上 下
6 / 105
第一章

ついに到着

しおりを挟む
そして、混沌としたまま馬車が到着。

ついに王宮に到着しました! うん、まさに別世界。

みんな、思いっきりドレスアップしていて、きらきらしている!

前世、庶民の私は、思わず、ホールに入るのを気おくれしていると、さっとラルフが手を取ってくれた。
流れるように、自然な動きだ。

おやおや、慣れてる? 

思わず、ムフという目で見ると、冷たいまなざしが返ってきた。

「どうせ、バカなこと考えてんだろ。さっさと行くぞ」

はい、すみませんね。

ということで、いざ、観察場へ入場! 
テンションあがってしまうけど、落ち着かないと。

早速、痛いほどの視線を感じる。
はー、ラルフ。目立つもんね。

令嬢たちがハンターのような目でねらってる。
見た目は、きれいな人たちだけれど、私としては、ああいうタイプは、溺愛のヒロインとしては萌えない。
やはり、可憐で、守ってしまいたくなるような、天使みたいなヒロインが好みなのだ!

ということで、観察対象からは外させていただきます。

会場に入ると、婚約者ではない二人は、一緒にまわる必要もないので、知り合いを見つけて談笑したりする。

ということで、ラルフもお友達のところにどうぞ。
私は、お待ちかねの溺愛観察に入ります!

「じゃ、ラルフ。ここらで自由行動にしようかね?」
というやいなや、ひらりと手をふり、前のめりで移動しようとすると、ラルフに手をつかまれた。

「こら、待て。一人でうろちょろするなって、さっき、言ったばかりだろ。ほんと、記憶力がないな」
と、冷ややかな目で見られた。

おっと、まずい! 私たち、めちゃくちゃ見られてない?

腕つかまれてるから、更に目立ってるよね…。
深い意味はないですよーという意味をこめ、とりあえず笑顔をはりつける。 

が、令嬢たちの視線が痛い。痛すぎる…。

「ラルフ! ちょっと、手、離してよ」
と、笑顔のまま、手をふりほどこうとするが、ふりほどけない。

この馬鹿力め!

「ダメだ。どうせ、溺愛を見たいとかって、ふらふらとどっかへ行くんだろ。安心できる奴がくるまでは、ここにいろ」

「えー! そんなこと言ったって、私の友人は、数人しかいないんだよ? しかも、ラルフも含まれてるんだよ? このパーティーで、ラルフの安心できる奴に会う確率はどのくらい? ほぼ、ないじゃない?!」
と、笑顔をはりつけたまま、小声で猛然とまくしたてた。

「じゃ、俺といるしかないな。ここから、その観察とやらをすればいいだろ?」

いやいや、ラルフといたら、観察するどころ、観察されるじゃない?!

あれ、こちらを見て手をふってる男の人がいる。
そういえば、以前、ラルフと一緒にいたところを見たような気もするわ…。

「あの人、ラルフのお友達じゃない? ほら、呼んでるよ。行って来て。私はここで待ってるから」

とにかく、ラルフと離れないと! 観察ができない!
どこでもいいから、早くどっかへ行け! と、念を送る。

「いや、全く必要ない。というか、リリーは、いつ、あいつのことを知ったんだ? 俺は紹介してないが」
そう言って、その男性をにらみつけた。

ちょっと、友達じゃないの?! 

もう、どうにかして、と思ったとき、
「リリー、久しぶりね」
と、背後から凛とした声がした。

うわあ、奇跡が起きました! 私の数少ない友人であるアイシャだ!! 









しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:350

浮気は許しません、旦那様

恋愛 / 完結 24h.ポイント:702pt お気に入り:49

レンタル彼氏がヤンデレだった件について

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:26

結婚式の前夜、花嫁に逃げられた公爵様の仮妻も楽じゃない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:137,372pt お気に入り:2,479

男装令嬢と女装王子 〜菫色の令嬢は病弱王子の騎士になる〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:34

王子殿下には興味がない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:681pt お気に入り:3,713

ある乙女ゲームの世界の中で

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:26

『傾国の悪女』と呼ばれた私の最後の恋

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:21

処理中です...