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いりません!
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そこで、虹竜が、デュラン王子にひたと視線をあわす。
「今、おまえが言ったとおり、虹の子は私が認める家族だ。もう一度聞く。わが家族である虹の子と番になる覚悟があるのか?」
「もちろんです。お父様」
デュラン王子が、真剣に答えた。
虹竜とデュラン王子の間には、やけに深刻な空気が流れている。
でも、やっぱり、おかしいわよね、その会話…。
ブリジットさんが驚いた顔で言った。
「これは、まさに娘を溺愛する父親…。まさか、ドラゴンが人間に対して、こんな感情をいだくとは…」
「本当に驚きです! 虹竜にここまで思われるなんて、アデル王女様がうらやましい…」
そうつぶやきながら、アンドレさんが私をじとっと見る。視線が痛いわ…。
ブリジットさんが、私に向かって説明をはじめた。
「ドラゴンにとって、番は、通常、一生に一匹と考えられております。例え、番が死んだとしても、新しい番を探すことはしません。虹竜は、デュラン王子様に、アデル王女様に対して、それほど強い思いがあるのかと、聞かれたのだと思います」
え、そうなの?!
いやいや、強い思いって、そんなのないですし、今後もいりませんよ?!
っていうか、デュラン王子! そんな重すぎる問いかけを、受け入れたらダメじゃないっ!
「ねえ、アデル。この国は、自分勝手に妄想話ばかりするバカしかいないから、もう帰ろう。滞在する意味がない」
怖いくらい、ひんやりした声で、ユーリが私の耳元で言った。
すかさず、ジリムさんが、私のもとへ寄ってくる。
「アデル王女様。今朝、リッカ様からご連絡をいただきました。アデル王女様とお会いできるのは、滞在されるご予定の最終日となります。なので、間違えても、ご予定をきりあげることなどございませんように」
「えっ?! ほんとに?!」
「もちろんです。こうなったら、アデル王女様には、是が非でも、この国を気に入っていただき、ながーく滞在していただきたい。虹竜も喜びますし。ご希望なら、次期王妃の座も私が用意してみます」
ジリムさんが、不敵な笑みをうかべる。
いやいや、そんな面倒なもの、いりませんよ?!
背後のユーリからの冷気の風圧に押されて、私は、あわてて言った。
「いえ、とんでもない! 恐ろしいことを言うのは、やめてくれるかしら」
「そうよ、ジリム。それは、先走りすぎ。もっと、ゆっくり、アデルちゃんをとりこんで…いえ、説得していかなきゃ。順番があるもの」
イーリンさんが、ジリムさんに注意する。
…ええと、イーリンさん? あなたも少しおかしなことを言っていますよ?
「例えば、リッカさんの本を集めた文学館を作って、アデルちゃんに名誉館長になってもらうの。もちろん、面倒なことは、私とデュラン兄様がうけおうわ。どう、ジリム?」
「なるほど、それはいいですね! ついでに、リッカ先生に、アデル王女様と虹竜をモデルにして、小説を書いてもらったり、アデル王女様と虹竜のグッズを作るのもいいかな…」
は?! …ついでって、なんのついでかしら?!
それに、今、不届きなことが聞こえたわ!
「ジリムさん。私をモデルにリッカ先生に書いてもらうのは、冗談でも、ダメです。リッカ先生の創作魂をお金で買うようなことは、私が許しませんよ?!」
そこは、きっぱりと忠告しておく。
すると、プハッと笑い声が。見ると、デュラン王子だ。
「アディーにそんなに思われるなんて、リッカさんに嫉妬しちゃうな」
そう言って、花が散るような、甘い笑顔を見せた。
その瞬間、私の体がふわりと浮いた。
え?! 何がおこったの?!
「どいつもこいつも、俺に消されたいの? はあー、バカすぎて、我慢できない。国に帰るよ。アデル」
美貌の魔王が、私の顔をのぞきこんできた。
そう、私は、今、怒れる魔王ユーリに、横抱きにされている状態だ。
「ちょっと、ユーリ! 恥ずかしいから、おろしてよ! それに、リッカ先生にお会いするまでは、絶対帰らないから!」
デュラン王子が、勝ち誇った顔でユーリを見た。
ちょっと、魔王をあおらないで?!
「今、おまえが言ったとおり、虹の子は私が認める家族だ。もう一度聞く。わが家族である虹の子と番になる覚悟があるのか?」
「もちろんです。お父様」
デュラン王子が、真剣に答えた。
虹竜とデュラン王子の間には、やけに深刻な空気が流れている。
でも、やっぱり、おかしいわよね、その会話…。
ブリジットさんが驚いた顔で言った。
「これは、まさに娘を溺愛する父親…。まさか、ドラゴンが人間に対して、こんな感情をいだくとは…」
「本当に驚きです! 虹竜にここまで思われるなんて、アデル王女様がうらやましい…」
そうつぶやきながら、アンドレさんが私をじとっと見る。視線が痛いわ…。
ブリジットさんが、私に向かって説明をはじめた。
「ドラゴンにとって、番は、通常、一生に一匹と考えられております。例え、番が死んだとしても、新しい番を探すことはしません。虹竜は、デュラン王子様に、アデル王女様に対して、それほど強い思いがあるのかと、聞かれたのだと思います」
え、そうなの?!
いやいや、強い思いって、そんなのないですし、今後もいりませんよ?!
っていうか、デュラン王子! そんな重すぎる問いかけを、受け入れたらダメじゃないっ!
「ねえ、アデル。この国は、自分勝手に妄想話ばかりするバカしかいないから、もう帰ろう。滞在する意味がない」
怖いくらい、ひんやりした声で、ユーリが私の耳元で言った。
すかさず、ジリムさんが、私のもとへ寄ってくる。
「アデル王女様。今朝、リッカ様からご連絡をいただきました。アデル王女様とお会いできるのは、滞在されるご予定の最終日となります。なので、間違えても、ご予定をきりあげることなどございませんように」
「えっ?! ほんとに?!」
「もちろんです。こうなったら、アデル王女様には、是が非でも、この国を気に入っていただき、ながーく滞在していただきたい。虹竜も喜びますし。ご希望なら、次期王妃の座も私が用意してみます」
ジリムさんが、不敵な笑みをうかべる。
いやいや、そんな面倒なもの、いりませんよ?!
背後のユーリからの冷気の風圧に押されて、私は、あわてて言った。
「いえ、とんでもない! 恐ろしいことを言うのは、やめてくれるかしら」
「そうよ、ジリム。それは、先走りすぎ。もっと、ゆっくり、アデルちゃんをとりこんで…いえ、説得していかなきゃ。順番があるもの」
イーリンさんが、ジリムさんに注意する。
…ええと、イーリンさん? あなたも少しおかしなことを言っていますよ?
「例えば、リッカさんの本を集めた文学館を作って、アデルちゃんに名誉館長になってもらうの。もちろん、面倒なことは、私とデュラン兄様がうけおうわ。どう、ジリム?」
「なるほど、それはいいですね! ついでに、リッカ先生に、アデル王女様と虹竜をモデルにして、小説を書いてもらったり、アデル王女様と虹竜のグッズを作るのもいいかな…」
は?! …ついでって、なんのついでかしら?!
それに、今、不届きなことが聞こえたわ!
「ジリムさん。私をモデルにリッカ先生に書いてもらうのは、冗談でも、ダメです。リッカ先生の創作魂をお金で買うようなことは、私が許しませんよ?!」
そこは、きっぱりと忠告しておく。
すると、プハッと笑い声が。見ると、デュラン王子だ。
「アディーにそんなに思われるなんて、リッカさんに嫉妬しちゃうな」
そう言って、花が散るような、甘い笑顔を見せた。
その瞬間、私の体がふわりと浮いた。
え?! 何がおこったの?!
「どいつもこいつも、俺に消されたいの? はあー、バカすぎて、我慢できない。国に帰るよ。アデル」
美貌の魔王が、私の顔をのぞきこんできた。
そう、私は、今、怒れる魔王ユーリに、横抱きにされている状態だ。
「ちょっと、ユーリ! 恥ずかしいから、おろしてよ! それに、リッカ先生にお会いするまでは、絶対帰らないから!」
デュラン王子が、勝ち誇った顔でユーリを見た。
ちょっと、魔王をあおらないで?!
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