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とってもかわいい子です!

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ユーリのまとう空気が一気に冷えた。
「襲う? なに、下品なこと言ってんの? アデルで変な想像したら、本気で殺すよ? しかも、盗み聞きしてたのか? 趣味悪いな」

底冷えする声で、物騒な言葉を放つユーリ。

馬車の中が凍てつく寒さになってきた…。
まさに、魔王降臨。

ラスさん、危ない! 私にかまわず、逃げて!

と、思ったが、ラスさんは動揺もしていない様子。
すごいわね…。

「盗み聞きなんて趣味ありませんよ。王女様の指で、通信機のスイッチが入ったんでしょ? 否応なく聞こえてきただけですから。それに、主からの一方通行だから、聞こえてますよと、こちらから知らせようもないですしね」
魔王ユーリに平然と言い返すラスさん。

ほんとに、すごいわね…。
否定はしていたけれど、やっぱり、二人は、よほどの親友?

「アデルのこととなると、やたらと絡んでくるね? ああ、そっか。消されたいの? あ、でも、その前に…、あのセンターからここまで、何分かかった?」
と、ユーリがラスさんに聞いた。

即座に、ラスさんが答える。

「18分です」

「10分くらいで、俺の魔力で作った氷の壁を溶かした後、奴らが追いかけてくるとして、もうそろそろか…。ねえ、多分、黒くて、ちびなドラゴンっぽいものが一番先に追いつくと思うから、追い払っといて。よろしくー」
と、ユーリがラスさんに軽い感じで指示をだす。

…ん? 黒くて、ちびなドラゴンっぽいものが追いつく…?

ユーリは、何を言ってるのかしら?

「あの、主。ドラゴンっぽいものじゃなくて、間違いなくドラゴンでしょ? 人間なら追い払うのは簡単ですが、俺はドラゴンと対峙したことは一度もありません。どうすれば?」
と、冷静に言うラスさん。

…つまり、ドラゴンっぽいものじゃなくて、ドラゴン? っていうことは、ヨーカン?!

「あ、大丈夫、大丈夫。クソチビドラゴンだから、適当にあしらっといてよ。っていうか、アデルに二度と会えないようなところに、捨ててきてくれてもいいよ?」

「ちょっと、ユーリ! なんてひどいことを! あんなにかわいいヨーカンを捨てるだなんて!」
私が声をあげると、ユーリが、はーっとため息をついた。

「あのね、アデル。何度も言うけど、アデルはだまされてる。そういうとこ、ほんと、ばかかわいいけど、あのクソチビドラゴン、あざといだけだから」

「あざとい? もう、そんなわけないじゃない?! ラスさん、ヨーカンは健気で、とってもいい子で、つぶらな瞳がかわいいドラゴンなんです! ユーリの言うことは全然違いますから」

「ドラゴンが健気…?」
ラスさんから、ちょっと驚いたように、私を見ている。

「ええ、とっても! それに、会話もできるんですよ! すごいでしょ?! ちなみに、私はヨーカンの姉になりました!」
かわいいヨーカンを思い浮かべ、思わず、ちょっと自慢してしまう私。

「ドラゴンの姉…?」
ラスさんは、そうつぶやいた後、ぷはっとふきだした。

「やっぱり、王女様はおもしろいな。そばにいたら、退屈しなさそうだ。主から乗り換えようかな? ねえ、王女様。俺を雇ってくれませんかね…」
と言った瞬間、ラスさんの顔のすぐ横を何かが飛んでいった。

え? なに、今の…? すごいスピードで見えなかったんだけど?! 
ラスさん、大丈夫?!

「あっぶなー。主、氷の柱を投げるのはやめろ。あたったら死ぬだろ?」
ラスさんが口調を変え、ユーリをにらむ。

氷の柱?! あれ、そうだったの?! 
また、ユーリが魔力で危ないものをだしたのね?!

「自業自得。今度、アデルに変に絡んだら、遠慮なくあてるから」
ユーリはラスさんに向かって不敵な笑みを浮かべた。




※ すっかり更新が遅くなってしまい、すみません!
  読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!



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