天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!

水無月あん

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できることを

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「何をしたらいいですか? ユーリさん!」
と、ランディ王子が、きらきらした目で、ユーリの横顔を見ている。

「ランディは水の流れが見えるから、あの湖とぼくをつないで」
と、ユーリがドラゴンから目を離さずに言う。

「つなぐって、どうやって?」

「湖とぼくの間を、水が流れているイメージをするだけでいい。あとは、こっちでやる。あのドラゴンが本気で火を吐いたら、そこの湖の水を使わないと消せないかもしれないから」

そこで、デュラン王子がランディ王子のそばにやってきた。

「ランディ、自分が、湖と次期公爵をつなぐための、ホースになったと思ってみたらどうかな?
その中を水が流れている。その水の流れが、ランディには見えるんだ」
と、アドバイスをした。

「ホース? 俺にできるかな?」
と、少し弱気な声をだすランディ王子。

すかさず、ユーリが、
「ランディは、ぼくの弟子だよね? なのに、ぼくのことが信用できないの? 
ランディならできるから、頼んでるんだよ」
と言ったとたん、

「ユーリさんのこと、信用してます! やります! ぼく!」
すごい声でそう言うと、湖とユーリの間を、目を往復させはじめた。

「すごいな。完全にランディ王子を手なずけてる…」
と、ジリムさんがつぶやいた。

ほんとにね…。ユーリ、恐るべし…。

いや、感心してる場合じゃない、私もやれることをやろう!

「ヨーカン!」
と呼びかけた。

(なあに、かあさん)

「あのドラゴン、なんで火を吐いてるの? 私たちに怒ってるの?」
と、聞いてみた。

(ぼくも、よくわからないんだ…。しゃべってこないから)

「そうなのね…。じゃあ、ヨーカン、私たちが敵じゃないことを、語りかけてもらえない?」

(わかった! やってみる!)

ブリジットさんに、今のヨーカンとの会話を伝えると、頭をかかえた。

「そう言えば、翼をケガしていると言ってましたが、治療はどうしてるんですか?」
私が聞くと、

「ここでは保護して休ませているだけで、治療はしていません。残念ながら、ドラゴンの治療ができるものがいませんから」
と、ブリジットさんは答えた。

もしや、どこか具合が悪いから、威嚇してくるのかしら? 
だって、私たちを攻撃するというよりは、脅かしただけみたいだものね。

あ、そうだわ!

「デュラン王子、魔力で体の中が見えたよね? ドラゴンも見えるかしら?」
唐突に私が聞くと、

「どうだろう? やったこともないから、わからないけど…。なんで、アディー?」
と、デュラン王子が不思議そうに言った。

「あのドラゴン、私たちが近づかないよう、脅してるだけのような気がするの。
火を吐いたのも一回だけだし。普段は大人しいっていうし。
どこか、体調が悪いから、威嚇してるのかと思って…」

私の言葉を聞いて、デュラン王子はうなずくと、
「それは、あり得そうだね。保護センターの方々はどう思う?」
と、ブリジットさんとアンドレさんのほうを見た。

「大人しいけれど、臆病そうな感じもするので、あまり近づかず様子を見ていたので、気づきませんでしたが、…その可能性は大いにあるかと思います」
と、アンドレさんが言った。

ブリジットさんも
「わたしも、そう思います」
と、同意した。

デュラン王子は、
「わかった。人間以外が、できるかどうかわからないけど、魔力で見てみるよ。
アディー、見ててね!」
そう言うと、私に甘くウィンクした。

「とっとと、やれ…」
すかさず、ジリムさんが言う。

そんな軽い雰囲気のデュラン王子が、手のひらをドラゴンめがけて開くと、すぐに、青白い光が出始める。

ブリジットさんが、驚いたようにつぶやいた。
「すごい魔力だわ…。魔力集団みたいな感じかしら…」

いえ、違います。魔王が二人おりますが…。

こんなことを考えている間も、デュラン王子の手のひらからでる光の帯が、ドラゴンめがけて、どんどん伸びていく。そして、ドラゴンにたどり着いた。

ドラゴンとデュラン王子が、青白い光でつながった。本当に神秘的できれいな魔力だわ…。

と、思ったら、ドラゴンがギャーッツと鳴いた。
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