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見られてる?!
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この音って、なに?!
ブリジットさんが、
「ドラゴンの声ですが…、どうしたのかしら?! この子、ここへ保護されてから、こんな大きな鳴き声をだしたことがなくて…」
と、困惑した様子で、ドラゴンの姿を目で探している。
でも、この部屋自体が、屋外と思うほどに広く、背の高い木々や岩、山の斜面なども再現されているから、隠れていたら、見つけるのが難しそう…。
と、思った時、木々の影から黒いものが飛び立った。
「あれはっ?!」
と、思わず声をあげると、
「ドラゴンですっ! …でも、このドラゴンは、まだここに来てからは、飛んだところを一度も見たことがなかったのに! しかも、こっちに向かってる?!」
と、アンドレさんが、興奮した様子で言った。
ブリジットさんが、
「アンドレ、声を落としなさい。…とりあえず、ドラゴンを刺激しないよう、みなさん、大きな声をださず、あまり動かないでください。ドラゴンの様子が通常と違います。
まだ、子どものドラゴンなので、じっとしていれば、大丈夫です。危害は加えてきませんので、落ち着いてください」
と、静かに忠告した。
私は、息をのんでドラゴンを見守る。
ん? なんか、背中があたたかい。後ろをふりむく。
えええ?! なにしてるの、ユーリ?!
ユーリが私の後ろに立ち、背中にぴったりとひっついている。
「ちょっと、ユーリ、どうしたの?!」
と、私が小声でユーリに聞く。
「アデルと一体化してるんだよ」
と、ユーリが妖しく微笑む。
一体化…? 意味がわからないわね…。
「ええと、それはどういう意味かしら?」
私が、小声で聞くと、
ユーリが私の両肩に手をおいて、私の顔の横に自分の顔をひっつけるようにして、
「だって、ドラゴンから、守らないといけないでしょ。だから、ぼくの魔力で、アデルをおおって、一体化してるんだよ。ほんとは、だきしめておきたいけど、アデル、恥ずかしいでしょ?」
と、耳元でささやいた。
ゾワゾワっとした。
「わかったから…。ちょっと、耳元でしゃべるのやめてよ!」
と、小声で文句を言う。顔が熱くなってきた。
すると、ユーリは、色気あふれまくりの、恐ろしい笑みを浮かべて、
「だって、大きな声だしちゃダメだからね」
と、また、顔を近づけて、耳元でささやいた。
どう考えても、わざとでしょ! 小声でも、そんなに近づく必要ないもんね?
ドラゴンより、ユーリの方が絶対に危険な気がするわ…。
そして、ランディ王子が、何故か、ユーリの後ろにひっついてきたのが見えた。
こちらも、一体化をしようとしてるのね…。
「来ましたよ!」
アンドレさんが、小さな声で言った後、すぐに、真っ黒な大きな鳥のようなものが、私たち一団の前に、舞い降りた。
これが、本物のドラゴンなの?! ドキドキが止まらないわ!!
全身を黒くてらてらと光る鱗をまとい、金色の大きな目は、ぱっちりと開いている。翼を閉じている姿はあまり大きくない。
まだ、子どものドラゴンだからなのか、表情は、あどけなく、かわいらしい!
なでなでしたい! もっと、近くで見たい!!
そこで、ドラゴンが閉じていた翼をひろげた。
うわあっ! きれい!
飛んでる時は、よくわからなかったけれど、翼の裏側は、虹色に光っていて、すごいきれい。
見入ってしまうわね。
でも、気のせいかしら。このドラゴンに、すごーく見られてる気がするんだけど…。
まあ、気のせいよね…。
私の隣にいたイーリンさんが、
「ねえ、アデルちゃんのこと、すごい見てない?」
と、小声で言った。
え?! やっぱり?! イーリンさんも思う?!
その時、キュールルルルと音がした。
隣のイーリンさんが、
「あ! 今の音、ドラゴンがアデルちゃんに向かって何か言ったみたいだよ!
だって、ドラゴンの声からでた、虹色の光が橋みたいになって、アデルちゃんにつながったもの」
と、興奮した様子で言う。
小声だけれど、皆、静かにしているので、全員に聞こえている。
「イーリン王女様、それはどういうことでしょうか?」
と、ブリジットさんが驚いた顔で聞いてきた。
「ええと、私、魔力で見えるものがあるんです。それを詳しく説明するのは、ここでは省きますが、…それを見て、私が思ったことは、このドラゴン、アデルちゃんに近づきたがってる気がします」
と、イーリンさんが自信をもって言いきった。
「さっきの精霊の時もだけど、アディーは、この国につくづく縁があるんだねー。
やっぱり、この国に住まなきゃね」
と、甘く微笑むデュラン王子。
非日常なドラゴンを前にしても、いつもと変わらないデュラン王子。ある意味、すごいわね…。
ブリジットさんが、
「ドラゴンの声ですが…、どうしたのかしら?! この子、ここへ保護されてから、こんな大きな鳴き声をだしたことがなくて…」
と、困惑した様子で、ドラゴンの姿を目で探している。
でも、この部屋自体が、屋外と思うほどに広く、背の高い木々や岩、山の斜面なども再現されているから、隠れていたら、見つけるのが難しそう…。
と、思った時、木々の影から黒いものが飛び立った。
「あれはっ?!」
と、思わず声をあげると、
「ドラゴンですっ! …でも、このドラゴンは、まだここに来てからは、飛んだところを一度も見たことがなかったのに! しかも、こっちに向かってる?!」
と、アンドレさんが、興奮した様子で言った。
ブリジットさんが、
「アンドレ、声を落としなさい。…とりあえず、ドラゴンを刺激しないよう、みなさん、大きな声をださず、あまり動かないでください。ドラゴンの様子が通常と違います。
まだ、子どものドラゴンなので、じっとしていれば、大丈夫です。危害は加えてきませんので、落ち着いてください」
と、静かに忠告した。
私は、息をのんでドラゴンを見守る。
ん? なんか、背中があたたかい。後ろをふりむく。
えええ?! なにしてるの、ユーリ?!
ユーリが私の後ろに立ち、背中にぴったりとひっついている。
「ちょっと、ユーリ、どうしたの?!」
と、私が小声でユーリに聞く。
「アデルと一体化してるんだよ」
と、ユーリが妖しく微笑む。
一体化…? 意味がわからないわね…。
「ええと、それはどういう意味かしら?」
私が、小声で聞くと、
ユーリが私の両肩に手をおいて、私の顔の横に自分の顔をひっつけるようにして、
「だって、ドラゴンから、守らないといけないでしょ。だから、ぼくの魔力で、アデルをおおって、一体化してるんだよ。ほんとは、だきしめておきたいけど、アデル、恥ずかしいでしょ?」
と、耳元でささやいた。
ゾワゾワっとした。
「わかったから…。ちょっと、耳元でしゃべるのやめてよ!」
と、小声で文句を言う。顔が熱くなってきた。
すると、ユーリは、色気あふれまくりの、恐ろしい笑みを浮かべて、
「だって、大きな声だしちゃダメだからね」
と、また、顔を近づけて、耳元でささやいた。
どう考えても、わざとでしょ! 小声でも、そんなに近づく必要ないもんね?
ドラゴンより、ユーリの方が絶対に危険な気がするわ…。
そして、ランディ王子が、何故か、ユーリの後ろにひっついてきたのが見えた。
こちらも、一体化をしようとしてるのね…。
「来ましたよ!」
アンドレさんが、小さな声で言った後、すぐに、真っ黒な大きな鳥のようなものが、私たち一団の前に、舞い降りた。
これが、本物のドラゴンなの?! ドキドキが止まらないわ!!
全身を黒くてらてらと光る鱗をまとい、金色の大きな目は、ぱっちりと開いている。翼を閉じている姿はあまり大きくない。
まだ、子どものドラゴンだからなのか、表情は、あどけなく、かわいらしい!
なでなでしたい! もっと、近くで見たい!!
そこで、ドラゴンが閉じていた翼をひろげた。
うわあっ! きれい!
飛んでる時は、よくわからなかったけれど、翼の裏側は、虹色に光っていて、すごいきれい。
見入ってしまうわね。
でも、気のせいかしら。このドラゴンに、すごーく見られてる気がするんだけど…。
まあ、気のせいよね…。
私の隣にいたイーリンさんが、
「ねえ、アデルちゃんのこと、すごい見てない?」
と、小声で言った。
え?! やっぱり?! イーリンさんも思う?!
その時、キュールルルルと音がした。
隣のイーリンさんが、
「あ! 今の音、ドラゴンがアデルちゃんに向かって何か言ったみたいだよ!
だって、ドラゴンの声からでた、虹色の光が橋みたいになって、アデルちゃんにつながったもの」
と、興奮した様子で言う。
小声だけれど、皆、静かにしているので、全員に聞こえている。
「イーリン王女様、それはどういうことでしょうか?」
と、ブリジットさんが驚いた顔で聞いてきた。
「ええと、私、魔力で見えるものがあるんです。それを詳しく説明するのは、ここでは省きますが、…それを見て、私が思ったことは、このドラゴン、アデルちゃんに近づきたがってる気がします」
と、イーリンさんが自信をもって言いきった。
「さっきの精霊の時もだけど、アディーは、この国につくづく縁があるんだねー。
やっぱり、この国に住まなきゃね」
と、甘く微笑むデュラン王子。
非日常なドラゴンを前にしても、いつもと変わらないデュラン王子。ある意味、すごいわね…。
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