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第一章
もう一人の友達
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ワインレッドのドレスをかっこよく着こなした、美女アイシャ。
長い銀髪のストレートに、きれいなブルーの瞳。
久々に見る、クールな美貌にうっとりだ。
ちなみに、筆頭公爵家の令嬢で、ラルフとは親戚。
子どもの時、私は、ラルフの家に遊びに行ったときに知り合った。
それ以来の友で、かつ本を愛する仲間でもある。
そして、隣国であるロジャン国の王子の婚約者で、お妃教育をかねて、去年から留学中だ。
「アイシャ!! いつ帰ってきたの?! 会いたかったー!!」
思わず、抱きつこうとしたが、ここは、王宮だった。
寸前でぴたっと動きをとめ、令嬢らしい姿にまき戻してみる。
ぎりぎりセーフ!
アイシャが、フフッと笑った。
「今朝、帰ってきたばっかりよ。早くリリーに会いたくて、急遽、このパーティーに出席することにしたの。やっぱり、リリーがいないと、つまらないのよね。ねえ、一緒にロジャン国に留学しようよ。巨大な図書館もあるし、本屋も沢山あって、本は読み放題よ!」
「ええ! それは、強烈にひかれる!」
「リリー。本につられるな。ロジャン国に行かなくても、本なら、こっちでも沢山読めるだろ」
と、ラルフ。
「はっ! またまた、はじまった。ラルフ、リリーを独り占めしようったって、そうはいかないわよ!」
と、アイシャ。
「ああ?!」
ラルフが氷のような目で、アイシャを見る。
アイシャも氷のような目でむかえうつ。
どうもこの二人、小さい頃から、会うとすぐに険悪になるんだよね。
二人とも優秀すぎるところも似てるから、ライバルなんだろうね。
しかし、二人こうやってみると、親戚だけあって、涼やかな美貌が似てるね。
しかも、美男美女で眼福だわー!
…って、観察してる場合じゃない、とめないと。
ますます目立ってるから!
溺愛観察がどんどん遠のいていくわ!
と、思ったら、アイシャが、ラルフにむかって言った。
「そうだ、ラルフ。コンラートが、ラルフを呼んできてだって。リリーに興味津々みたい。フロアに入ってくるなり、ラルフはリリーの手をつかまえて離さないし、あなたたち、目立ってたからね」
ラルフが小さく舌打ちをした。
コンラートって、王太子様だよね?! そうか、この二人は王族とも親戚だったね…?
「ええと、私、王室のパーティーは初めてだけど、やっぱり挨拶にいったほうがいいのかな?」
王族の前に、ずらりと列ができてるもんね。あれ、挨拶の列だよね?!
「行かなくていいわ」
「行く必要はない」
二人の声がかぶった。
「俺が行くから、リリーは行かなくていい。アイシャと一緒にここにいろ。絶対、一人で、ふらふらするな。手洗いに行くときも注意しろ。知らない人からもらった飲み物は飲むな。食べ物にもつられるな…」
「ああ、うるさいわね! 早く行きなさいよ、ラルフ」
アイシャがぴしりと言い放った。
「アイシャ、ちゃんと見とけよ。リリーは、すぐにうろつくからな」
「ラルフ、私、アイシャといるから、早く行って。なんだか、ラルフがお父さんに見えるよ」
と、私が言うと、ラルフが、一瞬かたまった。
そして、「俺はおまえの父じゃない…」と言いながら、やっと、王太子の方にむかって歩き出した。
アイシャは、何かツボにはまったらしく、嬉しそうに笑っている。
とにかく、ラルフと離れられたので、やっと、令嬢たちの目がよそへむいた。
これで、私はやーっと溺愛観察ができる!!
長い銀髪のストレートに、きれいなブルーの瞳。
久々に見る、クールな美貌にうっとりだ。
ちなみに、筆頭公爵家の令嬢で、ラルフとは親戚。
子どもの時、私は、ラルフの家に遊びに行ったときに知り合った。
それ以来の友で、かつ本を愛する仲間でもある。
そして、隣国であるロジャン国の王子の婚約者で、お妃教育をかねて、去年から留学中だ。
「アイシャ!! いつ帰ってきたの?! 会いたかったー!!」
思わず、抱きつこうとしたが、ここは、王宮だった。
寸前でぴたっと動きをとめ、令嬢らしい姿にまき戻してみる。
ぎりぎりセーフ!
アイシャが、フフッと笑った。
「今朝、帰ってきたばっかりよ。早くリリーに会いたくて、急遽、このパーティーに出席することにしたの。やっぱり、リリーがいないと、つまらないのよね。ねえ、一緒にロジャン国に留学しようよ。巨大な図書館もあるし、本屋も沢山あって、本は読み放題よ!」
「ええ! それは、強烈にひかれる!」
「リリー。本につられるな。ロジャン国に行かなくても、本なら、こっちでも沢山読めるだろ」
と、ラルフ。
「はっ! またまた、はじまった。ラルフ、リリーを独り占めしようったって、そうはいかないわよ!」
と、アイシャ。
「ああ?!」
ラルフが氷のような目で、アイシャを見る。
アイシャも氷のような目でむかえうつ。
どうもこの二人、小さい頃から、会うとすぐに険悪になるんだよね。
二人とも優秀すぎるところも似てるから、ライバルなんだろうね。
しかし、二人こうやってみると、親戚だけあって、涼やかな美貌が似てるね。
しかも、美男美女で眼福だわー!
…って、観察してる場合じゃない、とめないと。
ますます目立ってるから!
溺愛観察がどんどん遠のいていくわ!
と、思ったら、アイシャが、ラルフにむかって言った。
「そうだ、ラルフ。コンラートが、ラルフを呼んできてだって。リリーに興味津々みたい。フロアに入ってくるなり、ラルフはリリーの手をつかまえて離さないし、あなたたち、目立ってたからね」
ラルフが小さく舌打ちをした。
コンラートって、王太子様だよね?! そうか、この二人は王族とも親戚だったね…?
「ええと、私、王室のパーティーは初めてだけど、やっぱり挨拶にいったほうがいいのかな?」
王族の前に、ずらりと列ができてるもんね。あれ、挨拶の列だよね?!
「行かなくていいわ」
「行く必要はない」
二人の声がかぶった。
「俺が行くから、リリーは行かなくていい。アイシャと一緒にここにいろ。絶対、一人で、ふらふらするな。手洗いに行くときも注意しろ。知らない人からもらった飲み物は飲むな。食べ物にもつられるな…」
「ああ、うるさいわね! 早く行きなさいよ、ラルフ」
アイシャがぴしりと言い放った。
「アイシャ、ちゃんと見とけよ。リリーは、すぐにうろつくからな」
「ラルフ、私、アイシャといるから、早く行って。なんだか、ラルフがお父さんに見えるよ」
と、私が言うと、ラルフが、一瞬かたまった。
そして、「俺はおまえの父じゃない…」と言いながら、やっと、王太子の方にむかって歩き出した。
アイシャは、何かツボにはまったらしく、嬉しそうに笑っている。
とにかく、ラルフと離れられたので、やっと、令嬢たちの目がよそへむいた。
これで、私はやーっと溺愛観察ができる!!
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