさん…。
と、そこへ、優雅な声がかかった。
シックなワンピースに身をつつんだ、クールビューティー、アイシャだ。
これまた目立ちまくりで、まわりの目が釘付けだ。
ラルフといい、アイシャといい、庶民的な本屋にまったく馴染んでない。
「アイシャ! どうしたの?!」
私が思わず、かけよっていくと、
「リリー、今日、ここへ来るって言ってたでしょ。用も終わったし、一緒にお茶でもしようかと思って、寄ってみたの。まさか、ラルフまでいるとは、びっくりね?」
と、アイシャ。
「今日から、俺も本仲間に加入した」
「反対。ついでに、エルザおばさまも反対に一票」
アイシャが、何故か、ラルフのお母さまの分まで即答する。
が、ラルフは、
「おまえらの許可はいらない。決定だ」
と、冷たい視線でアイシャをにらむ。
「そもそも、ラルフは、本を読まないじゃない?」
アイシャもラルフをにらみ返しながら言った。
「問題ない。リリーの読めという本を読む」
真剣に言う、ラルフ。
いや、もう、色々おかしいから…。
宿題じゃないんだから、無理に読むもんではないよ、ラルフ?
が、もう、このやりとり、何度目だ…。
「あのね、アイシャ。私もさっきからそう言ってるんだけど、ラルフが聞かないんだよね。まあ、でも、すぐ嫌になって、やめると思うから」
と言うと、
「簡単にやめるわけないだろ」
と、強い声で言った。エメラルド色の瞳がやけに光っている。
野獣モードに入ってるところ悪いんだけど、ここ、頑張るとこと違うから!
溺愛とかの恋愛本を、私が好きに貸して、ゆるゆる楽しんでるだけだから。
アイシャが、両手をくんで、
「のんびりしてられなくなったものね」
と、ラルフを冷ややかに見ながら、フフンと笑った。
その姿、まさに悪役令嬢! まるで、小説を実写化したよう。
アイシャが演じるなら、すかっとするような、かっこいい悪役令嬢ね。
妄想がふくらみはじめたが、ふと、まわりを見ると、空気がよどんでる…。
特に、ラルフのまわりがピンポイントで殺伐とした雰囲気なんだけど…。
こんな感じでは、本をゆっくり選べない。やはり、本屋は一人で来るのが一番だ。
ということで、そろそろ本屋をでることに。
「そうだ。アイシャ、お茶しようかって言ってたよね? 先にジャンさんに本を渡してからでいい?」
と聞くと、
「ジャンも一緒にお茶をどうかしら? そこで、本の交換をしたら? 私も話が聞けるし」
と、アイシャ。
ジャンさんは、
「じゃあ、ご一緒させてもらうよ。本の話をもっとしたいしね」
と、爽やかに微笑んだ。
「ええと、ラルフはどうする?」
と私が聞くと、
「行くに決まってんだろ」
と言いながら、私の隣にはりつくように立った。
なんだか、背後だったり、隣だったり、今日はやけに距離が近いんだけど…。
アイシャが、ぷっとふきだした。
「ねえ、お茶は、ラルフの家にしましょうよ。ここから一番近いし。それに、エルザおばさまにも見せたいからね。こんなラルフを…じゃなくて、新しい本仲間のジャンをね」
ラルフの眉間のしわが深くなった。
確かに、エルザおばさまも本仲間だし、紹介しておくのもいいかもね。
とはいえ、急だけど、行ってもいいのかな?
「あの、ラルフ。ダメならいいよ。うちに来てもいいし」
と、私が言うと、
「リリーの家はダメだ。ジャンに教えたくない。うちでいい」
ラルフが、冷え冷えとした眼差しで言った。
なんだ、その理由。
今日のラルフは、過保護が爆発してるから、ほんとごめんなさいね。ジャンさん…。
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