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第一章
大満足だったけど…
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フロアからでて、廊下の椅子に座る。
おお! すごい、ふかふかだ! 思わず、ぽよーんとスプリングを楽しむ。
さすが王宮の椅子よね!
慣れないヒールだったので、足も楽ちん!
思わず、顔がへらへらっとゆるむ。
と、お隣からクスクスッと笑い声が聞こえた。
ジャンさんが、ひそかに笑ってる。
あ、貴族令嬢としては、アウトだったよね?!
「あ、なんか、すみません。つい、楽しくて…ハハ」
と、ごまかしてみる。
ジャンさんは、
「いえいえ。ぼくのほうこそ笑ってしまってすみません。なんだか、楽しそうで、かわいいなって思ったから…」
そこまで言って、顔を赤らめた。
いえ、かわいいのは、そっちです!
どう考えても、ジャンさんのほうが乙女よね?!
そして、純真でかわいさもあるヒーロー、いいわ!!
「ところで、貸してくださる本は、どこに取りに伺えばよいですか?」
ジャンさんが、礼儀正しく聞いてきた。
「そうですね…、あ! あの本屋さんでは? さすがにお店の中で貸し借りはダメですが、お店の外で渡せば大丈夫かなあ」
「なるほど! ぼくもあそこへは通ってるので、ちょうどいいです」
と、嬉しそうに言った。
ということで、だいたい私が行く曜日と時間を伝える。本屋の中で待ち合わせだけれど、時間にこれなかったら、また次という、アバウトな方法。どっちみち本屋には通ってるしね。
「思い切って、声をかけて良かったです!」
と、素敵な笑顔で言うジャンさん。
こっちこそ! 本仲間は増えるし、将来の溺愛観察候補でもあるからね。
溺愛観察はできなかったけれど、結果的に、収穫の多い日だったわ!
と、大満足でルンルンしていたら、すごい勢いで近づいてくるラルフが見えた。
言いつけをやぶってたことを今更ながら思い出す。
まずいよね?!
とりあえず、逃げよう。だって、あの顔、相当おこってるもんね?
「では、ジャンさん、また今度…」
そう言うと、あわてて立ちあがった。
突然すぎて、
「えっ?!」
と、ジャンさんが驚いているが、急いでるのでごめんなさいね。
フロアの中に急いで戻って、とりあえず、元の位置にたってれば、ごまかせるかもしれないよね?
ということで、ささっと移動しようとしたら、
「リリー、ここで、なにしてるんだ?」
地を這うような声が、背後から聞こえてきた。
さて、どうしよう? 聞こえなかったふり…、さすがに無理よね。
とりあえず、ぎぎぎっと、無理やり振り返り、
「ちょっと、足が疲れたからね。この椅子、すごーく座り心地がいいんだ。さすが、王宮だね? ラルフも座ってみたら?」
と、言ってみる。
が、もちろん、ラルフは座らない…。
「ぼくがリリアンヌ様と話がしたくて、声をかけたんだ、ラルフ」
と、不穏な空気を察したジャンさんが言ってくれた。
ん? 今、ラルフのこと、名前で呼んだ? ということは、知り合い?
とにかく、こんな魔王みたいな形相のラルフからかばってくれるジャンさんには感謝しかない…。
身の危険もかえりみず、本当にありがとうございます…。
おお! すごい、ふかふかだ! 思わず、ぽよーんとスプリングを楽しむ。
さすが王宮の椅子よね!
慣れないヒールだったので、足も楽ちん!
思わず、顔がへらへらっとゆるむ。
と、お隣からクスクスッと笑い声が聞こえた。
ジャンさんが、ひそかに笑ってる。
あ、貴族令嬢としては、アウトだったよね?!
「あ、なんか、すみません。つい、楽しくて…ハハ」
と、ごまかしてみる。
ジャンさんは、
「いえいえ。ぼくのほうこそ笑ってしまってすみません。なんだか、楽しそうで、かわいいなって思ったから…」
そこまで言って、顔を赤らめた。
いえ、かわいいのは、そっちです!
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「なるほど! ぼくもあそこへは通ってるので、ちょうどいいです」
と、嬉しそうに言った。
ということで、だいたい私が行く曜日と時間を伝える。本屋の中で待ち合わせだけれど、時間にこれなかったら、また次という、アバウトな方法。どっちみち本屋には通ってるしね。
「思い切って、声をかけて良かったです!」
と、素敵な笑顔で言うジャンさん。
こっちこそ! 本仲間は増えるし、将来の溺愛観察候補でもあるからね。
溺愛観察はできなかったけれど、結果的に、収穫の多い日だったわ!
と、大満足でルンルンしていたら、すごい勢いで近づいてくるラルフが見えた。
言いつけをやぶってたことを今更ながら思い出す。
まずいよね?!
とりあえず、逃げよう。だって、あの顔、相当おこってるもんね?
「では、ジャンさん、また今度…」
そう言うと、あわてて立ちあがった。
突然すぎて、
「えっ?!」
と、ジャンさんが驚いているが、急いでるのでごめんなさいね。
フロアの中に急いで戻って、とりあえず、元の位置にたってれば、ごまかせるかもしれないよね?
ということで、ささっと移動しようとしたら、
「リリー、ここで、なにしてるんだ?」
地を這うような声が、背後から聞こえてきた。
さて、どうしよう? 聞こえなかったふり…、さすがに無理よね。
とりあえず、ぎぎぎっと、無理やり振り返り、
「ちょっと、足が疲れたからね。この椅子、すごーく座り心地がいいんだ。さすが、王宮だね? ラルフも座ってみたら?」
と、言ってみる。
が、もちろん、ラルフは座らない…。
「ぼくがリリアンヌ様と話がしたくて、声をかけたんだ、ラルフ」
と、不穏な空気を察したジャンさんが言ってくれた。
ん? 今、ラルフのこと、名前で呼んだ? ということは、知り合い?
とにかく、こんな魔王みたいな形相のラルフからかばってくれるジャンさんには感謝しかない…。
身の危険もかえりみず、本当にありがとうございます…。
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