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モリス
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モリスの花を採りに行くことにした私たち。
ブリジットさんとアンドレさんも同行すると言ったのだが、ドラゴンの様子も心配なので残ってもらって、私たちだけで行くことにした。
そこで、
(かあさん、ぼくも行く!)
私の頭にひびく声。ヨーカンだ。
私はブリジットさんに聞いてみた。
「ヨーカンが一緒に行くって言ってるんですが、外へ連れて行くことはできるのかしら?」
「ええ、大丈夫です。私たちが保護した時は、まだ、この半分もない大きさで、親とはぐれていたので、ドラゴンと言えど危険だと思い保護しました。が、もうこれくらいなら、かなりの距離、飛ぶこともできるでしょうし、大丈夫だと思います。それに、アデル王女様を保護者のように思ってるので、はぐれることもないでしょうし。もう少し体が大きくなったら、山へ帰そうと考えていたところですから、練習にもなりますし、ご迷惑でないなら、連れていってやってください」
と、ブリジットさんに頼まれた。
「わかりました! ヨーカンの保護者として、責任をもって連れて帰ってきます! 任せてください!」
胸をはって答えると、デュラン王子がふきだした。
失礼ね。私、変なことは、言ってませんよ?!
気をとりなおして、ヨーカンに呼びかける。
「じゃあ、一緒にモリスを採りに行こうね、ヨーカン!」
すると、ヨーカンは、キィーと楽しそうな声をあげ、私の頭の上を旋回した。
ということで、今、また馬車に乗り、モリスの咲く場所へむかっている私たち。
行きと違うことは、窓の外を並走して小さなドラゴンが飛んでいるということ。
最初、馬車に一緒に乗ってこようとしたのだけれど、
「野生のドラゴンなら、外を飛べ!」
と、ユーリの魔力ではじかれた。
ちょっと大きいけど、私のひざの上にのせても良かったのに、残念!
ほんと、ユーリは、ヨーカンに厳しいわよね!
そして、ほどなく、馬車が止まったので、降りた。
「うわあ、きれいね!」
そこは、一面、紫色だった。
「ここは、王家の土地になります。昔の大飢饉の時、多くの人の命を救ったモリス。そのモリスが、一番最初に咲きはじめたのが、この場所だと言われています」
と、ジリムさんが説明してくれた。
すでに、ヨーカンは、モリスの花の上に飛んで行き、食べている。
(かあさん、ここの花、強い! 傷がついていた、うろこがなおった!)
と、ヨーカンの声。
え、そんなに即効性があるの?!
「ヨーカンが、ここの花は強いと言ってるわ。もう、うろこの傷がなおったんだって!」
驚いた私は、大きな声でみんなに伝えた。
「やっぱり、最初に咲きはじめた場所のモリスだから、特別なのかしら?」
イーリンさんが不思議そうに言う。
「人間にもそんな効果があれば、王家印のモリスとして売り出せるのに。ドラゴンにしか効かないんじゃあ無理か…」
悔しそうに、ジリムさんがつぶやいた。
「そんなことより、沢山採って、早く、ドラゴンに持って行ってあげなきゃ!」
私の言葉に、
「そうだね、アディー。モリスの採り方は、手取り足取り、ぼくが教えるからね」
デュラン王子がモリスと同じ色の瞳をとろりとさせて、甘く微笑んでくる。
その途端、一気に、ユーリの冷気が放たれた。急激な温度差に、ぶるぶるっと体が震える。
寒い…。
そんななか、
「冷たくて、気持ちいい…」
と、嬉しそうにつぶやく、ランディ王子。
怖い…。
すぐさま、ジリムさんが、デュラン王子の首根っこをひっつかまえて、
「アデル王女様、モリスの採り方は、ただちぎるだけです。簡単に手でちぎれます。今日、咲いているモリスは今日しかもちません。なので、お好きなだけ採ってください。
次期公爵様、こいつは俺が捕獲しておきますのでお許しを」
そう言うと、デュラン王子を連行していった。
ブリジットさんとアンドレさんも同行すると言ったのだが、ドラゴンの様子も心配なので残ってもらって、私たちだけで行くことにした。
そこで、
(かあさん、ぼくも行く!)
私の頭にひびく声。ヨーカンだ。
私はブリジットさんに聞いてみた。
「ヨーカンが一緒に行くって言ってるんですが、外へ連れて行くことはできるのかしら?」
「ええ、大丈夫です。私たちが保護した時は、まだ、この半分もない大きさで、親とはぐれていたので、ドラゴンと言えど危険だと思い保護しました。が、もうこれくらいなら、かなりの距離、飛ぶこともできるでしょうし、大丈夫だと思います。それに、アデル王女様を保護者のように思ってるので、はぐれることもないでしょうし。もう少し体が大きくなったら、山へ帰そうと考えていたところですから、練習にもなりますし、ご迷惑でないなら、連れていってやってください」
と、ブリジットさんに頼まれた。
「わかりました! ヨーカンの保護者として、責任をもって連れて帰ってきます! 任せてください!」
胸をはって答えると、デュラン王子がふきだした。
失礼ね。私、変なことは、言ってませんよ?!
気をとりなおして、ヨーカンに呼びかける。
「じゃあ、一緒にモリスを採りに行こうね、ヨーカン!」
すると、ヨーカンは、キィーと楽しそうな声をあげ、私の頭の上を旋回した。
ということで、今、また馬車に乗り、モリスの咲く場所へむかっている私たち。
行きと違うことは、窓の外を並走して小さなドラゴンが飛んでいるということ。
最初、馬車に一緒に乗ってこようとしたのだけれど、
「野生のドラゴンなら、外を飛べ!」
と、ユーリの魔力ではじかれた。
ちょっと大きいけど、私のひざの上にのせても良かったのに、残念!
ほんと、ユーリは、ヨーカンに厳しいわよね!
そして、ほどなく、馬車が止まったので、降りた。
「うわあ、きれいね!」
そこは、一面、紫色だった。
「ここは、王家の土地になります。昔の大飢饉の時、多くの人の命を救ったモリス。そのモリスが、一番最初に咲きはじめたのが、この場所だと言われています」
と、ジリムさんが説明してくれた。
すでに、ヨーカンは、モリスの花の上に飛んで行き、食べている。
(かあさん、ここの花、強い! 傷がついていた、うろこがなおった!)
と、ヨーカンの声。
え、そんなに即効性があるの?!
「ヨーカンが、ここの花は強いと言ってるわ。もう、うろこの傷がなおったんだって!」
驚いた私は、大きな声でみんなに伝えた。
「やっぱり、最初に咲きはじめた場所のモリスだから、特別なのかしら?」
イーリンさんが不思議そうに言う。
「人間にもそんな効果があれば、王家印のモリスとして売り出せるのに。ドラゴンにしか効かないんじゃあ無理か…」
悔しそうに、ジリムさんがつぶやいた。
「そんなことより、沢山採って、早く、ドラゴンに持って行ってあげなきゃ!」
私の言葉に、
「そうだね、アディー。モリスの採り方は、手取り足取り、ぼくが教えるからね」
デュラン王子がモリスと同じ色の瞳をとろりとさせて、甘く微笑んでくる。
その途端、一気に、ユーリの冷気が放たれた。急激な温度差に、ぶるぶるっと体が震える。
寒い…。
そんななか、
「冷たくて、気持ちいい…」
と、嬉しそうにつぶやく、ランディ王子。
怖い…。
すぐさま、ジリムさんが、デュラン王子の首根っこをひっつかまえて、
「アデル王女様、モリスの採り方は、ただちぎるだけです。簡単に手でちぎれます。今日、咲いているモリスは今日しかもちません。なので、お好きなだけ採ってください。
次期公爵様、こいつは俺が捕獲しておきますのでお許しを」
そう言うと、デュラン王子を連行していった。
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