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ひっつきすぎ
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「アディー、ぼくも一緒にいくよ。近づけば、ドラゴンの悪いところをもっとはっきり見られるし」
と、デュラン王子。
「それなら私も行く! ドラゴンの伝えたいイメージが見えるかもしれないから!」
と、イーリンさん。
「俺も行く! 俺はユーリさん専属のホースだからな!」
ランディ王子が負けじと言う。
…が、専属のホースってなに…?
そこで、ブリジットさんが、私たちに向かって、あわてて言った。
「皆さん、一緒に行くのはやめてください。ドラゴンがますます警戒します!」
ごもっとも。
「じゃあ、まず私とユーリが行くわ! ユーリは、少し後ろからついてきて。それと、ヨーカン! ヨーカンも少し離れたところから、私たちのとってきたモリスが安全なことを、ドラゴンに訴え続けて」
と、私が指示をだす。
(やってみる、かあさん)
「アデル。後ろからじゃなく、ぼくが前を行くから」
ユーリが私に真剣に言った。
「それだと、ドラゴンが警戒するでしょ。ユーリは、私の少し後ろからついてきて、もし火を吐いたら、すぐに消して。ユーリなら、私のこと、絶対守ってくれるもの」
私がにっこりと笑いかける。
「…だから、ずるいよ、アデル。そう言われたら何も言えない」
ユーリは一気に私をひきよせ、ぐっと力強く抱きしめてきた。
うわっ! ちょっと、ユーリ!
あわてふためく私を、ユーリは、そっと離すと、私の両肩を優しくおさえた。
そして、目線をあわせる。
ユーリのブルーの瞳がゆらゆらと動きだし、魔力がもれだしてきた。
すると、少しひんやりとして、気持ちのいい風がユーリから放たれはじめた。
その風が、ふわふわと、私の全身をつつみこむように動いていく。
なに、この感じ?!
さっき、ユーリに抱きしめられた時と同じような感じがする…。
どうしよう! 心臓が、異常なほどドキドキしてきた。
火照った顔を手であおぐ私を見て、ユーリが妖艶に微笑む。
「念のため、ぼくの魔力でアデルの全身をくまなく包んでおいたよ。あのドラゴンがたとえ火を吐こうが、アデルの髪の毛一本たりとも、傷つけさせないから安心して」
え?! ユーリって、そんなことができるの?! さすが、魔王だわ!
「粘着質な魔力でアディーを囲い込んで、すごい独占欲だな…」
不満げにつぶやく、デュラン王子。
「ユーリさんが出している渦が、アデルちゃんを取り込んで、二人のまわりには、誰も近づけないようにしてるように見えるわ!」
イーリンさんは、驚いたように目を見開いた。
「俺はユーリさんの弟子なのに、アデルだけずるいぞ。よしっ、俺も!」
そう言って、ランディ王子は私に突撃してきた。
が、すぐさま、はじきとばされ、地面に転がった。
「ランディ、ありがと。ぼくの魔力が作動してることが証明できてよかったよ。じゃあ、行こうか。アデル」
ユーリが私に向かって、嬉しそうに声をかける。
起き上がったランディ王子の恨めしそうな視線を受けながら、私は歩き出した。
離れてついてきてもらおうと思ったのに、ユーリが嫌がり、私の前か隣を歩こうとする。
ドラゴンが警戒するので、頼み込んで、とりあえず、私の背後にまわってもらった。
「…あの、ユーリ、歩きにくいんだけど…。もう少し離れてくれるかしら?」
「嫌だね。これが限界。これ以上は離れられない。ほら、魔力でひっついてるから、あきらめて?」
何故か、嬉しそうなユーリの声。
そう、ユーリは、私の背中にぴったりと張り付いて歩いている。
歩きにくいし、なにより恥ずかしい!
「ひっつきすぎだわ!」
思わず抗議しながら振り向くと、目の前に、甘く微笑む美貌の顔が…。
顔まで寄せてきてるの?!
一気に、顔がほてる。
すると、ユーリが、とろけるように微笑んで、
「結婚したら、こんなもんじゃないから。覚悟して?」
と、耳元に口を寄せてささやいた。
「ぎゃっ! やめてよ!」
私が真っ赤になって怒ると、ユーリは楽しそうに笑った。
魔王に振り回されながら歩いているうちに、アンドレさんが置いたモリスのところまでたどり着いた。
そこから、ドラゴンを見る。
うずくまったままのドラゴンが、燃えるような真っ赤な瞳でこっちをじっと見ていた。
と、デュラン王子。
「それなら私も行く! ドラゴンの伝えたいイメージが見えるかもしれないから!」
と、イーリンさん。
「俺も行く! 俺はユーリさん専属のホースだからな!」
ランディ王子が負けじと言う。
…が、専属のホースってなに…?
そこで、ブリジットさんが、私たちに向かって、あわてて言った。
「皆さん、一緒に行くのはやめてください。ドラゴンがますます警戒します!」
ごもっとも。
「じゃあ、まず私とユーリが行くわ! ユーリは、少し後ろからついてきて。それと、ヨーカン! ヨーカンも少し離れたところから、私たちのとってきたモリスが安全なことを、ドラゴンに訴え続けて」
と、私が指示をだす。
(やってみる、かあさん)
「アデル。後ろからじゃなく、ぼくが前を行くから」
ユーリが私に真剣に言った。
「それだと、ドラゴンが警戒するでしょ。ユーリは、私の少し後ろからついてきて、もし火を吐いたら、すぐに消して。ユーリなら、私のこと、絶対守ってくれるもの」
私がにっこりと笑いかける。
「…だから、ずるいよ、アデル。そう言われたら何も言えない」
ユーリは一気に私をひきよせ、ぐっと力強く抱きしめてきた。
うわっ! ちょっと、ユーリ!
あわてふためく私を、ユーリは、そっと離すと、私の両肩を優しくおさえた。
そして、目線をあわせる。
ユーリのブルーの瞳がゆらゆらと動きだし、魔力がもれだしてきた。
すると、少しひんやりとして、気持ちのいい風がユーリから放たれはじめた。
その風が、ふわふわと、私の全身をつつみこむように動いていく。
なに、この感じ?!
さっき、ユーリに抱きしめられた時と同じような感じがする…。
どうしよう! 心臓が、異常なほどドキドキしてきた。
火照った顔を手であおぐ私を見て、ユーリが妖艶に微笑む。
「念のため、ぼくの魔力でアデルの全身をくまなく包んでおいたよ。あのドラゴンがたとえ火を吐こうが、アデルの髪の毛一本たりとも、傷つけさせないから安心して」
え?! ユーリって、そんなことができるの?! さすが、魔王だわ!
「粘着質な魔力でアディーを囲い込んで、すごい独占欲だな…」
不満げにつぶやく、デュラン王子。
「ユーリさんが出している渦が、アデルちゃんを取り込んで、二人のまわりには、誰も近づけないようにしてるように見えるわ!」
イーリンさんは、驚いたように目を見開いた。
「俺はユーリさんの弟子なのに、アデルだけずるいぞ。よしっ、俺も!」
そう言って、ランディ王子は私に突撃してきた。
が、すぐさま、はじきとばされ、地面に転がった。
「ランディ、ありがと。ぼくの魔力が作動してることが証明できてよかったよ。じゃあ、行こうか。アデル」
ユーリが私に向かって、嬉しそうに声をかける。
起き上がったランディ王子の恨めしそうな視線を受けながら、私は歩き出した。
離れてついてきてもらおうと思ったのに、ユーリが嫌がり、私の前か隣を歩こうとする。
ドラゴンが警戒するので、頼み込んで、とりあえず、私の背後にまわってもらった。
「…あの、ユーリ、歩きにくいんだけど…。もう少し離れてくれるかしら?」
「嫌だね。これが限界。これ以上は離れられない。ほら、魔力でひっついてるから、あきらめて?」
何故か、嬉しそうなユーリの声。
そう、ユーリは、私の背中にぴったりと張り付いて歩いている。
歩きにくいし、なにより恥ずかしい!
「ひっつきすぎだわ!」
思わず抗議しながら振り向くと、目の前に、甘く微笑む美貌の顔が…。
顔まで寄せてきてるの?!
一気に、顔がほてる。
すると、ユーリが、とろけるように微笑んで、
「結婚したら、こんなもんじゃないから。覚悟して?」
と、耳元に口を寄せてささやいた。
「ぎゃっ! やめてよ!」
私が真っ赤になって怒ると、ユーリは楽しそうに笑った。
魔王に振り回されながら歩いているうちに、アンドレさんが置いたモリスのところまでたどり着いた。
そこから、ドラゴンを見る。
うずくまったままのドラゴンが、燃えるような真っ赤な瞳でこっちをじっと見ていた。
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