16 / 105
第一章
加入するには
しおりを挟む
「ジャン、とりあえず、リリーと一緒にいてくれてありがとう」
と、アイシャが声をかけた。
「あ、二人も知ってるの?」
アイシャはうなずいて、
「同級生だからね。留学する前までは、一緒のクラスだったしね? それで、二人で何を話してたの?」
と、聞いてきた。
「そうだ、アイシャ!! ジャンさんね、本が好きなんだよ。しかも、私たちの読んでいる本と同じ系統だよ! すごいでしょ? なので、私たちの本仲間に加入してもらうことにしました!!」
「ジャンさん、アイシャも本仲間だからね。はい、二人ともよろしくー!」
と言ってから、はっとまわりを見ると、…いろいろ見られてる。
いかん、すっかり忘れてたわ。王宮にいるってこと。
本のことになると、一気にテンションがあがってしまうのよね。
令嬢としては、あるまじき言動だったよね?
あわてて、何かしら令嬢らしさをかもしだすよう、顔の表情をあらためる。
ふと、ジャンさんと目があう。すると、ふわっと微笑まれた。
…なんか、優しい笑顔で、なごむわね。
そんな空間を邪魔するように、ラルフが冷たい口調で聞いてきた。
「その本仲間とやらは、男子禁制じゃなかったのか?」
はい? 今のところ、確かに男子はいないけど、別にそんなこと決めてない。
「ないよ。そんなルール」
と、私が答えると、
「じゃあ、今作れ」
と、氷の眼差しで命令する。
「はあ? 何言ってんの、ラルフ」
プハッと、ロイさんがふきだした。
「いやーん。ラルフくん、すごい独占欲?! おもしろーい」
この人、ほんと、懲りないな。ラルフを怒らせる天才か?
ラルフのほうが怖くて、見れない。
が、ここに、もう一人猛者がいた。アイシャだ。
殺気だっているラルフにむかって高らかに宣言した。
「私は、ジャンの加入を歓迎するわ! ようこそ、ジャン」
そう言いながら、目はラルフを挑戦的に見据えている。
ラルフは、エメラルド色の瞳を燃え上がらせて、アイシャをにらみつけた。
なんなの、この状況?
ただ私が好きな本を貸しているだけなのに、入会が難しそうな、たいそうなグループに変化しているよ?
「なになになに?! すごいおもしろそう。その本仲間、ぼくも入れてよ」
と、ロイさんが、アイシャとラルフの間にわりこむ。
ほんと、すごいね、ロイさん。冷え冷えとした、こんな二人の間に立つなんて!
もはや拍手を送りたい。あなたは勇者だ!!
「却下!」
アイシャが即答した。
「えー、ひどい!! リリーちゃん、お願い。入れて?」
と、今度は私の方にむいて言った瞬間、ラルフにスパーンと頭をはたかれた。
「いったーい! ひどいよ、ラルフ! ずばぬけた頭脳が傷つくじゃんか!」
「ド変態は、すっこんでろ」
ラルフ、次期公爵として、その口調はいかがなものかね?
が、きゃっと黄色い声が、まわりの令嬢からあがる。
前世でいうところの、蓼食う虫も好き好き。
なるほど、こういう口の悪いヒーローも需要ありね! 勉強になります!
と、アイシャが声をかけた。
「あ、二人も知ってるの?」
アイシャはうなずいて、
「同級生だからね。留学する前までは、一緒のクラスだったしね? それで、二人で何を話してたの?」
と、聞いてきた。
「そうだ、アイシャ!! ジャンさんね、本が好きなんだよ。しかも、私たちの読んでいる本と同じ系統だよ! すごいでしょ? なので、私たちの本仲間に加入してもらうことにしました!!」
「ジャンさん、アイシャも本仲間だからね。はい、二人ともよろしくー!」
と言ってから、はっとまわりを見ると、…いろいろ見られてる。
いかん、すっかり忘れてたわ。王宮にいるってこと。
本のことになると、一気にテンションがあがってしまうのよね。
令嬢としては、あるまじき言動だったよね?
あわてて、何かしら令嬢らしさをかもしだすよう、顔の表情をあらためる。
ふと、ジャンさんと目があう。すると、ふわっと微笑まれた。
…なんか、優しい笑顔で、なごむわね。
そんな空間を邪魔するように、ラルフが冷たい口調で聞いてきた。
「その本仲間とやらは、男子禁制じゃなかったのか?」
はい? 今のところ、確かに男子はいないけど、別にそんなこと決めてない。
「ないよ。そんなルール」
と、私が答えると、
「じゃあ、今作れ」
と、氷の眼差しで命令する。
「はあ? 何言ってんの、ラルフ」
プハッと、ロイさんがふきだした。
「いやーん。ラルフくん、すごい独占欲?! おもしろーい」
この人、ほんと、懲りないな。ラルフを怒らせる天才か?
ラルフのほうが怖くて、見れない。
が、ここに、もう一人猛者がいた。アイシャだ。
殺気だっているラルフにむかって高らかに宣言した。
「私は、ジャンの加入を歓迎するわ! ようこそ、ジャン」
そう言いながら、目はラルフを挑戦的に見据えている。
ラルフは、エメラルド色の瞳を燃え上がらせて、アイシャをにらみつけた。
なんなの、この状況?
ただ私が好きな本を貸しているだけなのに、入会が難しそうな、たいそうなグループに変化しているよ?
「なになになに?! すごいおもしろそう。その本仲間、ぼくも入れてよ」
と、ロイさんが、アイシャとラルフの間にわりこむ。
ほんと、すごいね、ロイさん。冷え冷えとした、こんな二人の間に立つなんて!
もはや拍手を送りたい。あなたは勇者だ!!
「却下!」
アイシャが即答した。
「えー、ひどい!! リリーちゃん、お願い。入れて?」
と、今度は私の方にむいて言った瞬間、ラルフにスパーンと頭をはたかれた。
「いったーい! ひどいよ、ラルフ! ずばぬけた頭脳が傷つくじゃんか!」
「ド変態は、すっこんでろ」
ラルフ、次期公爵として、その口調はいかがなものかね?
が、きゃっと黄色い声が、まわりの令嬢からあがる。
前世でいうところの、蓼食う虫も好き好き。
なるほど、こういう口の悪いヒーローも需要ありね! 勉強になります!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
709
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる